モグラ獣人

登録日:2015/12/13 Sun 23:53:07
更新日:2023/12/05 Tue 14:41:57
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モグラ獣人とは、特撮番組『仮面ライダーアマゾン』に登場する怪人(獣人)にして「仮面ライダー」の称号を持たない所謂「今週の怪人枠」として登場しながらも主人公側に味方するようになったシリーズ史上初のキャラクターである。


声優は槐柳二。


▽目次

概要

初登場は第5話「地底から来た変な奴!」…わかりやすいサブタイだ。
この時点では純然たる悪の獣人であり、野獣帝国ゲドンがアマゾンに遣わした5番目の刺客である。
表皮はオレンジ色でツルツルしており、ホシバナモグラのようなハナをしている。
余談だが、デザイン画を見た平山亨プロデューサーが「何だよこいつすっげー可愛いじゃん、いっそ味方にしたら?」と冗談で言ったところ、
脚本がその気になって味方にした、というウソかホントかわからない噂があるらしい。
(※実際、企画段階で獣人を手なづけるという案はあったとか)

…と、ここで何分古い作品でもあるため、少し世界観の解説を。
「獣人」とは、ゲドンやその上部組織であるガランダー帝国の保有する生体兵器であり、ただ1匹の例外*1を除いて、
「動植物を巨大化させ、人間並みの知識を与えた」という手法で誕生する。
従って獣人は過去のショッカーデストロンGOD
と言った悪の組織の作り上げた「改造人間」に比べると獣性が目立ち、
人間も餌か何かとしかみなしていない奴が多い。
そのため作戦の実行権は戦闘員赤ジューシャ」に存在し、獣人は武器弾薬や軍用犬みたいな扱いになっている。
珍しく怪人<戦闘員という形式の作品である。


さて、モグラ獣人は首領の十面鬼ゴルゴスから、アマゾン/山本大介の有する「ギギの腕輪」*2を奪い取る指名を受け、地中を掘り進む。
ちょうど逃走中の殺人犯とイザコザを起こしていたアマゾンを見つけると、モグラ獣人はアマゾンを地中に引きずり込もうとする。
しかしそこに警官隊が駆けつけたのでモグラ獣人はアマゾンをほっぽらかして逃走。
ノコノコ帰ってきたモグラ獣人を見た十面鬼は激怒し、「次に敵前逃亡したら殺す」と脅迫し、またアマゾンを襲わせる。

モグラ獣人は今度はアマゾンのトモダチだというマサヒコとリツコの姉弟を狙い、1番のトモダチだと言ったマサヒコを拉致して縛り付け人質に取りアマゾンを誘き出す。
駆けつけたアマゾンをこれ以降全く使わなかった爪による攻撃でズタズタにし、素早く円形に移動しアマゾンを撹乱するなど善戦するも
変身したアマゾンライダーには敵わず大切断(余談だが傷口から噴水のように血糊が飛び出す初の大切断である)を喰らうも何とか生き延び逃走に成功する。

十面鬼はこれに大激怒。
オマケにモグラ獣人がうっかり「ギギの腕輪をよこせ!」と口走る失態を犯しており
ゲドンがアマゾンを付け狙う目的をバラしてしまった(ただしギギの腕輪が具体的にどのようなアイテムなのか、はまだ分からず、それにまつわる展開が次の回で繰り広げられる)
地中を好むモグラにとっては一番辛い磔天日干しの刑を下す(奇しくも1話や2話で無慈悲に配下の獣人を処刑し続けていた事が布石となっている)
まるで世紀末のように縛られたままバイクで市中引き回しにされ、大の苦手な日光にさらされ続け、モグラ獣人の命は刻々と削られていく。

「苦しい~! 水をくれ~!!」

誰に対してでもなくモグラ獣人が叫んだその時、ぼたぼたと口の中へと水が入ってくる。
助けに来たのは、なんとアマゾンだった。
例え戦った獣人相手でも残酷な死刑に処され傷つくモグラを見て耐えられずに水を持って助けにきたのだ。

「やめろ、貴様の情けなど受けるか!」

「だまれ…水、のむ!」


拘束していた鎖を破り、その辺の高架下でいつもの竹筒で煎じた薬草でモグラを治療するアマゾン。
(そこに来たマサヒコは横たわるモグラに驚くも、殺そうとした獣人ですら助けようとするアマゾンの優しさに心を打たれ、あっさり受け入れた。)
ゲドンがギギの腕輪を狙うことは分かったが、それが何に繋がるのか分からない。まだ上手く言葉が話せないアマゾンの為にマサヒコはもうこの時点で既にモグラに当たりが強いモグラに聞き出そうとするもゲドンの一員として教えるものか!とつっぱね
アマゾンに対して「礼はいわんぞ」と痩せ我慢のモグラ獣人は地中に潜ってしまう。


