アマデウス(Fate)

登録日:2015/11/28 (土) 00:04:44
更新日:2023/08/04 Fri 12:36:39
所要時間:約 13 分で読めます




「キャスターの中でも最下層のキャスター、それが僕だ。悪いが、戦力としては期待しないでくれたまえ。アハハハハハハ」

「じゃあ何が期待できるかって? そんなの君、決まっているだろう。戦闘以外の全て、君の人生の彩りを一段階上のものにする、それが僕であり、僕の音楽だ!」



Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント
クラスはキャスター


ILLUST:PFALZ
CV.関智一


身長:180cm
体重:65kg
出典:史実
地域:欧州
属性:中立・善


◆ステータス
筋力 耐久 敏捷 魔力 幸運 宝具
D E B B+ D B


スキル

クラス別スキル
陣地作成:B
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
“工房”の形成が可能。
アマデウスの場合、陣地は「演奏会場」としての形態を有する事になる。


保有スキル
音楽神の加護(偽):EX
本来は芸術の女神ミューズの加護を示すスキル。
遍く音を聞き分け、天才的な演奏を可能とする。
更に、音楽魔術の行使にプラス補正。
これらの効果を「自身の力」として発揮可能。

芸術審美:B
芸術作品、美術品への執着心。
芸能面における逸話を持つ宝具を目にすれば高確率で真名を看破する。


宝具
『死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)』
ランク:B 種別:対軍宝具

死の直前、死神に葬送曲を依頼されたという伝説に由来する魔曲。
この曲を聞いた者は魔力及び幸運の抵抗判定を行う。
判定に失敗した場合、身体系ステータスが強制的に二段階低下し、更には防御の魔術・能力・鎧を無視した強烈な持続ダメージを受ける事になる。
抵抗に成功した場合はステータスの低下は一段階のみとなり、持続ダメージも半減する。
その本質は『無慈悲な死神を呼ぶ曲』ではなく、『慈悲なき死神を労わるもの』である事は公然の秘密である。



フルネームはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
言わずと知れた世界有数の天才作曲家にして演奏家。
(項目名の通り、本作中では原則的に「モーツァルト」ではなく「アマデウス」と呼ばれる)
異常なまでの音感を有し、揺るぎない天才性を以て多くの楽曲を後世に残した十八世紀の人物。
神に愛された奇蹟の天才である。

最近では作家が増えて「魔術師のクラス、ただし魔術師だけとは言ってない」みたいな感じのあるキャスタークラスだが、
アマデウスの場合は生前からある秘密結社に所属し、魔術に傾倒していたという逸話があるため、そう不自然な話でもない。
英霊としてのアマデウスは悪魔が奏でる音楽に興味があると言う理由で魔術を学び、オルフェウスに由来する音楽魔術やソロモンの魔術を習得している。
そしてその天才的な演奏技術と魔術とが合わさって奏でられるアマデウスの音楽は、文字通りに魔的な魅力を持つ。
例えば「今にもお腹を下しそうなフーガ」を演奏すれば聴いた者が一斉にトイレに駆け込んでいくという事態になる。


音楽に対してはひたすらに真摯な至高の聖人だが、人間としてはクズの部類。
本人曰く、「芸術家のサーヴァントには子供か青年の二種類しかいない。子供の姿のやつは成長したら節度ある大人になったやつ、そして大人の姿のやつは死ぬまで変人だったクズ!」との事。
ぶっちゃけ史実のアマデウスからして相当に問題のある人物で、とにかく下ネタが大好きだったという記録が残っている。
GOでも気に入ったマシュ・キリエライトに対してセクハラを繰り返し、マリーも「耳を取ったら変態性しか残らない」と酷評している。
とはいえあれでもマリーとの約束で自重しているらしい。

