シャット(Go!プリンセスプリキュア)

登録日:2015/11/15 Sun 23:20
更新日:2024/03/18 Mon 16:57:36
所要時間:約 15 分で読むのみ!




その夢、絶望の檻に閉じ込めるのみ!

シャット・ユア・ドリーム!



Go!プリンセスプリキュア』に登場する敵役。
「ディスダーク三銃士」の一人。



白いシルクハットを被り、青を基調としたゴシックロリータ風の衣装と網タイツを身に纏い、
縦ロールの金髪で目元には青いアイシャドウと口紅をしている。また、常に黒いバラを咥えている。
語尾に「のみ」を付ける口調が特徴で、かなり無理のある文脈でものみのみ言っている。

見た目からでは男性か女性か分かり難い容姿であり、オカマキャラを想像してしまうが、
口調は気品のある男性的なもので、声も雄々しい。後述の通りはっきりノンケである。

ナルシストであるという点では見た目通りであり、自分の容姿に絶対の自身を持っている。
絶望の世界の住人らしく暗く冷たいものをより美しいとして好む傾向にあるが、プリキュア達にも「見目麗しい」と評するなど、
価値観はそこまで人間とズレているわけではなく、敵であろうと美しいと感じたものは素直に褒める。
一方で暑苦しいものや「他人のため」という行動に関しては「くだらない」と一蹴している。
戦闘面では意外にも武人肌の持ち主であり、卑怯な作戦を好まず正面からの正々堂々とした戦いを好む。

常に持っているバラは武器にもなり、直接戦闘の際には光線を出したりする。


当初は失態続きの同僚のクローズに対して馬鹿にした発言をしており、
直情的なクローズに対してプリキュアにも余裕のある態度を見せていた。

だが、彼が殉職した際には「あんなヤツでもいなくなると調子が狂うな」と若干はかなんだ態度を取っており、
更に後にロックが消滅したと聞かされた時も驚いており、冷徹さが強調される今作の敵の中では少なからず仲間意識を持っている事がうかがえる。


クローズの消滅と共にシャットが最前線に立たされることとなり、少なからず危機感を抱くようになったシャットだが。
その矢先にディスピアの娘と名乗る新幹部、トワイライトが現れる。
その姿を見たシャットは。



う、美しい……!



この時、彼の中で何かが狂った。

トワイライトの美しさにベタ惚れしてしまったシャットは、以後彼女の忠実な下僕であるかのように振る舞い、完全に犬と化してしまう。
また、その回ではトワイライトのブラックキーによってパワーを増幅された時、放送禁止レベルのヘブン顔を晒してしまう。
(実際にやり過ぎたと思われたのか単に慣れただけなのか、次回以降はリアクションが変わっている)
もっとも、トワイライト登場前の12話の時点で一条らん子の夢に「……コメディアン?」とツッコむなど既にギャグキャラ化の片鱗は出ていたもだが。


これ以降のシャットは、初登場時の冷静で余裕ぶった態度はどこへやら、
  • ロックに抜け駆けされて悔しがる
  • トワイライトにつれなくされて慌てる
  • 何故か天ノ川きららが表紙のファッション雑誌を持っている
  • 戦闘中トワイライトを庇おうとするがさっさとバリアを貼られてしまい自分だけ攻撃を浴びて痛がる
  • 雨の日に傘をさして登場するが敗北して傘を思いっきり投げつけて退散する
  • 変身したトワイライトを見てドアップで興奮する(しかもCM空けで)がディスピアの目の前で浮かれている自分の状況に気づき慌てて逃亡する。

などなど、感情豊かなネタキャラへの道を突き進んでしまう。
奇しくも似た時期に30分前の番組でもクールキャラからギャグ枠に転落した敵幹部がおり、視聴者からは合わせてネタにされることもあった。


そして、物語はプリンセスプリキュアとトワイライトの決着に近づいていき、シャットはホープキングダムでキュアマーメイドの足止めのため交戦するも、逃がしてしまう。
更にホープキングダム城での戦いでは「おのれ!私のトワイライト様に!」と問題発言を飛び出させつつロックと共に援護しようとするが、
マーメイドの反撃を受けてロックが回避する中、思いっきり壁までふっ飛ばされてしまう。
この辺りから、「三銃士最強」のロックに比べて劣るような描写が露骨になっていく。