モグラ獣人が脱走したことを知った十面鬼はアマゾン共々の抹殺とギギの腕輪奪取の命を与え次なる刺客・獣人ヤマアラシを送り込む。
パンツ一丁がハリネズミに肉弾戦を仕掛けるものだから案の定血まみれ襲撃してきたヤマアラシに変身の間もなくアマゾンは苦戦するがマサヒコの援護こん畜生アタックもあり何とか撤退に成功する。
おやっさん(立花藤兵衛)がもたらした城北大学の考古学研究室に発掘された古代インカの遺物があるという情報にゲドンやギギの腕輪の謎の解明を求め、アマゾン一行は城北大学へと向かう。
そこに展示されていたキープ(縄文字)に興味を示すアマゾン。謎の解明へ…と思った矢先
ヤマアラシが大学を襲撃してキープを奪い取ってしまった。
激しい追撃戦の末、ヤマアラシに追い詰められるアマゾン。その時、背後の地面が盛り上がりどこかで聞いた鳴き声が…

「おまえ、トモダチ」

この瞬間、モグラ獣人は恐怖と処刑で獣人を支配するゲドンを身限り、反旗を翻す。
自分が掘った穴にアマゾンをエスケープさせて逃し、苦戦しながらもアマゾンの助けを得て何とか2人でヤマアラシから逃走。

その後は地下を掘り進んで勝手知ったるゲドン本部の洞穴に向かうと倉庫からキープを奪還し、アマゾンに手渡した。(ここで十面鬼が破棄ではなくキープの保存を選んだ理由は謎である。その出自がインカ超科学に長けたバゴーの高弟だったので、学術的な興味があったのだろうか?)
そしてアマゾンは無事キープを解読し、古代インカにまつわる伝説と自らがつけたギギの腕輪、そしてガガの腕輪の存在の真の意味を理解した。

更に追撃にきたヤマアラシを撃破し、モグラ獣人は完全にゲドンから離反した。アマゾンの仲間ーー「トモダチ」となったのである。
が、本人的には一時のテンションと怒りに身を任せた行動だったらしく、続く7話ではいつの間にかアマゾンの味方になってしまって裏切り者としてゲドンにも狙われる立場になった我が身をどうすればいいのか…と頭を抱えてボヤいていた。しかしアマゾンには非常に懐かれており、物凄い笑顔で「トモダチ!」と詰め寄られると嫌とは言えない時分。チョロいぜモグラ。
この際かのハムレットの「生きるべきか死ぬべきか」を引用し、結局「わからない」と穴を掘って潜ってしまった。この人間サイズのモグラの妙に可愛らしいデザインと槐さんの愛嬌のある声から発せられる人間臭いボヤキがモグラの魅力である。
すっかり敵でない怖くない奴として定着してしまったのか、マサヒコやリツコもモグラがいきなり地中から出てきても「なにすんのよ!」とか「おいモグラぁ」などとぞんざいな扱いをするようになってしまった、しかしモグラもふてぶてふしくリツコがアマゾンのランチの為に作ったバスケットを掴み取って逃げるなど、人間も獣人も慣れというのは恐ろしいものである。1クールも過ぎるとモグラの方もすっかり気軽にフランクかつ調子の良い態度をとるようになり、アマゾンが捕縛した赤ジューシャの見張りを岡村姉弟に押し付けてその辺に行ってしまうという横着ぶり。

しかしいざ協力を決意するとアマゾンの心強い味方となり、直接の戦闘こそ他の獣人と比べると遅れを取るが戦いでアマゾンが窮地に陥ると地中から獣人を足止めしたり自分の掘った穴にアマゾンを逃して撤退させるなど緊急避難として活躍。当初は日本語が話せないという特殊なキャラクター構造ゆえに歴代の先輩たちの様に1人で事件調査を進められないアマゾンのために偵察活動も行いゲドンの悪巧みが行われていそうな怪しい場所を教えに現れるなど、戦闘以外は万能の斥候という特殊なキャラクター性でアマゾンをアシストし物語を大いに盛り上げた。時には自ら体を張って戦闘に参加し、アマゾンを苦しめる獣人ヘビトンボの尻尾を掴んで動きを止め頭突きで吹っ飛ばしアマゾン撤退の時間を稼ぎ自分もまんまと逃げ仰せるなど獣人としての戦闘力が健在である面も見せた。危機迫る事態を切迫したBGMをバックに伝えている筈なのに可愛い外見と槐さんの声でいまいちノンビリのほのんな絵面に見えてしまうのがアマゾンライダーの凄惨な戦闘シーンとのギャップで独特の風味を生んでいる。8話では子供達が捕らわれている場所をアマゾンに教え間一髪のところで救出に成功し、10話では黒ネコ獣人との戦闘で負傷し動けないアマゾンを一人で抱えて安全な場所まで運ぶなど、モグラが居なければ詰んでいた場面も少なからず存在する。


