ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(映画)

登録日:2015/08/01 (土) 03:54:18
更新日:2024/03/31 Sun 00:47:10
所要時間:約 9 分で読めます





そして 何かが生き残った……





概要


ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(The Lost World: Jurassic Park)』とは、97年に公開された米映画。
93年に公開されたパニック映画『ジュラシック・パーク』の4年後に公開された続編で、作中でも実際に同じ月日が流れた設定になっている。
監督は前作に引き続きスティーブン・スピルバーグが担当。ちなみにスピルバーグがシリーズものを担当したのは『インディ・ジョーンズ』シリーズと本作だけ。

原作はマイケル・クライトンが『1』の映画公開直後に執筆した前作の続編で、続編執筆のアナウンスを聞いてスピルバーグが原作の完成を待たずして映画の製作を開始した。
原作と同時進行で製作されたため、両作品に共通するものは初期設定と登場人物だけで、ストーリー自体は完全な別物である。

なお特撮映画黎明期の傑作である1925年に発表された『ロスト・ワールド』との関連は無い。


前作に比べて登場する恐竜の種類が増え、また「現代によみがえった恐竜の雄大さ」に重きを置いた前作に対し、今作は「恐竜たちに追い詰められる恐怖」に重点を置き、サスペンス性、およびパニックホラー映画としての側面を強調し、作品の雰囲気自体も大きく変わっている。
しかも、ミスを犯して事態を悪化させまくる、全然好感を持てないメインキャラや、ひたすら恐竜との追いかけっこに終始する中盤以降の展開など、ストーリー面での批判が続出
批評家からも酷評され、アメリカの最低映画賞であるゴールデン・ラズベリー賞(通称「ラジー賞」)の最低続編賞、最低脚本賞、最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞にノミネートされてしまった。ただしノミネートのみで受賞には至っていないが、大ヒット作の続編であることを考えたら不名誉というか屈辱もの。

クライマックスのサンディエゴ編はパニックものここに極まれリという展開になるが、これは撮影の段になって急遽脚本が変更され挿入されたもの。
一説ではエメリッヒ版『GODZILLA』に対抗したとも言われている。
当初は、島から脱出しようとする一行にプテラノドンの大群が襲い掛かるという内容で、
ヘリコプターやパラグライダーとプテラノドンとの息も詰まる攻防が描かれる予定だった。
ある意味上記の1925年製作『ロスト・ワールド』*1との符合を感じさせる。


物語


インジェン社がコスタリカ沖の孤島イスラ・ヌブラルにオープンしようとしていた「本物の生きた恐竜」が生息するテーマパーク「ジュラシック・パーク」。
だがプレオープン中に起こった事故で4人ものの人間が死亡、恐竜たちと共にパークは破棄され、夢のテーマパーク計画は幻へと消えた。

しかしその4年後、同じコスタリカ沖のイスラ・ソルナで、クルージング中の家族が小型恐竜に襲われるという事件が発生。
パークの事故の生存者、マルコム博士はその件でインジェン社前社長・ハモンドに呼び出され、彼の口から衝撃の事実を知る。
実はジュラシック・パークには、恐竜の生産と飼育に特化した、養殖所とも言うべきエリア「サイトB」が存在し、それこそが放置されたイスラ・ソルナだったというのだ!しかも、マルコムの恋人のサラは既に現地入りしており、携行しているはずの衛星電話も通じない……ハモンドはマルコムにソルナ島の調査を依頼し、彼はサラのこともあって嫌々ながらそれを引き受けることに。

そして、マルコムを含め4人の調査隊チーム(と、勝手についてきたマルコムの娘ケリー)が島に派遣され、草食恐竜を中心とした生態調査が開始された。
しかしほどなくして、プロのハンターたちが大人数で島に押し寄せてくる。
ハモンドの後釜に収まったルドローがサイトBの存在を知り、アメリカ本土サンディエゴにジュラシック・パークを再オープンするべく、T-レックスをはじめとする恐竜を生け捕りにしようとしていたのだ。
マルコムたちの暗躍により捕えられた恐竜は逃がされ、ハンターたちの装備は全て破壊されるが、同時にマルコムたちもまた、用意したトレーラーがT-レックスに襲われ大破してしまう。

両陣営は利害の一致で協力しながら、野生の恐竜たちが繁殖する島から脱出を図るが、獰猛な肉食恐竜が蠢く中彼らは徐々に追い詰められていく……。

そして、悪夢は島を出てからも終わらなかった!