そして、トワイライトはプリキュアとカナタ王子によって洗脳を解かれ、カナタの妹・トワの姿に戻る。
これを見たシャットは呆然「これはどういうことだ!あの娘はいったい誰だ?なぁロック!私のトワイライト様はいずこに!?」とひどく取り乱す。
「絶望を集める側の奴が一番絶望しているんじゃ……」と視聴者からのツッコミを誘った。



戻ったトワの姿を見て、呼び方があっさり「娘」に変わったことからも、
結局の所シャットの心酔はトワイライトの表面しか見ていない、独り善がりの好意だったということなのだろう。
だが、一方的な懸想であったかも知れないが、シャットがトワイライトを身を挺して庇おうとしたり、
彼女が一度プリキュアに敗れて荒れていた時は「トワイライト様の笑顔を取り戻すために」という悪役らしからぬ理由で単身出撃をしていたりしたのも事実であり、
「トワイライト」への想い自体は本物である。

そして、彼が心酔したトワイライトという人格はディスピアの洗脳によって創りだされたものであり、洗脳が解けた際にその人格も消滅(あと容姿も全然違うものに)してしまったため、実質的にトワイライトは死んでしまったとも言える。
シャットのトワイライトへの忠誠はシャットの全てにもなりつつあり、その何もかもを一瞬で失ってしまったのは哀れとも言えよう。


なお、トワイライトのブラックキーは前述のヘブン状態も相まって何やら怪しげな雰囲気であり、実際過去には知らないうちに命を削るアイテムを使わされていた幹部がいただけに
クローズに続きシャットが2クール目のトワイライトの仲間入りの前後で死亡するのではと懸念されていたが、どうやら別にキーには副作用はなかったようである。


しばらくはトワイライトを失ったショックで塞ぎこんでいたが、その間にディスピアがトワ(キュアスカーレット)に撃退されて傷を負う。
ディスピアは傷を癒やすために『絶望の森』に向かい、その間のディスダークのリーダーを任されたのはロックだった。
この時シャットは自分の役目についてディスピアに問うが、ディスピアにガン無視される。
因みに力を解放した過程で少年から青年の姿へと変化したロックを見て戸惑っていたが、成長期だからというロックの返答を聞き「なんという成長速度…」とあっさり信じてしまった。
この辺りから本格的にシャットの転落人生が始まっていくのだった……。



ロックに扱き使われる立場になってしまい、絶望を集めるよう無理矢理送り出されたシャットだが、傷心のためそれに従わずそのまま旅に出てしまう。
その旅先で川流れしている最中、偶然トワと遭遇したシャットは「可愛さ余って憎さ百倍!消えるのみ!トワイライト!」と案の定逆恨みをして襲い掛かる。
……なのだが、スカーレットに変身した姿を見て、つい「美しい!!」と言ってしまうなど、未練はタラタラだった。


その後も放浪の旅を続けていたようだが、結局ノーブル学園にやってきてしまう。
  • が、夏休み中なので誰もおらず、ヤケになってその辺のセミをゼツボーグ化させ、その小ささに「ちっちゃ!?」とツッコむ。
  • 普通のセミサイズのゼツボーグと追いかける妖精のパフとアロマを見て「なんという美しくない戦い……」とドン引きする。
  • 巨大化したゼツボーグの音波攻撃にプリキュアが苦しむ中、どこに持ってたのかヘッドホンを逆さに装着してドヤ顔。
などどんどんキャラがおかしな方向に行ってしまう。


流石に自分のキャラの迷走ぶりに自覚はあったのか、次に登場した時は座禅を組んでトワイライトへの煩悩を断ち切ろうとしており、久々に悪役らしく真面目に仕事をしてディスダークに帰っていった。
どうやら、元トワイライトに対する感情は、その美しさを認めつつも「貴女は必ず私が倒すのみ!」と宣言しており宿敵と見定めたようである。