「マサヒコ、俺にもそれ(ラジオ)貸せや」
「モグラがラジオどうすんのさぁ?」
「うぅん、これからオレも、生きていくために…んん、少し社会勉強…を、しなくちゃ、長生きできんもんなぁ」
「バッカみたい」
「バカじゃないよぉ…オレ真剣なんだぞぉ…」

住処は地中でも、暮らす世界は現代日本
マサヒコらと交流するうちに、モグラ獣人は日に日に知識を増していく。
9話ではマサヒコの持っているラジオに興味を示し、人間社会で暮らしていくための情報収集をしようとするなど真面目な一面も。
この時に流れた「かもめの水兵さん」に「これが音楽かぁ…」と首を傾げながら
「何だが知らんが、慣れなくっちゃ」
と人間社会の未知の文化や情報に興味津々であった。後半になるとマサヒコの小学校の子供達の写生の授業を「楽しそうだなぁ〜」と頬杖をついたり手をポンポンさせながら眺めている。かわいい。モグラの爪と手だが絵心などもあったのだろうか?
住めば都とはいったものの、この学習意欲と前向きさは我々現代人も見習いたいものである。
10話では人間社会のルールを徐々に覚えたのか地中を棲家とする獣人としての経験か、タバコを原っぱにポイ捨てするおやっさん(現代からすると信じられない光景である)に「やたらとタバコを捨てては困る」と至極まっとうな注意をした。言われてますよおやっさん。

他方、これまでの普通の人間のレギュラーキャラとは違い「ゲドン獣人の生き残り」という特殊な立場のため、ゲドンの作戦ややり口を熟知しており、その知識に基づいてアマゾンにアドバイスしたり罠から助け出すなどの活躍も見られた。
時に裏切り者への処断として他の獣人がモグラに接触する事もある。カニ獣人は鋏を首に突きつながら脅してアマゾンの弱点をモグラから聞き出そうとしており、モグラは口八丁で「オレはまだゲドン獣人の精神を忘れてないよぉ」と絶対心にも思ってなさそうな台詞で命乞いしたり「喋ったらオレから十面鬼さまにとりなしてやるぞ?」というカニ獣人にノリノリでお願いしてしまったり、双方共にまんが昔話にいそうなラブリーな着ぐるみから時代劇のような台詞回しで生きた死んだの物騒な会話の筈なのにどこか掛け合い漫才のように見えてしまう着ぐるみ劇は、ある意味でアマゾンを象徴する1シーン。ちなみに最終的にモグラは「あっ、アマゾンだっ!」と後ろにUFOがレベルの口から出まかせで注意を逸らしまんまと逃げだした。引っかかる方もどうなんだこれ。

ただし人間社会においては人間サイズのモグラという見た目のため、上記のアマゾンを救助した場面でも教会のある保育園まで運んだ際には「お前見たら気絶するぞ」などと貢献したのに散々な言われようである。
「どうせそうだろうよ…面白くもねぇ…チュチューン」とコミカルな感じにサラッと流されてはいるものの、仮面ライダーや石ノ森系お約束の「異形の悲哀」が描かれるキャラでもあった。

そういった悲しい一面も隠れ潜むものの、基本的には愛嬌のある見た目と人間臭いボヤキの3枚目キャラであり、地中に頭だけ出して隠れていたら集団で逃げ出すジューシャに次々と頭を踏まれて無限1UP状態になったり、せっかく助けたアマゾンにも(罠だとは知らなかった為に)「邪魔するな!」と言われてしまったり不憫なシーンが目立つ。年明けに日本語を勉強中のアマゾンに「モグラ、新年おめでとう」と新年の挨拶の練習をする所を「モグラ!おめで、とぅあ、たい」と盛大に誤爆されてしまい「チュチュ!どうせオレはおめでたいよぉ!勝手にチュチューン!」とプリプリ怒っていた。モグラかわいいよモグラ。日本語って難しいよねアマゾン。

