星のカービィシリーズ(角川つばさ文庫の小説)

登録日:2015/08/12 Wed 10:02:27
更新日:2024/03/28 Thu 18:25:16
所要時間:約 28 分で読めます




この項目では、角川つばさ文庫出版の小説版『星のカービィ』シリーズについて記述する。

●目次

◆概要


星のカービィシリーズの公式メディアミックスでは現状唯一となるノベライズシリーズ。
主に春と夏の時期に刊行されることが多い。
作者は『ペルソナ2』『グローランサー』『ファイアーエムブレム』等のノベライズで知られる高瀬美恵。
挿絵は苅野タウ・ぽとの姉妹イラストレーターが担当する。


かつて、星のカービィのメディアミックスといえば、大抵はコロコロコミックの漫や色んな意味で有名なテレビアニメ版を指すことが多く、「小説」媒体でのメディアミックスは全く存在していなかった。
そもそも漫画以外では殆ど喋らず、昔の説明書ほど饒舌ではなくなったカービィをどのように喋らせるか想像しづらいこともあり*1、「星のカービィの小説」が出る可能性を考えるファンは多いとは言えず、ほぼ期待薄とされていた。

ところが、2013年に角川つばさ文庫が何の前触れもなく第1弾の開始を告知。一部のファン達が騒然となる。
この前年はシリーズ20周年のメモリアルイヤーだったのだが、広く展開されていたのはゲーム外のグッズが中心であり、よもや新たなメディアミックスが始まろうことまでは誰も予想できなかった。*2

結局のところ、「ありえない」なんて事はありえないという訳か。
世の中何が起きるか分からないものである。

『星のカービィ』というビッグネームのブランド力も手伝ってか、2017年時点で7巻までの累計部数は約35万部を記録、2018年12月時点で12巻までの累計部数は驚愕の85万部を突破。
そして2019年5月24日にはとうとう大台の100万部を記録し、角川つばさ文庫の人気ノベルシリーズとして強い存在感を表している。
通常、児童文庫の売上部数は初版でだいたい5000部辺りが一般的、1万部売れれば「売れている」部類に入る……というのが業界内の通説であることを考えれば、原作付きと言えども凄まじい売れ行きである。
ピンクボール……恐ろしい子!!


◆作風


角川つばさ文庫の小説はいわゆる「児童文庫」で*3、本作も対象年齢は「小学中級から」となっている。

作風としては、
  1. カービィ達がゆる~く暮らしている時に何らかの事件が起きるか巻き込まれ、
  2. それを解決する過程で場合によっては敵と戦い、
  3. 最終的に正すところはしっかりと正し、悪人は必ず報いを受ける
  4. しかし根っからの悪でなければ救いもある
という、教訓性のある勧善懲悪の王道ストーリーが中心。
しかし、原作が元々そうであったように、キャラクターの個性が強く(強すぎるほどに)立っているので意外と単純な展開にはならず、先が気になる構成ゆえに大人でも十分楽しんで読むことができる。
挿絵も画風が限りなく原作寄り、かつそこそこ多いので、抵抗感なく受け入れられると思われる。

基本的に一話完結型のスタンスであるため、どの巻から読んでも安心。
たまに一部のキャラクターが巻をまたいで出る時もあるが、大体は脇役なので物語の理解に支障は無い。
一方で第6弾など、関連作を全てプレイ済み前提の話も存在しており、出来れば事前に原作をプレイしておいた方がより深く楽しめる。なお、原作での黒さは据え置き。
また第9弾以降は過去の小説版のネタも積極的に拾っているが、その際は簡単な説明が必ず入っている。


ゲーム版を下地にした(なぞった)ストーリーは2023年時点で第7、9~13、15、19弾。
第9弾辺りの時期はゲーム側がコンスタントに作品を出し続けていたためか、ゲームのノベライズが中心的であったが、第14弾の時期にはそれが落ち着いていたため、久々のオリジナルストーリーとなった。
オリジナルエピソードは原作の出来事が過去のものとして説明されているor未来に起こり得る出来事として示唆されるケースが多い。
この事から本シリーズは概ね原作ノベライズor原作に対する二次解釈のサイドストーリーという位置づけが確立しているようである。
また、グッズ展開で登場した特殊な世界観や、コラボカフェなどのイベントを題材にした変わり種のエピソードも存在する。
他にもゲーム版の小ネタを所々に仕込むことが多く、中には出版当時の最新作から、アイテムやキャラをちょろっとゲスト登場させるといった宣伝ネタも……。


