装甲騎兵ボトムズ 孤影再び

登録日:2011/11/03(木) 19:55:49
更新日:2022/07/17 Sun 21:40:36
所要時間:約 6 分で読めます





装甲騎兵ボトムズシリーズの小説作品及びそれを原作として制作されたOVA作品。著者は高橋良輔監督。


小説は『日経キャラクターズ!』誌に掲載された後に大幅な加筆・修正の上『日経エンタテインメント!』誌2006年5月号から2007年9月号まで連載された。2011年5月には角川書店から単行本が発売されている。



OVA版は『Case;IRVINE』、『ボトムズファインダー』と共にボトムズ新生の一つとして制作される。2011年1月から他の二作品からやや遅れる形で「ボトムズフェスティバル」第3弾として先行イベント上映され、2011年4月からDVD及びBDが発売されている。


スタッフも他二作品と異なりそれまでのボトムズシリーズ制作に携わっていた人物が多い。また音楽は『炎のさだめ』や『いつもあなたが』を歌ったTETSUこと織田哲郎氏が担当している。



時系列では『赫奕たる異端』の後、『幻影篇』の前にあたる。また小説の発表時期が『ペールゼン・ファイルズ』の制作時期と近かった事からそれに関連する描写も存在する。



◆あらすじ
マーティアルの陰謀に巻き込まれ最愛のフィアナを失ってから三ヶ月。『触れ得ざる者』キリコ・キュービィーは交易都市グルフェーへと向かっていた。だがグルフェーへと向かう道はギルガメス軍の「黒い稲妻旅団」のATにより封鎖されていた。ATを奪い封鎖を強行突破する事に成功したキリコはグルフェーにて30年ぶりにかつての仲間達との再会を果たす。
だがかつて神を殺し単身マーティアルの本拠地アレギウムを陥落せしめたキリコという男は様々な勢力からの注目を集める存在となっていた。そしてキリコはまたも自らが望まぬまま周囲で起こるトラブルに巻き込まれていく。




◆登場人物
キリコ・キュービィー
声:郷田ほづみ
主人公。詳細は該当項目参照。
フィアナと死別した後、ある目的の為にかつての仲間達が住む交易都市グルフェーを訪れる。仲間達との再会を喜んだのも束の間、またも自らの意志に関係なく争いに巻き込まれる。
グルフェーを包囲した黒い稲妻旅団に対しゴウトとバニラが調整したスコープドッグを駆り単身戦いを挑む。

テイタニア・ダ・モンテウェルズ 
声:松岡洋子
マーティアルの項目参照
父である法王からグルフェーの窮状を救うように要請を受けた事を口実にキリコを追ってグルフェーを訪ねる。OVAではキリコ討伐失敗の咎で粛清寸前であり、ネクスタントとして人口体液が交換出来ない状態となっている。


ブールーズ・ゴウト
声:富田耕生
該当項目参照。
キリコの仲間の一人で現在ではバードラー商会の相談役として楽隠居の身。バニラ、ココナとは家族同然の仲である。
老いても中身は相変わらずで機械いじりの腕も未だに健在らしくバニラと共にキリコのATの調整を担当した。

バニラ・バートラー
声:千葉繁
該当項目参照。
ゴウトと同じくキリコの仲間の一人。キリコとフィアナがコールドスリープに入った後はクメンの農産品を扱う事業に成功し、事業の多角化を進め順調にバートラー商会の規模を拡大させていった(ただし武器の商いだけは決して行わなかった)。
現在ではグルフェーの自治組織『五つの薔薇』の幹部を務める程の地元の名士であるが、中身の方は昔のままである。だが父親として、そして百年戦争を経験した者として血気にはやり事態を悪化させた次男ソルティオを殴って叱責する一幕もある。

ココナ・バートラー
声:川浪葉子
該当項目参照。
キリコの仲間の一人。バニラと結婚し三男三女の母となっている。

現在では昔に比べて大分落ち着き、また大企業の社長夫人としてふさわしい貫禄を身に付けている。が、キリコの前では地の部分が出てしまい彼女も他の二人同様本質的には昔のままであることが分かる。
テイタニアがキリコに惹かれている事をいち早く見抜き、ある事をテイタニアに頼む。

