星守の騎士 プトレマイオス

登録日:2015/10/29 (木) 16:05:00
更新日:2023/09/02 Sat 08:35:15
所要時間:約 10 分で読めます





「星守の騎士(テラナイト) プトレマイオス」とは遊戯王OCGに存在するモンスターである。
第9期パックの「クロスオーバー・ソウルズ」で登場し、「テラナイト」のカテゴリに属するカードの1つ。

エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/戦士族/攻 550/守2600
レベル4モンスター×2体以上
(1):このカードのX素材を3つまたは7つ取り除いて発動できる。
●3つ:「No.」モンスター以外の、このカードよりランクが1つ高いXモンスター1体を、自分フィールドのこのカードの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
●7つ:次の相手ターンをスキップする。
(2):お互いのエンドフェイズ毎に発動できる。
自分のエクストラデッキの「ステラナイト」カード1枚を選び、このカードの下に重ねてX素材とする。

【概要】

テラナイトとしては待望のレベル4×2でも召喚できるエクシーズモンスター
テラナイトに属しているエクシーズモンスターであるが、これまでのテラナイトエクシーズとは違い星輝士(ステラナイト)の名は持たない。
地味に任意の数でエクシーズ召喚できるのも大きなメリット。(1)の効果のために3体で出すこともできる。

そしてこのモンスターは3つの効果を持っている。

まず、エクストラデッキからランクの1つ高いXモンスターを自身に重ねて特殊召喚するランクアップ効果。
ランク4に比べて格段に出しづらいランク5に繋げることができる便利なもの。なんと相手ターンでも使えるフリーチェーン。
相性の良いモンスターについては後述。

次に、次の相手のターンをスキップする効果。
とてつもなく強烈な効果だが、その発動に必要なX素材の数は7つである。
当然ながらそう簡単にこのような効果が使えるわけがないので、ロマン効果と割り切ろう。

最後に、エクストラデッキから自身のX素材を補充する効果。
このモンスターを2体のモンスターを使ってX召喚した場合、効果の発動に必要なX素材の数が足りないが、この効果により必要なX素材を揃える事ができる。
ただし発動できるのはエンドフェイズである。


さて、このモンスターのランクは4。
ランクを変更しない限り1つ目効果によって出せるモンスターはランク5である。
ただしNo.は出せないので「ヴォルカザウルス」や「ダークナイト」といったモンスターは召喚できない。
このモンスターから出せる強力なランク5といえばまず、「セイクリッド・プレアデス」。
強力な効果を持っており、さらにこのモンスターも相手ターンに効果を発動できるため相性が良い。
次点では「ティラス」や「セイクリッド・ダイヤ」「デュランダル」だろうか。

このランクアップ効果はフリーチェーンのため相手の行動を見てからチェーンして発動できる。
発動時に対象を指定する効果に対してはランクアップして逃げられるため、「カステル」や「強制脱出装置」などの対象を取る除去には強い。
ブラック・ホール」や「激流葬」を撃たれても、カードの効果で破壊されない「ティラス」へとランクアップすれば逃げる事ができる。
守備力も2600あるため、守備表示にしておけば戦闘に対しても強い。

このように除去しづらく、放置していると逆に「プレアデス」等で除去してくるため、相手からしたらどう処理するのか頭を悩ませるだろう。


……と、強力なモンスターだが当然、欠点も存在する。
対象をとる効果に強いといっても、ランクアップ効果を発動してからは無防備である。
ヴェーラー」や「ブレイクスルー・スキル」「禁じられた聖杯」といったカードをチェーンされてしまえば、後に残るのは守備力2600の置き物である。
しかし、エクストラに「セイクリッド・ダイヤ」を入れておけば自分のターンが回ってきてからメイン2でランクアップできる。

そして、何よりこのモンスターの最大の欠点はエクストラデッキを圧迫する事である。
このモンスター』+『素材用のステラナイト』+『ランクアップして出すモンスター1体
これだけで3枠消費する。
このカード自身は「テラナイト」であるため、同名カードを素材にすることはできない。
デッキによってはこのカードの素材にするためだけにステラナイトを採用しなければならなくなる。