◆主要キャラクター紹介


食いしん坊の主人公。
吸いこんだ相手の能力をコピーして使うことができる。

主人公にして問題児でもある食欲の権化。
一人称は「ぼく」。原作設定とは異なり明確に男性だとされている(第1弾)。

他メディアミックスのカービィと同じか、またはそれ以上に思考が食欲に染まりきっている。
何においても食べ物の話になるとスイッチが入り、ほぼ一方的に喋り倒して人の話を全く聞かない。
その一方通行ぶりはちょっとやそっとでは我に返ってくれないほどで、ワドルディをはじめとした人々は皆この悪癖が始まると話が進まないので毎回困っている。

また、食べ物を見ると今の状況を無視して本能的にかぶりついていくほど自制心がない。
仲間が怪物に襲われてピンチ!というような緊迫した場でも、お構いなしに食らいに行ってしまうため、これも周りにとって悩みの種と化している。
会話中の単語をことごとく食べ物の名前と聞き間違え、仲間が裏切ったとあれば「食べ物につられた」と邪推する徹底ぶり。
当人は単に自由奔放で、全く悪気が無いだけに尚更タチが悪い。
一方、第4、12弾のようにその食欲が功を奏して危機を脱することもないわけではない。

コピー能力は従来通りモノや人(主にプププランドの住民)を吸い込んで獲得する。
能力を解除する際は、飲み込んだのが住民だった場合普通に吐き出す。
ゲーム版のように能力星らしきものが飛び出す描写は無い。

「コック」のコピー能力を利用していないせいかは不明だが、素の料理センスが壊滅的にひどい。
ケーキを作ると言いながら沢庵、納豆、キムチにニンニクなど後先考えずにに材料を投入し、見た目おぞましいかわいそうなケーキを生み出すなど序の口で、生地がドズ黒く*4なっていた。
場合によっては自分が作った料理を味見してのたうち苦しんだ事すらある*5
音痴も原作通りで、第17弾では直接の描写こそないものの悪人への制裁処刑として耳栓なしディナー付きコンサートが開かれた。

一方、直前まで食おうとしていた卵からヒナが孵りそうだと分かったら大事に守り抜いたり、分別をちゃんとわきまえたりする心はある。
いかにフリーダムと言えども、あまりに自分勝手の度が過ぎる相手には共感を持てない様子や、ガリック男爵のような悪党に立ち向かう姿勢、一度自分達を裏切ったマホロアを怪しむ様子からは、人並みに正義感・善悪観を持っていることがうかがえる。

原作同様かなりお人好しであり、改心の余地があると判断した相手には不必要に攻撃せず、別の解決手段を考えたりするシーンもある。
確信を持って「だいじょーぶ!」と言った時は本当に大丈夫。彼の行動に間違いは基本的にない。全くないわけではない。
一方で、どんなに凶暴で凶悪、存在する事が世界の危機である存在であっても、戦う理由が見出せない場合は戦いを躊躇する時も。

主人公という重要なポジションでありながら、どこまでも自分のペースを貫き周囲を振り回すという、コロコロのカービィ並みにかなりアクの強い性格にアレンジされているため、初見では面食らうこと必至。
しかし流石は主人公、決める時はしっかりバッチリ決めてくれるのでそこは安心である。
下心丸出しで物事に臨むデデデと違い、見返り抜きで快く協力することも食べ物目当てに依頼を受けることも多い。
声真似が壊滅的に似てない。


デデデ大王の部下で苦労人。
カービィとは友達。

本シリーズの二大苦労人の片割れ。一人称は「ぼく」。
優しくて思いやりのある温厚な性格の持ち主だが、いかんせん周囲の関係にあまり恵まれていない。
というのも、主君ということに勝手にされている・デデデ大王の人使いが荒い上に、友達のカービィは仲良しだがいつでも自由気ままで振り回してくるし、その彼をデデデが一方的にライバル視するため、ワドルディは二人の板ばさみにいつも苦しむ。
作中の数少ない良識人であるだけに余計その不憫さが際立つ。

しかし、カービィのこともデデデのことも何だかんだで信頼しており、彼らに不測の事態が起きて帰って来ないような時はメタナイトが薄情な台詞を吐く横で誰よりも心配する。好きな食べ物も把握している。
カービィとの友達の絆も強く重んじているため、それを馬鹿にするような相手には強い敵意を見せる。

