シス(STAR WARS)

登録日:2015/12/28 Mon 08:28:54
更新日:2024/02/23 Fri 20:47:54
所要時間:約 15 分で読めます





遂にジェダイの前に姿を現す時が来ました。復讐の時です  ―ダース・モール―


奴らは、2人……。師と弟子が、組んで動く……  ―ヨーダ―

●目次

概要

シス(Sith)とはSTAR WARSシリーズに登場する、フォースのライトサイドを信仰するジェダイ・オーダーと敵対して分裂し、フォースのダークサイドを使う者たちの一派である。
シスに属する者で師から認められた者はシスの暗黒卿もしくはシス卿(Sith Lord)と呼ばれ、ダース・シディアスやダース・ヴェイダーのようにダース+「固有の名」を名乗る。この「ダース」というのは"Dark Lord of the Sith"の略称であり、これ自体にシスの暗黒卿という意味を持つ。
従って「シディアス卿」はともかく「ダース・シディアス卿」などと呼ぶのは間違い。公式作品のセリフでも「ダース・モール卿」なんてセリフがあったりするけど
また、「シディアス」「ヴェイダー」というのはいわゆる道号のようなもので、別に本名(俗名)を持つ。
シディアスの場合は、「俗名シーヴ・パルパティーン」、「道号ダース・シディアス」となる(例外的に、ダース・モールは「モール」が本名)。
彼らはこの道号のほうを正式の名乗りとすることで「シス卿こそが真の姿」とし、俗名は「過去の名前」「仮の姿」として自分を定義する。それだけに彼らにとって自分のシスとしての号を他人に教えることはある種の感慨があることが、非正史(レジェンズ)に分類された小説『ダース・プレイガス』にて描かれている。

スピンオフ小説では、数えきれないほどの小説家が考えたすごいシス卿が登場。
しかし、2014年に版権がディズニーに移り、スピンオフが正史(カノン)と非正史(レジェンズ)に整理された。


現在ではジェダイと対局を成す悪の王として広く認知されているが、実は旧三部作では「シス」という概念は存在しておらず、皇帝やヴェイダーは単にフォースの暗黒面の使い手としてしか描かれていない。

なお、シス卿ではないフォースの暗黒面の使い手も結構登場している。ジェダイ出身者で暗黒面に落ちた者を俗にダーク・ジェダイと呼び、こちらはシス卿とは明確に区別される。公式な定義は不明瞭だが結果的に存在が危ぶまれたシス・オーダーの遺産を継ぐにふさわしいか試されていたカイロ・レンはシス卿でなくとも、ダーク・ジェダイである事は間違いない。

容姿

シス卿は死神のような黒衣と、一部の者は骸骨のような仮面を着用し、赤い光刃ライトセーバーを所持しており、並のジェダイでは太刀打ちできないほどの力を誇る。

とある理由からシスはフォースのライトサイドとダークサイドの両方に通じており、フォースに関する知識や技はジェダイと同等かそれ以上である。他にもシス・ホロクロンと呼ばれるホログラム発生装置や、シスの工芸品という遺物に見られるような独自の技術体系までも持っていた。