アマデウス自身も自分をクズだと認識しているが、実際は彼なりの深い人生観を持ち、それに誇りを持っている。
アマデウスは音楽しか愛さない。音楽は美しく、そして人間は汚く醜い。それが彼の結論である。
故に、アマデウスは自身に人間的な幸福を求めない。人を愛せない自分にそんな資格は無く、また自身も人間であるならば醜いのは当然である。アマデウスはそう考えている。
そして同時に、人が奏でる音楽を愛する彼は、人間が残すものの価値を誰よりも認めている。
人は世界によって作られ、そして受け取った多くのものから自分がいた証を世界に残し、そうして世界は広がっていく。
アマデウスはその哲学に従って多くの曲を残し、最期までそれは変わらなかった。


たとえ何が起ころうと、どんな恋人に出会おうと、どんな友人を得ようと、どんな幸福を掴もうと、自分はこうなっていたと断言するアマデウスだが、
そんな彼にも、もしかしたらと考える出会いがあった。
マリア。すなわち後年「マリー・アントワネット」として処刑台の露と消える、悲劇の姫君。
幼い頃、宮殿でマリアと出会ったアマデウスは一目で彼女に心奪われ、その場でマリアに求婚した。
結局マリアには振られてしまったが、その思い出は大事なものとして2人の心に残った。
もしその場でマリアが自分の求婚を受け入れてくれていたなら、自分はもしかしたら今の自分ではなかったかもしれないとアマデウスは語る。
自分はなるべくしてこうなった。しかしその運命を変える者がいるとすれば、それは彼女しか有り得ない。そう思うほどに、アマデウスにとって彼女との出会いは鮮烈だった。
ちなみにこの告白に喜んだマリーが宮殿中に言いふらしたせいで後世にまで伝わっている事を知ったアマデウスは「悪夢だ」と呟いた。

しかしそれからの2人はすれ違いの連続だった。
いつかピアノを聞かせるという約束も果たされる事はなく、1791年、アマデウスは病によって死去。
そしてその2年後、マリーはフランス革命の最中に処刑された。

死後、英霊となったアマデウスはその事を深く後悔した。
私が生きていれば。あのような惨いギロチンの結末を、彼女に迎えさせることはなかったのに。
故に、その資格はないと弁えながら、彼は願わずにはいられないのだ。
輝くべきマリアに、幸せの日が訪れんことを――

そしてその処刑を執行した張本人であるサンソンとはお互い反目しあっているが、
何もかもが気に入らないという風情のサンソンに対し、アマデウスの方は素直じゃないから嫌いらしい。
処刑人の家に生まれ、その生き方に苦悩した挙句、敬愛する王妃の首をその手で落とす羽目になった彼に思うところがあるのかもしれない。


そして、自分達が生きていた時代よりも300年も前のフランスで、2人は奇跡のように再会を果たした。

飄々とした態度の裏で、友人と出会い、楽しそうに笑うマリーにアマデウスがどれだけの喜びを感じていたのかは想像に難くない。
しかし、マリーはジャンヌゲオルギウスを逃がすために、そしてフランスの民を守るためにジャンヌ・オルタに立ち向かい、華々しく散った。
アマデウスはまたしてもその場に居合わせる事が出来なかった。
別れの間際、「帰ってきたらピアノを聞かせてね」と、一度も果たされる事のなかった約束を、2人の間だけで通じる別れの言葉を聞かされてしまっては、止める事など出来るはずもなかった。