だが、シャットの知らない内にロックはプリキュアのドレスアップキーを奪い、集めた絶望を使ってホープキングダム城をゼツボーグ化させ、ディスピアの命に背く。
この状況の変化にシャットはただ戸惑うのみで、しかもホープキングダム城の外に置き去りにされてしまう。これでは折角雑念を捨てての一念発起もどこへやらである。





結局、宿なしになって放浪している間にロックは敗北し消滅、更にクローズが復活するなどのことが立て続けに起こりシャットは慌てふためくばかり。
更に以前は同等くらいの実力だったクローズは超強化されており、気づけばディスピアの命によって新幹部のストップ・フリーズと共にクローズの下に付けられてしまっていた。「え!? 私も!?」

なお、ロックには以前「アンタもいなくなれば、もっと静かになるんだろうね」と言われており、ロックの性格からして途中で捨て駒的に扱われてしまうのではという予想もあったが、またしてもその死亡フラグは回避している。



以前はクローズを小馬鹿にしていたシャットだが、現在はメイク中にクローズに「人間の絶望を集めてこい」と命令された上鏡台を破壊され、「は、はい……」と返事してしまうなど完全に立番が逆転。ついでに目の模様が実はメイクであることが判明する。
メイクも中途半端なままに放り出されたのとクローズに従わされる屈辱で荒れたシャットはミス・シャムールとのレッスン中だったプリキュアたちと遭遇、
「猫の癖にオシャレに決めるなんて生意気な!」とヤケクソになったシャットは咎めるトワの声にも耳をかさず猫をゼツボーグに変える。「人間の絶望」って言われてんのに……。

そのままその場に居合わせたゆい達に襲いかかろうとするが、人間形態に変身したシャムールが相手となり、翻弄されてしまう。
この時その華麗な動きに見惚れたシャットは「う、美しい……! ハッ!」どこぞの南斗神拳なセリフを口にしている。
そしてシャムールから「メイクの乱れは心の乱れ!」と中途半端なメイクを指摘されてしまい狼狽え、「何か悩みがあるんじゃなくて?」と問われたシャットは……。



うっ……うっ……最近……嫌なことばかりのみ……!



泣いた。
泣き出してしまった。
これまでのシリーズにもコミカルな幹部は数あれど、敵の妖精にガチのカウンセリングを受けてしまう幹部は流石に初めてだろう。
まあ、思えば同僚が一人死んで、惚れた上司が浄化されて、同僚が一人成長期になって三人に増えて、知らない内に死んで、今度は同僚が復活してその部下にされてと、状況に振り回されっぱなしなのでメンタルがボロボロになるのも無理は無い。

そのままシャットは戦闘そっちのけでシャムールの指導のメイクレッスンに突入、しかもいつものアイメイクより派手なものを施すシャムールに「お前、中々のチャレンジャーだな!」と感銘を受けていた。
そうこうしている内にゼツボーグは倒されてしまうのだが、新しいメイクで自信を取り戻しご機嫌となったシャットは全く意に介さず、そのまま帰ってしまう。
その他の詳細は第33話の記事を参照。


ちなみにディスダークに帰還したあとクローズ達と遭遇したシャットの格好は更にケバい方向に悪化しており、それをクローズ達に見せつけるが完全にスルーされていた。
まあ、猫をゼツボーグした挙句敵に情けかけられて戻ってきたのだからむしろスルーされるだけ御の字である。一応絶望の茨は生えていたのでノルマは達成していたようだが。
その次の話でも格好は元に戻ったがご機嫌なままで、ストップとフリーズに一方的にメイクの事を熱く語ると、鼻歌を歌いながら去っていった。



とりあえず、再び自信を取り戻したシャットだが、
同時にディスピアやクローズの目的に疑問を抱くなどの描写が増えつつある。自分だけハブにされていることにはあまり自覚がないようだが
ディスピアに絶対的な忠誠を誓うクローズや、己の野心のために行動していたロックと違い、シャットは忠誠心はあるにはあるのだが悪の組織の一員として確固たる目的はないように思える。
彼にとって「絶望を集める」「ディスダークに残り続ける」という行為は、「そのような生き方しか知らない」からやっているのではないだろうか。

