マッドマックス 怒りのデス・ロード

登録日:2015/08/23 (日) 13:59:19
更新日:2024/03/31 Sun 13:45:04
所要時間:約 18 分で読めます






WHAT A LOVELY DAY.

お前のMADが目を覚ます






概要

『マッドマックス 怒りのデス・ロード(MAD MAX:FURY ROAD)』は、2015年に公開されたオーストラリアとアメリカの合作映画。
全米公開日は2015年5月15日、日本公開日は2015年6月20日。
ジョージ・ミラー監督のカーアクション映画『マッドマックス』のシリーズ第4作であり、第3作『サンダードーム』に続く30年ぶりの続編。

度を越えたカーアクションで映画ファンを虜にした1作目、
設定を大幅に変更しそのヒャッハー的ネジがぶっ飛んだ世界観で多くの分野に多大な影響を与えた2作目、
ジュブナイルファンタジー調に路線変更した3作目に続く4作目として、多くのシリーズファンから期待を寄せられていた。

――そして公開された本作は、そんな前評判を遥かに上回る作品だった。

上映時間の7割近くを占める、最新鋭の映像技術とスタントが可能にした前3作を凌駕するカーアクション。
狂気を全開にしたとしか思えない世界観、敵組織、車のデザイン。
そして、その中に隠されたシンプルかつ巧妙な脚本と綿密に計算されたカット構成。
これらのテンションを高める要素が絶妙なバランスで組み合わさり、圧倒的多数の映画ファンの心を鷲掴みにし、リピーターが続出。
この熱狂は公開されて数ヶ月が経っても衰えておらず、IMAX爆音上映・4DX上映の人気やTwitterでの盛況っぷりがそれを大いに示している。
キネマ旬報・映画秘宝などの主要映画雑誌の年間ランキング1位を総なめにした(読者層にシリーズファンが多い映画秘宝では2位『キングスマン』と300点ほどの点差をつけたぶっちぎりぶりであった)。
更にアメリカの各映画賞のノミネート・受賞を多数記録し、アカデミー賞には作品賞・監督賞など10部門にノミネートされ、全ノミネート作品の中で最多となる6部門受賞を達成。アクション映画が賞レースに加わるのは異例であり、マッドマックスシリーズのアカデミー賞ノミネート・受賞も初である。
受賞・ノミネートを記念して、全国でリバイバル上映が行われた。

R15+指定ではあるが、残酷描写は意外と控えめで、ストーリーも前3作とは明確には繋がっていないため、シリーズに初めて触れる人でもとっつきやすい。
このあたりも若い世代や女性観客の支持を集めることに成功した要因と言えるだろう。

当初は2005年の公開に向けて、2000年代前半から準備が進められていたものの、リーマンショックによる恐慌の資金難、テロによる国際情勢の悪化、
荒野の緑化(後述)、これまでのシリーズで主演だったメル・ギブソンの降板などトラブルが続発し、10年近くも公開が遅れてしまった。

監督はシリーズ全作を担当したジョージ・ミラー。
御年70歳にもなるベテランで、『サンダードーム』以降は『ベイブ』のような子供向け映画を手がけたこともあったが、
30年ぶりの『マッドマックス』最新作にもパワーを緩めるどころか、よりパワーアップしてカムバックした。

マックス役はメル・ギブソンから『ダークナイト ライジング』でベインを演じたトム・ハーディに変更。
もう一人の主役とも言えるヒロイン・フュリオサ役にはシャーリーズ・セロン。
どちらかというと劇中ではフュリオサの方が役割としては大きいが、もちろんマックスもただいるだけというわけではない。
数々の活躍や助言で存在感を発揮し、その精悍さから来る頼もしさで十分に主役としての役目を果たしている。

本作のスピンオフとしてフュリオサの若き頃を描く『マッドマックス:フュリオサ』が2024年5月に公開される。主演はシャーリーズ・セロンに代わり新たにアニャ・テイラー=ジョイが演じ、『マイティ・ソー』シリーズでお馴染みのクリス・ヘムズワースも悪役として出演する。