特殊能力はないが、レギュラーの中では最もすばしっこく頭もいい方。

また、普段は表面に全く出ていないが潜在的に中二病の気がある模様(第4弾)。
よもやこの可愛い顔で自らを「闇のプリンス」などと言い出すワドルディを誰が予想できたのだろうか?
意外と冷淡な面も持ち合わせており、「尊敬する大王でも服のセンスは酷い」だの「大王にパーティの招待状なんぞ来るわけない」と言い放ち、メタナイトが失踪した回数を訂正し続けるバル艦長に「よくあることなんですね」と心配して損したと言わんばかりに(地の文より)呟いたりと、割と腹黒い。
これが中二病気質に繋がったのだろうか……

原作・アニメ版と異なり、小説版におけるワドルディは大勢いるわけではなくこの一体しかいない模様*6
第10巻でのある出来事で人数が増えたが、カービィの友達である個体は一体のみ。
普段は青いバンダナを巻いて他のワドルディと区別している。
マホロアの一件を知っていることから、一応原作におけるバンダナワドルディとは同一人物と言っても差し支えないだろう。

カービィと組んで戦闘する機会が2度あったためか裏でこっそり鍛えていたようで、現在は武器さえ手に入れば立派に戦えるほど成長している。
メインウェポンは槍。


自分勝手でわがままな、自称プププランドの王様。
カービィをライバル視している。

その性格を簡単に言い表すなら「(ゲーム+アニメ)÷2=これ」。初期はアニメの方が強いが、後の弾になるにつれゲーム側で薄められていくような感覚。
一人称は「オレ様」。時折、語尾に「~わい」とつける。
ゲーム・アニメ版の彼がそうであったように敵に操られる耐性が無い(第4、14弾)。カービィと同じく食い意地が張っていてよく張り合
う。
詳しいキャラクター性についてはデデデ大王(メディアミックス)の項目を参照。


常に仮面をつけていて、すべてが謎につつまれた剣士。

本シリーズの二大苦労人の片割れ。一人称は「私」。
カービィと立場が対等かつ味方寄りなのでアニメ版とは少し口調が異なるが、冷静沈着で正義感が強い部分は同じ。歩く時もマントは羽織らない。
一方、時たま真意の読めない行動を取るのもゲーム版と同じで、結果的にカービィ達の敵に回ることもある。
剣の名前はもちろん「ギャラクシア」。ただし喋らない*7
他の刀剣でも十分凄い腕前を発揮できるが、やはりギャラクシアが一番馴染むようで、持っただけで偽物かどうかも分かる模様。
また、「持つと勇気が湧いてくる」と地の文で言われていることから、少なくともなにかしらの不思議なパワーはあるようだ。

詳しいキャラクター性についてはメタナイト(メディアミックス)の項目を参照。


プププランド唯一のレストランを経営する料理人。
メインではないのだが、サブキャラでは最も出番が多いため一応ここに記述する。

アニメのような料理下手で間の抜けた失言コックではなく、優れた料理人かつ常識人である。
しかし、一時期は登場するとなぜかひどい目に遭わされることもそれなりに多かった。
 専属コックとして大富豪に引き抜かれたと思ったら行方不明になるわ
 食べ放題カードを悪用したデデデ大王に料理を食い尽くされるわ
 チョコまみれになっていたせいで怪物に食われそうな思いをするわ
何かとエライ目に巻き込まれやすい。
物語に深く関わっていない時だけは比較的平穏に過ごせているが、その時ですら上記に並ぶくらいの災難に遭うこともあるので結局は不運を呼ぶ体質。
直接登場しないのに、「災難に遭った」という描写だけされることもある。


メタナイトの部下で、メタナイツの上司でもある。
ゲームのようにヘタレな部分は多少持っているものの、それ以外の活躍も描かれているので相対的にゲームよりも立派に見える。
こちらもメインキャラではないが、初登場以来なにかと脇役での出番が多くなり、出演回数ではコックカワサキと並ぶほどの準レギュラーと化している。


オリジナルキャラクター


本シリーズはゲーム出典のキャラクターだけでなく、独自にデザインされたor原作キャラから派生したオリジナルキャラも登場する。
その殆どは物語のキーマンを担っていることが多い。時には事件の元凶であることも。
そして、悪役のオリジナルキャラ達はなぜか総じて原作悪役以上のクズである確率が非常に高い。
メタ的には必要以上に原作キャラの活躍を食わない程度の引き立て役となっており、「ゲームにいないオリキャラが出てくるのはちょっと……」という人でも安心。あるいは後述のトロン・コロンのように、元となる原作のストーリー性が薄い場合それを補強する要員となることもある。

基本的に1作限りの出番なので、今のところ2回以上続けて出演したケースは無い。

全くの余談だが、エピソード毎における原作キャラ:オリジナルキャラの比率がアニメ版と逆転している。
(名無しのモブは除く)

