ザラガス

登録日:2015/10/11(日) 16:51:07
更新日:2023/11/20 Mon 00:26:14
所要時間:約 8 分で読めます





ザラガスは『ウルトラマン』にて初登場した、ウルトラシリーズに登場する怪獣。
決して知名度の高い怪獣では無いが、その特異な能力でウルトラマンを苦しめた強豪怪獣の一体として名高い。




【スペック】

別名:変身怪獣
身長:40m
体重:2万t



【概要】

直立二足歩行の典型的な怪獣体型で、頑丈な体と頭から前方に向けて生えている角が特徴。
目はX線を放ち、爪は岩石も砕いてしまうほど頑丈で、鋼鉄の5千倍の強度の頭蓋骨を持つという典型的な地底怪獣タイプ。
角からの電撃光線や口からの炎など飛び道具も豊富で、展望台や電波塔を引っこ抜いて武器に使うなど知性も高い。


◆変身怪獣

しかし、上述の高い身体能力はほんの一端でしかなく、ザラガスの最大の特徴は、その異名にもなっている変身能力である。
とは言っても、世間一般が思う様な大胆な「変身」をする訳では無く、今風に言えば進化と言った方が正しい。*1
この能力は『トリガー』で登場した際に、ハッキリ「細胞変化によるパワーアップ」と説明された。

ザラガスは一度攻撃を受けると体質を変化させ、それらの攻撃への耐性を身につけてしまうため、二度とその攻撃が通用しなくなってしまうのである。
ここで言う「攻撃」とは実弾や化学兵器、さらにはウルトラマンの光線技まであらゆる攻撃に当てはまるため、後述の通り「耐性を付けられる前に一撃でザラガスを倒す方法が確立するまで攻撃中止」という異例の命令まで出されるほどだった。


更にある程度攻撃を受け続けて体質変化が完了すると、外部からの攻撃に適応・対応するため、外見まで変わる。
現在シリーズにて確認されているのは、以下の三形態である。

①第一形態

頭部や胸、背中が明らかに第二形態に取って付けたようなデザインの甲羅で覆われている。ただし耐久力はそこまで無く、動きも遅い。
頭部の甲羅で隠れている部分には、穴の開いた複数の突起物が存在する。
これらは「フラッシュ発射口」と言われ、6千万カンデラと言う凄まじい「ザラガスフラッシュ」を発射する事が可能で、ウルトラマンの視力すら奪うほど。
ただしこの形態では頭部からしか光を出せない。

なお、実際にここまで凄まじい光(6千万カンデラは車のライトの300倍以上の明るさ)が放たれると、失明どころか対象が発火する恐れもある。

②第二形態

赤い煙と共に体の各部にあった甲羅が剥がれ、中から穴の開いた大量の突起物が露わになる。(集合体恐怖症の人はあまり直視しない方が良いかも……)
これにより、頭部だけでなく胸や背中からも光を出せるようになった。

ザラガスの本気モードのような形態で最も出番も多く、ソフビやフィギュアではこの姿が商品化される事が多い。

③第三形態

フラッシュ発射口が無数の長いに変貌し、さながらハリネズミやヤマアラシのような外見になった姿。
放電能力を身につけており、相手に直接突き刺して電気を流しこんだり、棘からの光を収束した破壊光線を発射する事も可能。

『ウルトラマンギンガ』にて初登場した第三形態であるが、「全身から棘を生やす」というアイデア自体は『ウルトラマン』の初期脚本の時点で構想済みだったらしい。放送から実に45年以上経ってからの没ネタの流用である。


弱点

一方、他の怪獣のように無尽蔵に強くなり続けるという訳ではなく、ザラガスにはいくつかの弱点も確認されている。

①耐性を身につける際に一時的に無防備になってしまうため、その隙を突かれると倒されてしまう。
②頑丈な頭蓋骨で守られた脳への直接ダメージには弱い。
③対処しきれないほどの攻撃には抵抗できず倒されてしまう。

非常に厄介な能力を持つ怪獣だが、方法さえ間違えなければ十分に対処可能な怪獣なのかもしれない。


これ程までの超能力を併せ持つザラガスだが、実は地球怪獣なのか宇宙怪獣なのかどうかは劇中ではハッキリと明言されていない。
『ウルトラマン』では赤い煙と共に地上に姿を表すという地底怪獣にしては不自然な登場をし、『ウルトラ銀河伝説』では隕石のように空から降ってくるなど、戦闘以外の生態には謎が多い。
一応、後述する『多々良島ふたたび』では「地球怪獣を改造した生物兵器」という立ち位置になっている。



