亜人ちゃんは語りたい

登録日:2015/10/10 Sat 18:25:33
更新日:2024/01/10 Wed 22:04:36
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『亜人(デミ)ちゃんは語りたい』とは、漫画家ペトス氏のコミックス作品。
『ヤングマガジンサード』(講談社)にて連載していた。全11巻。
また、2017年1月から3月までアニメが放送されていた。


目次



~概要~


バンパイアやデュラハンといった亜人が少数ながら実在する世界で、
亜人に強い興味を持つ生物教師のおっさんが個性豊かな亜人達と触れ合っていく物語。

モンスター娘や人外等ではなく亜人と呼称するように、今のところぱっと見て人外だと分かる要素を持つ人物はいない。最大でも首が取れてるくらい。
こういった作品だと異種族間での軋轢や実現困難な恋愛、はたまたエロースな方面等、少々尖った作風になりがちだが、
本作はほどほどにシリアスな面を混じえつつ、等身大の亜人達を基本コメディ調で描いていく。
“ほどほど”という表現が良く似合う作風。

亜人(あじん)という呼び方は「可愛くない」とか「古臭い」という理由から、
巷や女子高生の間では「亜人(デミ)」という呼称が使われ始めている。

アニメは前述の通り2017年1月から放送されているが、偶然にも前クールでシリアスな方の『亜人』のアニメが放送されていたため、
同作と関係があるのか、と勘違いした視聴者もいた様子。
もちろん作風等は正反対だが、時折『亜人』の劇場版のCMが放送されるため、そのギャップで笑わされる視聴者もいる模様。
ちなみに、アニメではバンパイアのひかりが『彼岸島』を笑い転げながら読んでいたりしている。

外伝作品に『オカルトちゃんは語れない』がある。こちらも同じくヤンマガサード連載されていた。全9巻。


~用語~


  • 亜人(デミ)
普通の人間とは異なった体質や身体的・精神的特徴を持つ者達のこと。
昔から存在は認知されており、世界各国の童話・神話・お伽話などのモデルになっている。
迫害の歴史もあったが現代においては(表向き)差別はなくなっており国から生活保障制度等の特別援助を受けることも可能。
絶対数自体がごくごく少数であるため生涯で一度会えたらラッキー程度の認識だが、何故か作中の舞台である芝崎高等学校には4人もの亜人が一堂に会した。
突然変異的に発現するため血筋はさほど関係なく、例え両親や兄弟姉妹であっても同じく亜人であるとは限らない。
また、同じ種類の亜人でも性質の強さには個人差がある模様。


~登場人物~


  • 高橋 鉄男/生物教師
遠慮はいらんぞ
存分に語ってくれ
本作の主人公。無精髭にボサボサのツンツンヘアー、ジャージ登校で校内では着崩した白衣といった外観。
大学では生理学を専攻し、強い興味を持っていた亜人についての研究
(といっても亜人に聞き取り調査をする程度)を卒論としたかったが、
非常にデリケートな問題なため、学生という立場を理由に却下された過去がある。
以来は亜人と会うのは半ば諦めていたが、何の因果か赴任して4年目の高校で4人もの亜人と遭う。
以降は彼女達と触れ合うことで知的欲求を満たしつつ、先生として彼女達の良き理解者であろうと努める。

基本的にはボーッとした顔でラフな格好が似合う青年だが、教師として、大人として考えは非常にしっかりしており、
生徒の立場に立って悩みを聞いて話し合ったり、積極的に仲を取り持ったり仲裁しようとする人格者。
人との距離感が絶妙で、作中でも公認の天然タラシ。
割と生徒を小突いたりもし、抱きしめるくらいはフツーにやってのけるボディランゲージ上級者。

一方で科学者らしく知識欲・好奇心の強い面があり、(デリカシー的な意味で)踏み込んだ発言をしたり、悩みを解決した成り行きとはいえ女生徒の「冷や汗」を持ち帰って研究しようとするなど色々遠慮ないところも。
亜人については聞いた話を記録・整理したり伝承・文献を読み耽る等して情報を集め、それらをまとめて考察を行うなど研究に余念がなく、周囲からも亜人に詳しい人と見なされている。


CV:本渡楓
底抜けに明るいバンパイアっ子。少し鋭い牙と日本人らしからぬ金髪を持つ。名前の由来も白い肌と髪の色から。
角っぽい髪型をしているがセットしているだけ。妹曰く「狂おしいほど時間がかかる」そうな。
好物はレバーとトマトジュース。

