絶望王(血界戦線)

登録日:2015/10/11 (日) 17:00:00
更新日:2024/03/12 Tue 15:03:47
所要時間:約 5 分で読めます





※この項目はアニメ『血界戦線』のネタバレが含まれます※






















「よお、元気か?相変わらずくだらねえことしてるなぁフェムト。俺だ、お前らのお友達」




「絶望王だよ」








◆概要

絶望王は血界戦線アニメ版のオリジナルキャラクター。cv釘宮理恵


初登場はアニメ4話。

ヘルサレムズ・ロットで知られる人類の領域をはるかに超えた魔術や能力を持つ存在の中でもとりわけ厄介な13人の魔人達「13王」の1人。

ただし絶望王には同じ13王の堕落王フェムトや偏執王アリギュラのように○○王の後に固有の名前を持たず、肉体も持たない。
フェムト曰く遠い昔(少なくともローマ時代)から今に至るまで人類を観測し続けてきた存在。ウォッチマン。
「絶望王」の他、「フォーレン」*1「悪魔」「ブルー」など数多くの名前を持つ。



現在はホワイトの双子の兄、ブラックの身体に憑依している。
ブラックの意識は消滅しているわけではないので二重人格のようなものと捉えても間違いではない。主人格は絶望王で彼からの人格の切り替えは自由。
絶望王が主になっているときは眼の色が赤に変わりメガネを外し、前髪をかき上げて青いロングコートを羽織る。

人格の切り替えによって自動で容姿は変更されないので彼の趣味なのだろう。





◆性格

傲岸不遜な性格であり、自分以外の存在をことごとく見下している節がある。
だがフェムトのように積極的に厄介ごとを起こすことはなく、ヘルサレムズ・ロットにおける騒動にも対しても興味は薄い。
曰く「異界出身者も人間も祭好きの馬鹿ばっかり」。
また意味がはっきりとしない詩的な表現を好み多用している。


一方でなにか強く希求する目的があるようで、そのためなら悪魔のように人の心を操り玩弄する。








◆本編の活躍

ブラックの身体を乗っ取ってから本編開始(レオナルド・ウォッチとホワイトの接触)までの3年間に何をしていたかは不明。
自らのある計画の為にレオの持つ神々の義眼に執着しており、レオがホワイト、ブラックと親交を深めていく裏で義眼を奪うために工作をはじめる。
そもそもホワイトが初対面でレオの名前を知っていた事から、絶望王によってレオとホワイトの出会いは仕組まれていたものと思われる。


フェムトを仲介にアリギュラに義眼の機能を奪う機械を作ってもらい、
(ゴツイ眼鏡のような形状でレオに装着させることで義眼の力を絶望王が使用できる)「終わり」に向けて舞台を整え始める。

ホワイトに対してはブラックから手を出すなと言われているにもかかわらず、
兄の身体を返す条件として彼女にとってただの友達と呼ぶには親しくなりすぎたレオから「眼を奪え」と命令し機械をレオに付けさせた。
義眼を使いヘルサレムズ・ロットを崩落から食い止めている6つの結界の位置を探り当て、その内1つを除く全ての結界を破壊。
ここに第2次崩落の幕が開けた。








絶望王の目的は大崩落の再現。
かつて魅了されたあの美しい眺めをもう一度見たい。崩落による瓦礫を積み上げた塔で崩れゆく街を見下ろしながら、彼はその胸の内を語る。
だが目的をほぼ完遂しても表情に喜びはなく、むしろまだ何かを待っているようで…?


クラウスが彼の前に駆け付け言葉を交わす中で絶望王の真意の一端を見抜かれ激昂。
戦闘を開始するも、圧倒的な力で瞬く間にクラウスを打倒する。






「お前、俺からこいつを取り返すっつったけどな。俺がこいつを選んだんじゃない」

「こいつが…俺を受け入れたんだよ、お前と同じような面をしてな」


「だから安心しろ お前がここでくたばっても きっと次のお前がお前を生かすさ」









おそらく絶望王は人の絶望に呼ばれて顕現する存在である。
挙げられた呼び名や、絶望王自身が例示した「シャイニング」等、人間が追い詰められて絶望した末に凶行に及ぶ場を扱った創作物になぞらえていることも考慮すると、人を狂気に陥れる絶望そのもの、人間界を外から観察する概念的な"悪魔"とでも言った存在らしい。

だが、当人は人間に対してただの嘲りで収まらない複雑な感情を持っているようで、クラウスが口にしたように絶望王自身は意識的にしろ無意識的にしろそこに光、希望を求めている。
人間が絶望の末に破滅するのを憑依して促し、観察する存在でありながら、そうした世界の在り様(自己?)にも絶望しており、その既存の世界の在り様を破壊させられる大崩落に魅了された。

それと同時に、絶望王自身がそうした絶望感に囚われているからこそ、絶望の中それに抗って光へと突き進む人間を望んでいる。
ゆえに「そういう人間」であるレオも義眼の用が済んでも殺すことはしなかった。否、できなかった。





満身創痍のクラウスを見下ろす絶望王の元に朝日を背に「次のお前」ことレオナルドが現れ、言葉をぶつける。



「そんなの、ぼくは嫌だ!!」





「…じゃあどうする 目ん玉使って、お前が俺を殺すのか」



「わからない、そうしたほうがいいのかもしれない

「でもぼくにはまだ、本当にそれが正しいのかどうかわからない」


「だから考え続けるよ 生きてる限り」




「今度君に会う時はもっと マシな答えが返せるように」





中に抑え込まれていたブラックがレオの咆哮に応え、その眼に義眼で今や人間の目には映らなくなってしまったホワイトを投射。
ブラックの意識が完全に表に現れ、絶望王は消滅。そして、兄妹の別れの時間がはじまった。







