テッカマンエビル

登録日:2015/05/25 (Mon) 11:50:35
更新日:2024/01/08 Mon 08:34:26
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アキは、街中でDボウイに似た青年に出会う

二人のDボウイは惹かれ会うように運命の再会をする

次回、宇宙の騎士テッカマンブレード『宿

仮面の下の涙をぬぐえ!







俺達は双子だ。もともと一つだったものが二つに分かれたんだ。
どちらか片方だけが生き残ればいい…!生き残ればなぁぁぁぁぁっ!!


宇宙の騎士 テッカマンブレード』の登場人物。
主人公・Dボウイこと相羽タカヤの双子の弟、相羽シンヤが変身するテッカマンである。



概要

ラダムに洗脳される前に父・孝三に助けられたブレードとテックシステムに適合しなかった妹のミユキ/レイピアとは異なりシンヤはラダムに支配されてしまっており、人間体の時でも目が赤くなっていたりと、ラダムの洗脳を受けていることが分かる。
シンヤに限らずこれはラダムの支配を受けているテッカマン共通の特徴でもあるのだ。

それでも昔の記憶はしっかりと残っているので普通にDボウイと談笑するといったことも可能となっている。
また、テックシステムを施された人間の身体能力は常人を遥かに凌駕しており、
通常ではあり得ないジャンプができたり、人間の首の骨を容易く圧し折るといったこともできる。

シンヤもテッカマンにテックセット(変身)する際は赤いテッククリスタルを使用するがクリスタルの形状は独特なものであり、テックセットの際はクリスタル脇の部分が翼を広げるように横へ展開するようになっている。

ラダムの完全なテッカマンであるため、当初はラダムの地球侵略目的を最優先に行動。ブレード抹殺のためには過去の思い出をも利用する悪辣な罠までも仕掛けたほどだが、ストーリーが進むにつれて徐々に相羽シンヤ個人としての意識が強くなっていき、ブレードを自力で倒すことに固執するようになっていく。
これは元々、「0.01秒でも兄さんに負けたくない」という、シンヤ自身が抱いていた兄へのコンプレックスがラダムの支配を受けた影響で極端に増幅されていった結果によるものである。テックシステムを受ける前の「いつも完全な状態」を求めて必死に努力する姿をDボウイから聞かされたアキも「行き当たりばったりに突っ走っていく危険な『デンジャラス・ボウイ』と違って、いつも完璧を求める『パーフェクト・ボウイ』だったってわけね」と評するほどだった。
34話ではラダムの月面基地と一体化している長兄・オメガ/ケンゴの前でタカヤとの思い出を語る際、高校生時代のリレーを引き合いにしてこう言う。

もしも、俺と同じだけ努力をしたら、タカヤ兄さんが勝つに違いない。そう思うことがあるんだ

やがて、アルゴス号で出発する前にタカヤと共に父と格闘術の師であるゴダード/テッカマンアックスによるサバイバル訓練に登山した際、滑落の危機に同行した父は自分には手を差し伸べ、タカヤには「お前ならできる」と励ますに留めた
『土壇場の力では自分よりも上』なタカヤだったとオメガに吐露、彼からブレードを恐れるのはそれかと知らされる。

コンプレックス、っていうやつかな…?
これは、タカヤ兄さんをこの手で倒すまで消えないよ。
俺達は双子である必要はないんだ。どちらか一人、残ればいい…!!

やがて、双子の兄の息の根を止めんとスペースナイツのアジトがあるアラスカに舞い降りるが、逆にブレードのブラスター化を目の当たりにし

1%の可能性でも構わない!!タカヤを倒せるのならば!!

