アポロン(ギリシャ神話)

登録日:2015/12/06 Sun 10:26:46
更新日:2023/05/06 Sat 18:46:08
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■アポロン

「アポロン」はギリシャ神話に登場する神。
竪琴を携え、音楽、予言、医学の神として描かれることが多い。
ローマ神話では太陽神アポロと呼ばれ主神格として祀られた。
象徴として月桂冠を頂くが、神話では特に有名なダフネとの悲恋が元になっているとされる。
実は日本神話の「スサノオノミコト」と要素が似ているらしい。
オリュンポス十二神の一柱で、「ゼウス」と「レト」の息子。
月と狩りの女神「アルテミス」とは双子である事は間違いないが、神話によって兄か弟かが分かれる。

現在では太陽神として語られる事が多いが、元々の神話上では太陽神としての属性を見出せる様なエピソードは殆ど見られない。

ローマ人「私にとって彼こそが太陽神でした」

ヘリオス「(゜.゜)え!?」

(※数少ない太陽神エピソードは全て、元々ヘリオスの物である)

……とにかく美しさを讃えられるイケメン神だが、恋愛関連では常にトラブルを抱えている上にあんまりモテない。
てか、割とクズい。
関係を持った相手へのフォローも悪い。
ついでに両刀でもある。
あと、シスコンかつマザコン

これが後に死と病魔を齎す神→同時に真逆の属性である医術の神としての属性にも繋がった。
人の死すら癒す医術の神として名高いアスクレピオスがアポロンの息子とされたのはそうした経緯からだと云う。
信仰上でも予言の神としてテッサリアのデルポイ密議の主神として崇められると共に、地上に病魔を撒き散らしたとされるエピソードまである。
こうしたアポロンの暗い側面は「太陽神の暗黒面」として、後にユダヤ/キリスト教世界の神秘学で語られた冥府の門の守護者たる大悪魔アバドンと結びつけられ、アバドンをアポロンの暗い仮面とまで呼んだと云う。


【出自】
元来は母神とされるレトに付属して来て共に信仰が伝播した古代オリエントの植物神の系譜=豊穣の女神の配偶者(ドゥムジ、タンムズ、オシリス)に連なる男性神だと見られている。
ギリシャ神話には同じ系譜に属する存在として、アフロディテペルセポネが取り合った美少年アドニスの神話もある。
……どうやら、イケメンと不幸が共通項らしい。

母神のレトがゼウスの制裁、もとい正妻のヘラの介入から出産場所に苦労していたのを皮切りに生まれる前から不幸な星の下に居る。

尚、レトはヘラの他にもガイアの神託を預かる予言の神でもあった蛇神ピュートーンにも追われているが、これは「自分はレトが生む子供に将来される」との予言をガイアから受けた為。

その“子供”とは他ならぬアポロンの事である為、生まれる以前から家族を己の運命に巻き込んでいるとも言える。
このピュートーンや巨人ティテュオスらの追跡からレトを助けたのはゼウスやポセイドンだとされる。

生まれるまでの経緯には諸説あり、先に生まれたアルテミスがアポロンの出産を助けたとする神話もある。

後に、長じたアポロンはこの時の復讐……かどうかは定かでは無いがピュートーンの守るデルポイに赴きこれを射殺。
自らが主宰神として、ガイアに変わりゼウスの神託の地としたと云う。
デルポイには世界の臍(オンパロス)と呼ばれる石塊があり、ここから吹き出る蒸気(ガス)がガイアの息吹と捉えられていたのである。

アポロン「新興宗教ゼウス教!僕の宗教に入れよ何とかしてくれるぜ!」

デルポイ密議ではピュティアと呼ばれる巫女達が薬物的なナニカや天然ガスを用いたトランス状態の中でニューロンに走るシナプスの見せるソーマトリコールをコトダマイメージとして伝えたと云う……コワイ!!

また、元々アポロンとピュートーンは同地にて関係の深かった神性同士であり、ギリシャ神話として統合される中でアポロン信仰として結集したのがこの様な神話になったとも考えられている(アポロン神話はかなりの数が同地に集中している)。

【反乱】

アポロンは何度かゼウスに反乱を起こしている
最も知られているのは息子のアスクレピオスを殺された時の反乱である。
アテナから与えられたメドゥサの血を使って死者を勝手に生き返らせる上に、ハデスが叱責をしても聞く耳を持たないアスクレピオスと彼に依頼を持ち込むアルテミスに終にハデスは堪忍袋の緒を切らしてしまい、ハデスの突き上げを喰らったゼウスは雷霆でアスクレピオスを射殺してしまった。