なお、26話で変更されたOPではシャットはオーラを纏ってスカーレットと対峙している。
ギャグキャラ化しても一貫して描かれ続ける「トワイライト」への執着からも、彼女と何かしらの形で決着をつける可能性は高いと予想されていた。



39話でのディスダークとプリキュアの決戦では、今度は置いてけぼりを喰らわなかったのか、「私を……忘れるなーっ!」とメタなセリフを吐いてフローラに襲いかかるが、一瞬でスカーレットにふっ飛ばされてしまう。
その後戦闘中戻ってくることはなかったが、新技『プリキュア・グランプランタン』でクローズ・ストップ・フリーズが拘束された際、何故かシャットは拘束されておらず、
その光景を見てまたしても「う、美しい……」と呟いていた。最早プリキュア側からも脅威として見られていないのか……。


以上の通り、気づけばとんでもないネタキャラになってしまっているシャット。
この先強敵として描けるのかと思ってしまうくらいのヘタレっぷりだが、今作のディスダークはコミカルな部分を見せず、絶対的な悪役として描かれる中、
ただ一人近年のコミカルな幹部コースを突き進むシャットは視聴者の癒しにすらなりつつある。


まあ、彼の立場は不憫ではあるが、セミや猫をゼツボーグにしたり真面目に仕事をしてるか怪しく、状況を打破しようともしていないシャットの側にも問題がある。
そのため基本ディスダークのメンバーから彼の存在はスルーされているが、初期のクローズのようにディスピアから速攻で最後通告を受けたり、あるいはブンビーさんのように上司からパワハラを受けていないだけまだマシなのかもしれない。









……と思いきや、44話で自身の置かれた状況に焦り、無断で出撃しプリキュアに敗北、
更にディスピアにメイクの素晴らしさを勧めていた所に「失敗だ…シャット…お前は失敗作だ」と最後通告を下されるという悲惨な状況に陥る羽目に。

メイクを勧めることは一見ふざけているようにも見えるが、以前シャムールから教わったメイクであり、それに元気づけられたシャットにとっては大切なものだったのだろう。
しかし、それについてもに「美しさなど…我々に必要ない」と存在意義そのものを全否定されてしまう。
一念発起し最後のチャンスとばかりに繰り出したメツボーグも倒された結果作戦は失敗。嘆きの叫び声を上げながら撤退した。


奇しくもその姿は、その回で描かれた優しい家族から愛されるみなみと、親と言うべき存在のディスピアから愛されないシャットの対比のようになっていた。
そして創造主から存在そのものを全否定され、帰る居場所も完全に失ったシャットは孤独に彷徨う。
商店街を彷徨う時には酷くやつれており頬もこけ、常に持っていた薔薇は鳥に攫われてしまう。



今の私は……あんな鳥以下だというのか……

この……私が……



そしてノーブル学園に辿り着いたシャットは、忘れ物をとりに一人戻ったトワと遭遇。
更にはるか達が雪で作ったホープキングダムを模した雪像を見たシャットは、その輝きさえも自分を嘲笑っていると怒り、城を破壊しようとする。

それをプリキュア達に阻まれるとシャットは自身の絶望を使い、猫の混じったような半獣形態に遂に変貌する。



トワイライト……!思えば貴様との出会いが、私の運命を狂わせた!

貴様がいなければ……!私はここまで落ちぶれることはなかった……!

そうだ!貴様さえいなければ私は……再び美しく返り咲ける!!



かつてのクローズのフローラに対するものを彷彿とさせる恨み節をトワにぶつけ、巨大なオーラの球で攻撃するシャット。まあ確かにトワイライトと出会わなければここまでのネタキャラにはならなかったよね。
膝をつくスカーレットに対し自分の美しさを勝ち誇るが、身勝手な感情に任せ恐ろしい形相で襲いかかるその姿を、プリキュア達には「美しくない」と否定され、
キュアマーメイドの作った氷に映った自分の歪んだ容貌を見せられたシャットは、その醜さにショックを受ける。



う……うるさい! うるさい黙れぇっ!!

ロックに見下され! クローズに見下され! ディスピア様にも見捨てられ!

残されたのは自分のみ!

