ギエン(未来戦隊タイムレンジャー)

登録日:2015/02/13 Fri 22:06:34
更新日:2024/02/11 Sun 17:37:39
所要時間:約5分で読めます






私はお前たちのように、金に楽しみを感じられんのでね。破壊と殺戮ほど、高級な趣味はない!




ギエンとは、『未来戦隊タイムレンジャー』に登場するキャラクターである。
CVは戸部公爾(旧:とべこーじ)、スーツアクターはタイムファイヤーの中にも入っている今井靖彦。

概要

敵組織『ロンダーズファミリー』の幹部で、ドン・ドルネロの腹心的な存在。名前の由来は、通貨単位の一つ「円」と三国時代蜀の奸臣・魏延から。
金属でできた黄金の龍が二足歩行してマントを羽織っているかのような容貌をしており、ギョロリと光る真ん丸な目が印象的。
左手は3本指のマジックハンドになっている。
戦闘の際は主に左手を変形させたマシンガンと、口からの光線を使用する。

外見こそ完全なロボットだが、人間と同様に自分の意思で思考し行動しており、喜怒哀楽の表現も非常に豊か。
話し方も、低くて押し出すような物言いのドルネロとは対照的に、甲高い声で饒舌によく喋る。ちなみに一人称は「私」。
激しく感情が昂ぶった際には目と口のギミックが大きく「クワッ」と展開する(そのときの顔は結構コワい)など、やたら人間臭い表現も多い。

活躍

西暦3000年、ドルネロ&リラと共に時間保護局のロンダーズ刑務所を乗っ取り、20世紀にやって来る。
配下のいない状況での労働力として、廃ネジの山を改造したジャンクドロイド「ゼニット」を作製。
20世紀に着いて数時間で、ゼニットの大軍を作り上げた。

ドルネロやリラのように金儲けに関心を示さず、破壊や殺戮に喜びを覚えるという危険な嗜好の持ち主。
解凍する囚人も暗殺者やテロリストなど、ただただ危険な連中ばかり。
Case File.16で解き放った囚人も罪状だけ見れば「食い逃げ犯」と一見小物だが、実態は犯行現場の店に放火して回るという相当な凶悪犯である。

ドルネロも当初からそれには気づいていたものの、何故かきつく咎めることはせず口頭注意だけに留めていた。
前述のように、ドルネロとリラとは目的が異なっているが、仲間意識がないわけではなく、一緒に食事を楽しむ光景も見られる。

序盤では普段の振る舞いはまだ落ち着いており、囚人に対しても散発的に破壊や殺人をけしかけるだけだった。
しかしCase File.18では、一見大した使い道の無いエネルギー結晶・「λ(ラムダ)-2000」を第三総合研究所より強奪*1
続くCase File.19では、λ-2000を30世紀の技術で精製した「Ζ(ゼータ)-3」を使用し、ロンダーズとしては初の巨大破壊ロボット・ノヴァを製作。
今まで例のない大規模破壊を行うなど、ギエンの行動は次第に不可解さを増していく……。





以下、本編に関するネタバレ















過去

実はギエンは、元々はごく普通の人間だった。

30世紀の世界で荒れ果てたスラムの一角に一人ぼっちで暮らす、子供のように無邪気で優しい青年だったが、何らかの理由で学校に行くことができず、まともな教育を受けられなかった為に、3から上の数すら数えられなかった(本編での描写を見るに、発達障がいがあったのではないか?と推察した視聴者も少なくない)。
勉強ができないと馬鹿にされ殴られる為に友達もおらず、シャボン玉を見るのが一番の楽しみだった彼が、西暦2990年、敵対組織との抗争で大怪我を負ったドルネロと偶然出会ったのが全ての始まりとなった。

彼を自分のねぐらに連れて帰り、懸命に介抱するギエン。
ドルネロもそんな彼にお金の数え方を教えてあげたりしながら、しばらく秘密の共同生活が続いていたが、ある日ギエンは血まみれのボロボロになった状態で帰ってきた。追手にドルネロをかくまっているのではと目をつけられたのだ。
しかし、それでもギエンはドルネロを守るために、半殺しにされても秘密をばらそうとはしなかったのである。