より詳しい紹介は各作品の項目に譲る。


  • パフェスキー夫人
登場:「あぶないグルメ屋敷!?」

ポップスターの外から引っ越してきた大富豪。
全身をスイーツの装飾品で飾り立てているふくよかなマダムで、専属のコックを多数雇い上げている。
プププランドでは引越し記念に住民へ招待状を配り、豪華なパーティーを開催する。
本性は犯罪レベルの行為を平然とやってのける理不尽クレーマー。


  • ケロッタ、ケロージ、ケロリナ
登場:「くらやみ森で大さわぎ!」

カエルの三兄弟。ケロッタが長男でケロリナは長女。
三匹ともに名だたる大悪党になろうと奮闘するが、どうにも間が抜けており真性のワルとは言えない。
無謀にもカービィを利用して出し抜こうとしたばかりに……。


  • 森番
登場:「くらやみ森で大さわぎ!」

くらやみ森に古くから住む老人。
森の奥に潜むとウワサされる怪物「ヌシ様」を誰よりも恐れている。
……が、終盤に見せるその振る舞いは誰かさんを彷彿とさせる。
漁夫の利の如く登場人物全員を出し抜いて逃げようとする様が特に。


  • アクティブレイド
登場:「大盗賊ドロッチェ団あらわる!」

ダイナブレイドをモデルにした派生キャラ。
プププランドで卵が孵るのを待っているが、運悪くドロッチェ団に目をつけられてしまう。
が、実際のドロッチェの狙いは卵の下のクッションであり、安眠グッズとして使えるとのこと。無事卵が孵ったので譲ってもらえた。


  • ワムバムガイア
登場:「大盗賊ドロッチェ団あらわる!」

こちらも魔人ワムバムロックをモデルにした派生キャラ。
アクティブレイドが巣を作った遺跡の最深部に眠る石像。


  • メレンゲール十三世
登場:「メタナイトとあやつり姫」

お菓子作りのエキスパートであるシフォン星の国王にして美食家。
国の総力を挙げてお菓子業界のトップを先導している。
デデデからはメレンゲ王と呼ばれてしまっている。


  • マローナ姫
登場:「メタナイトとあやつり姫」

メレンゲール十三世の愛娘。
本来はおしとやかな姫君だが、何やらその裏には暗い影も?


  • ガリック男爵
登場:「メタナイトとあやつり姫」

「闇の紳士」という異名で暗躍する卑劣な犯罪者。
やる事なす事「これ児童文庫?」と思わせられる外道で、他のオリジナルキャラとは一線を画した雰囲気を放つ。
カービィシリーズでは滅多に出てこない「殺」という文字まで出てくる。
ゲーム版のラスボスとして出しても違和感がない真性の「悪党」。
今の所、本シリーズで最もショッキングな末路を辿った悪役である。


  • キザリオ
登場:「プププランドで大レース!」

宇宙中にネットワークを持つテレビ局「コメットテレビ」の自称・超有名プロデューサー。
と言えば聞こえはいいが、その能力と人格はいささか疑問符が付くレベル。
その実態は大した能力も無いのに我侭でマザコンという、えらい生々しすぎるタイプのダメ社会人。


  • 黒ずくめの男
登場:「プププランドで大レース!」

コナンとか言わない。
キザリオの周りをうろついていると思しき謎の男。
気配を悟られても瞬時に逃げ去る等、メタナイトをして「只者ではない」と言わしめる身体能力を持つ。


  • ケイン所長
登場:「ロボボプラネットの大冒険!」

ハルトマンワークスカンパニーの社員。
普段はハルトマン研究所でインベードアーマーの開発などを担当。
やたらとお喋りでカービィの活躍にスポーツ中継並のリアクションをしたり、余計なこと言ってスージーに怒鳴られたりしてる。
早い話シュトロハイム
本作における解説役のような役目も担う。


  • モーア
登場:「メタナイトと銀河最強の戦士」

突然メタナイトに弟子入りを志願してきた少年。
剣術の腕はからっきしかつ臆病で危うく追放されかけるもメタナイツの指導で懸命に訓練していた。
ある日宇宙海賊団の襲撃に立ち向かった後行方不明になり……。
その実態はメタナイトを利用してギャラクティックナイトを召喚させ、使役しようとした無謀者。


  • グレイ
登場:「メタナイトと銀河最強の戦士」

宇宙海賊団のボス。
彼らとメタナイツが闘ってる間にモーアがいなくなってしまい、それがきっかけで全宇宙をも揺るがしかねない大騒動となる。
名有りのオリキャラで挿絵がなかった数少ないキャラであり、そのため容姿は不明である。