信じられるのはもう、この私のみだぁぁぁ!!



口癖である「のみ」の本来の意味の通り、誰からも必要とされない「孤独」となってしまったシャット。
絶望に満ちたその思いの丈をぶちまけると、巨大な猫のような獣形態に変身する。

なおクローズはカラス(クロウ)、ロックはカエル(フロッグ)としてのダブルミーニングで正体が定められており、
シャットの真の姿についてもその法則で決められていると思われる。
そして、45話の予告では猫のような要素が混じった姿に変貌しているシャットが描かれており、猫(キャット)とのダブルミーニングだったようだ。
また、この3匹は一般的に魔女の使い魔として有名な生き物という共通点がある。



だが、正気を失い人語も離せなくなり、本能のままに動く怪物のとった行動は、プリキュアを攻撃するものではなく、周りに当たり散らすようにひたすらに悶えるようなものだった。
そのあまりにも哀しい姿を見たフローラは一言呟く。



助けよう



それはかつてシャットを元気づけた際のミス・シャムールの教え、「笑顔を守るのがプリンセスプリキュアの使命。元気の無い人を励ますのもプリンセスのたしなみよん。たとえ戦う相手であっても。それがエレガントというものよん」}からくるものか。
あるいは、11話のクローズとの決戦に置いて、シャットと同様に追い詰められ、恨みと憎悪から襲いかかるクローズを消滅させることでしか解決できなかった悔いからか。


スカーレットの『スカーレットイリュージョン』で暴れるシャットを包み、プリキュア達は『プリキュア・グランプランタン』でシャットを浄化。
イリュージョンで守られた効果からか、ボロボロになりながらもシャットは消滅せず元の人間体に戻ったのだった。
ゼツボーグを作り出す首元の錠前も消失している。
この時初めて帽子が取れ、前髪パッツンの髪型が明らかになっている。ユダみたいなキャラなのにシンみたいな髪型である。



トワイライトも…孤独で、人のことなど考えない人間でしたわ。「気高く、尊く、麗しく」ただそれだけで良いと

でも……今のわたくしは違います。暖かくて……大切なものを沢山頂きましたから

暖かくて……大切なもの……

それを守るために、「強く」「優しく」ある姿

それが「美しさ」だと思います

変わりましょうシャット……わたくし達と一緒に



かつての同僚として、闇に囚われる以外の生き方をしった者として、シャットに救いの手を差し伸べるトワ。
トワの言葉にシャットは感化された様子を見せるものの、差し出された手は払いのけその場を去る。



「強く、優しく、美しく」……か



シャットに一部破壊された雪の城も、ゆい達の頑張りによって元のように修復されていた。それを遠くから見つめるシャット。
その目には以前にはなかった光が宿っていた。
プリンセスプリキュアのテーマである、「強く、優しく、美しく」のうち、「美しく」のみに拘ってきたシャット。
そんな彼がそれ以外の概念に初めて目を向ける機会を得たのだろう。



風邪をひいたら、美しくないわよ?



そのシャットに差し出されたのはマフラー。差し出したのはかつて自分を励ましたシャムールだった。
無言でシャットはそれを受け取り身につけると去っていった……。

46話のラストシーンでシャットは一人夜の街を歩くが、その首に巻いたマフラーが示すとおり、以前のような真の孤独ではなくなったのだろう。






その後も人間界に居残っていたらしく48話にてディスピアによるノーブル学園襲撃を群衆に紛れて目撃していた。
メイクは直しているが、首元には件のマフラーを巻いたままである。

そしてシャットがその戦場に現れたタイミングで、消滅したはずのロックがディスピアによって復活させられる。
立場上どちらに加担することもできず闘いを見守るだけだったが、ディスピアに忠誠を誓う以外の言葉をまともに発せず操り人形のように動かされるロックの変わり果てた姿を見て複雑な表情を浮かべる。


やがて真相を知った学園関係者やゆい達が諦めず絶望に立ち向かい檻を破壊、絶望のエネルギーを失ってボロボロになりもがくロックはクローズに見放される。
その一部始終を見ていたシャットは遂に覚悟を固め、プリキュアに止めを刺そうとしたクローズの前に立ち塞がる。
クローズの光球を爪で切り裂き、激昂して殴りかかるクローズに今までの鬱憤を晴らすかのように強烈な拳をお見舞いし、叫ぶ。



ロック! 貴様散々私をバカにしておきながらそのザマはなんだ!