カノンのシス

正史(カノン)に登場するシス卿のうち、代表格は6名。いずれも作品内で死亡している。

上記6名以外で、レジェンズからの引用ではなくカノン作品にて初めて言及されたシス卿は以下の6名。
  • ダース・タニス
    • ファイナル・オーダーのシス・トルーパー第17分隊に命名。女性のシス卿であり、CGアニメ『反乱者たち』シーズン2最終話に登場した惑星マラコアに残されたシスの超兵器の生みの親とされるが、同エピソードでエズラに語りかけた女性の声(The Presence)と同一人物かどうかについてはぼかされている。
  • ダース・クラール
    • オーディオ・ドラマ『Dooku: Jedi Lost(原題)』に名前が登場。コルサントのジェダイ聖堂内に存在し、ダークサイドにまつわる遺物を保管する秘密の部屋ボガン・コレクション内に彼の遺品がある。後にドゥークー伯爵も名を連ねる、ジェダイ・オーダーから脱退した失われた20人の一人
  • ダース・カルドス
    • 『Dooku: Jedi Lost(原題)』に名前が登場。トゥカタやガンダークといったシスの魔獣の詳細を記録した、自身の名を冠する動物寓意譚を遺しており、クローン大戦中に活躍した賞金稼ぎキャド・ベインと同じ種族のデュロスである
  • ダース・スカイア
    • 『Dooku: Jedi Lost(原題)』にヴィジョンとして登場した女性のシス卿。南国の惑星リシにスカイアの手と命名した超兵器を遺しており、後にドゥークーの親友サイフォとその師が回収している。またその二人と共に惑星アサストで予言を狂信するカルトに生贄として捧げられそうになったパダワン・ドゥークーは過去と未来が入り混じるヴィジョンの中で彼女の声も聞き、結果的にフォース・ライトニングを発現させるに至る。なお、惑星リシ自体はレジェンズのMMORPG『The Old Republic』からの引用である。
  • ダース・モミン
    • コミック『ヴェイダーの城』に登場。ほとんど「モミン」としか呼ばれないが、一部資料ではダースがつく。ダース・ベインより前の時代のシス卿。そして芸術家。芸術なら彫刻から建築、軍艦の製造まで何でもこなす。かつてジェダイに敗れて遺品のヘルメットだけが残っていたが、彼の魂はその仮面に宿り続け、現代まで伝わっていた。れっきとしたシス卿なのだが、びっくりするほどおしゃべりでフランク。ヴェイダーに天丼芸をかましてツッコミに回らせていた。
  • ダース・シャー
    • コミック『ヴェイダーの城』に登場。モミンのマスター。女性。モミンの回想シーンでわずかにしか登場せず、詳細不明。

言及される形で少なくとも名前が非正史のレジェンズ作品からディズニーによるルーカスフィルム買収以降の正史であるカノンに組み込まれたシス卿は以下の通り。
  • サドウ
    • 『EP9 ビジュアル・ディクショナリー』によれば惑星エクセゴルにサドウ断層壁と命名された場所が存在する。詳細な活躍は非正史の項を参照の事だが、シスの暗黒卿ナガ・サドウは5000BBYに最高指導者としてシス帝国を率いて旧共和国及びジェダイ・オーダーに初の戦争を仕掛けた。後年のパルパティーン最高議長のオフィスの壁に飾られた壁画は彼が仕掛けたハイパースペース大戦を描いているとされており、最期は敗走してヤヴィン4に逃げ延びた
  • エグザ・キューン
    • 伝説のシス卿であり、RPG本『Gadgets and Gear(原題)』中の物語で名前が登場する。詳細な活躍はレジェンズの項を参照。その物語"Qel-Droma Epic"とは、レジェンズでは優秀で熱血漢のジェダイでありながらダークサイドに堕ち、キューンの弟子となったウリック・ケル=ドローマからとられている。『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』登場のギャングのクリムゾン・ドーン首領ドライデンのオフィスの机がキューンのシス寺院からとられたモノリス製という案もあった
  • ダース・レヴァン
    • レジェンズでは良くも悪くも旧共和国時代にその名を知らしめたジェダイにしてシス。エクセゴルに潜んでいたファイナル・オーダーのシス・トルーパー第3分隊に名付けられたことから、少なくともカノンでもある程度の実績を残したシス卿と思われる。
  • ダース・テネブラス
    • レジェンズでは『EP4』の酒場で演奏をしていた風船頭をした種族ビスのシス卿であり、ダース・プレイガスの師匠であり、結果的に『火の鳥』じみた無限ループの狂気に陥った人物。ファイナル・オーダーのシス・トルーパー第26分隊に命名
  • ダース・アンデッデュ
    • ファイナル・オーダーのシス・トルーパー第5分隊に命名。レジェンズでは最初に「ダース」の称号を創った候補の一人で、エッセンス・トランスファーの技術を編み出した人間のシス卿
  • ダース・フォボス
    • ファイナル・オーダーのシス・トルーパー第39分隊に命名。レジェンズに分類された名作ゲーム『フォース・アンリーシュド』ではクローン戦争の何千年前のシス卿ながら彼女を再現したシミュレーションと戦闘をするジェダイ・パダワンの試練の装置がコルサントのジェダイ聖堂に遺されているいる
  • ダース・デソラス
    • ファイナル・オーダーのシス・トルーパー第44分隊に命名。上記のフォボスと同じく『フォース・アンリーシュド』にてパダワンを試すシミュレーションとして彼の疑似人格が遺されている