善意で人助けをしていた息子が殺された事に激怒したアポロンだが、普通に立ち向かってもゼウスやハデスには勝ち目がない。

(`・ω・´)「よし、ティタノマキアの時に伯父貴がやったみたいに親父の武器を奪えば良い!」

こう考えたアポロンは雷霆の製造所を襲撃して、働いていたキュクロプス達を殺してしまう。

(`^ω^)b「これで親父は無力化!息子の仇を討てる!!」


ディケーJ(#ꐦ°᷄д°᷅)し「何をやっとるんじゃ、この愚弟が!!」


普段は地上に常駐しているのでオリュンポス十二神に数えられていないが、正規の神罰の執行担当者であるディケー、別名:星乙女アストライアーと彼女の神器<正義の剣><正義の天秤>をアポロンは完全に失念していたのである。
怒ると直ぐに雷霆を放つので、雷霆を封じればゼウスを無力化出来ると踏んだアポロンだったが、雷霆は本来はディケーの召喚が間に合わないときやディケーとその母テミスを説得出来ない時の非常手段で、正規の神罰の執行手段はあくまで<正義の剣>だったのだ。
雷霆の製造所の襲撃という重罪を犯したアポロンに正規の神罰執行手段が機能しない訳が無く「一年間のオリュンポス追放」「人間の牧場での労働」と言う処罰を下されてしまった。
因みに、雷霆の製造所はヘパイストスの手によって復旧されたようである。


【再度の反乱】


ディケー  「この馬鹿も息子を殺されて頭に血が上ったので情状の余地が・・・」
ヘパイストス「何とか雷霆製造所も復旧しましたので・・・」
イタタ…(´;д;θ)ゞ

ゼウス最大の武器雷霆を封じたものの、正式な神罰の執行手段である<正義の剣>で処罰され、折角破壊した雷霆の製造所もヘパイストスに復旧されてしまって怒り心頭のアポロン君。
親父様よりは格段に穏健で良識的なお姉さまのお仕置きと事件の後始末を引き受けてくれたお兄さまのお陰で、下手をするとタルタロス送りにされても仕方が無かったところを1年の職務停止と懲役で済んだのは幸運としか言い様が無いが、この程度で懲りない!!
先ずは知恵の女神であるアテナを仲間に引き入れ、厄介なディケー姉とヘパイストス兄に干渉させない作戦を考え・・・

アテナ(`^ω^)b「父上の最大の被害者を仲間に引き入れましょう!!」

なんと、ゼウスの王妃であるヘラ様を仲間に引き入れてしまったのだ!!
序に、散々ゼウスの不始末の尻拭い(息子嫁の浮気、孫の蘇生、浮気相手の出産場所確保)をさせられたにも拘らず、あんまり感謝されていない事に不満なポセイドンも丸め込み、4対1に!!

散々、夫の不倫で面子を潰されているヘラ様が相手なら<正義の天秤>はゼウス側に傾かないし、両親の夫婦喧嘩に巻き込まれて片脚を砕かれたヘパイストスも関わろうとしない筈!!そして、ヘラ様とポセイドンのパワーはゼウスに近い!!

同格に近い2人を含む4人に一斉に襲い掛かられ、さしものゼウスもぐるぐる巻きに。
反乱大成功!!

ディケー  「あらあら、正義の天秤がお父様に傾かないわね。」
ヘパイストス「あの二人の夫婦喧嘩に巻き込まれると、俺みたいに脚砕かれんぞ。」

しかし、「誰がリーダーシップを執るか」で4人が大紛糾!!

会議は踊る状態で神々の仕事が回らなくなったので、ヘパイストスの恩人である海の女神テティスとティタノマキアでタルタロスから解放され、エーゲ海の屋敷でバカンスを楽しむヘカトンケイレス兄弟の長兄ブリアレオスがリーダー決めに熱中する4人の隙を突いてゼウスの結び目を解いて救出に成功してしまう。
此れで戦力は4対3、しかもなんだかんだ言って神々の中でも総合力1位のゼウスとティタノマキアで決戦戦力として活躍したブリアレオスが連携した時の凄さをヘラ様とポセイドンは熟知している!!
更に、リーダー決めに熱中していた間、指令系統が混乱して仕事が碌に回らなくなった他の神々の冷たい視線も加わっている!!