  • トロン
登場:「決戦!バトルデラックス!!」

自称さすらいの発明王。断じてマイユニットの雷呪文ではない。
カービィプリンターを手に尊敬するデデデ大王の城を訪れ、彼の名声を広めるべく武道大会の開催を提案するが……?
その正体はカービィを利用して在庫処分しようとしたダメ農家。

  • コロン
登場:「決戦!バトルデラックス!!」

トロンの弟。
ある事情から兄を追いかけ、デデデグランプリの会場を訪れた。
本当の発明王はこっち。

  • ピリカ
登場:「虹の島々を救え!」

宇宙を旅している空を飛べる少女。
プロローグではトリプルデラックスに登場する天空の城ロイヤルロードを訪れている。
危機に陥った虹の島に落下したところをカービィ達に助けられて……。
「ロイヤルロードを訪れている」というところからも分かる通り、その正体は「あのキャラ」に心酔する危険人物。

  • フーゴー
登場:「夢幻の歯車を探せ!」

ダイアモンド・タウンに住む大富豪。
古代機械の歯車を探しており、歯車に百万の懸賞金をかける。
表では住民から感謝されているが、裏では悪事に手を染めている。

  • ベリル
登場:「メタナイトと黄泉の騎士」

一度見た人物なら姿・声ともに誰でも化けられる、自称宇宙一の変装名人。
メタナイトの持つギャラクシアを狙い、本物を罠にはめて葬り去ることで自身がメタナイトに成り代わろうとした。
ガリックとは違うベクトルでシリーズ上位の悪辣な外道であり、メタナイトの名誉を貶めた悪行三昧の数々に大多数の登場人物の怒りを買った。その結果想像を絶する仕打ちを受ける羽目に。
変装能力があるせいか、本来の姿が描かれた挿絵は一切ない。いやホントに。

  • パピ
登場:「メタナイトと黄泉の騎士」

黄泉の国に落ちたメタナイトが出会った青い蝶。
体は生きていながらも黄泉の国に落ちたメタナイトを案内する。

  • アリー
登場:「デデデ大王の脱走大作戦!」

惑星ミノーレの牢獄に囚われていた、ぐうたらな謎の少年。
無実の罪で捕まったデデデ達の脱獄に協力する一方、ミノーレの王様について何か思うところもある様子。

  • ヨーク
登場:「ナゾと事件のプププトレイン!?」

銀河中に鉄道を持っている鉄道会社の社長。
通称「鉄道王ヨーク」。
紳士的な態度だが、どこか目つきが鋭く、バンダナワドルディには初対面から程なく怪しまれた。


◆世界観


全体の世界観はゲーム版がベースだが、こちらは他のメディアミックス以上に味付けが濃い。
単語だけが判明しているものを含めても、ざっと簡単に挙げると以下の通り。

  • 「刑務所惑星」なる物騒な星がある
ある人物が癇癪に任せて口走った単語なので、詳細は今のところ不明。
「惑星」と付くぐらいなので宇宙中の悪党がここに収監されているのだろうが、本編に出てきた悪役がお世話になった描写は無いので口から出任せの可能性も高い。
具体的な例を挙げると、悪名高いハルトマンワークスカンパニーが7巻本編前の時点で複数の星を侵略してるにも関わらず一切関係してない様子。

  • 密猟者の存在の示唆
アクティブレイドの卵やヒナ等が高値で売れるため、それを狙う輩が後を絶たない。
そのせいで現代ではアクティブレイドの数が激減したというバックボーンがある。
ただしトサカの毛はその辺に捨ててしまえるほど価値がない。

  • お菓子の星なのに戦争をした歴史がある
シフォン星はお菓子作りで繁栄した星なのだが、首都郊外に今は使われていない砦があり、「かつてこの星で勃発した戦争で使われた」と作中で明確に説明されている。
華やかさの裏に暗い歴史あり、という事か。

我々人間の世界と同じようにテレビが存在し、番組が放送されている。
しかし、プププランドはかなりのド田舎なのでテレビ関係者が来ること自体珍しい。

  • 謎に包まれた闇市がある
売り物は貴重なアイテムの紛い物ばかりだが、稀に本当に価値のある盗掘品も見つかる。
通貨はポイントスター(100ポイント集めると1UPするアレ)か現金。
ちなみに第10弾で普通の買い物にもポイントスターが使われているらしいことが示唆されている。
「現金」もあることから、ポイントスターは名前の通りポイントカードのポイント、もしくは電子マネーのような役割があると思われる。現金の単位やポイントスターとの交換レートは不明。