シスの弟子/手解きを受けた者

シリーズでは正式なシスではないものの、シス卿から特別に弟子入りを許され、限定的ながらも教えを受けたものもいる。
  • タルジン
    • シディアス卿の元同盟相手。シスとは別の系譜の暗黒面の使い手であるナイトシスターのマザー(長に与えられる称号)であり、シスの技術とナイトシスターの魔術について一部交換を行なっていた。当初シディアスは彼女を弟子にしてより深い領域も共有する予定だったが、彼女の長男であるモールの方が弟子として好都合と見做されモールが拐われたために同盟は解消となった。
  • アサージ・ヴェントレス
    • ティラナス卿の内弟子。シスの名乗りは許されないが、本人の熱意もあってシスの教義を一部教わっており、準シスとも呼べる存在
  • ソーラ・バルク
    • ティラナス卿の内弟子。アサージのようにシスの哲学を求めたわけではないが、戦闘力向上の一環でシスの技術は教わっている
  • サヴァージ・オプレス
    • モール卿の弟で内弟子。「シスには弟子が必要」という理由でモールの弟子になった。脳筋なので教義は教わっていないと思われる。タルジンとアサージの策略によりティラナス卿の内弟子になっていた時期もある
  • 尋問官
    • シディアス卿とヴェイダー卿の部下たち。両名からフォース関連の技術(主に戦闘関連)を教わっているが、シスの秘術に関することでは排除される
  • スノーク
    • 『EP9』の描写からして少なくともクローン技術を用いて創り出された恐らくシスの錬金術を用いた独自の生物。表向きのファースト・オーダーの最高指導者だったが、彼の声を騙ってシディアスがベン・ソロの転向を誘導しておりどこからどこまでスノークの自我が存在するのかが不明瞭である
これらのうち、アサージ、ソーラ、サヴァージ、尋問官の場合は、シスの「二人の掟」のせいで逆に戦力不足に陥ったため、シスの技を使える「強力な手駒」が求められた結果である。
タルジンとの同盟については、シディアスが潜伏しつつ弟子候補を探し求めていた時期の関係であるため、戦力を求めてというよりはフォースへの知見を深める目的が大きかったようだ。
スノークに関しては公式からの情報開示が少ないために推察に基づくが、エンドアの戦いで千年続いたベインからのシスの系譜が途絶えかけたために、緊急の人員補充という面もあるのだろう。


本編での関わり

エピソード1以前〜3

シス卿ダース・シディアスは師のダース・プレイガスを殺害し、偉大なる計画の遂行に向けて暗躍を始めた。
シディアスは手始めに弟子のダース・モールやドゥークー伯爵ことダース・ティラナスを使い、クローン大戦を引き起こした。

そしてシディアスは新たにアナキン・スカイウォーカーに、ダース・ヴェイダーの名前を与えて弟子に取り、オーダー66によってジェダイを絶滅寸前まで追い込んだ。
さらにシディアスは銀河共和国を銀河帝国に改編し、銀河帝国皇帝として23年にも及ぶ恐怖支配を展開した。
ダース・ベインが定めたシスの義務はこの時点でシディアスによってほぼ完遂されたと言える。


エピソード3以降〜6

銀河帝国樹立から19年の間、ダース・シディアスの魔手から逃げ延びたジェダイ・マスター、オビ=ワン・ケノービや、
グランド・マスター、ヨーダはシスを倒すための新たなる希望を育てていた。


その他のアソーカ・タノやケイナン・ジャラスなどの逃げ延びたジェダイも各々のやり方で帝国に反抗し、ダース・シディアスとダース・ヴェイダーは帝国を揺るがすジェダイの生き残りと、反乱同盟軍への対処に注力しなければならなかった。

そして反乱同盟軍にヴェイダーの息子であるルーク・スカイウォーカーが参戦し、帝国の象徴たるデス・スターⅠが破壊された。デス・スターⅠ崩壊から4年後、ダークサイドに堕ちたアナキン・スカイウォーカーがルークの呼び掛けでジェダイとして帰還した。アナキンは自分の命を犠牲にシディアスを倒し、銀河系に平和をもたらした。
これにより、シスの師と弟子の両方が空席となり、ベイン以来約1000年ぶりにシスは断絶の危機に陥る。