とオメガの前ですべてをかなぐり捨ててでもいいと自身のブラスター化を必死に求めた。
最終的には「地球侵略など関係ない!」と言い切り、対等の条件でブレードに勝利する一心のみでラダムの支配さえ乗り越えていった。
その精神は、最終的にテックセットの制限時間に陥ったブレードを「そんな弱弱しい兄さんに勝っても、嬉しくもなんともないさ。対等の条件でぶつかって、勝たないとね…」と、1時間後に決着をつけようとあえて見逃すという、第2クールまでの彼とは思えないほどの行為を促すほどだった。
このままいけば本当に自力でラダムの支配を完全に覆すこともできたのかもしれない。


―ブレード……今度こそこの手で、貴様を地獄に送り届けてやる……!!―


基本スペック

白がベースであったブレードとは反対にエビルのアーマーは禍々しいというまさに悪魔をイメージしたかのようなカラーリングである。
このことから赤い戦慄と呼ばれるようになっている。

ブレード同様に地球の通常兵器で傷つけることは不可能であり、テッカマン最強の必殺技であるボルテッカに対する耐性も特に優れている。
通常のボルテッカはもちろん、強化型のハイコート・ボルテッカの直撃を受けても行動不能になるほどのダメージを受けるだけで済んでおり、消滅することはなかった。
エビルは後途のPSYボルテッカのこともあり、フェルミオンに対する防御力が高いことの証拠でもある。

なお、後頭部部分には丸い球体があるが、ここにラダムの本体が寄生している。(その姿はまさに虫けらそのもの)

テッカマンエビルは地球侵略の前線指揮官としての役割を与えられており、あらゆる状況に対処するため多目的汎用型という特性を持っている。
このため基礎戦闘能力もブレードより上であり、完全なテッカマンであることも相まって対テッカマン相手であっても問題なく対応が可能。

他のテッカマンが一点の能力に特化しているのがほとんどであるのに対し、エビルは全ての能力がバランスよく高水準に達したまさに指揮官に相応しいテッカマンなのだ。



昔はこうやってよくケンカをしたねぇ?兄さん!
子供の頃から叶わなかった俺が、こうして兄さんを追い込んでるなんて…!
今までてこずっていたのが嘘のようだ…それとも俺が強くなりすぎたのかな…?


主な能力・装備

●テックランサー/テックワイヤー

テッカマン共通の武器であり、エビルのランサーもブレード同様の諸刃の槍である。
エビルのランサーはブレードのように分割はできないが、中心で展開することで十字型のブーメランに変形する。

また、こちらも先端部分の刃を射出することが可能となっており、ランサーとはワイヤーで繋がれたままなので常時回収できるようになっている。
この刃部分を有線式の遠隔武器として自在に操ることができるため、背後や死角にいようがエビル自身は動かないままでも攻撃ができる。

当然ワイヤーである以上は敵を捕縛することも可能で、さらにワイヤー全体をフェルミオンで覆うことでワイヤー部分で標的を斬りつけるといった応用もできる。


●ラムショルダー

エビルが両肩部分のアーマーに装備している補助武装。
エビルはブレードと違って投擲したランサーをワイヤーで回収できないため、ランサーを失った際の予備武器として装備されている。
装備する際は肩のアーマーが手の部分にまでスライドし、手甲のようにして装着され、その先端から小型の剣が出てくる。

ブレードのテックシールドのように盾としての運用も可能な攻防一体の武器でもあり、
テックランサーよりも範囲は小さくなるが小回りがきくようになるため、スピード重視の戦いをする際はあえてこちらを使うこともある。
両肩のラムショルダーを同時に使用すれば事実上、ブレードのランサー二刀流のような使い方もできる。


●近接格闘

エビルはラムショルダーがあるため、ランサーを失っても丸腰になることはないが、
兄同様にゴダードから格闘術を習っていたために素手での戦闘もかなり強い。
むしろその格闘術を交えた戦い方をするので単純にランサー同士のぶつかり合いとなった場合でもこちらで対処して有利に立つことが多い。


●クラッシュイントルード

テッカマンが共通して使用する飛行しての高速突撃技。
エビルの場合はブレードほどアーマーをスリムにさせずとも使用が可能である。

多数の敵を相手にしてもエビルはランサーだけで対処が可能であるため、どちらかと言えば一点突破のために使用するのがほとんど。
それでもスペースナイツ本部のバリアで阻まれはしたが。

また、エビルを筆頭にラダムのテッカマンはブレードがサポートマシンのペガスを使うように、
ベースと呼ばれるラダムテッカマンをサポートする小型の飛行ラダム獣に乗ることがあり、これに乗ったまま突撃することもできる。


フハハハハハッ、これで俺はついに越えるんだよ!!
兄さんをねえっ!!
PSYボルテッカァァァァッッッ!!!