物語

世界的核戦争から45年。
石油は底をつき、大地は荒れ果て、人々は理性を失い、文明は崩壊し、世は無秩序の魔境と化していた。

残り少ない水や食料、燃料を巡って絶え間なく、節操のない争いを続ける人類。
そんな彼らの間を掻い潜るように、群れを避けて孤独に荒野を行く男がいた。
男の名はマックス。元警官にして、妻子の復讐のために全てを捨てた男。

しかし、そんなマックスにも年貢の納め時が来た。小さな砦の集落の男たちに襲われ、愛車インターセプターを奪われ、投獄されたのだ。
その砦――「シタデル」はイモータン・ジョーという男の絶対支配下にあり、水も食料も有り余るほどあったが、人々にそれらを放つのはジョーの意思だけという独裁状態が続いていた。
さらにジョーには「ウォー・ボーイズ」という狂信的な配下がいて、ジョーのためなら手足さえも捧げる一大勢力と化している。
マックスはウォー・ボーイズの「輸血袋」として囚われの身となった。

そんな中、砦のウォー・ボーイズが、ガソリンと水を調達するため砦を離れることに。
一団を率いるのは大型タンク「ウォー・リグ」を駆る女大隊長フュリオサだ。

しかし、フュリオサと一部の部隊は一団を離れ、予定コースを大きく外れていく。
実はフュリオサは、ジョーが密かに囲っていた5人の子産み女「ワイブス」を連れ、水と肥沃な環境が存在する「緑の地」へ脱走しようとしていたのだ。
フュリオサの裏切りはたちまち気づかれ、怒り狂うジョーとウォー・ボーイズの大軍団が彼女たちを追撃する。
マックスも、ウォー・ボーイズが一人ニュークスの車に括りつけられ突っ込む羽目になるが、砂嵐に便乗して拘束を解き、成り行きでニュークスと共にフュリオサと同行することに。

かくして、6人の勇敢な女たちと2人の男の、果てしない自由への逃避行が始まった……。


登場人物


主要キャラ

  • マックス・ロカタンスキー
演:トム・ハーディ/吹き替え:AKIRA(EXILE)(劇場公開版)/宮歌敦士(ザ・シネマ版)
主人公。
復讐を終え、群れを避けながらあてもなく彷徨い続けるさすらいの元警官。
核戦争後の混乱で妻子を失ったことがトラウマとなり、人との関わりを避け、心を閉ざし、必死になって自己中心的な振る舞いをしようとする。
しかしドジを踏んでカルト集団に囚われ、「輸血袋」として人間の尊厳を奪われた挙句、猛スピードで突っ走る車の先端に括りつけられてしまう。
だがフュリオサの脱走に便乗、ジョーの手から逃れるためにフュリオサの計画の手助けをする。
しかし、「人助け」にトラウマのある彼は幻影に悩まされ、本心を曝け出すことが出来ず……。

寡黙な男だが戦闘能力とサバイバル能力、運転技量はピカイチ。
そして心に深い傷を負い他者と関わることを避けているが、誰よりも優れた戦略眼の持ち主であり、その判断力が一行の運命を決定づけた。
特に「ここは俺に任せて先に行け」という最大の死亡フラグを平然と爆破して帰還するシーンは、
皆が何も言わずともマックスの帰りを待つことで仲間の絆を示す描写と共に、本編のハイライトのひとつ。

本作は過激な狂気に包まれた世界や、たくましく生きる女達の姿がフューチャーされがちだが、
他人と関わる事を拒絶し、関わろうにもどう喋って良いのかわからない心の傷を抱えたマックスという男が、
女達やニュークスとの旅と交流を経て、徐々に自分なりに他人との折り合いをつけていく物語でもある。
中でも女達と関わろうともしなかったマックスが、スプレンディッドの勇気ある行動を不器用に称賛するシーンや、
最初「モノ」に過ぎない輸血袋扱いされていたマックスが、終盤に自らの意思で輸血を行った事が、彼のメンタルの変移を明白に物語っている。