バンパイアではあるが尊大というわけでも気品に溢れているわけでもツンデレというわけでもない、テンション高めのアホの子明るい子。
人懐っこい性格でスキンシップを好み、それは知り合って間もない相手であっても変わらない。成績は低めで赤点を取ることもあるとか。
見た目は割と美少女の範疇なのだが、その気さくさ(とアホの子っぽさ)が災いし、クラスの男子には異性としては見られていない。
基本的にノリと勢いで行動しているが友人想いなところもあり、友達と一緒の時は相手のことを思いやった行動も取る。
コミニュケーション能力の高さ故か、相手が忌避することを敏感に察して言動を変えるなど、印象に反して気を遣える子でもある。
恋愛知識は豊富だが恋愛経験はほとんどなく、他人の色恋沙汰にはノリノリだが自分のことになると照れ始める。

また、ひまりと『うしろめたさが残るようなことはしない』と約束しており、例え無関係でもそのような行為を見聞きすると注意する。



  • 町 京子/デュラハン
CV:篠田みなみ
頭が取れる系乙女女子。短髪でボーイッシュだがスタイルは抜群。胸もある。
ただし常に頭を持ち歩いているせいか腕はやや筋肉質。
短髪なのも頭を持ちやすくするため。

頭が取れるとは言うが、実際には首がないために頭を本来の位置に固定できない、頭が取れっぱなし系女子というのが正しい(?)。
明るく素直な性格の持ち主で、成績も学年上位の優等生。ユーモアもあり、自分の体質をネタにした冗談などもよく言う。

しかし、デュラハン故の見た目のインパクトや、元々デュラハンそのものが世界でも希少(確認されている限りでは全世界に彼女を含めて3人だけ)なので他者から距離を置かれがちで、人間関係が構築しづらいという悩みを持っていた。
現在は高橋先生のアドバイスや、同じ亜人であるひかりや雪との交流もあり、段々とクラスに溶け込めていっている。
また、そのことをきっかけに高橋先生に好意を抱いたため、彼が関わると乙女な反応を見せることも。

自身の性質を知る中で物理学に興味を持ち、高橋の母校にして相馬が助教を務める武蔵野理科大への進学を考えている。



  • 日下部 雪/雪女
CV:夏川椎菜
おかっぱ頭で色白な肌と儚げな雰囲気を纏っている雪国出身の女の子。胸のサイズは町ほどではないが中々。
顔についても同性からもかわいいと言われる美少女で、学校の成績は中の上。

入学当初は他者との接触を極端に避けていたが、それは過去の経験から『雪女の体質が他人に害を与えるのではないか』と思っていたため。
その態度が原因で誤解が生まれ孤立していたが、鉄男の検証で『雪女の体質は他人を傷つけるようなものではない』と判明したことで呪縛が解け、人前でも素直な感情表現を見せるようになった。
ひかりや京子と親友になり、陰口を叩いていた女生徒とも直に話し合って仲良くなるなど今ではすっかり馴染んでいる。
なお、実はくだらないギャグでも笑うほど笑いの沸点が低く、それゆえにギャグ漫画が好きという一面もある。下ネタもある程度いけるクチ。




CV:日笠陽子
数学を担当している若手の先生。サキュバスの亜人だが、外見や身体能力は普通の人間と変わらない。
一見地味だがその実同性からも「化粧をすればいいのに」と残念がられるほどの美女で、巨乳のうえスタイルも良い。ぶっちゃけ亜人の能力抜きでも色気たっぷりである。

サキュバスではあるが本人の性欲は普通の人間と変わらず、それも後述の体質ゆえに抑えて生活している。
柔道の心得があり、実は強い。

生徒のことを自然に思いやれる良い先生であり、年が近いということもあってか生徒からは親しまれている。
その体質から特有の悩みを持ちやすい亜人の生徒からしても、同じ亜人ということで相談しやすい先生であるようだ。
教師の中では唯一ひかりから「サッキー」というあだ名で呼ばれている。

自分が偶然触れても催淫されなかった(正確には必死で抑えていた)鉄男にときめいたことをきっかけに彼に好意を持つようになるが立場や体質故の遠慮もあり、一向に関係が発展する様子は見られなかった。
しかし宇垣登場前後から彼の後押しも手伝って物語が進むごとに関係が進展し始め、両片想い状態にまで発展。さらにデートを重ねた結果、鉄男からの告白により遂に恋人として結ばれた。
その後は何故か恋人関係においてマウントを取りたいという欲求に駆られており、サキュバスの性質を悪用利用して篭絡しようと画策している。
その後作者がSNSに公開したおまけ漫画で、無事初体験までできた事が発覚。ただし鉄男は絞られたようで虚脱状態になっていた。