◆能力

ブラックのPSIをベースに自身の能力を混ぜて戦闘を行う。ブラックの身体のスペックの高さもあって戦闘能力は非常に高い。

  • 念動力
ブラックのPSIで作中では彼がメインで使用している能力。
絶望王が扱う場合加減が無くなり、作中では人体を停止させ強制的に動かす、爆散させる、
果ては無数の高層ビルを一度に軽々と浮遊させ、HLの街そのものをパネル式に組み替えて街の構造を組み替えるという離れ業を見せている。


  • テレポート
予備動作無しで使える空間跳躍。


  • 発火能力
物理破壊能力を持つ青白い炎を生み出す。
絶望王が本体と思われる姿で登場した際にも使用している為、彼自身の能力と思われる。






◆台詞集

  • いるところには腐るほどいる連中さ。ここの住人は50%が異形で20%が得体の知れないもの、25%が人間だが半分は訳アリだ。
残りの5%は…普通の目には見えないとにかくヤバい何かだよ。俺の名前を当ててみな お前はもう俺の名前を知ってるだろ?


  • いいや違うよ堕落王。終わらせるんだ、俺の大崩落を


  • そうか?誰でも一度は考えるだろう。今自分がしていることに意味があるのか、ないのか。報われる日は来るのか、来ないのか。
…そもそも、自分の存在は世界にどの程度影響を及ぼしているのか……いないのか


  • だいたい、俺の都合で好きにやれるんだったらとっくにやってるよ。けど、実際はそうじゃないってことは散々思い知らされてきたじゃないか。俺も、お前も。


  • アリギュラ~!正直無理だと思ってたぜ!はっははははは!


  • 俺の名前は――――。これからよろしくな。兄妹


  • お友達から目ん玉もらって来い。そしたら兄貴は返してやるよ…そういう約束だからな。
友達になりたい?無理だろ。寝ぼけた事抜かしてんじゃねえ、馬鹿かお前。これからてめえがやろうとしてること、本当にわかってんのか?
チップはたっぷり、カードは揃ってる、プレイヤーはお前、バンカーは俺だ。ゲームはとっくに動いてる。
賭けに乗った以上、勝負がつくまでは決して降りられない、お互いにな。さあ、俺の名前を言ってみろ


  • 嘘つくな。お前が祈りたいのはお前自身のために、だろ。この期に及んでまだ救われたがってんのかてめえは。傲慢ってもんだぜ、人間。


  • 全くお前の言う通りさ兄妹、いつかはみんな死ぬ。死よ、おお死よ!限りある命、人の定め、なんと儚きことか。
…しかし、俺はこうも思う。死は生者の特権だ。理を外れ、永久(とこしえ)に漂泊し続ける定め。なんと儚きことか。
死を忘れては生きられない。死に忘れられた俺という絶望は、せめて黄昏に、憧憬を抱いて眠れ


  • お前もツイてねえな義眼保有者。面倒なもん押し付けられた挙句、幽霊にまで取り憑かれてよ。
あいつは人間じゃない。心臓代わりの結界が今のあいつを生かしてる。死にかけのガキ救うために親が取った苦肉の策だ。
未練だよ、俺もお前もそれで生かされてる。あの時絶望していたのはお前だけじゃない、俺も同じさ。わかってくれるだろ、メアリ・マクベス。


  • よお。かぼちゃ頭ども、楽しんでるか?悪戯は?好調か?俺は絶望王。
今日はこの日のためにとっておきのショーを用意した、諸君にも演者の一人として大いに楽しんでもらいたい。演目は…そうだな、『悪魔を憐れむ歌』 


  • 3年前、ここで崩落に遭ったよ。…美しかった。己を構成する価値観や概念、全ての感情が覆されるような眺めだった。
この先に望みがあると確信させられる高揚があった……夢を見たんだ。ツイてなかったな、オレもこいつらも、あの術士二人もさ。


  • 俺にナンセンスが足りないだと?馬鹿言え、俺たちの存在自体、不条理そのものじゃねえか


  • 昔からたまにいるんだよなぁ、この手の種類の人間が……前に映画にもあっただろ?ガキが超能力を使うやつ。
『シャイニング』なんて呼びたくなる気持ちも、わからなくはないよなあ?


  • ゲームだよ、ヒーロー。アンタは俺から、俺を守り切るんだ……お得意の希望をな……!


  • 人間は悲しいな。愚かと呼ぶには、余りに無垢で一途だ。だから俺は、いつまで経ってもオマエ達に囚われたままなんだろうな……


  • うるせえ…寝てろ、ウィリ、アム……







◆余談

彼が吹いていた口笛はモーツァルト作曲のオペラ『魔笛』序曲。
『魔笛』はその劇中である登場人物の「善側(被害者)」と「悪側(加害者)」の立ち位置が入れ替わるが、それの意味するものとは…



実はブラックの身体から追い出された後も消えておらず、別の人間に憑依してHLに残留していることが示唆されている。
人が存在する限り悪魔もまた不滅ということだろうか









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最終更新:2024年03月12日 15:03

*1 おそらくアメリカ映画『悪魔を憐れむ歌』の原題『fallen』