このように、変に現実味を感じる設定が多いのがお分かり頂けるだろう。
どちらかと言えばテレビアニメ版の世界観に近い。
一部の強烈なオリジナルキャラクター達を含め、原作同様に一筋縄でいく世界ではないようだ。

その他、物語の舞台となる場所や用語の詳細は各作品の項目に詳しい。


◆作品一覧


プププランドに引っ越してきたパフェスキー夫人のパーティーに、
カービィ達が潜り込もうと作戦を立てる。
しかし、パーティーの裏では不穏な気配が漂っていた。

初期作という事もあってかバトルシーンが非常に少ない。
が、一方でまさかの女装ネタというさりげない爆弾も。


カエルの三兄弟がカービィを利用しようと悪巧みを思いつく。
彼らが目指す森には、「スターダストの実」なる貴重な果実が
あるらしく?

この辺りからバトルシーンが徐々に増えてくる。
最新作の宣伝ネタを仕込むようになったのもここから。


ひょんな事から巨大鳥・アクティブレイドの卵を守ることになった
カービィ達。
だが、それはドロッチェ団との卵争奪戦の始まりでもあった!

所々にスパデラのネタが散りばめられており、ゲーム版へのオマージュが感じられるエピソード。
ゲストのドロッチェは『あつカビ』で確立した人物像にかなり沿っている。


ケーキ作りで有名なシフォン星の姫君・マローナが、
ガリック男爵と名乗る謎の男に、秘宝と一緒に連れ去られた。
シフォン星の王様に恩を持つメタナイトが、この危機に立ち上がる!

メタナイトが主役の番外編にして本シリーズ屈指の異端回。
他エピソードと明らかに温度差の違うシリアスな展開は、超絶ブラックなゲーム版のストーリーに慣れた人でも十分楽しめる。
間違いなく当シリーズの大きなターニングポイントとなった作品。
今回も最新作の宣伝ネタあり。


プププランドで宇宙に中継される大レースが開催されることに。
一方、超有名プロデューサーを名乗るキザリオの行動は
どこか怪しく……?

第1~2弾のテイストに近い作風。
第4弾の存在で色々期待のハードルが上がってしまった感も否めないが、質は安定している。
ゲーム版ファン待望のエアライドネタもある。この調子でエアライド新作も出てほしいところである。


カービィ達を騙したあのマホロアが図々しくプププランドに現れた。
鏡の世界に囚われた「トモダチ」を助けて欲しいと言うのだが……。

珍しくオリジナルキャラが一切登場せず、ゲーム版のキャラクター達だけが豪華に多く登場する。
小説シリーズでは最もゲーム版の要素が濃いストーリーが展開される後日談的な内容になった。
公式で明かされた裏設定を下地にしつつ行われた、原作設定に対する小説版なりの解釈・補完は必見。
あとマホロアは色んな意味でブレてない。
今回『トリプルデラックス』におけるクリア後モードの件がなかったことになっている、もしくはそもそも起こっていないらしく、『鏡の大迷宮』の事件とセクトニアの性格が歪んだ件が繋がらなくなっている。まぁ本作はアイツの救済が目的なのでこの辺を突っ込むのは野暮というものだろう。


突如現れた巨大な球体がポップスターをキカイ化!
カービィとワドルディの冒険が始まる。

これまでの方向性から実現が期待視されなかった「原作ストーリー自体の小説化」
原作『ロボボプラネット』の時点でシリアスなストーリーながら、いつもの食べ物ネタも健在。ただしやや駆け足気味。
オリジナルキャラクターのハルトマンワークスカンパニー社員が登場、視点切り替えも多用し発売日時点で原作はおろか公式サイト等でも扱っていない部分の話にまで切り込んでいる。
クリア勢のみんな大注目の社長&秘書はおそらく誰も予想だにしなかった結末に……!?
ただしMiiverseで熊崎氏が回答する前に出版されたものであるため、示唆する程度に留まっているが。


「メタナイトの部下になりたい」と現れた一人の男の子。
しかし彼が事件の中で失踪し、後を追うようにメタナイトも
姿を消してしまう。
カービィたちも心配して捜索に発ったが、メタナイトは
伝説の戦士「ギャラクティックナイト」を呼び出そうとしている
らしく……?