あれだけ偉そうにしてた貴様はどこにいった!



以前から僅かながらも仲間意識があるかのように描かれていたシャット。
彼を立ち上がらせた最大の要因はプリキュアの味方になろうとすることではなく、操り人形にされるまでに落ちぶれた仲間を救おうとする意思だった。


見ろ! 私たちが落ちぶれている間に

プリキュアどころか妖精も人間どももどんどん変わってゆく!



トワイライト、ロック、クローズと違いディスダークの中心人物になれなかったため、落ちぶれながらも今まで生き延びていた。
しかし裏を返せばそれは、ディスダークの中で彼のみが物語の中でずっとプリキュアと人間を見続けていたことを意味する。



変わるぞ! 私たちも!

ディスピアの呪縛から抜け出すのみ!



それはプリキュアの手をとらず、あくまでディスダークとしての誇りを持ちながら、
プリキュアたち同様に自分の中にある信念を守ろうとする強さと、同志に対する優しさを持った、真の「美しさ」に目覚めた一人の男の言葉だった。


叱咤を受けたロックの目には光が戻り「……だね」と同意するように呟く。
シャットは「今だ! プリキュア」と叫び、それに応えたスカーレットたちは「プリキュア・グランプランタン」でロックを浄化する。

安堵したのもつかの間、お返しとばかりにクローズに顔面を殴り返されダウンするも、
周りに流されるままに自分を見失っていた男が、遂に自らの意思で一歩踏み出すことができた満足感からか、口元には笑みを浮かべていた……。


そして事態はディスピアが真の姿を現すことによって急変、シャットもノーブル学園の生徒とともにディスピアの一部である茨の中に閉じ込められる。
前の話では遂にディスピアを呼び捨てにしたシャットだが。この時は異形の怪物と化していく主に対する複雑な感情が残っていたのか、「ディスピア様……」と呟いていた。
プリキュアたちが敗北し、世界が次々に絶望の折に閉ざされていく際は、かつては自分もホープキングダムを同様の目にあわせた側だったことを連想したのか気まずい表情をしていた。


しかし、ノーブル学園の人間がはるかたちを助けるためにディスピアに立ち向かおうとした際に、シャットも意を決してそれに続く。
クロロと合体することで復活したロックと共に、グランプリンセスを目指すために走り出したプリキュアの手助けをし、ディスピア撃破後は歓喜する人間たちの輪に混ざっていた。



そして再度復活したクローズとキュアフローラの最終決戦の末にディスダークは壊滅。
シャットは自身の力の源と云える絶望の力は殆ど失ったものの、無事生存。
それに伴ってか、メイクもかつてミス・シャムールから施されたものを髣髴とさせるものに変わっていた。よほど気に入っていたのだろうか?
次元転移等以前のような特殊能力も使えなくなったためホープキングダムへ戻る事も出来ず、同じくマフラー状になって生き残ったロックと共に人間界に留まることに。
ノーブル学園の秘密のローズガーデンを無断で(偶然?)訪れ、薔薇に見惚れていた所を学園長・望月ゆめに声を掛けられた所で物語は幕を閉じた。

これまで黒い薔薇を持っていたシャットだが、「意外と赤い薔薇も美しいものだな……」と始めて一般的な赤い薔薇に興味示していた。
それは恐らく、「トワイライト」への執着を断ち切り、彼女が「紅城トワ=キュアスカーレット」であることを認めたことも示しているのだろう。
実際、ロックに「キュアスカーレットの色だから?」と茶化された時は「うるさい!」と怒っていたものの特に否定はしていない。



闇の呪縛から解放された彼は、これからは人間として生き続けるのだろう。
希望の姫君たちから学んだ『強く・優しく・美しく』の言葉を胸に……。





追記・修正はトワイライト様の美しさを認めてからお願いするのみ

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最終更新:2024年03月18日 16:57