小佐内ゆき

登録日:2015/01/16 Fri 18:15:26
更新日:2024/01/16 Tue 13:54:03
所要時間:約 5 分で読めます





 わたしね。……なんだか、素敵な予感がしてるの! 



小佐内ゆき(おさない ゆき)とは、〈小市民〉シリーズの登場人物である。

CV:羊宮妃那

地元の進学校、船戸高校に通う高校生。
容貌は小動物然としていて、制服を着ていなければ小学生でも通じるらしい。要するにロリ属性。


後述のある理由から、平凡で退屈な日常を享受する「小市民」となるべく、主人公の小鳩常悟朗と協定関係を結び、

  • 問題に巻き込まれないようにするために、お互いを盾にしてもよい
  • 相手が小市民の道を外れそうなときは、それを注意する

と2つのことを約束している。



小鳩が「小市民を目指すうえにおいて、ぼくはまだまだ小佐内さんに及ばない」と評するように、
普段は周囲から浮いてしまわないように心がけて過ごしている。友達も少なくはない様子。

そのため普段は曖昧な微笑みしか見せないが、心からスイーツを愛しており、
甘い物の話をする時、食べるときは心からの笑顔を見せる。かわいい。



以下、キャラ設定に関するネタバレ





























そんな彼女が「小市民」を目指すにいたったのは、自分の困った性分をどうにかするため。
それは、自分に危害を加えた相手に復讐することに、このうえない喜びを感じること。

その復讐魔っぷりを、小鳩は「より強いカウンターパンチを放つために、誰かが自分に殴りかかってくるのを待っている」と表現した。


復讐のためなら手段を選ばず、彼女がスイーツ以外で心からの笑顔を見せるのは、
復讐する相手を見つけた時と、復讐計画を進めている時だけ。


その手腕は非常に優れており、情報操作、籠絡と懐柔を得意とする。
また変装の心得があり(といっても別人に化けるわけではなく、色々な衣装を駆使して雰囲気を変える類のものだが)、
変装時の小佐内は、最初から本人だと疑ってかからなければなかなか見抜けないようである。

単純に頭の回転も速く、観察力と記憶力に優れ、
実際に『シャルロットだけはぼくのもの』では知恵比べを仕掛けてきた小鳩を(不利な条件下で)打ち破っている。


総じて、彼女の内面が直接描写されないこともあいまって、
ヒロインでありながらまったく底の知れないジョーカー的存在となっている。




以下、シリーズの核心に触れるネタバレあり。未読の方はブラウザバックを強く推奨。








































「夏期限定トロピカルパフェ事件」において、中学校時代の因縁から、不良グループに睨まれていることを認識し、自らに火の粉が降りかかることを予見したゆきは、
不良グループに内通者をつくり、自らをさらわせるように仕向ける。

さらに内通者を利用して、不良グループに営利誘拐の罪を着せ、自分から遠ざけることに成功した。


このとき小鳩が、自分を助ける探偵役として機能するよう、事前の下準備もバッチリしていた。
小鳩と行動する機会を増やし、本番の予行演習として謎を解かせつつ、ヒントとなる事柄を彼の脳裏に刻み込んでいた。

このときの小佐内さんはすごくかわいい。とんでもなくかわいい。
よく笑い、目を輝かせて小鳩と過ごす時間を楽しむ小佐内さんに読者は惹きつけられる。そして見事に裏切られる



小鳩は誘拐事件を解決すれば満足するだろう、とタカをくくっていたが、
自分が黒幕であったことを見抜かれたうえで「これはいくらなんでもやり過ぎだ。きみは嘘つきだ」と責められる。


そしてゆきは、自分が嘘つきであることを認めたうえで、小鳩自身も嘘つきである(つまり小市民を目指すと言いながら、謎解きを心から楽しんでいる)と指摘し、
自分たちが一緒にいる限り、自分たちが小市民になれることはないのだと、
そして「小市民を目指す」などと思い上がったことを言っておきながら、自分たちがそんな資格を所持していないことは、今回の件でお互いが証明してしまったのだと、
関係の解消を申し出る。


2人がずっと一緒にいたのは、ただの互恵関係に過ぎず、利用価値がなくなれば傍にいることなどないのだ、という結論。
それに反するように彼女は一粒の涙をこぼし、ふたりは苦い思い出を心の深くに刻み込んで、別々の道を歩むことを選択した。








そしてほどなく。ゆきは、自分に一目ぼれした後輩、瓜野の告白を受け、交際を開始。
小鳩もクラスメイトの告白を受けて付き合い始める。

恋というものがよくわからなかったゆきは、瓜野に尽くすことで(野望の手助けとなる手回しをして)変わろうとしたが、
小鳩に比べて決して有能ではなく、虚栄心と自己顕示欲だけは立派な瓜野に対して、小佐内が抱くことのできた感想は「他愛ない」だった。


しかし瓜野は、発生していた連続放火事件の手がかりをつかんだことで調子に乗り、衝動的にゆきに無理やりキスしようとする。
ゆきの「悪癖」の対象となるには、充分すぎる理由であった。


最終的にゆきは、自分が犯人だと瓜野が告発するように仕向け、それを否定する材料を後出しし、
彼の自尊心を徹底的に叩きつぶすことで復讐を完遂する。


そして見事放火事件を解決した小鳩と相対。

1年前の高2の夏。思い上がって小市民になれないことを恐れ、別離を選択した自分たちの間違っていた点を理解し、
「わたし、小鳩くんがベストだとは思わない。きっとこの先、もっと賢くて、それでいて優しい人と、巡り合うチャンスがある。わたし、その日を信じてる。
 でもね小鳩くん。この街にいる限り、船戸高校にいる限り。白馬の王子様がわたしの前に現れるまでは。……わたしにとってはあなたが、次善の選択肢だと思う」
と、彼女らしい素直でない言葉で互恵関係の再開を申し出る。


こうして二人は確執を乗り越え、また道を同じくするのであった。












同作者の千反田えるとは、

 ・名探偵の抑制装置←→名探偵の起爆装置
 ・事件を発生させる←→事件を解決させる

と、好対照の存在になっている。


千反田嬢とはまったく別のタイプであるが、その不器用で、不安定で、陰のある魅力は類のないものである。
彼女のように、作品がアニメ化され、さらなる魅力が引き出されることを願ってやまない。







【台詞】

「場を、繋ごうと思って……」

「小市民にとって一番大切なのは……私有財産の保全ってことにしたら?」

「わたし、怖かったの。どれだけ虚勢を張っても、殴られたら痛い。深い傷をつけられれば、残るの」

「でもね。小鳩くんとのスイーツめぐり。……楽しい気持ちも、なくはなかったの」

「ああ、これを……。待って、いたのよ」(栗きんとんを食べて)

「そう。わたしは小市民。そしてね、小市民が、好きなのよ」

「わたし、小鳩くんのこと、こんなに信用してたかな?」





でも、わたし、Wiki籠りの言葉にとっても傷付いたの……。だから、追記・修正してくれるよね?


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最終更新:2024年01月16日 13:54