ただ、ここで着目すべきは、現役のシス卿がいなくなっても銀河中に隠された歴代のシス卿の遺物等が消えるわけではないということである。
例えば、先述のマラコアの超兵器などを(おそらく起動はほぼ不可能だろうが)新共和国が差し押さえたような描写は今のところ無い。
その中でも最たるものが、ベインがシスの義務を定めて以来(あるいはそれ以前から)それを水面下で進めるべく作り上げられた、シスの信奉者のカルト集団であるシス・エターナルである。
トップに立つシスを失い崩壊していく帝国をある種の隠れ蓑として、打倒帝国残党に躍起になる新共和国からは見えないところでシス・エターナルはシス復活に向けてエンドアの戦いから数十年に渡って暗躍を続けていくこととなる。


エピソード9

かくしてシスの秘術で生き永らえる事に成功していたシディアスは、シス・エターナルの本拠地にしてかつてシスの要塞として機能した惑星エクセゴルに身を潜め、着々と軍備を整えることで銀河にシスの復讐を果たす日を待っていた。デス・スターⅠ崩壊から35年後に当たる年、完全復活を果たすも結果的に彼の孫娘のレイによって自身のライトニングを反射されて身を滅ぼし、ようやくシス卿は銀河から全滅したと思われる。


教義

実はシスの基本理念においては負の感情を推奨、賛美することなぞ一切していない
重視するのはただ一つ、「ジェダイの基本理念である、無欲無心の境地に基づくフォース観なぞ捨てろ。自分の感情の赴くまま好きにフォースを探求し、使え」という価値観のみである。

これだけ見れば、別段問題ない教義にも思える。
しかし、言い方を変えると負の感情を戒めてもいない。当然、負の感情の赴くままに行動するし、むしろ負の感情に基づいて行動する者もいる。
それに感情に基づいて振るえばより大きな力も引き出しやすいフォースにおいては、自由気ままに力を振るい続ければ、全能感や優越感に囚われ、
正負問わずに暴走しやすくなる。
シスがフォースのダークサイドから力を引き出すのは、「さまざまな点において大きな力を引き出しやすく便利だから」という実利主義的な理由に尽きるのだが、
最終的にはその憎悪や欲望などの負の感情に呑まれてしまうのがシスが悪の象徴とみなされる由縁である。


スピンオフ作品ではシスの哲学により深く触れているエピソードもあり(大部分はレジェンズ分類ながら)、「ダークサイドにただ触れるだけでは入門レベル」とする場面もある。
小説『暗黒の会合』や『ダース・プレイガス』などでは、シスのフォース哲学は「真実」にあるとする。
そもそも「シス」という単語は本来「真実」という意味であり、フォースは「闇と光」に二分するものではなく、「一つのフォース」とみなす。
すなわち、光も闇もすべて包括するのがシスの哲学、というわけだ。
ダース・ティラナスいわく「片目をつぶったままで、全体を見ることがどうしてできる?」。

それと関与して、ただ闇の感情のままに暴れるのもシスとしては半人前である。真のシスは無心の境地にも立てるし、善も悪も、すべての心を理解する。
この感情を大幅にコントロールするという意味ではジェダイと共通すると言える。ジェダイが私欲に捕らわれない「無我の境地」というなら、シスはさしづめ私欲を自ずと向き合い理解し受け入れる「自覚の境地」と言うべきか。

