羽越本線

登録日:2015/03/22 (日曜日) 23:44:00
更新日:2024/02/03 Sat 10:12:21
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羽越本線(うえつほんせん)は、新津駅から秋田駅を結ぶJR東日本の鉄道路線である。

*1

概要

新潟県から山形県秋田県の日本海側各都市を結ぶ大動脈路線で、日本海縦貫線の一部となっている。
その為、長距離特急列車や貨物列車が多く走る路線である。
村上以北は日本海沿岸部を走る為、海に沈む夕日などが良く見える。
しかし、日本海側特有の自然災害の影響を大きく受けてしまう為、それに伴う長期運休が多い路線でもある。
特に2005年の年末に発生した突風(竜巻という話も?)による特急脱線事故は、記憶に残っている人もいるのではないだろうか。

全線電化されているが新津~村上間は直流電化、間島~秋田間は交流電化となっている。その為、村上~間島間にデッドセクションが設けられている。
また、複線区間はあるもののかなり継ぎ接ぎで作られており、特に新発田~鶴岡間は1~3駅間だけ複線⇔1~4駅間だけ単線の繰り返しとなっている。
電化されていながら複線と単線が入り混じるうえ、使用車両には気動車もあるというなかなかのカオスっぷりを誇る路線の一つ。
新津~村上間は新潟近郊区間に含まれ、このうち新津~新発田間全駅と中条、坂町、村上はSuicaの新潟エリアとなっている。


【運行形態】

○新津~新発田

直流電化こそされているものの電車は朝夕1往復ずつしか使用されておらず、他の列車は全て気動車による運行である。
本数も1~3時間に1本程度の運転で、学生以外は殆ど利用しないローカル区間である。
優等列車も寝台特急「トワイライトエクスプレス」を最後に運転がなくなっている。
対して貨物列車は主要幹線として機能しており、電気機関車牽引の列車が多数走る。

○新発田~村上

特急「いなほ」と快速「海里」などの優等列車、多くの普通列車が白新線経由で新潟発着となっていて、村上以北や米坂線で使用する列車の送り込みを除くと基本的に電車による運行である。
普通列車は1〜2時間に1本程度で、一部列車はワンマン運転を行っている。
また、米坂線直通の快速「べにばな」が1往復設定されており、白新線経由で新潟を発着する唯一の気動車となっている。

○村上~酒田

村上以北は交流電化区間となっている為、特急と一部の快速列車、貨物列車については全て交直流電車・電気機関車が使用される。
しかし、普通列車については新潟支社が通勤型・近郊型の交直流電車を所有していない為、鶴岡~酒田間の1往復以外は全て気動車による運行となっている。
村上~鶴岡間は普通列車の本数が非常に少なく、3時間ほど列車が運転されない時間帯がある。
鶴岡~余目間は1~2時間に1本の運転、陸羽西線直通列車が加わる余目~酒田間は更に本数が増える。
特に7時台の余目発酒田行きの下り列車は4本となっており、羽越本線全体で一番本数の多い時間帯となっている。
また、特急「いなほ」の一部や臨時快速「海里」は酒田止まりとなっている。

○酒田~秋田

全列車が電車による運行となっており、普通列車は1~2時間に1本程度となっている。
全区間運転の他に酒田~吹浦間、象潟・羽後本荘・道川・新屋~秋田間の区間列車がある。
特に新屋始発・終着の列車は設定が多く、新屋~秋田間のみ1時間に2~3本と本数の多い時間帯がある。
特急「いなほ」は一部が酒田で新潟方面へ折り返すため、この区間は3往復のみとなっている。