そんな寡黙なマックスを見事に演じたのが英国俳優のトム・ハーディ。
マッドマックスといえばメル・ギブソンだが、相次ぐ企画の延期によるモチベーション低下と年齢の問題から、惜しまれつつ交代となった。
とはいえトムの演技は素晴らしいの一言であり、本作でロンドン映画批評家協会賞男優賞を受賞している。

ミラー監督によれば過去作とは「パラレル」とのことで、つながりは想定していないそうだが、
「『サンダードーム』にて救出した子供たちを失ってしまったマックスではないか?」という意見には「その見方は面白いね」とコメント。
少なくとも衣装に関してはこれまでのシリーズでマックスが辿ってきた戦歴を踏襲しており、過去作で傷ついた箇所などは修復および改良が施されている。
2で連れていた犬も回想シーン用に撮影されていたそうだが、本編ではカットされてしまった。

前日譚を描いたコミックスでは実際に1、2、3の続編という体裁でストーリーが展開しており、
サンダードームの勝利を経てインターセプターの修理を終わらせるも、直後にレイダーによって奪われてしまい、同時に誘拐された子供を救うために奔走。
インターセプターの奪還と引き換えに子供を失うという、苦い勝利を手に入れている。

  • フュリオサ
演:シャーリーズ・セロン/吹き替え:本田貴子
シタデルの兵士、ウォー・ボーイズの大隊長。
失った左腕に鉄の義手を着け、大型タンクを操る屈強な女傑。
幼い頃、砂漠の中のオアシス「緑の地」の集落で暮らしていたが、イモータン・ジョーに母親ごと誘拐されてしまう。
以来、女としての自分を捨て、左腕を奪われながらもジョーの信頼を得て、脱走の機会をうかがっていた。
そして遠征の時を見計らい、ジョーの女たちを連れて計画を実行。
巧みな操縦技術と戦闘術で追っ手を退け、図らずもならず者の男と戦闘員を味方に引き入れ、紆余曲折を経て、砂嵐や谷間、沼地を越えながら目的地へ向かう。
しかし、ようやく巡り会えた故郷の仲間たちに、絶望的な真実を知らされる。

戦闘技術においては運転や格闘も優れているが、ライフルを用いた狙撃を得意とする。
当初はマックスを信用していなかったが、彼の操縦術を見込むうち、彼に運転を任せるほどに信頼を寄せる。
最後は、彼からある助言をされ……。

なお義手と並んで短く刈り込んだ頭髪と顔に塗った黒いグリースが特徴的だが、頭を丸めたのは演じたシャーリーズ・セロンのアイデアであり「灼熱の土地で、髪の毛なんか邪魔だとフュリオサは考えるはずだ」と言ったらしい*1

  • イモータン・ジョー
演:ヒュー・キース・バーン/吹き替え:竹内力(劇場公開版)/安原義人(ザ・シネマ版)
シタデルの絶対的君主であり、圧政を敷く暴君。
かつての戦争で大殊勲を打ち立てた英雄であったが、徐々に狂気に取り憑かれ、やがて自らの王国を築き上げるに至った。
老いてゆく肉体を補うためにフレキシブルガラス製のアーマーと汚染大気除去用のマスクを装着しており、
「健康な後継者」のため、清浄な水、食料、母乳(この世界では貴重な栄養源である)などを独占している。