ランクアップ先のモンスターを増やせば増やすほど状況への対応力は上がるがそれだけエクストラを圧迫するのである。


このカードの情報が出た時の評価は、強いという意見から、枠をとるから微妙という意見まで様々であった。
確かに上記の欠点はあるものの、このカードは状況によって柔軟に形を変える事のできる優秀なモンスターであろう。
2体でエクシーズ召喚できる初のテラナイトエクシーズという所も忘れてはならない。



追記・修正はX素材を7つ重ねてからお願いします













































ところで同パックで登場したこのカードを見てほしい。

サイバー・ドラゴン・インフィニティ
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/光属性/機械族/攻2100/守1600
機械族・光属性レベル6モンスター×3
「サイバー・ドラゴン・インフィニティ」は1ターンに1度、
自分フィールドの「サイバー・ドラゴン・ノヴァ」の上に重ねてX召喚する事もできる。
(1):このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×200アップする。
(2):1ターンに1度、フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターをこのカードの下に重ねてX素材とする。
(3):1ターンに1度、カードの効果が発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
その発動を無効にし破壊する。

優秀な除去能力もさることながら、なにより相手のほとんどの動きを牽制できる無効化効果を備えた、非常に強力な効果を持ったエクシーズモンスターである。
でもランク6のこのモンスターがプトレマイオスに何の関係があるのかって?
もう一度効果を見てみよう。

「サイバー・ドラゴン・インフィニティ」は1ターンに1度、
自分フィールドの「サイバー・ドラゴン・ノヴァ」の上に重ねてX召喚する事もできる。

そして「ノヴァ」のランクは5
つまり、このモンスターはプトレからエクシーズ召喚する事ができてしまうのである!

本来なら「ノヴァ」の素材の関係上、「インフィニティ」を出すためにはレベル5機械族を並べる手段が必要であり、
元々のサイバーの他に、先史遺産ギャラクシーといった一部のデッキでしか出せない専用カードの筈だった。
だがプトレによりあらゆるランク4デッキからこいつが召喚できてしまうのだ。

ノヴァを間に挟むためインフィニティを出すには3体以上のモンスターを素材にするか、次の自分のターンまで待たないといけないが、どちらにせよこんな強力なモンスターがレベル4を並べるだけで出せてしまう。

縛りが完全に無意味どころか無関係なデッキからポンポン出てくる。
このため、「ボチヤミサンタイ」や「サモサモキャットベルンベルン」に続く魔法の呪文
プトレノヴァインフィニティ」があちらこちらで唱えられた。

RR」「ゴゴゴ」「紋章獣」など、とにかくランク4が出せるデッキほぼ全てからプトレノヴァインフィニティ、
エクシーズを多用する必要がないはずのデッキである影霊衣からさえプトレノヴァインフィニティ、
果てはランク4エクシーズをほとんど採用しないデッキですらノーデンギミックを採用してまでプトレノヴァインフィニティ、
なんだこの遊戯王プトレノヴァインフィニティズ...。

ちなみにVジャンプ公式がホープゼアルOCG化発表の際にホープゼアルデッキのサンプルレシピを公開していたことがあったが、
ホープゼアルデッキにまでしれっとプトレノヴァインフィニティが混ざっていた。明らかに分かっててやってる。

なお、ここまで強くてもプトレノヴァインフィニティの採用率は環境デッキにおいてはトップ10に入るかどうかのレベルであった。プトレノヴァインフィニティすら通用しない魔境

……といっても、採用率が下がったのは、レベル4が大量に並ぶがエクストラデッキが本当にカツカツな某コンビに全然採用されなかったせいでしかなく、
枠を取りにくいプレアデスがノヴァインフィニティの代わりに入っただけでプトレ自体の採用率は1位であった。
てかトップ3はプトレ、プレアデス、ダイヤと、結局は全部プトレ関連。
あのデッキが無ければ余裕でノヴァとインフィニティもトップ10に入れていただろう。