しかし愛嬌のある気の良いやつと言っても獣人は獣人。
アマゾンが赤ジューシャ(見た目は成人女性)を捕縛した際には
「ははぁ…焼いて食うつもりか!よっしゃ、オレも手伝って一つご馳走にあずかるかな!」
という超絶問題発言を炸裂させた。人血を啜り人肉を喰らうゲドンらしい一面である。普段のお食事はどうされているのでしょうか…リツコのご飯をくすねたりしているので、人間の食事にも関心はあるようだが。
またこの時、赤ジューシャは獣人を見張りすぐ十面鬼に告げ口する嫌なやつだと愚痴っている。やっぱりジューシャ>獣人のヒエラルキーには納得いってないご様子。
しかし女性に関しては人間と近い嗜好なようで、負傷したマサヒコを山小屋に残り看病する役にその回のゲストの女性・美里が名乗り出た時にはいつもの「チュチューン」という鳴き声と共に暖簾をくぐるようにドアから小屋に入り
「オレも残ろっと!こんな綺麗な姉ちゃんが一緒だとはねぇー、姉ちゃんは任しとき!」
と調子よく名乗り出たりしていた。アマゾンに「トモダチ」だと紹介されて物凄く嬉しそうである。かわいい。
このとき「チュチュ…またアマゾンか…たまにはモグラさん気をつけてね、は無いもんかね」とボヤいていたが…

焚き火を囲って美里の身の上話に相槌を打って同情したり「モグラさんもいるから平気です」と言われた時には嬉しくて照れている。かわいい。
襲撃してきた獣人ヘビトンボから美里を庇い「任しとけ!オレだって嘗ては人に恐れられた獣人だ!来い!」と他者を守るために勇敢に立ち向かう姿を見せる…が。
精一杯戦ったと言うモグラをアマゾンは疑わず「トモダチ信じる」とだけ口にするのだった。


初めは裏切った十面鬼の恐ろしさに怯えるばかりだったがアマゾンの「トモダチを守る」「世界の平和を守る」という姿勢に感銘を受けていたようであり、なんだかんだ困った時にはサポートしてくれる頼りになる相棒としてゲドンとの戦いに身を投じかつての古巣の壊滅まで見届けた。最初の方は怖がられていたリツコにも、ゲドン壊滅の頃には笑顔を向けられるようになる。が、あんまりヤバい状況だとマサヒコが目の前で連れ去られても無理に戦わずアマゾンに報せる慎重策を取ったりするのでロクデナシめ!とおやっさんからボロクソに言われるシーンもあったりする。(偵察・斥候としては寧ろ正しい選択と言えなくもないのだが…)

「しかし今の獣人は初めて見た顔だ…ゴルゴスが死んで、その代わりに獣人を使うとなると…ま、まさかガランダー…」

古巣のゲドンがアマゾンの活躍により壊滅すると、今度はその上部組織であるガランダー帝国が出現した。これによりモグラは「裏切り者」から「ゲドンの生き残り」へと微妙なクラスチェンジを果たしている。
「ガランダー…口にするのも恐ろしい大物だ!それだけは勘弁してくれ!」
何らかの形でゲドンとガランダー同士で面識はあるらしく、名前を言うことすら憚られる程ゼロ大帝とガランダー帝国に心底怯えていた。
ゲドンの頭目のゴルゴスがギギの腕輪の神秘さえあれば後は何とかなるだろ状態でアマゾンの襲撃以外は食料である人血や人肉の収集にしか関心が無かったため規模の小さい限定的な作戦ばかりだったが
ガランダーのゼロ大帝それを敗因とし、腕輪に固執せずゲドン以前の悪の組織のように普遍的な世界征服スタイルを取った。
取り分けガランダーは人工地震を発生させたり、石油コンビナートに放火したり、果ては富士山を噴火させてマグマを東京地下に流し込んだりと大規模でムチャクチャな破壊作戦ばかり行うようになり、その過程でモグラの棲む地中もちょくちょく被害を受ける。火事とか大爆発やら噴火の熱で蒸し焼き状態になって慌てて地中から飛び出したり毛布にくるまって可愛い就寝シーンを見せているところに大地震による落石と浸水を顔に叩きつけられたり散々である。

ゲドンより更に強大になったガランダーの獣人にはやはり分が悪いらしくガマ獣人相手に立ち向かうも軽くあしらわれ時間稼ぎしかできなった
得意の穴掘りも、アマゾンが地下1000mの岩盤の下に閉じ込められた際には
「申し訳無いが無理なんだよ…俺の縄張りはせいぜい地下10mの土の中だ。1000mの、それも岩の中となっちゃあなぁ…」
と肩を落としておりアマゾンはギギの腕輪がそのとき不思議な事が起こった超パワーで普通に脱出した
他にも目の前でマサヒコを連れ去られた事を申し訳なさそうに俯いたり、悔やむ場面も多く見られた。

