ガメラ対大悪獣ギロン

登録日:2015/6/15 (月) 18:10:48
更新日:2023/09/11 Mon 15:05:09
所要時間:約 8 分で読めます





『ガメラ対大悪獣ギロン』とは、1969年に公開された大映の特撮怪獣映画ガメラシリーズの5作目である。



【概要】

前作『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』が大ヒットとなったため、
監督の湯浅憲明は「また低予算で次回作を作らされるのではないか」と予想していたが、その予想は的中。

さらに大映は、年二本のガメラ映画製作を持ちかけたが、湯浅は準備期間の問題があるため断った。
湯浅は「映画がヒットして困ったなと思ったのは、これが初めてだった」と語っている。

当時アメリカで流行していた「宇宙映画」や1950年代に量産された「怪獣惑星もの」、
「キャンプ映画」の要素が取り入れられており、ガメラが初めて地球外の惑星で戦闘を繰り広げる。

また、前年の『メキシコシティオリンピック』にちなんだシーンもあり、
予告映像では「宇宙の果ての怪獣オリンピック!」とアオリ文句が入る。


【あらすじ】

世界各地の天文台で、宇宙から規則性のある電波を受信し世間を賑わしていた。
そんなある日、望遠鏡で星を見ていた明夫とトムは、円盤が近くに着陸するのを目撃する。

翌日、二人は裏山で円盤を発見し興味本位で乗り込んでしまう。
すると円盤は自動的に発進、宇宙へと飛び出してしまった。

二人を救出しようと現れたガメラを振り切り、円盤がたどり着いたのは地球によく似た環境を持つ「惑星テラ」だった。


【登場人物】

◆明夫
天体観測が好きな少年。宇宙には地球より科学が進んでいて、戦争の無い平和な星があると信じている。
大好物のドーナツに睡眠薬を盛られるは、頭を丸坊主にされるは、友達にグーパンされるは踏んだり蹴ったりである。

◆トム
明夫の友達で射的が得意。
睡眠薬入りのドーナツを食べて眠ってしまった明夫を、頭へのグーパンで起こすワイルドボーイ。

◆友子
明夫の妹。
明夫とトムが円盤に乗って行方不明となった事を母親達に話すものの、なかなか信じてもらえなかった。

◆邦子
明夫と友子の母。
厳格な性格で、明夫とトムが円盤に連れ去られたという友子の証言に耳を貸さなかった。バイラス星人襲来の件を知らないのだろうか?
しかしラストで明夫とトムが帰ってきた際は「子供たちの言う事を信じてやらなきゃいけなかった」事に気づき、反省した。

◆エルガ
トムの母。邦子同様、友子の言う事をまともに取り合わなかった。バイラス星人襲来の(ry

◆志賀博士
天文台所長。冒頭で記者達に対し、太陽系外から知的生命体がやって来る事はまず無い、と語った。バイ(ry

◆近藤巡査
近所の派出所のおまわりさん。あだ名はこんちゃん。
明夫達には怖がられていたが、友子の言う事を親身に聞いてくれた唯一の大人。この人だけはバイラス星人の襲来を知っていたのだろうか。

◆バーベラ
テラに住む女性で、名前は「小鳥のように可愛いらしい」と言う意味。
始めは明夫とトムに対し優しく振る舞っていたが、実は二人をテラへ連れて来たのは地球の知識を得るためと、移動中の食料にするためだった。
ギロンに円盤がまっぷたつにされた際負傷し、フローベラに射殺された。

◆フローベラ
テラに住む女性で、名前は「花のように美しい」と言う意味。
バーベラを光線銃で射殺後、移動した建物にギロンが切断したミサイルの片割れが直撃し死亡した。


【登場怪獣】

◆ガメラ
巨大な亀の怪獣で子供の味方。今作では『座頭一』よろしくギロンの手裏剣をツララ型の細長い岩で防いだり、
鉄棒でウルトラCならぬウルトラGを決めたり、まっぷたつにされた円盤を火炎放射で溶接するなど芸達者な一面を見せる。

◆大悪獣ギロン
色物が多いガメラ怪獣内でも1、2位を争うインパクトのある見た目をした敵怪獣
「大悪獣」というとてつもなく悪者の肩書きだが、実際はコントロールされていただけの被害者である。