登場人物


イアン・マルコム
演:ジェフ・ゴールドブラム/吹き替え:大塚芳忠
前作の脇役で、今作では主人公に昇格。
数学者だったが前作の事件で口封じを要求され、構わずパークの秘密を公表しようとしたら大学をクビにされてしまった模様。
そのためサイトBの件にも乗り気ではなかったが、なし崩し的に参加することになり再び死の危険に晒される羽目に。
相変わらず皮肉屋な性格だが、前作よりも能動的で情熱家としての側面が出ており、ジュラシック・パークの再オープン阻止のため身体を張る。


サラ・ハーディング
演:ジュリアン・ムーア/吹き替え:勝生真沙子
古生物学者で、マルコムの恋人。
曰く「20歳の時から猛獣と接してきた」とかで恐竜の生態系に詳しく、生きた恐竜に対しても愛情をもって接している……が、彼女の向こう見ずでいらんことしいな行動のせいで次々とトラブルを誘発する、今作きってのトラブルメーカー。
  • ステゴサウルスの群れに近づき、その子供に触れ写真を撮ったせいで襲われかける
  • 捕らわれた恐竜達を檻から逃したせいでハンター達のキャンプが壊滅
  • 負傷した仔ティラノを連れ帰り治療するも、これのせいで親ティラノをおびき寄せてしまい、仲間が一人食い殺されることに(しかも 頭を噛み砕かれた上で体を真っ二つに引き裂かれる というスプラッターホラーも真っ青の殺され方)
  • 「服に付いた血は仔ティラノのものだけど湿気では乾かない」「ティラノは嗅覚が良い」と言っておきながら付着した血を放置、再び親ティラノをおびき寄せてしまい 殆どのハンター達が恐竜に食い殺される
等、劇中の大惨事の要因になってしまった。


ニック・ヴァン・オーエン
演:ヴィンス・ヴォーン/吹き替え:平田広明
野生動物ドキュメンタリー専門のカメラマン。
自然保護団体のメンバーで、動物愛護を主張し恐竜の捕獲を嫌悪している。
そのため、ハモンドに雇われローランドたちハンターの邪魔をする。しかし
  • 大型草食恐竜を逃がす→結果、ハンターの装備がほとんど破壊されたため後のサバイバルがより困難に
  • 傷ついた仔ティラノを治療するために勝手にトレーラーに持ち帰る→結果、怒ったティラノ夫婦がトレーラーを襲撃し大破、エディが死亡
等、彼の行動のせいで事態が悉く悪化しており、サラに次ぐトラブルメーカーその2。
一応、研究所跡地で救助を呼ぶという功績は挙げているが。
なお、本来の脚本ではクライマックスで命を落とすはずだったが、終盤の内容がまるごと変更されたため、島からの脱出後いきなり登場しなくなるという変な退場の仕方をする。


エディ・カー
演:リチャード・シフ/吹き替え:納谷六朗
野外装備の技術士。
トレーラーや物見用のカーゴ等の便利装備は彼の持ち物である。
面倒見がいい慎重派でいざという時は銃も使う男気のある人物。
(サラとニックの不始末のせいで)一同がティラノ一家に襲われた際に、身を挺して車で助けようとしたが、ティラノ夫妻の襲撃を受け無惨に食い千切られた