【使用車両】

現在の車両

  • E653系
特急「いなほ」と快速「らくらくトレイン村上」で使用。
7両編成が1000番台、4両編成が1100番台を名乗る。
いずれも常磐線の特急「フレッシュひたち」で使用されていた車両で、耐寒・耐雪構造の強化を実施している。
1000番台は先頭車へ新たにグリーン車化の改造が行われたが、普通車当時の窓位置に座席を合わせた結果、1820mmというグランクラスより520mmも広い驚異的なシートピッチを誇っている。
塗装は日本海に沈む夕日と稲穂をイメージしたカラーリングとなったが、後に1編成が青の「瑠璃色」、1編成が赤紫の「ハマナス色」に塗り替えられている。
2022年3月のダイヤ改正からは「しらゆき」で使用される1100番台も運用に入った。
運用の見直しに伴い、1000番台2編成が生まれ故郷の常磐線に再転属している。
  • E129系
新潟地区の顔で、新津~村上間で使用。
ワンマン運転対応だが、E721系ベースの幅広車体のためセミクロスシートとなっている。
2両編成と4両編成がある。
  • 701系
鶴岡~秋田間で運用されている。酒田~秋田間の普通列車は、全てこの列車での運転となる。
2両編成と3両編成が使用される。
  • HB-E300系
快速「海里」で使用。老朽化した「きらきらうえつ」用の485系を置き換えるために2019年10月より運行開始。リゾート列車らしく食事サービスがある。
羽越本線・白新線共に全線電化されているが、臨時列車で非電化区間に入ることを考慮し気動車になっている。
  • キハ110系
新津~鼠ヶ関間は新津運輸区の所属車両が2両編成で使用されている。
余目~酒田間は陸羽西線直通列車で、小牛田運輸区の所属車両が使用される。
両運転台のキハ110形は単行運転が可能。
  • GV-E400系
新津〜酒田間で運用される電気式気動車。
2020年3月14日ダイヤ改正にてキハ40系を全て置換えた。
キハ110系同様、両運転台のGV-E400形は単行運転が可能。
  • EF81形・EF510形
全線で使用される。
日本海縦貫線の貨物列車牽引の主力機関車。
EF81形は普通客車列車の牽引にも使用されていた。

過去の車両

  • 115系
新発田~村上間おとび新津~新発田間の列車で使用された。
3両編成が主に使われるが、2両編成が使用される事もある。
  • E127系
新発田~村上間で使用。
E129系導入に伴い2015年で撤退し、一部の編成はえちごトキめき鉄道へ譲渡された。
  • 485系
特急「いなほ」で0・1000・3000番台が、臨時快速「きらきらうえつ」で700番台が使用されていた。
「いなほ」用編成は1989年から白地に青とライトグリーンを纏った塗装へのリニューアルが開始され、指定席車は183系のグレードアップあずさに続いて側面窓の拡大を実施。
3000番台は内外装を大規模にリニューアルしたもので、塗装は前述のグレードアップ車に準じたものとなっていた。
「きらきらうえつ」はお座敷車両と同様に車体を載せ替えており、ラウンジやミニビュッフェなどリゾート列車らしさが見られた。
2019年9月29日に運用を終了した。
  • キハE120形
新津~坂町(導入当初は酒田まで)間で使用されていたが、新潟駅高架化の影響*2で2020年3月14日ダイヤ改正で只見線用として郡山車両センターに転属した。
単行運転が可能だが、2両編成での運用が主体だった。
  • キハ40系
新津~酒田間で使用されており、東日本では唯一キハ47形が導入されていた地区である。
長らく主力として活躍していたが、2020年3月14日ダイヤ改正にて全車両が引退した。

【主な駅】

新津…信越本線磐越西線乗り換え。
羽越本線の起点駅で、鉄道の街と言われている。JR直営駅で売店あり。
駅構内に新津運輸区が併設されているほか、近くには総合車両製作所新津事業所が隣接され、首都圏で走るJRの通勤型車両や私鉄の車両も製造されている。
新潟方面への列車は多いがこちらは…。

京ケ瀬…ここから阿賀野市に入る。旧京ヶ瀬村の中心集落からは少し離れている。どちらかといえば京ヶ瀬工業団地の最寄り駅となっている。

水原…阿賀野市の代表駅。

神山…ここまで阿賀野市。笹神地区唯一の駅。

月岡…ここから新発田市。月岡温泉、県の指定文化財の市島邸に一番近い駅…だがバスの発着はない。

中浦…新発田市豊浦地区の中心駅。真木山中央公園の最寄り駅。

新発田…白新線乗り換え。特急停車駅。
新発田市の中心駅で直営駅。売店はJRの駅としては珍しくNewDaysではなくデイリーヤマザキになっている。
周辺には新発田藩の城下町として新発田城を含めた歴史的建築物が多く残る。
1984年までは赤谷線も乗り入れていた。
Suicaフルエリアはここまで