良質な水源を確保し、ドラッグと音楽、そしてその圧倒的カリスマ性と統率力により、自らを神と崇めさせ、
民と手下から狂信的に崇拝させるなど、独裁者でこそあれど、極めて優秀な指導者でもある。
実際設定だけ羅列すれば典型的な悪の独裁者のように見えるかもしれないが、核戦争後の情勢下で一大勢力を作り上げ、
人々に水と食料を与え、かつ近隣の凶悪な蛮族どもから守っているという点においては、
臣民の期待に応えている名君という見方もできる。
水の独占についても、水資源が最も貴重であることを鑑みれば厳格に管理するのは当然である。
本編中においてもマックスとフュリオサたちは最終的にジョーの打倒を目指すものの、
それはあくまでも自由に生きるための手段に過ぎず、彼の統治体制については一切問題にされていない。
また、水源を使った野菜の水耕栽培(土を使わない、養分を溶かした水溶液による育成)はジョーの科学的知識の深さもうかがわせ、現実の農家からも評価されている( 参照リンク )。
劇中に登場する「Fukushima Kamikaze!」という台詞と合わせ、海外フォーラムではオーストラリアや福島の土壌侵食・汚染がジョーの設定に反映されているのではとも言われる。

荒廃した世界で恵まれた環境を整えているジョーだが、2人いる息子はいずれも奇形なため健康な跡継ぎを欲しており、5人の若い女を軟禁して子供を産ませようとした。
しかし、彼女ら全員から一度に裏切られ、全力を尽くして奪還を狙う。
(ちなみに3人目の息子もいるが、そちらはさらにパラレル世界らしくゲーム版にてラスボスとして登場する)
登場人物の中で一人だけ鎧とマスクを身に着け、銃器や車両に至るまで「ふたつ」所持しているなど、様々な部分で「多くを持てるのはイモータン・ジョーだけ」ということが強調されている。

前日譚を描いたコミックスでは本名をジョー・ムーア大佐といい、終末戦争から生還後、同じく生き延びた仲間たちとチームを立ち上げて崩壊後の混乱期を生き延び、
やがてシタデルを牛耳って水源を独占していた無法者どもを討伐、
人々に水を取り戻した英雄「不死身のジョー」と讃えられるようになった前歴が描かれている。

ちなみにバーンは第1作でもマックスの仇敵トーカッターを演じており、今回は再戦となる。
実際「第一作と第二作の間」が舞台だった初期構想では、ジョーはトーカッターの成れの果てという設定だったとか。

  • ニュークス
演:ニコラス・ホルト/吹き替え:中村悠一(劇場公開版)/榎木淳弥(ザ・シネマ版)
ウォー・ボーイズの下っ端戦闘員。
他のウォー・ボーイズ同様、ジョーを崇拝しており、彼のために死ぬことが最大の憧れ。
まだ若いが両肩の腫瘍(友達として名前までつけている)のせいで死期が迫っており、名誉ある死を迎えるため、「輸血袋」マックスを伴って意気揚々とフュリオサ追跡に向かう。
その際、一番乗りでフュリオサのタンクに到達できたことを機に彼女らに捕えられ、図らずも同行する羽目に。

「木」という単語すら分からず「尖ったもの」と呼ぶほどに教養がないが、「輸血袋」であるマックスに対しても普通に接するなど、根は純粋。
また車に関しては操縦、整備など非常に高い技量の持ち主で、高速戦闘中の車体下部に潜り込んで走行させたまま修理をするなど度胸も抜群(ちなみにこのシーンはノースタントである)。

任務に失敗して死に場所を幾度も逃し、ジョーにも見捨てられ、また自分のせいでワイブスのリーダー・スプレンディッドが死んだと絶望する中で、
仲間の一人ケイパブルから「まだ死ぬべき時ではないのよ」と言われて立ち直り、惹かれ合うのだが……。

子産み女(ワイブス)

イモータン・ジョーの世継ぎ産みとして捕えられた5人の美女。全員妊娠済み。
いずれもジョーからは等しい寵愛を受けているが、内心不満で一杯である。
妊娠した子供はジョーに取り上げられ、彼女たちはひたすら肥え太らされながら母乳を絞られる家畜となる運命が待っているが、
同時に「砦」の中で最も安全な場所で衣食住が保障されるため、この荒廃した世界においては幸福な立場にある。
しかし彼女たちはそれでもなお、脱出を決意してフュリオサと行動を共にした。