【活躍】

ウルトラマン

第36話「射つな!アラシ」にて登場。

各地で人々を失明させていた謎の発光現象の犯人。最初は姿を現さなかったが、突然の赤い煙と共に地底から姿を現した。当初は児童会館の前で体育座りして居眠りをしていた。

最初は科学特捜隊(科特隊)のビートル相手に苦戦し、「ウルトラ十文字作戦」で一度は倒されたかに見えたが、
口からの赤い煙と共に甲羅が剥がれ「第二形態」にパワーアップを遂げた。
体質変化はもちろん凶暴さも増しており、町の人たちはおろか科特隊の隊員たちまで次々に失明に追いやってしまう。
そしてとうとう一撃で倒す方法が無い限り攻撃中止と言う命令が下る事態にまでなってしまった。

しかし児童会館を襲った際、子供たちや仲間を守るためとは言え焦ってしまった科特隊のアラシ隊員が、
イデ隊員の新兵器「QXガン」を発射してしまう。

相手の脳細胞を破壊してしまうと言う凄まじい能力を持つ兵器だが、
倒されるどころか逆にそのせいでザラガスはQXガンへの耐性を身に付けるという結果になってしまう。
アラシ隊員はこの責任を問われ、謹慎処分を科せられてしまった。

しかし、ザラガスが再び現れたという報告を受け、責任を感じたアラシ隊員は無断でビートルに乗って出撃。
閃光に巻き込まれて墜落しそうになった所を、駆け付けたハヤタ隊員=ウルトラマンに助けられた。

ザラガス対ウルトラマンの戦いは最初五分五分の戦いだったが、
背中にのしかかったウルトラマンに向けてザラガスはフラッシュ発射口からザラガスフラッシュを発射。
目が眩んだウルトラマンは視力を奪われ、苦戦を強いられてしまう。

しかし、何とか態勢を立て直したアラシ隊員がビートルでザラガスに急接近し、口の中にQXガンを発射した。
流石のザラガスも体内からへ直接ダメージを受けられるとどうにも出来ず、怯んだ隙をついたウルトラマンのスペシウム光線の前に敗れ去った。

そしてこの時の功績が認められ、アラシ隊員も謹慎処分を解かれる事となったのであった。


着ぐるみはゴモラの改造品。
この改造のせいで次話『小さな英雄』にゴモラの再登場が出来なくなってしまい、代わりにテレスドンが登場する事となった。
体中のフラッシュ発射口はボール紙を丸めて切り、塗装したものである。

なお、本編でスペシウム光線で倒された怪獣はザラガスが最後である。



多々良島ふたたび

『S-Fマガジン』に掲載された、上記の作品の前日談という形式で書かれた作品。

かつてガラモンを地球に送り込んだ「チルソニア遊星人」(セミ人間)によって改造を施された地球出身の怪獣。
元から再生能力に優れていたが、それをさらに改造し、外部からの攻撃に対して耐性を持つよう「変身」する体質を身につけた。

黒幕のチルソニア遊星人は倒されたが、多々良島からのザラガスの転送は止められず……。


大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

実に42年振りの再登場。今回は第二形態のみ。

スペースペンドラゴンが立ち寄った惑星デントに突如出現し、
レイ隊員の相棒であるゴモラと対決。

一時は得意の閃光でゴモラの眼を眩ませたが、スペースペンドラゴンからの援護射撃をもろに浴び、
体質変化で耐性をつけようとした一瞬の隙を突いたゴモラの必殺技・超振動波(ゼロシュート)の前に敗れ去ってしまった。 
口からの炎を使用したのはこの個体のみである。

また初代ザラガスのザラガスフラッシュは、相手を数時間も失明させるほどの威力があったが、
この作品以降に登場するザラガスのザラガスフラッシュは、一時的な目くらまし程度の威力しか発揮していない。

着ぐるみはかつてと同様、『ウルトラマンマックス』から『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』までゴモラとして、『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトルNEO』ではゴモラ(レイオニックバースト)として使用されたゴモラのスーツの改造品。
つまり「改造元」と「改造後」と言う、ある意味夢の戦いが実現した。

また、終盤に登場したベリュドラの体のパーツとしても登場。左角を構成する怪獣たちに混ざっている。 


『ウルトラマンギンガ』

第10話「奪われたギンガスパーク」にて登場。今回は第二形態の他、第一、更に本邦初公開の第三形態も登場。


『イチノタニ建設』の完璧主義者で神経質な建築デザイナー「桑原伸吾」がダークライブさせられた姿。正式名称は『ザラガス(SD)』。
礼堂ヒカルウルトラマンギンガや怪獣に変身(ウルトライブ)できるアイテム「ギンガスパーク」を狙ったナックル星人グレイが、次元の歪みに閉じ込められて途方に暮れる彼を誘惑、ヒカルの元からギンガスパークを盗ませた。
だが何故かグレイは触れる事すら出来ず、その腹いせに桑原をザラガスに変身させてしまった。

最初は第一形態で登場し、タロウの念力も通用しなかったが、ヒカルを守るべくレッドキングにウルトライブした幼馴染の石動美鈴が登場。
強靭な尻尾で吹っ飛ばされるも、その直後に甲羅を外した第二形態に変化した事で形勢逆転、一気に追い詰める。

しかし、そこに友人の助けで無事ギンガスパークを取り戻したヒカルがウルトラマンギンガに変身、二対一の戦いになった。

だが、ザラガスの変身はこれで終わらず、戦いの中で「第三形態」を披露。
体中に生えた棘を突き刺し、そこから電撃を流してレッドキング=美鈴を戦線離脱させてしまった。

相手の攻撃を吸収し、さらに強くなる!僕は完璧だぁぁぁっ!