●ボルテッカ/PSYボルテッカ

テッカマン共通のフェルミオンを加速放出する最強の必殺技。
エビルのボルテッカ発射孔は両胸に露出しているのが特徴である。

通常、ボルテッカは蓄積されているフェルミオンを残さず全て放出する上、発射後は制御できず一方向にしか撃てないという欠点がある。
エビルは通常のボルテッカに加えてこれらの欠点を解消したPSYボルテッカというボルテッカの発展型を唯一使用することができる。

PSYボルテッカはエビルの精神コントロールによってフェルミオンを自在に思念操作できるようにしたもので、
フェルミオンの放出量を減らして威力を落とす代わりに数回以上連続使用したり、ボルテッカの軌道を変化させて標的を追尾したり、敵のテッカマンの放ったボルテッカを自分のボルテッカで包み込むことで吸収し、威力を上乗せさせた上で相手に返すといった様々な応用が可能である。

ただし、PSYボルテッカで制御できる以上のフェルミオンは吸収できないのが弱点で、ハイコート・ボルテッカには逆に掻き消されてしまう。

エビルがボルテッカに対する耐性が強いのも、この能力があることに起因しているようである。
このPSYボルテッカからさらに派生したものが『テッカマンブレードⅡ』で登場するリアクターボルテッカやボルテッカドレインである。

ちなみに当初ボルテッカはブレード特有の必殺武器として設定されていたのだが
敵側のテッカマンにも使わせたいという要望から後付けでエビルも使用可能となった経緯がある。
劇中ボルテッカの発射孔として描かれた部位はそうなる前は「なんとなくつけた飾り」でしかなかったが
それっぽく見えるので発射孔の機能を追加されたのだとか…


最高だ…最高だよ、兄さん!!
こんなにも充実した時を過ごせるなんて…もうラダムも人間も関係ない!!
この瞬間が俺のすべてだよ、兄さん!!


ブラスター化

ストーリーが終盤になるとシンヤ個人の意識はラダムの洗脳を乗り越えるほどに強くなっており、
ただブレードに勝ちたい、『もともと一つだったものが惹かれあい元に戻ろうとする戦い』に決着をつけたいという望みだけで己の命さえも顧みず、
利害一致したフォン・リー/テッカマンソードの手を借り、
失敗率の高さから司令官である兄オメガから禁止されていた命を賭けたブラスター化を強行した。

ブラスター化したエビルはブラスターテッカマン特有の鋭いアーマーを装着している他、背中部分からは尻尾のような器官が生えている。
ただし、無理な進化を行っているため、上半身はムッキムキだが下半身は通常状態と変わらないという、バランスを欠いた異様な姿になっている。
特に肩部分のアーマーが顕著である。

ブラスター化したエビルには以下のような特徴がある。

●テックランサー

ブレード同様にランサーが鋭く巨大なものに形状が変化している。
ただし、進化前のようにランサーを変形させるといったことはできなくなっている。


●PSYボルテッカ

エビル自身が持つPSYボルテッカ能力がブラスター化によってさらに強化され、
ボルテッカを攻撃だけでなく防御にまで応用することが可能となった。

これによりフェルミオンをバリアとして展開することも可能で、ブラスターブレードのボルテッカランサーさえも容易く防ぐことができる。


●ブラスターボルテッカ

ブレードのようにボルテッカの発射孔が増えたわけではないが、エビルのボルテッカも極限まで強化されている。
さらにPSYボルテッカの特性によりブラスターブレードのブラスターボルテッカを吸収することはできなかったものの、
若干だが威力を上回ることができた。
だが、ブラスターブレード同様にブラスターボルテッカはエネルギーの消耗が高く、
放った後は強制的にブラスター化が解けてしまうデメリットもある。


光と影の兄弟の結末

ブラスター化の代償により急激に寿命が縮んだシンヤは自力で地球に行くこともままならない状態になり、
タカヤを精神感応で呼び出して決闘を展開。ついには、ブラスターテッカマン同士の戦いとなる。
攻撃も機動力もほぼブラスターブレードと互角であり、地球上を何度も周回しながら一進一退の戦いを繰り広げる双子の兄弟。
やがてボルテッカの撃ち合いに勝利したエビルはランサーを手にトドメを刺そうと突撃。


さらばだ、ブレードッ!!!