加治…快速が一部停車。

金塚…ここまで新発田市。大峰山はこちらから。

中条…胎内市の中心駅でJR直営駅。Suica一部対応駅。
貨物取扱駅だが現在は臨時取扱駅となっており、駅南にある中条オフレールステーションでのトラック便がメインとなっている。

平木田…新潟都市圏に含まれる胎内市はここまで。無人駅だが名誉駅長が配属されている駅。

坂町…米坂線乗り換え。ここから村上市。
かつては坂町機関区があった関係で、駅構内に転車台が残っている。
Suica一部対応駅。

平林…当初は仮乗降場として開業した。

岩船町…粟島への航路がある岩船港に一番近い駅だが徒歩で35分ほどかかる。

村上…新潟県最北の村上市の中心駅。直営駅で売店あり。
瀬波温泉の最寄り駅で、岩船港への乗合タクシーも発着。
直流電化と交流電化の境界駅となっている関係で、隣の間島駅との間にデッドセクションがある。
その為、運行系統の境界駅にもなっている。
この先から日本海の沿岸部を走る。
Suica一部対応駅。Suica新潟エリアも実質的にはここまで。

桑川…道の駅笹川流れと一体となっている。笹川流れ観光の拠点駅。海里停車駅。

越後寒川…読みは「~さむかわ」ではなく「~かんがわ」。
近くでは6の付く日に限り露天市場が開催される。

勝木…「がつぎ」と地味に難読な駅。周辺には病院や温泉施設がある。

府屋…新潟県最北端の駅で、特急列車も殆どが停車する。
ちなみに新潟県南西端の市振駅からここまで鉄道で276.3km離れている。
これは東京からだと、
  • 東海道本線の鷲津(豊橋の3駅前)
  • 中央本線の倉本(木曽福島の2駅先)
  • 篠ノ井線の姨捨
  • 信越本線の押切(長岡の2駅先)
  • 東北本線の東福島
  • 常磐線の桃内(浪江の1駅先)
くらいに相当する。
新潟って広い。

鼠ケ関…「ねずがせき」と読む。
山形県最西端の駅である。駅のすぐ近くに新潟県村上市と山形県鶴岡市の県境がある。
海里停車駅で、村上・酒田両方面に始発・終着列車がある。

あつみ温泉…同名の温泉最寄駅。
普通列車が1本だけ酒田方面に折り返す。
かつては寝台特急「あけぼの」も停車していた。現在はTRAIN SUITE四季島の停車駅に選ばれている。
ここからしばらく複線区間に入る。

五十川…「いらがわ」と読む難読駅。

三瀬…中華そばの有名店である琴平荘の最寄り駅。

羽前水沢…かつては隣接する化学工場向けの貨物列車が発着していた。

羽前大山…複線区間はここまで。
鶴岡市のスポーツ施設がすぐ南にある。北側には酒蔵が多い。
クラゲ展示で有名な鶴岡市立加茂水族館に一番近い駅だが徒歩では行きにくい上、最寄りバス停も少し離れている。

鶴岡…庄内地方では最も人口の多い都市、鶴岡市の中心駅。直営駅で2002年に東北の駅百選に選ばれている。
優等列車は全て停車する他、酒田方面への始発・終着列車が多く設定されている。
駅には売店だけでなく居酒屋もある。
庄内空港へのバスも発着する。
かつてはJR東日本管内でよく流れていた発車メロディ「清流」が使われている最後の駅(ただし接近メロディとして)。
この付近は日本海から離れ、庄内平野の内陸部を走る。

藤島…ここからまた暫く複線区間に入る。
近くの県立庄内農業高校への通学生の利用が多い。

余目…陸羽西線乗り換え。特急停車駅。
庄内町の中心駅で、酒米として有名な「亀の尾」発祥の地でもある旧余目町に位置する。
4番線が「おくりびと」で使われたことでも有名。