しかし初めは怯えていたモグラも今度こそアマゾンやマサヒコたちのため、正義と平和のために勇気を振り絞ってガランダー帝国に立ち向かう。
子供を攫う作戦をとっていたハチ獣人の回では迂闊に出歩くマサヒコを心配して家にいろと忠告してくれた。
またガランダーの地震発生装置「ゼロ装置」についても知っているなど敵組織が変わっても事情通で情報屋な一面は健在。
基本的にゲドン編と同じで、探索パートはモグラが担当し情報を聞いたアマゾンが現場へ急行の黄金パターンが多い。


アマゾンライダーをも退ける強敵・ガマ獣人から地中エスケープでアマゾンを逃がし(アマゾンも「すまないモグラ」と礼を言った)
怪我を押して人々の救出に向かおうとしたアマゾンを止め、単身で偵察活動に向かい東京フライパン作戦の要であり捕虜が強制的に働かされている地下トンネルの位置を特定。(この間にアマゾンは負傷した体を休めベーゴマのヒントを元にスピンキックに開眼したのでかなりのお手柄である)更に得意の穴掘りで捕虜たちの脱出ルートを作り先導して人々を逃した17話。

地下のマイホーム(本人・談)が浸水(ちゅ、ちゅめたいと身悶えしておりかわいい)した時には地震の情報を伝え、ゲドンではあるが元獣人である立場からガランダーの「ゼロ装置」についての情報を持っており、「土の中なら任せてくれ」とガランダーの計画の要である地震発生装置の位置と次の目標を突き止めアマゾンに教えた18話。


そして19話ではまさひこのクラスの子供たちがガランダーに攫われた現場に居合わせ一部始終を目撃し担任である井上先生を救助。敵の計画の早期発見に貢献し、フクロウ獣人に視力を奪われ動けないアマゾンの代わりに地下を単身奔走し見事に子供たちが奴隷労働させられている地下道の掘削現場を突き止めアマゾンを案内しフクロウ獣人の企てた地下鉄洪水作戦を阻止。捕われていた子供達を救出しアマゾンを先頭に専念させるなど八面六臂の大活躍。
アマゾンも笑顔ながらに「今度ばかりはモグラのおかげ」と深く感謝した。「そんなに褒められちゃ照れちゃうよ」と笑い合う2人。助け出した子供たちが駆けつけ、モグラは声をかけようとするが…

「オレを見てびっくりさせちゃいけねぇからな。オレは退散するよ。アマゾン…またな」

明るいBGMと共に、一人寂しげな背中でその場を去った…

アマゾンにもらった優しさから成し崩し的に寝返っていたゲドン編に比べ、自ら正義感を燃やし人々の為に戦う事を決意したモグラは、ガランダー編に入ってから大活躍が続く。
しかし「急に大活躍し出すサブキャラ」というド定番中のド定番に加え、19話ラストの寂しけな去り際に猛烈に悪い予感を覚えたファンもいただろう。
そして迎えた20話の次回予告でやはりそれらが濃密な死亡フラグであった事が判明してしまうのであった…



そして、第20話…「モグラ獣人 最後の活躍!!」。
ガランダー帝国はキノコ獣人が生み出すカビを猛毒のキノコで培養し大量生産する「東京カビ全滅作戦」を展開。
毒牙にかかろうとしていた少女を助ける為に黒ジューシャに立ち向かい撃退するも、泣かれてしまうモグラ。
ガランダーは毒黴をばらまいてバイオテロを行い、大勢の人間がカビと共に溶けて消えていく。
だがその最中、毒カビで全滅した団地で、ただ1人の赤ちゃんだけが一命を取り留めるという謎の事態が発生。

被害者が死亡すると遺体もろとも消えてしまう毒カビの性質のせいで対応と研究に窮しており、医者が「せめてカビが生えれば解毒剤や赤ん坊の生き残った理由が分かるのに…」と漏らしたのを聞いて、アマゾンは調査を開始しようとするが…

「アマゾン、オレがいくよ!オレなら地面の中を動けるから奴らのアジトがすぐ分かるよ!」

「モグラ、大丈夫かい?」

「オレにやらせろったら!それくらいのことオレにもできる!」

モグラは(客観的に見ればかなりの貢献と活躍をしているものの)アマゾンの力になれない自分の非力さをずっと気にしていた。
そんな気持ちから志願したのだろう。
単身で調査に向かう危険を鑑みてアマゾンやマサヒコは心配の言葉をかける。
しかしモグラの熱意に負けおやっさんが「行かせてやれ」というとアマゾンはこれを承諾。
意気揚々と調査に向かおうとするモグラに、すっかり打ち解けたリツコが一言…