彼女たちの自室には、この崩壊世界からは想像もできないほどの知識(=本)が納められているのがワンカットで確認でき、
「自由」や「権利」などを意識する下地があったことをうかがわせる。

脚本的には「マクガフィン」とのことで、重要ではない(本編中でも「痴話ゲンカでこのザマか」と愚痴るセリフがある)が、懸命に生きようとする彼女たちもまた紛れも無い物語の主役の一人である。

  • スプレンディッド
演:ロージー・ハンティントン・ホワイトリー/吹き替え:たかはし智秋(劇場公開版)/大地葉(ザ・シネマ版)
金髪の美女。すでに出産間近でお腹も目立っている。
ワイブスのリーダー格で、緑の地への期待感とジョーへの拒絶感は人一倍強く、勇敢で力強い。
自身と胎児を盾にして仲間を守るなど体を張った活躍を見せるが、逃亡の最中、事故に遭い唯一死亡。一行に暗い影を落とす。

  • ケイパブル
演:ライリー・キーオ/吹き替え:植竹香菜(劇場公開版)/伊瀬茉莉也(ザ・シネマ版)
長い赤毛の女。心優しくメンバーの宥め役的存在。
傷心のニュークスに寄り添い、彼と心を通わせる。
演じたライリーは、キング・オブ・ロックことエルヴィス・プレスリーのお孫さん。

  • トースト
演:ゾーイ・クラヴィッツ/吹き替え:田村睦心(劇場公開版)/弘松芹香(ザ・シネマ版)
褐色肌にベリーショート。武器の扱いに長けており、銃の手入れを担当する。砦の防衛事情にも詳しい。
演者のゾーイはR&B歌手のレニー・クラヴィッツの娘。

  • ザ・ダグ(ダギー)
演:アビー・リー・カーショウ/吹き替え:大津愛理(劇場公開版)/ 木村珠莉(ザ・シネマ版)
プラチナブロンドに白い肌の女。ややヒステリックで電波な変わり者。
鉄馬の女の老婆がくれた植物の種に憧れる。

  • フラジール
演:コートニー・イートン/吹き替え:潘めぐみ(劇場公開版)/ 本泉莉奈(ザ・シネマ版)
黒髪ブルネットの最年少の女。砦で生まれ育ったため外の世界を知らず、緑の地の存在にも懐疑的な態度を取る。
脱走を後悔している節があり、ジョーの元に戻りたい様子だが……。

鉄馬の女

フュリオサの同志だった、緑の地に住んでいた女だらけの集落。
男がおらず子供が作れないためメンバーのほとんどが老婆か中年女性。
皆バイクを乗り回し銃の扱いにも慣れている女傑揃いである。
普段は高い塔に裸の女性(仲間)を吊るして囮とし、彼女を助けようとした(ないし襲おうとした)者をバイクで襲撃しているらしい。

ウォー・ボーイズとジョーの手下

イモータン・ジョーが指揮する軍団。
メンバーは皆少年から青年で結成され、全員肌を白く塗り、異様なまでに統率されている。
全員ジョーに命を捧げており、ジョーのために死んで「英雄の館(ヴァルハラ)」へ行くことが最大の名誉とされている。
平たく言えば重度のカルト集団であるが、シタデルはジョーを中心とした宗教国家であるから当然と言えよう。
ジョーの側近を務める幹部たちは皆体に欠損を抱えており、世界観を実によく表している。
ウォー・ボーイズはさらに汚染による症状が激しく、みんな死期が迫っているため、より破滅的だが、
ジョーへの狂信性を抜きにすれば仲間思いで友情に篤く、熱心で純粋な若者たちであることがわかる。

  • リクタス・エレクタス
演:ネイサン・ジョーンズ/吹き替え:真壁刀義(劇場公開版)/田中英樹(ザ・シネマ版)
ジョーの息子。巨体を持ち凶暴な性格。
生まれてこれなかった弟を悼み、ウォー・リグに乗り込むニュークスを快く手伝うなど、他のウォー・ボーイズ同様、ジョーへの狂信性を除けば意外といい奴なのではと思える描写も多い。
知能があまり働かないため、ジョーの後継者とはなりえず兵士に留まっている。