「ノヴァ」と「インフィニティ」が目立つため、エンドフェイズまで持たなかった時の保険的な意味合いに見える「プレアデス」だが、
実際はプトレノヴァインフィニティに準ずるレベルで十分強い。
一発限りになったとしても優秀なフリーチェーンのバウンス+2500打点が残り、実質一回対象を取る除去を交わす状況から出てこれるため、素出しの素材2枚のプレアデスより厄介。
エンドフェイズまでプトレを変化させずに持ちこたえれば、素材2枚でこいつを出し相手のバックを相手のエンドフェイズと自分のターンで2枚バウンスしフィニッシュに持って行くこともできた。
つまりプトレノヴァインフィニティの最大の強みである「相手ターン中の妨害」性能に関してはほぼ同等クラスなのだ。
環境後期に「ノヴァ」と「インフィニティ」が採用されないことがあったのは「プレアデス」だけでも十分強かったということが認知されてきた面もある。

「クロスオーバー・ソウルズ」が発売され実際にプトレが使われ始めてからプトレの危険性は多くの決闘者に認識されるようになった。
前述の通り、このモンスターはフリーチェーンでランクアップできるのである。
相手の行動に合わせて「プレアデス」「ダイヤ」等々、様々に形を変え妨害したり、
対象をとらない除去に対しても「ティラス」になったりして逃げたり、プトレノヴァインフィニティしたり…

相手エンドフェイズからのノヴァインフィニティや素材2体プレアデスを阻止するために変身を強要させようとしても、
守備力が2600もあるため、下手なモンスターでは打点が届かない。
かといって、上級やエクストラのモンスターで除去を試みようものならそれこそ「プレアデス」になってバウンスされ、こちらが一方的に消耗させられてしまう。
ランク4には先攻でとりあえず出しておけるモンスターが少なかったが、プトレはとりあえず立てておいて安心できる程の妨害力を持っている。
切り返し力に異常に優れている代わりに制圧できるカードは「ショック・ルーラー」ぐらい、
と言うのがギリギリかろうじてランク4のバランスを保っていたというのに、これで完全にぶっ壊れたと言っても過言ではない。

さらに、原則として場に出るために1体のリリースが必要がある上級モンスターであるレベル5を並べるよりも、
展開補助カードがより豊富な下級モンスターであるレベル4を並べたほうがラクなのはもはやいうまでもない。
ついでに上述のようにプトレの効果には強力なエクシーズほど大抵あるべき素材の縛りすら関係ない。
アーティファクト」などのレベル5からランク5を出すデッキを使うよりも、ランク4デッキでプトレ使ったほうがいいじゃんとまで言われる始末。

このモンスターの登場によりランク5までもが実質ランク4に取り込まれたと言っていい。
ランク4と比べて出しにくい分、強力な性能を持つものが多いランク5エクシーズの力を好き放題に使えるこのモンスターの登場によりインフレが加速していたランク4デッキをさらに押し上げてしまった。

欠点としてエクストラ枠を圧迫すると書いたが、それは他のカードの採用枠が削られるということでもある。
空いた枠にピンポイントで役立つカードを入れるよりも、遥かに汎用性の高いプトレ用のカードを入れたほうがいいのは必然なわけで、
このカードはエクストラデッキの多様性を無くしていたのである。


対策手段は上で挙げたようにこのモンスターの効果に対して手札誘発等でチェーンをする事。
特に同パックの「幽鬼うさぎ」を使えばたとえ相手の先攻第一ターンであっても何も残さずに除去できる。
……が、積んだところで当然手札になければ意味がない。

一方、プトレはランク4。出せるデッキなら簡単にかつほぼ確実に先攻第一ターンに出せる。
下級のレベル4モンスターを2体並べるだけのリスクの少なさの割に、出される側は対処が難しく対処札を引くことができなければ莫大な負担を強いられてしまう。

一応多くのデッキで行える対策として、先に「プレアデス」を立てておけばノヴァやプトレの段階でプレアデスやインフィニティを出される前に処分できる。
……のだが、それはつまりプトレの最適メタはプトレといっても間違いではない。
カードゲームにおいて「○○メタは○○」と言うのは問題である。その○○がトップメタだと、環境は○○一色に染まってしまうからだ。正に当時のEMEm