「モグラさん、気をつけてね

「チュチューン!」

首尾よく工場の位置を特定するも、あっさりキノコ獣人に見つかったモグラは、カニ獣人相手にも取った「裏切ったフリ」作戦を決行して取り入ろうとする。

勿論キノコ獣人はこれを訝しむのだが、モグラ獣人は「あんたの為に働くから仲間にしてくれ!アマゾンにカビを植え付けてやろうぜ!」とても演技とは思えない迫真の演技でまんまと工場へ入る許可を取り付ける。
キノコ獣人の楽しい工場見学案内でカビ・キノコの培養の仕組みと生産体制についての情報を入手。毒カビの詰まったカプセルを渡され、口約束を交わしたアマゾンを始末に行くフリをして工場を脱出。
大喜びのモグラだったが、作戦を看破していたキノコ獣人にすぐ捕まってしまう。着ぐるみ劇による腹の探り合い化かし合いはキノコ獣人に軍配が上がったのだ。

「どうせこんな事と思ったぜ!モグラ、どうやら最期の時だな!」

「チュチュ、そうらしいな。だが、オレもモグラ獣人だ!タダは…死なんぞー!」

死を覚悟して刺し違える覚悟で立ち向かうモグラ、しかしゲドンどガランダーの獣人の実力差は覆せず、叩きのめされてしまう
そして、恐怖の毒カビが噴射され…

「逃げてもそのカビで貴様は終わりだー!」

だがモグラは絶対に諦めなかった。全身を侵すカビの苦痛に耐えながらも病院まで逃げ帰る。

「て、手に入れたぜ…カビを…」

彼が取った最期の、最期の手段は…「カビを全身に浴びた自分をサンプルにする事」だったのである

「マサヒコ、モグラを…尊敬するかい?」

「…うん!」

「立派よ、モグラさん…」

「ありがとう…初めて…褒めてくれたね…」

サンプルを元に解毒剤が作られていくが、モグラ獣人は徐々に衰弱していく。
アマゾンが、おやっさんが、モグラを軽んじてたマサヒコが、そしてリツコまでもがモグラに寄り添う。
そしてカビの謎は解けた。団地で生き残っていた赤ん坊は風邪を引いていたのだ。キノコカビの弱点は別種のビールス菌への脆弱性だったのである。
そして解毒剤が完成したが、モグラ獣人の命の灯は消えかけていた。解毒剤の成否、それだけが最後の心残りだった。
アマゾンはモグラ獣人に解毒剤を飲ませようとする。かつて、処刑されかけたモグラに水を飲ませたように。
しかし自らの体がもう間に合わない事を悟り、キノコ獣人打倒のために真っ先にアマゾンへ飲ませるためこれを拒否する。

「オレには無駄だ…もう心残りは無い。オレはもういいんだ…!アマゾン、行ってくれ…」

消えかける命の最後の力を振り絞り、自分の事よりもガランダーのキノコ製造工場の場所をアマゾンに伝える。
マサヒコが、リツコが叫ぶ。自らの発言から生じた負い目からか、おやっさんは無言でその最期を見つめる。

「モグラ!死んじゃ嫌だよ!」

「死んじゃ嫌よモグラさん!」

「ありがとうよ…マサヒコ……あ、アマゾン…」


                   「憎いガランダーを、やっつけてくれよ……!」






モグラ獣人から託された解毒剤を服用したアマゾンは、毒カビを物ともせずにキノコ獣人に怒りの拳打を浴びせていく。

「くそおっ!貴様なぜカビが効かん!?」

「既にそのカビに力はない!モグラの持ってきたカビで謎が解けたのだ!モグラに代わって……貴様を倒す!」


普段の獣人では既に致命傷に至るような激しい連続攻撃の嵐にグロッキーになり倒れ伏すキノコ獣人。
それに背を向け、天を仰ぐようにアマゾンは叫ぶ。病室ではリツコやマサヒコの前では堪えていた声を、亡き友を想い張り上げた。

「モグラぁぁぁぁ!!!!!」

そして万感の思いを込めた怒りの大切断でキノコ獣人はいつものように出血や斬首…とはいかず、脳天から額にかけてド真ん中を大きくカチ割られて悶絶の末に絶命するのだった。

モグラ獣人は、ガランダーと戦い立派に死んだ。
アマゾンは、その死を哀しみつつ、ガランダーに対する激しい怒りに燃えていた。
そして、来るべきゼロ大帝との対決の日が近いのをその肌で感じていたーーー


モグラ獣人の最期の願いを聞き届け、アマゾンライダーはガランダーの刺客を次々に討ち果たす。
そしてゼロ大帝から離れたガガの腕輪をギギの腕輪と合体させ、古代インカの超科学の力を解放しスーパー大切断でゼロ大帝を討滅。
こうしてガランダーは壊滅し、アマゾンは勝利を掴んだのである。