上記した初期構想版では、なんと彼が後のヒューマンガス様という設定だったとか。
そう言われて見るとファッションに面影があるような、無いような。

  • コーパス・コロッサス
演:クエンティン・ケニハン/吹き替え:斎藤志郎(劇場公開版)/落合弘治(ザ・シネマ版)
リクタスの兄。生まれつき奇形で、赤ん坊の背丈から成長していない。
高い知能を持った参謀役だが、その姿のためジョーの後継者からは外れている。
ひとり砦に残っていたせいか、クライマックス後も生き延びている。
特異な体型をしているが、これは演者であるケニハン氏の骨形成不全症によるもので、CGや特殊メイク等は使用していない。
またケニハン氏は3年後の2018年に亡くなられたため、本作が俳優としての遺作にあたる。

  • ドゥーフ・ウォーリアー
演:iOTA
大量のスピーカーと太鼓を搭載したワゴンに吊るされ、火炎放射器付きのギターを弾き続ける奇形の男。
戦闘においては戦場にロックサウンドを響かせ、仲間の士気を高揚させる役割を持っている。
日傘を差して休憩してても部隊が動けば即演奏開始、夜の場面では一人だけ照明付き、
ギターを奪われれば即効で奪い返し、ワゴンが正面からウォー・リグに突っ込もうがひたすらかき鳴らしまくる男の中の男。
その過去は生来の奇形であったとも、ミュージシャンだった母親をレイダーに殺されて以降その顔の皮をマスクにして形見のギターを頼りに生きてきたとも言われるが、いずれにせよロックに生きる生粋のロックンローラー。

それもそのはず、中の人は本職のロックミュージシャンである。パネェ。

巨大な移動式ライブステージに吊るされて火を噴くギターを弾く」という凄まじいインパクトから、本作を代表するマスコットキャラ的存在となっている。
メイキング映像を見ると、火が出るギター(元は便座)も、爆音を流すスピーカーも全て本物。
どうもエンジン音がものすごい中で音楽を流すにはこれじゃなきゃダメ、という現実的な問題があったらしい。ギター?そこんとこは俺にもよくわからん。

  • スリット
演:ジョシュ・ヘルマン/吹き替え:奈良徹(劇場公開版)/佐藤せつじ(ザ・シネマ版)
ウォー・ボーイズの一人。口が裂けている。槍手が主な役目だが運転手も得意。
当初はニュークスの愛車で出撃しようとしたが彼の意気込みを買い槍手として共に出撃。アイドルのおっかけを思わせる掛け合いはある意味微笑ましい。
後にマックスから奪ったインターセプターを手中に収めている。

  • ミス・ギディ
演:ジェニファー・ハーゲン/吹き替え:沢田敏子(劇場公開版)/山口礼子(ザ・シネマ版)
ワイブスの世話役の老婆。
ワイブスに同情的で、彼女らからジョーへの伝言役を務めた。

ジョーの同盟者

  • 人食い男爵(People eater)
演:ジョン・ハワード/吹き替え:後藤哲夫(劇場公開版)/斎藤志郎(ザ・シネマ版)
砦の燃料と水を貯蓄する、ガスタウンの長。異様なまでの巨漢で、足が腫れ上がっている。
世紀末だというのに、スーツをきっちり着こなすブルジョアマン。
たまに乳首ピアスをいじって「ンッ…♡」と感じているため、ネット上では「乳首男爵」とも呼ばれる。