北余目…辺りは庄内平野の水田。そこに複線電化のホームがあるというギャップ。
鳥海山も見やすい。

東酒田…酒田の一駅前だがここも周りは田んぼで、西に1km弱進むと酒田市街に入る。

酒田…庄内地方北部の都市、酒田市の中心駅。
酒田市は人口こそ鶴岡市より少ないものの、庄内空港や重要港湾である酒田港がある。酒田港へは当駅から貨物支線が分岐している。
あの「西部警察」ではその貨物支線を使って大規模なロケを実施した回があり、当時の酒田駅も棒読みの国鉄職員も登場するので必見。
普通列車の運行系統境界駅で、ここから秋田までは電車のみの運行となる。
特急「いなほ」の一部や、臨時快速「海里」も一部期間以外はここで折り返しとなる。
なお、新潟支社と秋田支社の境界駅でもある為か、それぞれの方面との接続はよくない。
週末パスのエリアもここまで。

本楯…複線区間はここまで。

南鳥海…鳥海山をモチーフにしたと思われる駅舎が特徴。

遊佐…遊佐町の代表駅で特急停車駅。

吹浦…酒田方面へ始発・終着列車が3往復ある。
ここから再び海沿いを走る。

女鹿…牛山氏の全国秘境駅ランキング34位。山形県最北端の駅でもある。
上りが朝2本、下りが昼1本・夕方3本の計6本しか停車しない1級の秘境駅。

小砂川…ここから秋田県。

象潟…「きさかた」と読む。
にかほ市の代表駅だが利用客は仁賀保よりも少ない。
かつては秋田方面への始発・終着の普通列車があった。

金浦…白瀬南極探検隊記念館最寄り駅(徒歩20分)

仁賀保…特急停車駅。
周辺はTDKの企業城下町。

西目…特急は止まらないが工場や県立西目高校などがあり、利用者は仁賀保よりも多い。
ここから暫く複線が続く。

羽後本荘…由利高原鉄道鳥海山ろく線乗り換え。
由利本荘市の中心駅で特急「いなほ」が停車する他、臨時快速「海里」も年に数回当駅発着となる。
秋田方面への始発・終着の普通列車が何本か設定されている他、酒田方面の始発列車も1本ある。また朝の秋田行き快速列車の始発駅でもある。

羽後岩谷…快速停車駅。すぐ近くに道の駅おおうち(日帰り温泉あり)、由利本荘市総合体育館がある。

折渡…牛山氏の全国秘境駅ランキング56位。1日下り5本、上りに至っては3本しか停車しない秘境駅。
複線区間はここまで。

羽後亀田…快速停車駅。砂の器でも有名な駅。

岩城みなと…2001年開業の一番新しい駅。由利本荘市岩城町域の中心駅。

道川…国立病院機構あきた病院の最寄り駅。近くには日本ロケット発祥記念碑もある。

下浜…ここから秋田市。

桂根…秋田市内だが牛山氏の全国秘境駅ランキング109位。この駅も1日5本しか停車しない。

新屋…秋田の市街地に入る。快速停車駅でみどりの窓口あり。
普通列車が一部秋田方面へ折り返す。
周辺には工業団地、県立新屋高校、大森山公園などがあり利用者もぐっと増える。ここからSuica秋田エリア。

羽後牛島…快速停車駅でみどりの窓口あり。秋田駅はもうすぐ。

秋田…秋田新幹線奥羽本線男鹿線乗り換え。
終点駅。かつては奥羽本線直通の特急もあったが、今は一部の普通列車のみが直通する。
秋田県第一の都市である秋田市の代表駅で、東北三大祭りの1つに数えられる夏の竿燈祭りの時は大いに賑わう。


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最終更新:2024年02月03日 10:12
添付ファイル

*1 出典:日本の旅・鉄道見聞録 URL: http://www.uraken.net/rail/alltrain/ltdec/653e.jpg 日時:2016/01/03

*2 新潟駅高架化によりATS-Pが導入され、搭載していない当形式が単独で新潟駅に入線出来なくなったため。なお、キハ110系との併結で中間車に組み込まれている場合は入線が可能だった。