大都会の片隅、どことも知れぬ原っぱに、小さな墓標がある。
大好きだった地中で、安らかに眠っている。
墓には細やかに花が供えられ、手製で作ったプレートの墓碑にはこう刻まれた。




______『勇気の士(ひと)  モグラ獣人の墓』と。


獣人として生を受け、初めは敵だったモグラが、マサヒコに、リツコに、藤兵衛に、多くに人に愛されて
やがて士(ひと)となる事が出来た。地中を好みどこが人間臭い彼は紛れもない「トモダチ」だったのである。


『仮面ライダーアマゾン』で印象に残る回を聞かれ、上記の話を挙げる人は多い。
タレントの松村邦洋もラジオでモグラ獣人の最後を熱弁し、「キノコ獣人をやっつけてくれ!!」とTVのアマゾンに願ったそうである。







派生作品

石ノ森章太郎氏が『テレビマガジン』で連載していた漫画版には、改造人間として登場。
子供をゲドンが攫って強引に改造したという設定で、諜報役としてコキ使われていたが、アマゾンに味方することになった。

すがやみつる氏、並びに山田ゴロ氏の漫画版では出番が割愛されてしまっており、登場しない
実際のところ、元より月刊誌連載のすがや版では僅か半年の連載期間中にモグラ獣人の登場から退場といったイベントを盛り込むことは実際困難であっただろうし、物語が最初からダイジェストに纏められていた山田版では言わずもがなだったであろう。

ゲームヒーロー戦記 プロジェクト オリュンポス』では、ズバットの用心棒枠ゲドンの怪人として登場。
原作には登場しない人間態も披露していた(人間に変身した獣人はガランダーのゲンゴロウ獣人とサンショウウオ獣人しかいない)。
というか、原作とは違い、改造人間という設定になっている*3
しかしやっぱりこちらでもゲドンを裏切り、十面鬼に散々悪態をついてライダー側(正義の組織『ZEUS』)に味方する。
後半では物語の裏でネオショッカーに処刑されそうになった一文字隼人を間一髪救出していた。
なお、こいつが余りにおしゃべりなため、呆れた(主人公の一人である)南光太郎
「うるせえ! いつまでもベラベラくっちゃべりやがって! ROMの容量も考えろ!」と怒っており
一文字もEDで「命の恩人だから無下にできんが、こうも喋られるとこっちの気が滅入る」とげんなりしていた。

特撮冒険活劇 スーパーヒーロー烈伝』では原作通りモグラ獣人をアマゾンが助ける事で仲間にする事が出来る。
本作では死なないので、同じく生存するクジラ怪人やタックル、月の輪やバラバンバラと一緒に敵を倒していくのも夢ではない。

仮面ライダーディケイド』のアマゾン編には流石に登場しなかったが、光栄次郎がモグラ獣人のマネをしている。

仮面ライダーアマゾンズ』でも、アマゾン駆除班のマモルが変身するモグラアマゾンが登場。
鼻のドリル必殺技の際に星花型に変形するなど、モグラ獣人に似た姿になるのが特徴。


漫画仮面ライダーSPIRITS』では、再生怪人として復活。
…しかし本作の再生怪人はいずれも魂を持たない傀儡であり、モグラ獣人も単なるゲドンの一獣人として登場する*4。そのためかつてのように人語を喋る事もできない。
熊本県の阿蘇山にダイナマイトを仕掛けて噴火させる任務を仰せつかったモグラ獣人は、火口の山肌を削って地中にダイナマイトを仕掛けるが、
アマゾンライダーのインカの超パワーで溶岩は一瞬にして凍りついて石化してしまう。
しかし、その隙を突いて獣人軍団はガガの腕輪を奪取し、十面鬼はアマゾンライダー(と獣人軍団)に火炎を吐いて、
時空魔法陣でゼロ大帝の待つ沖縄県の首里城まで逃走。
アマゾンライダーもこれに強引に同行し、モグラ獣人は阿蘇に取り残されてしまった。

アマゾンを応援しに行ったマサヒコはモグラ獣人を見るなり大泣きして抱きしめるが、
駆けつけたSPIRITS第十分隊から、「このモグラには魂も記憶もない」と知らされ愕然とする。
周囲の環境の変化、怪人を憎悪するSPIRITS隊員からの迫害などにビビりまくるモグラ獣人だったが、
記憶がないと知ってなお心を開く大介やマサヒコとの交流に際し、かつての(?)心を取り戻していく。