身長:85メートル 
体重:110トン

テラの異常気象が原因で出現した怪獣の一体。
出刃包丁のような頭が特徴の四足歩行生物で、尻尾は無く足の裏には吸盤がある。
頭部の刃は強力で、ガメラを甲羅越しに斬りつけ出血させている。

頭部側面の十時手裏剣は脳波で自在にコントロール可能。手裏剣というかもはやビットである
ちなみにこの手裏剣の原料は脳組織である。皮膚はガメラの火炎放射が直撃しても平気なほど頑丈。
跳躍力(一部書籍ではジェット噴射によるもの)も高く、上空後方から低空飛行で襲ってきた宇宙ギャオスを背面跳びで返り討ちにしている。また水中でも活動可能。

テラに出現した怪獣の中で唯一コントロールできたため、バーベラとフローベラに用心棒として使役されていた。
しかし、決して大人しいわけではなく少年の手によりコントロール装置が破壊された際には二人の乗った円盤を撃墜、二人に致命傷を負わせた。


ギロンのデザインは、これまでガメラ怪獣を手がけてきた井上章が大阪万博の仕事で腰を痛めたため、矢野友久が担当し井上がまとめる形となった。

井上は「これまでの敵怪獣は生物的に、と念頭に置いてきた」、
ギロンはスタッフと「とにかく凄い怪獣にしようと話し合い、全身を武器にとの発想から刃物に身体を付けたら出来た」と語っている。
それ故作品含めて結構気に入っている様子。

ちなみに平成ガメラに出てくるマザーレギオンこいつの代わりに登場した
他方、『ガメラ2』を監督した金子修介によれば、ガメラ2の対戦怪獣としてギロンの名前が挙がったのは事実ではあるものの、特技監督の樋口真嗣を交えてアイデアを出し合い、脚本を担当した伊藤和典が設定考証をした結果生まれたのがレギオンであり、ギロンがレギオンのモデルというわけではないと証言している。
また伊藤も、宇宙怪獣の着想はギロンの影響があった可能性は述べているものの、ギロンがレギオンのモデルであると明言してはいない。

◆宇宙ギャオス
かませ犬ならぬかませ鳥。
地球産のギャオスと異なり体皮は銀色で、また陽が出ていても活動可能。都市があった地区には複数生息している。

バーベラとフローベラのいるコントロールセンター地区に出現し、出動したギロンと対峙。
超音波メスを頭部の刃で跳ね返され右脚を失い、低空飛行で突っ込むも背面跳びカウンターで左翼を切られ墜落。その後はなす術も無く右翼と首を切断され絶命する。
さらに食べやすいサイズの輪切りにされるものの、臭くて食べられたものではなかったらしくそのまま放置された。

惑星テラがこいつが大量発生しているのに食糧難なのはこの臭さが原因だとか。

前々作でガメラを苦戦させたギャオスのこの扱いは子供達に不評だった。
もっとも、別個体のためガメラと戦ったギャオスより弱かったのかもしれない。あるいはテラの生物が収斂進化した可能性もある。着ぐるみやミニチュアは『対ギャオス』のものを流用している。

◆ギャオス、バイラス
明夫の記憶映像内に登場した。


【惑星テラ】

太陽系第十番惑星で、太陽を挟んで地球の真逆に位置する地球の双子星。
天然現象を人工的にコントロールできるほどの地球よりはるかに高度な文明を築いていたが、環境をコントロールしていた電子頭脳が狂った事で、ギロンや宇宙ギャオスといった怪獣が出現。

さらに、食糧難によりバーベラとフローベラ以外の住人は全滅してしまった。

住人の容姿は地球人と変わらないものの、テープを早回しにしたような言葉でしゃべる。そのために明夫たちと話す際はウルトラスピーキングマシーンという万能翻訳機をのどに装着した。
実は食人種であり脳を食べる事で相手の知識を得る事ができるらしい。
役に立たなくなった時は死ぬ(殺す)、という掟がある。また、死亡すると肉体は服ごと消滅する。


【余談】

小さき勇者たち~ガメラ~』に本作のオマージュを思わせるシーンが存在する。



追記・修正は宇宙ギャオスのお肉を美味しく食べれるようになってからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • ガメラ
  • ギロン
  • 特撮
  • 映画
  • 大映
  • 昭和ガメラ
  • SF
  • ウルトラC
  • ガメラ対大悪獣ギロン
  • 鉄棒
  • 宇宙ギャオス
  • ギャオス
  • 四足怪獣
  • 刃物
  • 宇宙人

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年09月11日 15:05