結局、仲間割れを起こした4人は再結成されたティタノマキアの黄金タッグに敗北し、ヘラ様は天から吊り下げられるお仕置きを受け、アポロンとポセイドンはトロイアの城壁作りの懲役刑に!!
何故か、この一件の後でポセイドンとブリアレオスは意気投合してしまい、和解と友好の証としてポセイドンの娘キュモポレイアがブリアレオスの下に嫁入りした。


【アポロンの恋愛譚】
とにかく悲恋と云うか、女性や美少年を不幸な目に遭わせるエピソードが多い。

■ダフネ編
ある日、ピュートーンを仕留めて調子に乗っていたアポロンは帰途の途中に見かけた愛欲の神エロス(おっさん)の持つ弓を「小っさ(意味深)」と嘲った。

エロス「ダッコラー!?」

男のプライドを傷つけられたエロスはアポロンに愛欲を掻き立てる金の矢を、偶々近くに居た川の神ペネイオスの娘ダフネに相手を拒絶する鉛の矢を打ち込んだ。

アポロン「我がリアルな嫁ェ……貴女と“ピー”直結!!ロバの様に激しく前後!!!」

ダフネ「アイエエエエエエエ!?」

如何に天地に名だたるイケメン神でも獣欲を剥き出しに違法行為を迫るアポロンにダフネは恐怖して逃げる!……多分シラフでも逃げる!

アポロン「激しく前後!フィーヒヒ!!」

逃げたダフネだが疲れてしまい、遂にアポロンに抱きすくめられようかと云う……刹那!

ダフネ「私は清らかな体でいたいの。どんな姿でも構わないので助けて!」

娘の窮地にペネイオスは応え、彼女を月桂樹(ダフネ)へと変えた。

アポロン「フィー……ヒ…ヒ?」

愛する人の変わり果てた姿を目の当たりにしてアポロンは悲しみに暮れて涙を流した。
そして、愛する人が姿を変えた月桂樹を自分の聖樹とし、永遠の愛の証として月桂冠を頭に頂く様になったと云う……欺瞞!!

※糞真面目な人や理性的で偉ぶった人も愛欲には負ける事もあると云う教訓とも言われる。


■コロニス編
テッサリアのホットな王女コロニスとネンゴロになったものの忙しいアポロンは伝令役に鴉を立てて寂しい日々を過ごしていた。
しかし、余りの退屈さから鴉は「コロニスが男を連れ込んでいる」とアポロンに嘘を吐いた。

アポロン「あのアマ、ナメッコラー!?」

かくして、嫉妬者のエントリーだ!

コロニス「アイエエエエエエエエエ!?」

アポロン「おヌシを殺す」
コロニス「ナンデ!?」
アポロン「おヌシが浮気したからだ…イヤーッ!」
コロニス「ンアーッ!」

嫉妬に駆られたアポロンはコロニスの胸に無慈悲な矢を射て彼女を殺してしまった。
コロニスは間際にアポロンとの子を身ごもっていた事を告げたが、それは真実であった。

愛する人の変わり果てた姿を目の当たりにしてアポロンは悲しみに暮れて涙を流した。
そして、愛する人が姿を変えた遺体から自分の子であるアスクレピオスを取り出しケンタウロスの賢者ケイロンに預けると、永遠の愛の証として祝福を授けたと云う……欺瞞!!

※アポロンの才とケイロンの業を引き継いだアスクレピオスは死すら超越した医術を身に付け人々を助けたが、死者が冥府に来ない事の異常を兄に訴えたハデスの願いを聞き入れたゼウスの雷に打たれアスクレピオスは人としては死んでしまう事になる。
このアスクレピオスを天に上げたのが蛇遣い座で、彼は医術の神として信仰される事になったと云う。
また、この一件により嘘を吐いた鴉は白い体から黒い体になり永遠にコロニスの喪に服す呪いを掛けられたと云う(※自分の沸点の低さと裏付け能力の無さは棚上げである)。
序でに、この鴉が星座になったのがカラス座である。

異説として鴉が一切登場しない話も存在する。
アポロンの子を宿したコロニスは、アルカディアからやってきた男イスキュスと交わり、父親に隠れて結婚した。
そのことを知ったアポロンは兄or弟のアポロンを侮辱されて完全に頭にきていたアルテミスを彼女の元に送り込んだ。アルテミスはコロニスを周りの住人ごと射殺したという。

※一応アルテミスの貞操の女神としての性格や女性に突然死を与える神としての姿を表していると言われている神話だが怖すぎである。


■カサンドラ編
トロイアの王女カサンドラを見初めたアポロンは「自分の愛を受け入れれば未来を見通す力をあ・げ・る」と口説いた。
カサンドラはイケメンの申し出ともあり承諾するが、視えたのはアポロンにヤリ捨てされる自分であった。