しかし、ここで肉体がとうとう限界を越えてしまい……。


嬉しい…はずなのに、悲しいな…。
いつまでも…兄さんと…戦って…いたかった…。
目標、無くなっちゃったじゃないか…




if…


フフフ…兄さん。
こうしていると子供の頃を思い出すね。
行くぞ、エビル!
遅れるなよ!
フン…最初で最後の共同作戦だ…。
楽しませてもらうぞ、ゾンダー!!

スーパーロボット大戦W』の16話、ゾンダーが東京にバリアを張ったことで、ブレード達は閉じ込められてしまう。
ゾンダーの気配を感じて東京に来ていたラダムも同じく閉じ込められており、その中にはエビルもいた。エビルは現状打破及び別の思惑のためにブレード達に共闘を申し出る。
ブレードもやむを得ず承知し、二人はテックセットしゾンダーに向かっていく…。

このシナリオでは上記の通りエビルが共闘するのだが、この際のエビルはNPCではない。
つまり、プレイヤーがエビルを操作することが可能であり、更にはブレードとエビルが共にゾンダーにボルテッカを放つという戦闘シーンもイベントで流れる。
さすがに合体攻撃ではなく援護攻撃という扱いではあるが、原作では絶対に見ることができないブレードとエビルとの兄弟攻撃ということに驚いたプレイヤーも多いだろう。


if…



さすがは兄さんだ……。
やっぱり、俺は……かなわなかった……

『スーパーロボット大戦W』の50話では、エビルとの決着が描かれる。
このシナリオで規定ターン以内にブラスターエビルを倒すと、ブラスター化の限界が来る前に倒されたことでエビルは正気を取り戻し、ブレードと和解を果たす。
その直後、ラダム母艦へ向かおうとするブレードとアキの前に立ちはだかるラダムに最後の力を振り絞って立ち向かう。

何をしている、兄さん!早く月へ向かえ!
俺はもう助からない…。だったら、残り少ない生命を兄さんを助けるために使う!!
行ってくれ、兄さん!そして、ケンゴ兄さんを止めてくれ!それが俺の願いだ!!

月へ向かった兄達を見送った弟は、静かな面持ちでラダムの前に立つ。そして…


兄さん…これが俺に出来る最後のことだよ…。
ありがとう、兄さん…。
そして、ごめんよ……


哀しき運命に振り回された彼は、ラダムを道連れに最後の一撃を放つのだった……。



さよなら、兄さん……



余談

  • エビルこと相羽シンヤの声を担当した子安武人は当時声優としてのスランプに陥っていたそうで引退も考えていたそうであるが、
    この役を演じきって役の幅が広がったおかげで自信を取り戻したそうで、かなり思い入れのあるキャラクターであると度々語っている。
    こうして今の子安氏は「テラ子安ww」と呼ばれるほどの存在となるまでになったのだ。

  • レーザーディスク映像特典『燃えた時計』(後にDVD-BOXにも収録)では、48話最終話の間という設定で、11時58分59秒に双子の弟として生まれたシンヤの最期の内面が彼のモノローグと共に掘り下げられている。
    走馬灯のように駆け巡る幼い頃の記憶、兄へのコンプレックス、母との死別、そして父への思募……
    Dボウイの視点を通し相羽家への追憶に浸る46話「時の止まった家」と180度異なり、シンヤの目を通した相羽家の凄惨さに目を覆いたくなるが、彼の悲しみと切実な想いが一層伝わってくることだろう。

  • ブラスターエビルのデザインはエビルの没案の再利用。尻尾のような動きが要る記号はなるべくオミットして欲しいという現場の要求から余剰な部分を引き算して完成したのが本編のエビルであり、ブラスター化で強化形態を用意する必要に迫られた段で「1本限定なら…」ということで日の目を見た。



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  • ※火曜夕方18時30分です。

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最終更新:2024年01月08日 08:34