ゲーム版でも印象深い裏ボス・しいたけことギャラクティックナイトが満を持して登場。
漫画以外において全く台詞の存在しなかった彼だが、なんとこちらでも台詞どころか地の文による心情描写すら0という小説で主人公と対峙するキャラクターとしては珍しい扱い。


ある日突然、カービィは異世界「プププ王国」に飛ばされてしまう!
そこには自分と同じ三人のカービィがいて……。

第7弾同様、最新作『みんなで!カービィハンターズZ』のノベライズ。
あらすじが何気にライトノベルの異世界モノチックである。
原作では最低限のテキストのみで察せたストーリーを、今回は小説版が独自に肉付けした格好となる。
元々完全なパラレルワールドなので、同じ見た目のキャラクターでも今回は別人。タランザも例外ではない。


プププランドで開催された「デデデグランプリ」に出場することに
なったカービィたち。
カービィのコピーを相手に、優勝商品の「デラックス山もりケーキ」
目指して大奮闘!

カービィ バトルデラックス!』のノベライズ。
原作ノベライズの中では最も改変が大きいが、十分に楽しめる内容になっている。
単なるバトル大会と侮るなかれ、各々それぞれの理由で真剣勝負を挑む姿はかなりの読み応えがある。
今作でカービィプリンターの力によりワドルディが増えまくったため、オリジナルのワドルディはバンダナワドルディと同じ外見となる。戦えないのは相変わらずだが、賢さでカービィをサポートする。
増えた分のワドルディも以降の話に登場するようになり、小説版ワドルディの新たな基本設定として根付いている。
ちなみにバンダナワドルディの人柄はゲームと本作で概ね一致するが、唯一メタナイトの呼び方に差がある。

……そして、今回ついにメタナイトに関するあの設定が小説に取り入れられる。


宇宙から謎の怪しいハートの欠片が降り注いだ。
そのハートはみんなをおかしくさせる恐ろしいモノで……?

星のカービィ スターアライズ』のノベライズ。
小説版では初の前後編仕立てとなっており、細かい部分を除けばかなりゲーム版のストーリーを忠実に描いている。
なおアップデート第3弾公開より以前に執筆されたものであるため、残念ながらそちら関係のネタは無い。
その関係で三魔官の過去については本作独自の解釈がなされている。


奇妙なトマトを吸い込んだカービィは、毛糸の怪しい男に
靴下の中へ吸い込まれてしまう。
そこは全てが毛糸でできた不思議な世界だった!

毛糸のカービィ プラス』のノベライズ。
元々がリメイク作品ということもあってか、ゲームの発売から一週間後という異例の速さで刊行された。
こちらもゲーム版のストーリーに忠実であり、リメイク版での新要素も取り入れている。
刊行時期上は仕方ないが、ここまで連続でゲームのノベライズが続いており、オリジナルエピソードが欲しい人にはちょっと寂しい流れである。


虹の島々に住む友だち・リック&カイン&クーが、カービィに
助けを求めてやってきた。
事件を解決するために、デデデ大王やメタナイトも一緒に島々へ!

久しぶりのオリジナルエピソード。
舞台は『星のカービィ2』の虹の島々。24年ぶりの登場となる。
そしてかつて共に冒険した仲間グーイが登場する、ファンにとっては嬉しい展開。
さらに幕間にはピックやマインも登場する。
『スターアライズ』で示唆された「アレ」についても仄めかされている。


ふしぎな鐘の音はカービィを再びプププ王国に呼び寄せた。
王国に迫る新たな脅威にカービィハンターズZが立ち向かう!

スーパーカービィハンターズ』のノベライズ。
第9弾の続編となっており、そちらに登場していたプププランドのものとよく似た王国のキャラたちも登場し、より掘り下げられている。
もちろん最低限の補完はあるためこれ単品でも十分楽しめるが、前作を事前に読んでおくとより楽しめる。


鉱山の街、ダイヤモンド・タウンの鉱山で古代機械が見つかった。
カービィ、ワドルディ、デデデ社長、メタナイト、ドロッチェ、
そしてマホロアは、それを動かすための歯車を探して旅に出る。

グッズ用のアートワーク『カービィと夢幻の歯車』のノベライズ。
今までの作品とは完全に別の世界観で繰り広げられる。
そのため、特に大きな差異としてカービィやデデデがマホロアやメタナイトと最初面識がないなど、キャラ間の関係性も異なっていて新鮮。


メタナイトのギャラクシアがすり替えられた!?
時を同じくしてプププランドではメタナイトの偽物が大暴れ。
真相を追う中で罠にかかったメタナイトは黄泉の国に落ちてしまう!
黄泉の蝶の間には「恐ろしいほど強い騎士」の言い伝えがある
……らしいのだが?