ケリー・カーティス・マルコム
演:ヴァネッサ・リー・チェスター/吹き替え:渕崎ゆり子
マルコムの娘で、別れた妻との間にできた、三人の子供のうちの一人。母親の血筋からか黒人。
おてんばで父の助手を自称している、ファザコン気味な女の子。こっそり付いて来たことで本作の事件に巻き込まれることに。体操が得意で学校ではレギュラーだった時期もあるようだが、本編前に外されてしまったらしい。
この手のパニックものにありがちな、絶叫担当の子供だが、終盤では特技を生かしてラプトルを打倒してのける。


ローランド・テンボ
演:ピート・ポスルスウェイト/吹き替え:麦人
ハンター団のリーダー。
危険な動物を狩ることに本能的に入れ込む狩猟狂だが、大ベテランであるため的確な指示を欠かさず肝も据わっている、この映画一の漢。
ルドローの無茶な命令にも苦言を呈するあたり、ハンターとしての矜持を持った、意外とまともな性格であることがわかる。
ティラノサウルスを一騎打ちで仕留めた(捕獲した)人間は、シリーズで後にも先にもローランドだけ。
だが目的を果たした後は、仲間を喪ったことに憔悴するばかりで、島での騒動終結後はどこへともなく去って行ってしまった。


ディーター・スターク
演:ピーター・ストーメア/吹き替え:神谷和男
ハンター団の副リーダー。
大物狩りに情熱を燃やすリーダーとは対照的に、動物をいたぶりながら狩るのが趣味のサド野郎。
皆からはぐれた時にコンピーをいじめていたら、仲間が大量に逆襲しに来て美味しくいただかれましたとさ。


ロバート・バーク
演:ハーヴェイ・ジェンソン/吹き替え:塩屋浩三
ハンター団に雇われた古生物学者。
大の恐竜オタクで恐竜を見るなり興奮して止まらない。
滝に追い詰められた際に蛇にパニックになった隙にT-レックスに喰われた。


ピーター・ルドロー
演:アーリス・ハワード/吹き替え:牛山茂
ハモンドの甥っ子で、インジェン社の現社長。
名声を求め、サイトBの存在を知り、ジュラシック・パーク計画を再開させるとともに、今回は孤島ではなくアメリカ本土はサンディエゴにオープンさせるという野望のもと、叔父を解任して社長の座から蹴落とし恐竜の捕獲作戦を企てる。
しかし、叔父に雇われたマルコムたちにより雇ったハンターの装備は壊滅し、自身のグループも含め遭難し恐竜に襲われるという大惨事に発展してしまう。
マルコムらに責められローランドにドン引きされても省みることなく、目当てだったティラノ親子の捕獲に成功し、ふてぶてしくもジュラシック・パーク・サンディエゴオープンを強行しようとする。
だが、捕獲したT-レックスは本土にて脱走、さらなる大惨事を引き起こしてしまった。そして、自身もまたその報いを受けることに……。


ジョン・ハモンド
演:リチャード・アッテンボロー/吹き替え:永井一郎
前作のそもそもの原因で、今作ではインジェン社前社長。
4年前の不祥事と相まって、現在は身体の衰えのため引退しているが、今もなお恐竜の現代への復活を諦めきれていない。
甥っ子の暴走から出し抜くため、マルコムたちを雇ってサイトBの調査に向かわせた。
最後は美味しい所を持って行くが、ぶっちゃけどの口が言うんだという話である。
ちなみに今作冒頭ではハモンド邸が登場するが、さすが社長の邸宅とも言うべき豪華な設えで執事もいるほど。


