空想科学研究所の書籍における近藤ゆたかの挿絵

登録日:2015/01/16 Fri 14:19:37
更新日:2024/04/17 Wed 10:50:07
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本項目では、柳田理科雄による著作

  • 空想科学読本』シリーズ(メディアファクトリー/KADOKAWA)及び、図書館通信やYahoo!ニュース等での記事掲載
  • 『空想非科学大全』(メディアファクトリー)
  • 『空想映画読本』シリーズ(扶桑社)
  • 『空想科学生活読本』(扶桑社)
  • 『空想お料理読本』(メディアファクトリー)

等に加え、盛田栄一の『空想法律読本』シリーズ(メディアファクトリー)に掲載された、近藤ゆたかのイラストに関して記述する。

近藤ゆたかは1964年産まれのイラストレーターで、柳田とは宝島社の『怪獣VOW』時代からの友人である。
なお、担当編集の近藤隆史と血縁関係はない。最近はYoutubeでの小ネタ動画で近藤隆史の方が挿絵を描いている確率が高いが(笑)。

近藤の作画は曲線と直線の入り乱れた力強い画風であり、オマケに本人が早稲田大学理工学部出身なだけあって、
「縮尺のナオシが全くない」と柳田が驚嘆するほどの正確な作画を行うことで有名である。

しかしながら、この近藤の挿絵、



とにかく似てない。



とにかく元ネタに似ていないのだ。



2次元・3次元・CGを問わず、何をモデルに描いてもだいたい同じ絵柄になってしまうのである。
具体例を挙げていけばキリが無いが、どいつもこいつも滅茶苦茶デフォルメの効いた絵柄になっており、服以外全部似てないとかむしろそのキャラと分かるのが不思議なくらい特徴が片っ端から違うなんてこともザラである。

ネタバレをすると、『空想科学読本』は全く版権元に許可を取らずに執筆している*1ので、創作物や俳優などの顔をソックリに描くことが出来ないのである*2

事実、挿絵の説明や注釈欄には極力固有名詞が廃され、「水爆怪獣」や「未来のロボット」などと言った代名詞や二つ名でキャラクターが説明されている。
そのため、原作に全然似ていない、全てを自分の色に塗り替える近藤の絵柄はこのシリーズに打ってつけなのだ。
特に『空想科学読本5』以降は赤・黄色を交えた二色刷りになったため、意図的な配色ミスなども増えた。

著者・柳田の暴走によるメチャクチャな結論に対しても、近藤は(たった1件の例外を除き)ほぼ忠実に再現するため、

「風に吹かれて飛んでいくカメ怪獣翼竜怪獣
「超絶デブの光の巨人
「長さ4kmので自動車切りに挑戦する剣豪と、その刀を支えてあげる髭面のガンマン、横で『大丈夫かよ』と心配するサル顔の怪盗
「階級だと二番目なのに、実態は一人だけドン底で泣いている軍曹を見て、陰口をたたく二等兵と曹長、当然の結果だとばかりに見下ろす同期の伍長&兵長」

などと言ったイマジネーション大爆発のイラストの数々は、柳田の文面は覚えていなくてもイラストだけは覚えている読者が続出するほどのインパクトを誇る。

また、(シリーズ初期は特に)作品を流し見して文章を書くことが多い柳田に対し、近藤は極力資料と向き合って書いているため、柳田の文章内でのミスをイラストで修正していることもある。(例:『ウルトラQ』に登場したゴーガをヤドカリ怪獣だと言い張る柳田に対し、イラストでちゃんと巻貝型に描くなど*3

一方で、近藤からのツッコミを受けて柳田が研究内容を修正したり、認識を改めたりすることもあり、「この人の言うことだけは素直に聞こうと思っている」と柳田からの信頼も大きい様子。

近藤は絵を描いているとき等だけでなく、駅前で献血している際に某シュワちゃん映画における某ラスボスの死亡シーンでなぜ刺さったパイプから湯気が出ていたのかを考えていたりする大物である。


ちなみに前述の経緯もあって「似せられない」事情を除けば、近藤の画力は低いわけではないため、許可取った仕事では割と真面目に描いている。
そのため、一度だけ、ファンからの要望で可能な範囲で頑張ったイラストがある。
「いつもはファンの方が気を悪くしないように、楽しい感じに描いているのですが……」とのこと。


※なお、角川つばさ文庫から発行されている『ジュニア空想科学読本』では、1巻から8巻までは藤嶋マル*4、9巻以降はきっかが挿絵を手掛けているが、こちらはターゲットの小学校高学年にわかりやすくするためか、ほぼ元ネタそのままで描かれている。
ポケモン関連の考察を集めたポケモン空想科学読本では、赤緑~金銀世代感涙の絵師・姫野かげまるを挿絵に起用している。


以下は近藤による挿絵に登場するキャラクターの紹介(名称は挿絵内の紹介準拠)。





























ふー。捜せばほかにもあるが、もういい加減読者の皆様も飽きてきたころだろうとは思う。

ここまでの記事を読んであなたが浮かべた笑いは、全て原作を尊重したうえで迷惑をかけまいとする近藤の優しさの表れなのである。
彼がいなければ、空想科学読本シリーズは存続していなかったかもしれない。
近藤ゆたかは、これからもきっと天衣無縫にその筆を走らせ続けることだろう。




では最後に、とっておきのオチを用意してこの記事を締めくくらせていただく。














息子「父さんはどう描いてもそっくりになっちゃうからなあ…」

誰がどう描いても原作と全く同じ姿になるため、目に黒線を引いてかろうじて乗り切った。
この強引な手法は今なお語り草になっている。


「老けただけじゃなく…小さくなってる?」
「キミは変わらんどころか魔法使いに見えんのう オシャレで」
エルフと人間の寿命問題の考察の際に登場。
これと言って原作の余韻を損ねるような問題ではなく純粋な計算問題の挿絵であったため、本シリーズ史上初のキャラクター名がそのまま使用された挿絵となった。



柳田「追記修正を重ねれば、この記事は際限なく良くなる!」
ゴテンクス「柳田さん、もうこの記事に追記できるヤツなんていないぜ!」

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最終更新:2024年04月17日 10:50

*1 原作の許可を得ている空想科学漫画読本シリーズや、ゴジラvs柳田理科雄やマーベル空想科学読本などの個別ものを除く

*2 そのため、原作サイドから許可を得て本気で描いたイラスト・漫画の再現度はかなり高い。

*3 さすがにマニアック怪獣になると限界があるらしく、『空想科学読本2』の地底怪獣ネタの回でギラドラスについて、本文で「アフリカゾウのような」と書いている柳田ともども「後脚をつける」というミスをやらかしている。(実際のギラドラスは独特の体形なので説明しにくいが、足は頭部の下の2本のみ。図鑑などで真正面の写真しか載ってないので間違えたようである。)

*4 講談社から発売された『進撃の巨人 空想科学読本』でも担当。可愛いミカサやアルミンが見られる。

*5 欄外でも触れているが、『仮面ライダーV3』第2話で飛行しているほか、漫画版で全身改造された1号は自力で飛行している。