久々のメタナイト主役編。
タイトルの通りバルフレイナイトの登場が発表当初から明かされており波乱を呼んだ。
黄泉の国やかの蝶については、実際の黄泉についての伝承も取り入れながら独自の解釈がなされている。


カワサキのレストランでは、ウィスピーウッズの実で作った
パイが大人気。
それをきっかけにウィスピーウッズの木陰に「カービィカフェ」が
作られることになった。
デデデ大王も対抗して「デデデカフェ」のオープンを決め、
メタナイトを審査員とする料理対決を企画。
ところがウィスピーウッズが病気になってしまい……。

東京と博多に常設され、カービィシリーズの成長を知らしめた「KIRBY CAFÉ」が小説化。
長らく闇の深い部分がメインになっていた当シリーズだが、本作は初期のような平和な路線。


流星が降り、力の宿った土地にデデデ大王が戦いの塔を建設。
そこにメタナイトが現れ、2VS2の戦いで挑戦者を待ちうけようと
提案した。
2人の挑戦状を受け取ったカービィは、パーティーの招待と
勘違いしながらもバンダナワドルディと一緒に塔を駆け上る!

カービィファイターズ2』の小説版。
塔の建設経緯など、原作では具体的な説明がなかった要素の多くを独自解釈で補完しながら、原作の開発コンセプト「熱い友情!エモいバトル!」を体現した作品。


砂漠の惑星ミノーレのお祭りで振舞われるご馳走を制覇すべく、
カービィ、ワドルディと断食をしていたデデデ大王。
しかし、そのご馳走の食材を盗んだ疑いをかけられて、
かばったワドルディ共々投獄されてしまった!
カービィはメタナイトに助けを求め、デデデ大王も牢獄で出会った
アリーと共に脱走を試みる。

20弾の大台に来て、ついにデデデ大王主役の番外編がやってきた。
主役だけあって、今回はデデデ大王の人柄や、それに付随する「理想の王とは何か」がメインテーマとなっている。


プププランドとリゾート惑星ユタリーを結ぶ銀河鉄道
「プププトレイン」が開通。
カービィらプププランドの住民がたくさん招待される中、
列車の中ではトラブルが続く。

グッズ展開の一つ『星のカービィ プププ☆トレイン』をテーマにしたエピソード。
第18弾のような平和路線だが、後半にはハラハラする展開も。
更に今回は、本シリーズで半ば定番化しつつあったとある「お約束」を逆手に取った要素もある。


銀河で人気の移動劇場「スターライト・シアター」が
プププランドにやってきた。
カービィたちも座長のルルゥが見せる夢のようなショーの
虜になり、「全ての悲しいことを忘れて」最高のひと時を
過ごすが……?

カービィの一番くじを基にした作品。
序盤はほのぼのとした展開だが、徐々にスターライト・シアターの秘密があらわになっていく。
長らく単なる雑魚キャラに過ぎないと思われていたスカーフィが物語のカギを握る。

突然謎の渦に飲み込まれたカービィたちは、これまた謎また謎の
「新世界」に飛ばされた。
カービィは新世界で出会った新しい友だち・エフィリンを連れて、
獣王レオンガルフ率いるビースト軍団に立ち向かう!

2022年時点で最も売れたカービィ作品となった『星のカービィ ディスカバリー』のノベライズ。
『スターアライズ』以来の前後編構成であり、原作の謎にも深く切り込んで独自の補完を行っている。

◆番外編

星のカービィ 天駆ける船と虚言の魔術師
『星のカービィ Wii』のノベライズにして星のカービィ30周年記念作。
角川つばさ文庫ではなく、KADOKAWAから刊行された。
カービィをハルカンドラへ連れて行く途中、ランディアによってローアが墜落した時のマホロアの演技はもはや神業。


「Wiki篭りの追記・修正ってそんなに凄いんですか、メタナイト様?」
「ああ、見事な物だ」

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最終更新:2024年03月28日 18:25

*1 アニカビからして「視聴者にイメージを固定させたくない」という制作サイドの配慮によって、基本「ぽよ~」としか喋らないようにしていたという。

*2 ハル研からの依頼で開始したかどうかは不明。

*3 その割には大人も思わず「おおっ?」とさせられる作品がよく見られる……というのも、この業界にはよくあること。

*4 これが原因なのかは不明だがデデデは「ボウルの中身は城を爆破するための爆薬」と判断していた。もっとも、その実態は爆薬以上に恐ろしい代物でもあるのだが…

*5 第1・3弾。後者ではそれが原因で話がさらにこじれてしまう。

*6 プププ王国でのバンダナワドルディとグランワドルディがいるのみ。

*7 一方、第17弾では「ギャラクシアに心があったら」という台詞がある。勿論比喩表現だろうが。