アレクシー“レックス”・マーフィー
ティム・マーフィー
前作でマルコムと苦難を共にした子供たち。冒頭のみの登場だが、今作ではすっかり成長した彼らが拝める。



登場恐竜


前作に比べ種類が大幅に増えた今作。前作の原作にのみ登場した恐竜も含まれている。
原作ではもう少し種類が増えている。

ティラノサウルス・レックス
ご存知、肉食恐竜の王者。
今回はつがいの二匹に子供といった、三匹のティラノ一家が登場。ジュラシック・パーク・サンディエゴの目玉としてハンターに狙われている。
ついに子供を捕らえられ怪我までさせられるが、それを聞きつけた親ティラノが治療してくれた人間を恩など知らないとばかりに猛攻した。
さらにその時の子供の血の匂いをたどって、餌どもをしつこく追い回した。しかしローランドの放った強力麻酔薬に倒れ、子供共々アメリカ送りにされる。
が、麻酔の取れた親ティラノは本土に着いた途端に大暴れ。夜のサンディエゴの街へと繰り出し、怪獣王のごとく暴れまくるのだった。
絶海の孤島で前座の古生物を経て学者の前に現れた巨大な生物が海を渡り大都会に…どこかで見たような?
そして、仔ティラノにも最初の狩りの時が……。

ヴェロキラプトル
ご存知、肉食竜の中のハンター。
中盤で登場し、得意の知能でプロの人間のハンターを次々と手にかける。
だが、一応素人のサラとケリー相手には手こずり、子供のケリーにまで倒される始末。
ちなみに、タンカーにT-レックスと共に積まれ、航行中に乗組員を全員殺害したらしいが行方不明。

コンプソグナトゥス・トリアシクス(コンピー)
小型の肉食恐竜。
コンピー自体はいるものの、トリアシクスという種は存在しない架空のものである。
見た目は可愛らしいが非常に獰猛。一匹だけだと無害に思われるが群れを成すと数の暴力で大型の獲物を貪り尽くす。恐竜版ピラニアみたいな感じ。序盤で幼女を襲ったけしからんやつ。
原作でハモンドを食い殺したのは彼らである。

ステゴサウルス
大型の草食恐竜。
大人しいが、子供に危害を加える者には攻撃的になる。

パラサウロロフス
トサカ頭が特徴な草食恐竜。足が速い。

パキケファロサウルス
大きな硬い額が特徴な草食恐竜。頭突きで敵を圧倒する。今の学説じゃ無理だったらしいけどね

マメンチサウルス
大型の雷竜。ジープに比べてもとてつもなくデカい。

トリケラトプス
角の生えた草食恐竜。怒ると角で突進してくる。
前作は毒を喰って倒れていただけであったが、今回は元気に動く彼らの姿が見られる。

プテラノドン
翼竜。ラストにのみ登場。当初はラスボスの予定だった。
具体的な活躍は次作のお楽しみ。


余談

前作のファンからの評価は芳しくなかった今作だが、同時期にセガからリリースされたアーケードのガンシューティングゲームは軒並み好評。
撃てる弾の少なさや多すぎる初見殺しといった難点はあるものの、今の目で見ても高水準なポリゴン恐竜は迫力満点である。
ガリミムスやパラサウロロフスといったモブ恐竜までしっかりと作り込まれている他、ステゴサウルスの死骸にたかるコンピーや弱ったT-REXの子供に襲いかかるラプトル等、実際の野生動物の習性を踏襲した描写は恐竜ファンなら見ているだけでも楽しくなること請け合い。
また、原作版のみ登場したカメレオン恐竜・カルノタウルス*2や中生代の大ワニ・デイノスクス等、映画には登場しなかった恐竜・古生物も登場する。

残念ながら版権の影響か移植されていないので、運良くゲームコーナー等で見かけた場合は是非とも一度プレイしていただきたい。




「追記修正しに来るんじゃなかった……」

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最終更新:2024年03月31日 00:47

*1 原作では連れてきたプテラノドンが人々を驚かせながら飛び去るだけのラストを、映画では連れてきたブロントサウルスがロンドンで脱走し大暴れと改変

*2 保護色能力の根拠は化石からは見つかっておらず、前作のディロフォサウルスの毒液同様フィクションであることには留意されたし。