  • 武器将軍(Bullet farmer)
演:リチャード・カーター/吹き替え:千葉繁
武器と弾薬を大量に保有する、「弾薬畑」の長。一見イギリス紳士風に見えるが、車はホイールでなくキャタピラ仕様。
入れ歯がわりに銃弾を入れ、カツラ代わりに弾薬帯を被り、銃をとにかく撃ちまくる戦闘狂。
見境なく撃ちまくるため無断出撃も頻発する。
が、その一方で戦闘中にも係わらず弾薬消費量を帳簿につけるほどにマメ。
フュリオサに目を潰されるが、レクイエム『Dies Irae(怒りの日)』をBGMにテンション爆上げで撃ってくる。


登場する車

  • インターセプター
前3作で活躍したマックスの愛車。元はフォード・ファルコンX8。
長期の走行に耐えられるよう改造されている。
序盤から奪われ、作中ではほとんどスリットの専用車扱い。

  • ウォー・リグ
フュリオサの愛車。
大型タンクローリーなので、普段はガソリンの運搬に用いられる。
独自の安全装置がかかっており、解除方法を知っているフュリオサしか運転できない。

  • ギガ・ホース
イモータン・ジョーの愛車。
大型トラックのボディに1959年型キャディラック・ドヴィルを二重に重ね、V8エンジンを搭載した魔改造車。
火炎放射器などの武器も装備し、圧倒的な戦力を誇る。

  • ピースメイカー
武器将軍の愛車。
クライスラー・ヴァリアントのボディに戦車のキャタピラを合体した。

  • リムジン
人食い男爵の愛車。
タンクローリーの牽引トラックが高級ベンツのリムジンで出来ている。

  • プリマス・ロック
ゴロツキのヤマアラシ族の乗車。
全体に鋭い棘が生えた、まさにイカれたマシン。

  • ドゥーフ・ワゴン
ドゥーフ・ウォーリアの愛車?
大量のスピーカーと太鼓部隊をてんこもりに搭載した「動くライブステージ」そのもの。
戦闘能力はないが、スピーカーからロックサウンドを響かせ戦闘を盛り上げる。


余談

  • 今作に登場する車のうちウォー・リグなどは左ハンドル車だが、実はマッドマックスシリーズではこれまでリアルのオーストラリア*2と同様右ハンドル車だけだった。これは残された車を些細な改造レベルで使っているだけの環境から、大胆に左ハンドル車を改造や自作できるような環境になってきている描写。
  • なお、登場する車の中には日本車である日産・フェアレディZ(あの湾岸ミッドナイトの「悪魔のZ」でもお馴染みの初代S30型)がチラッと登場している。ぜひ探してみよう。
  • 激しいアクションシーンの連続にも関わらず、非常に見やすくダレにくい編集が評価され、アカデミー編集賞を受賞しているが、編集を行ったのはミラー監督の妻。なんと、アクション映画の編集を行ったのはこれが初めてだという。
  • 予算が増える度に車へ突っ込む監督らしく、今回もカーアクションは一切合成なし。爆発やなんかのエフェクトはともかく、全て実車がガッツンガッツンぶつかり合っては吹っ飛んでいる。
  • 撮影をしていた荒野に数年ぶりの雨が降って緑地化、撮影を中断せざるを得ないという不測の事態が起こったエピソードがネットで話題になった。
  • パンフレットは監督・キャストインタビューから各キャラの装備詳細、各車両の設定、『映画秘宝』ライターによるシリーズ紹介など非常にボリュームある内容になっており、一読の価値あり。公開直後は売り切れが続出した。
  • 漫画版では「Fuck」ならぬ「 FUK-USHIMA 」という感動詞がある他、映画本編には「 Fukushima Kamikaze! 」( Fucacima kamakrazee! )という戦意高揚の叫びが登場する。福島原発などを意識したデリケートな表現のため、日本語字幕・吹き替えでは当たり障りのない別の言葉に差し替えられている。

「What a tsuiki shusei day!」


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最終更新:2024年03月31日 13:45

*1 『怒りのデス・ロード』日本版パンフレットP24、ジョージ・ミラー監督のインタビューより

*2 イギリスの流れを組むので左側通行のため、右ハンドルだけ許可されている。