その行為に心を動かされたドルネロは、恩義に報いるため、闇医者に頼んで瀕死のギエンをサイボーグ化して蘇らせた。それが現在の彼の姿である。
以前とは比べ物にならない知能と力を身につけて復活したギエンだったが、この時増設された電子頭脳の影響で人格が変貌、ドルネロと共にファミリーとして犯罪を繰り返すにつれて、やがて異常なまでの殺人・破壊嗜好を膨らませていく。
ギエンを手術した闇医者もそれは予測しており、あらかじめブレーキを掛ける為の封印キーを渡してはいたものの、ドルネロはできるだけそれを使いたくなかったようで、ギエンが勝手に破壊を繰り返していてもきつく咎めはせず好きにさせていた。

暴走

…が、その為にギエンはますます増長し、破壊活動もエスカレートしていく。
Case File.20「新たなる絆」では、その危険さゆえにドルネロが絶対に解凍しようとしなかった「へルズゲート囚」*2の一人ブラスター・マドウを解凍、市街地で暴れさせ凄まじい数の死傷者を出す。

流石にドルネロもこの時には激怒してギエンを殴りつけ、平謝りする彼からへルズゲート囚解凍用の鍵を取り上げるが、やはりこの時も謝罪は口先だけで、ちゃっかりスペアキーを隠し持っていたギエンはCase File.28にて同じくヘルズゲート囚のジャグルを解凍。
発足したばかりのシティーガーディアンズも巻き込んで暴れた挙句、時空が歪んだその向こうからブイレックスを20世紀に引っ張り込んでしまう。

そして、ついにCase File.39では、新種のレダーウィルスをバラ撒いて多数の人々を死亡させたヘルズゲート囚・エンボスを解き放ち、20世紀に大量の感染者を出すというという大惨事を引き起こした。
ここに至ってついに堪忍袋の緒が切れたドルネロは、封印キーを使って強制的にギエンを昔のような幼い人格に戻して幽閉する一方、免疫のある自分の血液をタイムレンジャーに高値で売りつけてワクチンを作らせ、何とかことを収めた。

凶行

だが、幽閉中のギエンは時間保護局のリュウヤ隊長の暗躍によって解き放たれ、ドルネロが密かにタイムレンジャーに情報を流して再度作らせた封印キーも、やはりリュウヤに妨害され逮捕は失敗に終わる。

この時、ドルネロしか作り方を知らないキーをタイムレンジャーが持っていた事で、ドルネロがとうとう自分を見限ったことを悟り、密かに開発していた破壊ロボット・クライシスを出撃させて暴れるが、その前に、ついに彼を消す決心をしたドルネロが現れた。
一度は追い詰められたものの、弱々しく命乞いをするギエンを見てトドメを刺せないドルネロを返り討ちにし、遂に殺害する。

そして最後の仕上げとして、クライシスを更に強化して作り上げたロボ・ネオクライシスを操って街で破壊の限りを尽くし、迎撃に出たブイレックスとの激突で、空間さえも歪ませて周囲を崩壊させていく。

実はギエンとブイレックスには同じく「超高密度のλ2000*3」が動力として使われており、両者の激突が一気に時空を刺激した結果起こったのが、大消滅*4であった。
ブイレックスを至近距離からの放電で沈黙させ、止める者の無くなったギエンとネオクライシス。
そしてゼニットを使い、タイムファイヤー/滝沢直人を殺害、その事で竜也を本格的に激怒させた。
機体冷却の為の休養を挟んで訪れた2001年2月4日、地上を完全に廃墟とする為に再び起動する。

破壊、破壊!ヒャハハハハ!!……ドルネロ、僕を見てよ!何処にいるの!?

何なんだ!?お前たち誰だ!!僕の邪魔をするなぁ!!

半狂乱になり、すでに自らの手でドルネロを殺してしまったことも、今まで何度も戦ってきたはずのタイムレンジャーのことさえ分からなくなってしまうほどに錯乱したギエン。
街を闊歩し、目の前の全てのものを叩き潰そうと、再度立ち塞がったブイレックスやタイムロボを相手に大立ち回りを演じる。

最期

再び5人揃ったタイムレンジャーは、ブイレックスのλ2000をゼータ3に変換し、そのエネルギーによる必殺技でギエンのλ2000を無力化する作戦を決行。
ネオクライシスは破壊され、同時にギエンのλ2000も無害な微粒子にまで分解。
2つの特大λ2000は失われ、大消滅は防がれた。