カサンドラ「アイエエエエエエエエエ!?」

当然の様にカサンドラはアポロンを拒絶!
後払いにしとけば良かったと後悔しつつも理によって力を取り戻せないアポロンは策を講じ“カサンドラの予言を誰も信じない”呪いをかけてしまった。

……後に、トロイア戦争を前にトロイアの悲劇的な未来を予言したカサンドラだが、その声は虚しく響くばかり。
彼女は予言の力により有名なトロイの木馬の真実も見抜いてたとされるが、誰にも声の届かない彼女は国の滅亡を見つめる事しか出来なかったと云う。

※双子のヘレノスと共にアポロンの神殿を訪れ、蛇に耳を舐められたことで予言の力を得たとする話もある。が、結局予言を信じてもらえないのは同じ。共に予言の力を得たヘレノスは生き延びることができたがカサンドラは色々あって死んだ。カサンドラが何したっていうんだよ


■ヒュアキントス編
絶世の美少年ヒュアキントスにウホッとなったアポロンは彼を囲い、何処へ行くにも彼を連れ歩いた(意味深)。
西風のゼピュロスも美少年に想い(意味深)を寄せていたがヒュアキントスはゼピュロスにはつれなかった。
ある日、アポロンとヒュアキントスが円盤投げに興じているのを見たゼピュロスは嫉妬に駆られ、アポロンが投げた円盤の方向を変えてヒュアキントスに当ててしまった。

ヒュアキントス「アバーッ!」

アポロンは懸命に医術の技を振るうが間に合わず、ヒュアキントスはそのまま死んでしまった。
そして、美少年の額から流れ落ちた血は美しい花を咲かせ、彼の名を取りヒヤシンスと呼ばれるようになったと云う(異説もあり)。


■レウコトエー編
アポロンはペルシャの王女レウコトエーを見初め恋仲となった。
しかし、当時のネンゴロであったニンフのクリュティエーはこれを見過ごせず、ペルシャ王オルカモスに娘が男と密通前後している旨を告げ、父王の手で彼女を裁かせた。

オルカモス「色を知る年齢か!!

哀れレウコトエーは生き埋めにされてしまい、アポロンが掘り出した時には既に息絶えていた。
アポロンはレウコトエーの死体に神々の飲み物ネクタル(ピーチ味)を降り注ぎ、彼女の姿を乳香の木に変えたと云う。
……一方、クリュティエーは、アポロンからもはや振り向いてはもらえず太陽を見ながら悲しむばかり、泣き暮らすうちに死んでしまった彼女は死してヘリオトロープ(若しくはヒマワリ)となり、その花はいつも愛しい人(太陽)の方を向いているのである。
※ただし、この神話は元々はヘリオスの物だったのがアポロンに名前が変わっただけの模様。


■キュレネ編
アポロンに愛された女性にしては非常に珍しいハッピーエンド(?)を迎えた女性がキュレネである。
彼女は女の身でありながら狩りを好み、近所をウロつく猛獣を撃退しては父親の家畜を守っていたという。
ある日、彼女は狩りに出かけた山でライオンと格闘戦を敢行。これを素手で打ち取った。

アポロン「ふーん...おもしれー女...」

キュレネに一目惚れしたアポロンはすぐさま賢者ケイロンの元へ相談に向かうと自分が彼女に告白してもいいものか尋ねた。

ケイロン「どうして予言の神なのに私に相談に来るんですか?はよ告白しなさい。」

賢者に背中を押されたアポロンはキュレネを攫うとアフリカの地へ向かった。同地でキュレネは都市の女王となり、アリスタイオスを産んだとされる。
またアリスタイオスの弟のイドモーンはアルゴノーツの一員として旅に加わったという。

彼女のその後には諸説あるが、アレスから寵愛を受けたとも、アポロンに頼んでニンフへ変身し、大好きな狩りを長く続けたともされる。この甲斐性を常に発揮しろよアポロン


【その他】
星座として有名なオリオンの死の原因の一説にアポロンが関わっているものがある。
アルテミスと親密になったオリオンにアポロンが嫉妬し、アルテミスを騙してオリオンを射殺させた。
また自分の神殿で女と交わったオリオンに蠍を送り込んだ説もある。
マザコンエピソードにはつぎのような物がある。
とある国の王妃が母レトをバカにしたときに、アルテミスとともにその国に疫病を蔓延させ、滅ぼしている。
神性の起源に関係するとも考えられているがトロイア戦争ではアルテミスと共にトロイア側に加担。
有名なアキレスの踵の故事で知られる英雄アキレウスの死はアポロンの介入で起きたとされている。
何でギリシャで人気なんだこの太陽神。



追記修正は巫女を介してお願いします。

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最終更新:2023年05月06日 18:46