  • 小鳥遊 ひまり/ひかりの妹
CV:Lynn
ひかりの双子の妹。姉と違って普通の人間だが、血はきちんと繋がっている。
双子故に顔はそっくりだが、姉と違って金髪ではない。*2

ひかりとは正反対の生真面目な性格で、成績優秀な優等生。
色々とだらしない姉には遠慮なく説教を浴びせたり、時には肉体言語も含めた喧嘩をすることもあるが、
それは姉も自分と変わらない『人間』であると理解している証拠。
あまり表に出すことはないが誰よりも姉に気を配っている姉想いの妹さんであり、ひかりもそのことを理解しているためにひまりを『自慢の妹』と言ってはばからない、とても仲の良い姉妹。
仲が良いだけ無防備な姉を心配しており、ひかりが「センセーとハグした」「パンツ見られた」等と言うたびに鉄男に詰め寄っている。

ちなみに性格は正反対だが、夕飯のおかずのリクエストを訊かれてひかりと同じメニューをまったく同じタイミングで挙げる等、
双子なこともあってか姉と息の合った行動を無意識に取ることも。

ひかりのバンパイア故の体質も幼い頃からずっと一緒にいるためによく知っており、彼女の歯が疼いた時には黙って腕をガジガジさせてやったり、吸血鬼の体質もあって朝に弱い姉を起こしてやったりしている。


  • 佐竹 祐介/男子
CV:小林祐介
モブ以上メイン以下の小柄な男子。ひかりのクラスメイト。
「イイと思う異性」に町や佐藤先生を挙げたりするなど思春期で青春真っ盛り。
少しチャラチャラとした印象を受けかねない言動だが、雪が倒れた際には担架で運ぶのを手伝ったり、
ひかりとわいわいやったり、雪を遊びに誘う等、何気に亜人達に対しても物怖じせず偏見を持っていない。
雪が気になっているらしく、一度は誘いを断られた雪から遊びに誘われ文字通り飛び上がって喜ぶ純情。
なお、ひかりとよく話しているようだが実はかなりの期間名前を覚えられていなかった。ひかりから「サタッケー」というあだ名を拝領したのもかなり後になってから。


  • 太田 淳一/男子
CV:柳田淳一
よく佐竹とつるんでいる。背が高い。影が薄い。
優しそうな雰囲気だが、佐竹のアレな言動に対して時に辛辣なツッコミをするため、言うことは言うタイプと思われる。


  • 井森 敦美/女子
  • 木村 静香/女子
CV:種﨑敦美(井森)/石上静香(木村)
元・陰口コンビ。ロングヘアのほうが井森。ショートヘアのほうが木村。
二人でひそひそ陰口を叩く常習犯だった(=誰かに陰口を聞かれることが多かったということでもある)。
雪の陰口を叩いた際、ひかりの堂々とした抗議や雪の誠意がこもった謝罪である程度改心したらしく、ひかりや町達と混ざって遊びに出かけている姿が描かれている。
陰口自体は自身の劣等感を誤魔化すためのもので標的は誰でもよかったらしい。
非難に対して当初は開き直りもしたが、ひかりの抗議を頭ごなしに聞き流したりはせず、聞き入れた上で反論したり「納得は出来ないけど」と前置きした上で「なんか……すごいって思ったよ……」と告げるなど、根はそう悪くない模様。同時に雪へもちゃんと謝罪をしており、彼女とはその後友人関係を築いている。
以後は亜人ちゃんたちとの付き合い方や鉄男の立場について考えを巡らせるようになるなど、少しずつ成長しているようである。

なお、原作ではこの4人は名字でしか呼ばれていなかったが、アニメ版のキャストクレジットにて下の名前も判明した。
見ての通り、演じる声優の名義からそれぞれ取られている。


  • 宇垣/刑事
CV:津田健次郎
早紀絵の友人で、亜人課の刑事。
早紀絵がまだ学生の時に出会い、今では父親のように接している。「実の父親より父親らしいことをしてくれる」とは早紀絵の弁。

亜人課は亜人が関係する事件を担当しているが、亜人の絶対数の少なさや亜人に対して世間が寛容になったこともあって普段は亜人と関係ない仕事をしているらしい。
仕事柄に加えて亜人の関係する事件のうち大多数がサキュバスがらみということもあり、管轄区域内のサキュバスたちと接点が多い模様。