ところが、バダンの幹部であるニードル/ヤマアラシロイドは、そのモグラ獣人に特殊な鍼を打ち込むことで怪獣化させ、
アマゾンライダーを襲わせて、ギギの腕輪の嵌った左腕を切断させてしまう。
ギギの腕輪を失ったことでアマゾンは強制的に変身が解除され、仮死状態に陥る。
このままギギの腕輪が無いと、大介は死んでしまう。
そう判断したSPIRITSとZX/村雨良、そしてマサヒコは沖縄の森を走り、アマゾンの腕を捜し回る。
元に戻ったモグラ獣人も責任を感じ、森林を駆けまわり、遂にアマゾンの左腕を手にするが、ニードルの妨害に遭い、圧倒的に戦闘力が上の彼に瀕死の重傷を与えられてしまい、それでも尚抵抗するが、力及ばず腕を奪われてしまう。
間一髪でSPIRITSの隊員に救助され、治療を受けるがその勇敢な姿に、かつてモグラ獣人を忌み嫌っていたSPIRITSの隊員のゴードン*5ですら、「絶対死なすんじゃねえぞ」と漏らしていた。
その後紆余曲折あり左腕は大介の元に戻り彼は復活。
アマゾンは、腕輪の力で疑似的にアマゾンライダー化したゼロ大帝を圧倒し、自滅に追いやる。
ZXと協力して再生ガランダーを滅ぼしたアマゾンは、変身を解いて沖縄の砂浜に舞い戻る。

ぶっちゃけファンメイドの二次創作的な側面も強い本作でも取り分け話題になるトピックであり、「魂が無い怪人と前置いて歴代の敵との再会イベントを割愛してきたのに」「他のライダーは再生されたかつての味方や悲しい事情のある怪人でも倒したのに」「外見がモグラなら何でもいいのか?」
と批判的な意見も少なからず存在する。それに対する回答か定かでは無いが、劇中でモグラが暴走したらどうするかとの問いかけに躊躇なく倒すと答えており、モグラの傀儡を助けた行動を「友よお前の為らならば」とするならさしずめ「正義のためなら鬼となる」という所か。

余談

電気グルーヴの楽曲に、彼をモチーフとした「Mole〜モグラ獣人の告白」が存在する。

ガンバレジェンズのGL02弾で実装された新サポートカードに歴代の名場面を表現した「イベント」があり、何とアマゾンからはモグラ獣人が選ばれた。カード名はズバリ「勇気の士」イラストはカビの詰まったカプセル奪い取ったモグラの場面を再現しており、悲劇が降りかかる5秒前の場面である。裏面のフレーバーテキストには彼の最後の言葉が記されており、ファンはマサヒコ状態で号泣すること必至。効果もデッキにアマゾンライダーがいる事で追加効果が発動する心にくい仕様である。

2023年7月7日。TOKOYO MXにてアマゾンの週一放送が決定し、未だ作品に触れた事の無い多くのファンがモグラ獣人に出会い、その愛らしさに癒された。
そして来る11月24日。20話が放送され、モグラの勇敢な最期にTwitter上で実況していた多くのファンが涙し、その日のトレンドに「モグラ獣人」が載るほどの反響となった。

2023年11月17日には「仮面ラジレンジャー」と仮面ライダーストアのコラボ企画によってモグラ獣人のアクリルスタンドが発売された。ラジオを聴いて社会勉強をしようとしていた彼がラジオの企画から商品化するとは何とも不思議な縁である(同時にクジラ獣人と敵の癖にかわいいから選ばれたガマボイラーの3種がラインナップされている)
そして発売されるや否や店頭でもオンラインでも入荷と瞬殺の品切れを繰り返す超人気商品になるという嵐を巻き起こした。
上述のMXの再放送のタイミングも非常にタイムリーであり、多くの人がモグラを求めて大都会に殺到した。
令和を5年すぎても、士(ひと)として多くの人になお愛されているという心温まるエピソードである。





「マサヒコ、追記・修正を尊敬するかい…?」
「ああ…もちろんだ!」

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最終更新:2023年12月05日 14:41

*1 凶悪犯を拉致して蟻と合体させたゲドンのトゲアリ獣人。

*2 ゴルゴスの有する「ガガの腕輪」と合体させることでラスボスをも瞬殺する超パワーを得る、古代インカの秘宝。アマゾンライダーへの変身アイテムであり、外すと死ぬ。

*3 EDで既婚者という話題を出している。

*4 同じ理由で電波人間タックルも意思持たぬ敵として復活させられ、ストロンガー相手にウルトラサイクロンで自爆

*5 彼は人一倍バダンを恨んでいる事に加え、アマゾンの腕を切り落としたという理由で、それは操られていたためだと理解した上で本気で殺すつもりでいた