実際、長くシスの座にあったプレイガスやシディアス、ティラナス、機械化後のヴェイダーは、必要となれば感情を大いに開放するが、必要なければ冷静に落ち着き、時に感情を胸に抑え込んだまま行動することもある。
EP1時点では「戦闘力なら一人前」止まりの評価だったモールがクローン戦争中期には銀河の覇権争いに加わりシディアスから警戒されるほどの大物として大成できたのも、時には武力一辺倒な行動を控えて感情任せではない策略も巡らせるようになって以降のことである。
レジェンズではベインからシディアスまでの系譜上にありながら、鉱山の営業主として家族や共に囲まれながら権力や殺生を嫌って平和に余生を過ごしたとされるダース・ヴェクティヴァス、シディアスの時代のおよそ500年前にジェダイの光の教えに触発された結果シスの遺物を全て破壊しようとして弟子に殺されたダース・グラヴィッドがいる。
逆に、EP1のモールやアサージやEP3終盤のヴェイダーはジェダイに対して激しい憎悪で心を満たすが、前二者については当時のシディアス、ティラナスともに「失敗した」と考えていた。ヴェイダーに至ってはシディアスをも凌駕する力を持つ全盛期の状態であったにも関わらず、精神面の不安定さから全力を発揮しきれず最後は自ら無謀な手を打ったことで敗北に繋がった。

このように仮に怪物と称されたり宇宙の均衡を司る程の大成しうる素質を持った者であろうと、野獣になった時点で付け焼刃、フォースの真髄を血肉にした者には知恵と技術であしらわれ、時に自滅するだけだからだ。
憎悪に満ちて暴れる「だけ」では、真のシスたりえないのだ。実際、プレイガス曰くかつて未発達だった野蛮なシス達はそうしてジェダイに敗れていったのだから。

悪といわれる行動も、ただの悪意の発露ではなく、自然の摂理・必然の法則に則っての合理的行動の結果である。
ダース・プレイガスいわく「シスの殺人はただの破壊ではない、自然の摂理の遂行である」。ジェダイや共和国を解体させたのも、いわば群れを間引く行為に似て、そうしなければ銀河が衰えるからである。そのためには殺すべきものを確実に殺す。そこにためらいや良心を差し挟んではならない。
すなわち、シスが倫理や道徳を否定するのは「真実の理解を妨げるフィルターだから」であり、感情を必要以上に抑制しないのは「喜びから絶望、解放から抑圧まで、すべての感情をありのままに感じるべきだから」である。
こうした考え方はある意味では道家思想(タオイズム)などの東洋哲学に通じる*1

「われわれは、ただの残忍な人殺しではない。未来を設計し、作りあげる者だ」

ダース・シディアスが数ある人間から特にウィルハフ・ターキンを抜擢したのもこれが関与している。
カノン小説『ターキン』で、ターキンは若いころ真のサバイバル体験を通じて「自然の淘汰」「死の意味」を体で学んだ。それはレジェンズ小説『ダース・プレイガス』でシディアス自身がプレイガスから仕込まれた訓練と奇しくも酷似しており、シディアスはターキンの経験を「シスの修行に匹敵する試練」と高く評価。あとで本人から聞いたヴェイダーも彼を見直している。


総合すると、ジェダイが「フォースとの調和」を追求するのに対し、シスは「フォース全ての理解」「フォースそのものの支配」を追求するのがその真髄といえる。
これはレジェンズの『The Old Republic』で度々語られるジェダイはフォースを伴侶として扱おうとする一方、シスは道具として使おうとする教義からも裏付けられる。ジェダイの"May the Force be with you"という言葉に対して『EP1』前を描くコミックでモールが"The Force is always with me"と返しており、レジェンズでは"May the Force serve you well"という言い回しも存在する。


負の感情に深く通じるため、シスは人の心の弱い面につけこむこと、特にジェダイをダークサイドへ誘惑することを得意としていた。

だが負の感情を司るがゆえの弊害としてシスには野心が常に付きまとい、それをめぐっての身内同士の殺し合いが半ば慣習化、共食いにより組織の規模が縮小するのはまだいい方で時として滅亡寸前or一時的に滅亡する事態を何度も招いた。

しかし同時にシス全体で見た自己研磨にもなるこの慣習によって、継承するシスは先代のシス卿よりも強くなっていったため、かえってシスの力を増大させる結果となった。

シスの概念が誕生してからしばらくしてできた「シスには常に師と弟子の二人しか存在してはならない」という掟があり、この掟は二人の掟と呼ばれている。
二人の掟はかつて大勢いたシスたちが権力争いによる内輪揉めで滅びた経験から定められたもので、ダース・ベインというシス卿によって制定された。後に小説版『EP9』ではシス・エターナルの予言にある「フォース・ダイアド」を見つけ出すために制定された側面もあるという新設定が明かされた。