  • クルツ/刑事
CV:雨宮天
小柄で少年のような容姿を持つ刑事。亜人課で宇垣の後輩。
早紀絵がよからぬ衝動に駆られるほどのドイツ系金髪美男子。まだ新米らしく嘘がつけないが、外見に似合わず格闘術に長ける。
一応成人しているため飲酒は可能だが、あまり強くは無い模様。

男性の夢魔「インキュバス」の亜人であり、早紀絵に触れても催淫されず、平静を保っていられる。宇垣いわく「対サキュバス用決戦兵器」とのこと。
ただし性質の強さは最低ランクに近く、常人とはせいぜいサキュバスから催淫されない程度の違いしかない模様。


  • 相馬/大学教授
鉄男の大学時代の友人で、現在は母校である武蔵野理科大学の助教授。専門は物理学。
表情が変わらず、常に笑顔。鉄男いわく「天才肌の変わり者」。
思考を巡らせる際に無言で固まる癖があり(勿論顔も笑顔のまま)、周囲を時が止まったような錯覚に陥らせる。

物理学の観点からデュラハンの謎に迫り、鉄男と京子に「デュラハンは物理の可能性そのもの」と説いた。
『オカルトちゃん』では亜人の性質に科学的な観点から迫るアドバイザーとして八面六臂の活躍を見せる。


  • 高橋 陽子/霊能者
武蔵野理科大学1年生。相馬の教え子であり、鉄男の姪っ子*3。『オカルトちゃん』では主役を務める。
高橋家の遺伝なのか目つきなどがそっくりであり、相馬も鉄男との関係性を知る前から既視感を覚えていた模様。
そんな容姿なので美少女でこそないが、意外にスタイルはいい。

ある日ひとり暮らししていたアパートに座敷童子(ざしこ)が現れた事で彼女との共同生活を送ることになり困惑するも、紆余曲折を経て現在では強い絆で結ばている。
鉄男にざしこの事を話した事がきっかけで自身も「普通の人間より多くの空間の事象を観測できる亜人」=霊能者である事を知り、以降『オカルトちゃん』では「隙間女」や「メリーさん」など数々の亜人絡みの事件に巻き込まれている。

ざしこの世話をしているため、女子大生にしては割と所帯染みている。

  • ざしこ/座敷童子
陽子の部屋に住み着いている座敷童子の少女。見た目も性格も幼児そのものだが年齢不詳。
正体は「存在そのものが異空間に存在する亜人」で、陽子や異空間絡みの性質を持つ一部の亜人以外には姿を見る事ができない。
一応物体の移動など起こした事象自体は第三者にも観測可能だが、陽子が近くにいる場合は無意識的に異空間を隠そうとする彼女が動きを代行してしまう。*4
また、無理やり部屋から出そうとすると瞬間移動して部屋の中に戻る。

相手の瞳の色から感情が分かる
沖縄在住の高校2年生。
褐色の肌と横にトンガった髪型、性質を抑えるための丸メガネ型サングラスが特徴。
斜に構えた性格で、他人をからかったりするのが好き。若干の中二病(「邪気眼」ではなく本来の意味に近い方)も入っており、窓際に腰掛ける癖がある。
「目の色で感情が分かる」という奇妙な性質のために周囲と壁を感じており、奇跡的なほどに亜人が集まった芝崎高校に短期留学してきた。
高橋の推測によれば非常に性質の強いタイプであり、伝承に無い能力があるのもそのため(=伝承に残るキジムナーよりさらに性質が強い)。


  • 八千草 妙子/保健医
クールな保健室の先生…なのだが、亜人が一日に複数人保健室に運ばれてきた時は流石に動揺した。

  • 五十嵐純
エピローグに登場した亜人。どことなく陰気で引っ込み思案な性格の女の子。陽キャのオーラが苦手。
登場自体が終了間際というのもあり何の亜人なのかが不明のまま終了した。

~余談~

  • 亜人には作中登場する以外にも「透明人間」などの種類が存在するらしく、インターネット上の企画で考案されたものが単行本の巻末などに登場している。



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最終更新:2024年01月10日 22:04

*1 例として、学生時代の佐紀絵に関節技をかけられた男子生徒は恍惚の表情を浮かべ「やめないで!もっと痛くして!!」と叫んでいた。

*2 地毛は黒髪だが、姉に合わせて少し脱色している。

*3 鉄男の兄の娘にあたる。

*4 京子の首が皮膚で塞がって見えるのと原理はほぼ同じ。ちなみに陽子自身にはキチンとざしこが動いているように見える。