さらには海外先行カードにこのようなモンスターがいた。

外神アザトート
エクシーズ・効果モンスター
ランク5/闇属性/悪魔族/攻2400/守 0
レベル5モンスター×3
このカードは自分フィールドの「外神」Xモンスターの上にこのカードを重ねてX召喚する事もできる。
このカードはX召喚の素材にできない。
(1):このカードがX召喚に成功したターン、相手はモンスターの効果を発動できない。
(2):このカードが融合・S・Xモンスターを全てX素材としている場合、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールドのカードを全て破壊する。

なんと相手のモンスター効果の一切の発動を封じてしまうのである。
X召喚に成功したターン、なので本来自分のターンにしか行えないのだが……
プトレの力を使えば相手ターンに出せてしまう。
プレアデスやインフィニティを出されるだけでも対処しづらいというのに、今度は最後の砦である手札誘発も含めたモンスター効果の完全封殺。
しかもこれを魔法宣言したルーラーと同時に並べられたら何もせずに死に去らせと書いてるのと同義である。こんな代物が与えられたらひとたまりもない。
そしてこのモンスターの来日がついに確定し、決闘者たちはSAN値を失うほどに震え上がった……





…が





2015年10月1日から適用のリミットレギュレーション
新禁止カード
星守の騎士 プトレマイオス
旧神ノーデン

そう、禁止になったのである。
あらゆるランク4デッキに入り、簡単に出てきて相手の行動を確認してから潰し、他のモンスターの価値を落としたこのカードが禁止にならない訳がなかったのだった。
一方、アザトートが来日したEXTRA PACK 2015は2015年9月19日に発売したため、極悪コンボは2週間と保たなかった。

なお、登場から禁止に至るまでの日数は229日
子征竜魔導書の神判197日に次ぐ記録。
ちなみにダーク・ダイブ・ボンバーは290日。DDBの頃は改定が半年おきだったことを念頭においても、恐ろしく早い規制を食らっている。

それでも7月の時点で規制しておくべきだったという声も多い。
一回はスルーされてるあたりもなんかデジャヴが。

余談だが「自身にパワーはないが、パワーカードへのアクセスが可能だから強い」という点ではかの「レスキューキャット」と似ているが、
あちらはシンクロ召喚の導入後に相対的に危険度が増した経緯があり、登場時点では凡百のカードの1枚に過ぎなかった。
これは調整ミスではなく、ルール拡張による弊害であり、膨大なカードプールを誇るゲームとしてはやむを得ない部分があった。

しかしこちらは上記サイバー・ドラゴン・インフィニティとあろうことか一緒のパックで登場している。
これはどう考えても併用前提のデザイン&タイミングではないだろうか…。

このカードやノーデンが禁止になったことによりランク4デッキはだいぶ落ち着いた……
ワケなんてなかったのだが。

結局ランク4が鳴りを潜めるようになるのは、【EM竜剣士】が大幅に規制された2016年4月の改訂以降であった。


それからインフレが進んで、プトレと大差ない妨害モンスターの跳梁跋扈や、当時からあまり変わっていないランク4の地位が相対的に落ちておりプトレまみれにはなりにくいこと、EX枠の圧迫が軽視できなくなってきたことから、カードパワー的には解禁もあり得なくはないと言われるようになってきた。
……とはいえ、こいつがいる限りランク5の開発に支障をきたすというかの融合の問題児と似たような問題が生じるため、やはり解禁はありそうでない1枚と思われた。

しかし、そんな予想を裏切りTCGでは2022/12/1にエラッタなしで禁止から一気に無制限まで緩和された。なおアザトートはとっくに禁止されているため安心である。
この事とテラナイトとセイクリッドの新規が出る事を受けてかOCGでも2023/1/1にエラッタなしで釈放が決定。
ただし、新規による展開力向上に伴ってターンスキップ効果の方も現実的になっているためか、無制限ではなく制限で留まる事となった。


追記・修正はプトレのターンスキップ効果を使ってからお願いします

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最終更新:2023年09月02日 08:35