さらにギンガに対しても破壊光線をぶちかますが、ザラガスの変身能力をギンガの力は超えていた。

どんなに強くなろうが、ギンガはその上をいくぜ!

最期は「ギンガクロスシュート」を受けて敗北、元の桑原の姿に戻った。


ウルトラマンX


ゆけ、ザラガス!

第12話「虹の行く先」に登場。今回も第二形態のみの出番。

『ウルトラマンX』の宇宙に来襲した幻影宇宙女王ギナ・スペクターが、手持ちのスパークドールズを実体化。
Xioのアスナ隊員の脳波コントロールの元でリアライズしたサイバーゴモラと大怪獣バトルを繰り広げた。

互いに体をぶつけ合う互角の肉弾戦を繰り広げる中、フラッシュ発射口から得意のザラガスフラッシュで優位に立つも、最期はサイバー超振動波でスパークドールズに戻された。

この回は『ウルトラ銀河伝説』も手掛けた坂本浩一監督が手掛けており、ザラガス対サイバーゴモラの戦いも上記の「ザラガス対ゴモラ」のセルフオマージュとなっている。


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA



なんで急に!?

活性化しているエタニティコアに怪獣達が反応しているのか……!?


第10話「揺れるココロ」に登場。久方ぶりに三形態全ての出番が用意されている。

物語開始の数週間程前からクワハラシティの地下で眠っている事をGUTS-SELECTに察知されており、彼方よりその存在を警戒されていた。
本来ならばそのまま休眠状態でじっとしていたのだが、ダーゴンのユナに対しての感情が分からずイラついて起こした地震レベルの地団駄の衝撃に驚いて覚醒、地上へと姿を現してしまう。

目を覚ましてクワハラシティで暴れ回るザラガスに対しガッツファルコンとウルトラマントリガーは果敢に立ち向かうが、
やがてザラガスはトリガーのトリガーハンドスラッシュを受けて第二形態に、アキトの放つGUTSスパークレンスの攻撃を受けて第三形態へと変身。広範囲に電撃を撒き散らして次第に手が付けられなくなっていく。

だが、その変身能力を「細胞変化によるもの」と即座に見抜いたアキトの助言を受けたヒマリにより、ガッツファルコンからザラガスへ向けて液体窒素を散布される。
結果、ザラガスの細胞は冷却されたことで変身能力が封じられただけでなく、第三形態から第二形態に退化するという状態にまでパワーダウン。
やがてパワータイプへとタイプチェンジしたトリガーに一方的に攻撃されるも、トリガーは誤ってアキトとユナが居る方角へザラガスをアッパーカットで押し倒してしまう。
しかし、2人を守るために人間大でありながら指一本でザラガスの全身を受け止めたダーゴンによって投げ返され、その隙を突く形でデラシウム光流で一気に撃破された。


……とまあ、今回のザラガスは何もしなければ静かに地底で眠っていたのだが、ダーゴンの地団駄で無理矢理叩き起こされた挙句、いざ目覚めたらいつの間やら爆殺されるという、どちらかといえば被害者に近い立ち位置だった。
しかも、GUTS-SELETの面々からは「エタニティコアの影響で目覚めた」と一方的に勘違いされる始末である。

今回『ギンガ』以来久々の第一形態と第三形態の登場となったが、『ギンガ』で使われた第三形態の棘のパーツは喪失されていたため、今回はCG合成による光り輝くエフェクトとして表現された。
また、アクションは難無くこなしていたものの、『ウルトラ銀河伝説』の頃から使い回されている撮影用スーツは経年劣化がかなり進行しており、
口部分の可動メカが今回は搭載されていないため、終始口がパカパカと開いていて危なげない状態であった。
辻本監督は「上手く殴られている芝居になっていて結果オーライでした」としているが。



【余談】

  • 映画『新世紀ウルトラマン伝説』では主人公親子が紙飛行機に乗って冒険した最初の世界に登場。映像は初代マンの流用。

  • 2015年7月にYouTubeの円谷公式サイトにアップされた動画『ULTRAMAN n/a』でウルトラマンに似た巨人と戦っている怪獣のモチーフはザラガスである。

  • 東宝映画『メカゴジラの逆襲』に登場した恐竜の解剖図の中に何故かザラガスが混ざっている。
    ゴモラと同様にザラガスも恐竜の一種なのだろうか?


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最終更新:2023年11月20日 00:26

*1 ただし企画段階では第一形態は四足歩行、第二形態は二足歩行……と言ったスタイルの変化が構想されていた。