すべてが終わり、一面に散らばる残骸の中、そこには瀕死の状態で横たわるギエンがいた。



ドルネロ……どこいっちゃったの?ぼく……お金数えられるようになったよ……イチ……ニィ……



昔の頃のように無邪気な心を取り戻したギエンは、ぽつりぽつりと呟くと、そこで事切れ、全身が崩壊。ひっそりと消滅した。

竜也との共通点・相違点


実は竜也との共通点が結構多いキャラで、子供の頃は何もできずに友人達にいじめられる日々を送っていた。
そして金儲けに精を出す目上の男性(竜也は渡、ギエンはドルネロ)とは不仲ではなかった。
しかし徐々に互いに我を通すようになり、不仲になっていった。

だが、相違点も結構あり、竜也はタイムレンジャーの他メンバーやホナミ、そしてタックなどの仲間に恵まれ信頼関係を深めるが、ギエンは破壊活動に精を出し、リラを筆頭とする仲間と信頼し合う仲ではなかった。

終盤両者の差を分けた結果が、「自分に最も近い目上の男性との相互理解の有無」である。
竜也はCase 42で渡が負傷した際、奈津江に渡の過去を聞かされたことをきっかけに渡への理解を示すようになった。
しかしギエンの場合は同Caseにてドルネロに見限られたと思い込み、彼を憎悪しCase 47で殺害した。

このことからギエンはもし竜也が渡と最後まで互いにエゴを通し合い、そして分かり合うことがなく、仲間とも信頼関係を深めなかったら悲劇的な最期を辿っていたのかもしれないというIFを体現するキャラクターなのかもしれない…。

製造兵器

  • 破壊兵器ノヴァ
Case File 19に登場。
ギエンが開発製造した破壊兵器1号機。
全身を強力な武器で武装し、頑強な装甲で身を守っている。
動力源はテロリスト・サンドーラが研究所から強奪したλ2000から作られた鉱石「ゼータ3」。
ギエンにわざと圧縮冷凍された後解凍。
リバウンドの性質を悪用され、巨大化抑制シールを剥がされて巨大化すると強大なパワーを発揮して街で暴れ回った。

  • メカ・クライシス
Case File 47に登場。
ギエンが開発製造した破壊兵器2号機。
耐圧縮冷凍装甲によって全身を覆い、圧縮冷凍しようとすると逆に巨大化する厄介な能力を持つ。
両肩にビーム砲、左腕に、右腕に銃を装備。
劇中では「クライシス」と呼ばれており、街中で暴れる様子を制作者であるギエンは楽しそうに眺めていた。

  • ネオ・クライシス
Case File 48〜50に登場。
ギエンが開発製造した破壊兵器3号機にしてギエンの最高傑作であり、本作のラスボス。
ギエンの目論む世界滅亡を実現させるための大量殺戮兵器だが、これまでの2機とは異なりギエンが直接操縦する。
まるで製作者本人を意識したような頭部が特徴で、その頭周りと胸部に小型の機関砲を多数装備しており、両腕は鎌状のブレードとなっている。
動力源はλ-2000だが、λ-2000を大量に注ぎ込むことで莫大なエネルギーを獲得。凄まじいパワーと全身の砲身で敵を蹂躙していく。
そしてネオ・クライシスに対抗して出撃したブイレックスもギエン同様λ2000をエネルギー源にしているため「ブイレックスとネオ・クライシス(を操るギエン)が戦えば戦うほど両者が共鳴して時空間の歪みが加速し大消滅が進んでいく」というこの上ない難敵となった。



歴史に定められた追記・修正だ!今日、私は神になる!


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最終更新:2024年02月11日 17:37

*1 20世紀ではまだ実用段階ではなく、タックやシオンも「(ドルネロ達が使う)生活用エネルギーの補給だろう」程度の認識だった

*2 半永久的に収監され続ける特別枠。大量殺人者や大規模テロリストなど、囚人の中でも特に危ない連中ばかりで、金儲けには到底使えない。

*3 実は使用するたびに時空を蝕む性質がある。その圧縮率は巨大ロボのブイレックスの数十倍であり、大量に使われたのがまずかった模様。

*4 地上の3分の2が時空の渦に呑まれて消滅する、時空災害。