ベインは他にも忍耐、策略、秘密を重視する教義を定め、
ジェダイと銀河共和国の壊滅をシスの至上命題とするシスの義務(偉大なる計画)を定めるなど、多くの改革を行った。
ベインの改革はのちの銀河帝国やオーダー66を見る限り、大成功であったと言えるだろう。


もっとも、このベインの改革は「雌伏する状況のシスの掟」としては有効であったものの、いざ表に出てからの「支配する状況のシスの掟」としてはあまり有用ではなく、むしろ「二人の掟」によって「シス側の手勢が少なくなり過ぎて、やれることが狭くなる」という弊害も産んだ。
非正史の小説ではダース・プレイガスがこのことを愚痴っていたほか、正史作品でもシディアスやティラナスは、正式なシスではないが実質的に「シス候補生」的な枠を作っていた(アサージやサヴァージ・オプレス・帝国樹立後の「尋問官」など)。

なによりシディアスがせっかく作った銀河帝国が、忍耐という「善良な政治家」の仮面をやめたこともあったとはいえものの二十年ちょっとで滅亡してしまったのを考えると、ベインの改革にも限界があったというか、裏に潜むことに慣れ過ぎて表立つことに失敗した、という皮肉な結果になってもいる。
こうしてみると数百年共和国の繁栄を支えたが時代の変化には対応しきれなかったジェダイ評議会と実に対照的である。
シスの暗黒面は破壊は得意だが維持は苦手なのかもしれない。


ライトセーバー

レジェンズ設定ではシスが使うライトセーバーは人工アデガン・クリスタルを動力源に使用しており、光刃が赤く発光していた。これはシスが人工クリスタルを合成する際に憎悪を込める為であり、シスは人工クリスタルの合成に長けていた。

終始ライトセーバーを肌身離さない戦いを好む傾向が強いジェダイと比べて、投げたり使い捨てにすることも普通に見られる。

カノン設定ではアデガンそのものの存在はRPGゲームで半ばカノン化しているものの、E.Kジョンストン著の小説『Ahsoka(原題)』やコミック『帝国の爪牙』にてシスは試練としてジェダイから強奪したカイバー・クリスタルに自身の負の感情をこめて「流血」させて深紅に変色させ、自身のものとするブリーディングという儀式が明かされた。
シスが使うライトセーバーはジェダイに対抗するための工夫が施され、独特な構造をしている物が多い。

シスの超兵器

シディアスがたびたびライトセーバーを「ジェダイの武器」と呼称するように、一部のシスはカイバー・クリスタルをライトセーバー以外の目的に用いることがあった。
それこそが、巨大な(あるいは大量の)カイバー・クリスタルを用いた「超兵器」と呼ばれるものである。
広大な戦場をまるごと壊滅させるような規格外の破壊力を持つ戦略兵器とも言えるものが大半であり、『反乱者たち』に登場したマラコアの超兵器などが有名であろう。
現在はデス・スターのスーパーレーザー砲もこの設定とある程度結びついており、クリスタルを銀河中からかき集めてシディアスがジオノーシス人たちに建造させた超兵器(つまりシスの伝統としての側面もあるもの)という扱いとなっている。

フォース

シスはジェダイと異なり、攻撃目的でフォースを扱う事が多い。
そのため、フォースの電撃(フォース・ライトニング)や、
フォースの念動力を用いた首絞め(フォース・チョーク/フォース・グリップ)などの攻撃的かつ強力な技を得意としている。
特にフォース・ライトニングは極めるのは難しいがかなり強力で、フォースに耐性のない生物や機械を容易に殺傷もしくは破壊可能な威力を誇る。

フォース・ライトニングはダース・シディアスが、
フォース・チョークはダース・ヴェイダーがそれぞれ得意としており、両者の代名詞となっている。
他にもその他の念動力のみならず予知、読心などのジェダイに出来る事はシスにも可能であり、
そしてシスが負の感情を源とするダークサイドのフォースを使う以上、戦場などの負の感情が集まりやすい場所ではジェダイ以上の力を発揮することが出来る…と、フォースの扱いおよび戦闘への適性は明らかにジェダイを上回っている。