そうして残されたアマデウスは飄々とした態度のままで、彼女の死を受け入れた。それがマリーの生き方であり、後悔など無かったと分かっていたから。

そして、その時に零した言葉に疑問を持ったマシュへ自分の人生観を語る。


「僕が残したものは多くの人々に愛されたけど、僕の人生はどうでもいいものだった」

「でも、それでいいんだ。人間は醜くて汚い。僕の結論は変わらない」

「輝くような悪人も、吐き気をもよおす聖人もいる。だから君も、自分の未来を恐れる必要はない」

「君は世界によって作られ、君は世界を拡張し、成長させる」

「人間になる、とはそういうコトだ」


その後、因縁の相手であるサンソンとの最後の戦いに勝利したアマデウスは、修正された時代から静かに去っていった。

そして最終特異点「冠位時間神殿ソロモン」で久々に登場。主人公と縁を結んだ英霊の一人として魔神柱との戦いに参戦した。
そこで彼が語ったところによれば本来魔神柱アムドゥシアスになっていたのは自分であったらしい。
しかし、彼はその道を外れ、音楽家となった。
それはとうに音楽に魂を捧げていたためとも、彼女との出会いがアマデウスの運命を変えたからとも。


なお、最初のメインストーリーでこのように活躍を見せるサーヴァントだが、レアリティは☆1。☆1である。
1章中ではNPCサポートとして登場するが、☆4のマリーやジークフリート、☆5のジャンヌを差し置いて使うには……
とはいえ、低レアに定評のあるFGOである。彼もただ弱っちいだけのクズでは決して無い。

1ターン限りだが味方全体への強力なArtsカード強化をばらまく「音楽神の加護(偽)[EX]」、ダメージ0だが大幅な攻防デバフ+呪い(継続ダメージ)を与える宝具が主な特徴。
宝具も含めてArtsカードが多く攻防バフデバフを駆使した耐久PTに適するキャスター同士での相性も良く、使い方を理解すれば支援役として一定の価値を見出せる。
さらに強化クエストで習得する第三スキル「小さな夜の曲」は、使用することで最大で50個のクリティカルスターを生成する驚愕の一発技。
50個というのは事実上のカンスト、このターン全ての攻撃が100%クリティカルするようになるということである。
対象範囲が狭い&持続が短い&効果も低いとまるで使い所の無かった「芸術審美[B]」も現在は「天使の調べ[A]」に強化、対象制限撤廃に加えて3TのArts攻撃耐性ダウンとクリティカル発生率ダウンの追加と使い勝手が上がっている。
これにより、適宜マスタースキル「オーダーチェンジ」で前線に出て使い切りのバフ・デバフをばら撒き、
できれば宝具も撃った上でさっさと死んでもらうという運用での評価が高まった。
ステータス(特にATK)が最底辺という欠点も、その分さっさと死にやすいという一種の利点と言えなくもなくなっている。



「月の女神はお団子の夢を見るか?」では、通りすがりの変質sy…もとい、妖精のアマデウス仮面として登場。
アントワネットご一行様にこっそりついて行ってはピンチに颯爽と現れるらしく、マリーとサンソンからは喜ばれているが、デオンからは変質者として警戒されている。
ちなみにサンソンだけ正体に気付いていなかったりする。



余談だが、アマデウスはギルガメッシュ(中の人が同じ)の宝具『天地乖離す開闢の星』の特攻効果が効かない数少ないサーヴァントの一人である。
(他にはロムルスドレイクテスラなども特攻無効。)
まあ相性有利でもなくHPもたかが知れたアマデウスだと特攻関係なしに死ぬほど痛いけどね!
「特別な星の力を持つサーヴァントには特攻無効」らしいが、この特別な星の力というのが何を指しているのかは不明。
ただのシステム的な話か、それとも…?



なお下ネタ好きだったのは史実通りであるが、これは当時の上流階級全体での流行のようなもので彼だけが異常だった訳ではない。
また度を越した浪費家だったとか秘密結社と関りがあったとか妻が悪妻だったといった逸話もあるが、
浪費の額自体は尋常で無かったにしても作曲の収入に見合ったものであり、秘密結社も当時の貴族や知識人の多くが面白半分で加盟していたりしたものである。
奥さんについては実際はかなり仲が良く、悪妻というのは後世の創作とされる。
このように、「早死にした天才」というイメージからか、実情以上に変人・クズだと思われがちな偉人だと言える。



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最終更新:2023年08月04日 12:36