チョークやライトニングといったシスの技は、ジェダイでも一応は使用可能なのだが教義もあってほとんど使わず、シスに比べると威力が大きく落ちるという資料もあるようである。
カノン小説『Master and Apprentice(原題)』では回想シーンでパダワン時代のクワイ=ガン・ジンが密林の惑星ヌミディアン・プライムで悪名高い賞金稼ぎを追跡していた際に逆に追い詰められていたところ、すんでのところで介入したマスター・ドゥークーがライトニングらしき電撃で相手を吹き飛ばす一幕がある。(実際、オビ=ワンあたりはドロイドや武器をフォースグリップで握りつぶしたことがカノン・レジェンズ問わず何度かある)


シスの秘術

シスにはジェダイ・オーダーに存在しない秘術を幾つか有していた。

フォースを介した生命への干渉

シスにはフォースを介して生物の細胞内に存在する知的生命体、ミディ=クロリアンに干渉する事が出来た。
これによりシスは生命体を自身の望む形に整えたり、新しい生命体を創造する事が出来た。

特にダース・プレイガスがこの秘術に長けていたらしく、彼はこれを応用して不老不死を実現しようとしていた。
レジェンズ小説では、この研究過程で「死者の蘇生」「新しい生命の創造」「肉体の急速な回復や若返り」といった奇跡的な業績を為しており、弟子のシディアスも本気で驚愕している。
だがプレイガスは弟子のダース・シディアスに殺害されたため、不老不死の夢は潰えてしまった。

霊体化

レジェンズではシスには肉体が滅びても、この世に魂を留めておく技が存在した。ホロクロンの番人として残す電子的な疑似人格とは違い、驚くべきことにシスは少なくともジェダイ・マスター クワイ=ガン・ジンが霊体化に成功する5000年前にSW世界の魂に当たるスピリットあるいはエッセンスの保存によって霊体化を成し遂げている。
だがさすがにジェダイが到達したフォースの正真正銘の霊体化に比べて完成度は劣り、シスは霊体化すると地縛霊化してしまうという欠点があった。そのため、3700~3600BBY辺りを描くMMORPG『The Old Republic』ではヤヴィン4の遺跡や洞窟内に霊体がふよふよ漂っていたり、シス帝国の首都ドロマンド・カスに残されたシス卿の墓には必ずと言ってよいほど怒れる墓の主が自身の霊廟に仇為す者に牙をむく。
ダース・プレイガスがクワイ=ガン・ジンの霊体化に近いものを発見していたという説もあるが、プレイガスが殺害されたために真実は不明である(小説「ダース・プレイガス」にはその記述はない)。


非正史(レジェンズ)

フォースを介した生命への干渉に長けたシスが複数登場。その他にもカノンにはない設定が追加されている。また、カノンではジェダイの訓練用に使用されているダブル=ブレードライトセーバーEP1の頃のスピンオフではシスが生み出した希少品と設定されていた。





レジェンズに登場するシス卿一覧



追記・修正はダークサイドに堕ちてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • スター・ウォーズ
  • 一子相伝
  • ダークサイド
  • シスの暗黒卿
  • 赤いライトセーバー
  • 邪悪
  • 師弟で仲良く殺し合い
  • 内輪揉め
  • 仲間殺し
  • コリバン
  • STAR_WARS
  • シス
  • 哲学
  • チームワーク皆無
  • ジェダイ死すべし慈悲はない

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年02月23日 20:47

*1 「老子」の系譜を継ぐ「韓非子」には、「刑罰は妥当であるかどうかを考えるべきで、過酷であるかどうかは考えるものではない」「雑草を惜しめば穀物が損なわれ、盗賊に恵めば良民が被害に遭う」「刑罰を緩くしてやたら恵むのは悪人をはぐくみ善人を害する行為で、世を乱すことだ」とし、殺すべきものは殺せと説く。韓非子・難二、他。

*2 破ったシスがいないわけではなく、ベインの曾孫弟子にあたる ダース・ミレニアル は師の ダース・コグナス を去って多くの弟子を取る独自のカルトを作り、 ダース・グラヴィッド はライトサイドを取り入れようと試みたりしている

*3 日本産の怪人のように「ダースが個人名でベイダーが役職名」とナムコが誤解していたとの説が有力