ソルティオ・バートラー
声:陶山章央
バートラー家の次男。郷土愛が強く黒い稲妻旅団に包囲されているグルフェーの現状を憂いどうにか状況を打開しようと考えている。ギャッシルマンの熱烈な信奉者でもある。
若さ故に血気盛んで無鉄砲な面が強く、ギャッシルマンに唆され勢い任せの無思慮な行動に出た結果、家族やキリコを危険に曝すことになる。

ステビア・バートラー
声:桑島法子
バートラー家の長女。小説ではバートラー家を訪れたキリコに興味を持ちココナから昔話を聞く程度の役柄しかなかったが、OVA版では出番が追加され家業を手伝う中キリコを空港から連れ帰る役目を担うが、その際に危険な目に遭った事からキリコを警戒し、疎ましく思うようになる。


死ななかっただけマシとか言ってはいけない。


ベスウッド・ガル・ギャッシルマン
声:櫻井孝宏
マーティアルの項目参照。
グルフェーに流れ着き黒い稲妻旅団への徹底抗戦を主張し若者達から熱烈な支持を受けている。マーティアルの司祭。実際は黒い稲妻旅団と内通しており、ソルティオらを唆し黒い稲妻旅団のグルフェー攻撃の口実を与える事に成功した。
小説ではロッチナからキリコに関する話を聞いた事で野心を燃やし、キリコを殺す事で再び出世の道を歩もうと目論む。

ジャン・ポール・ロッチナ
該当項目参照。
小説のみ登場。キリコに関する一連の顛末を見届けるべくテイタニアに同行しグルフェーへと向かう。ボトムズ未見の読者へ基本設定などの解説を行う説明役でもある。
ギャッシルマンにキリコの異能について語るが、それがギャッシルマンの野心を刺激する事になる。


クルトル・フランガー
小説のみ登場。「黒い稲妻」の異名を持つギルガメス軍大佐。グレン・パッツラー中将の命を受け黒い稲妻旅団を率いグルフェーを包囲する。

当初はグルフェーを無血開城させるつもりであったが、異能生存体であるキリコに対して強い戦闘衝動にかられてしまう。


◆用語解説
アレギュウムの赫い霍乱
何者かがマーティアルの根本聖堂を襲撃し聖地防衛隊が壊滅させた事件。事件に関しては一切公式発表がなされていないが、襲撃の事実はアストラギウス銀河全体に広まっている。
事件の真相に関しては「法王指名会議を巡る内紛」や「周辺警備を担当するギルガメス・バララント軍の主導権争い」、または「一機甲兵士の個人的動機」などいかにもありそうなものから荒唐無稽なものまで様々な憶測や噂が流布している。中にはそれらを分析しキリコ・キュービィーという男が深く関わっている事を察知している者も存在する。
これによりマーティアルの権威は失墜、その威光は既に過去の物と見なす者まで出てきており、黒い稲妻旅団によるグルフェー包囲もその一環。
本作より後を描いた『幻影篇』ではその威光は完全に過去の物となっている。



◆主題歌
EDテーマ『いつもあなたが』
歌:TETSU
本作では織田哲郎氏が新たにアレンジしたバージョンが使用されている。


◆余談
小説とOVAとでは登場人物のみならず登場ATも異なる。キリコが黒い稲妻旅団との決戦で使用したのは小説ではレッドショルダーカスタムだがOVAではバーグラリードッグとなっている他、テイタニアも小説ではオーデルバックラーを使用しているのに対しOVAではエルドスピーネを用いている。黒い稲妻旅団はOVAでは専用のバーグラリードッグを用いているが、小説では特に機種は言及されていない(イラストでは通常のスコープドッグ)。




推奨BGM『炎のさだめ』


グルフェーでの旅が終わる


振り返れば遠ざかる砂塵の街


友よさらば


薄れゆく意識の底に仁王立つ数々の修羅像


耳に残る追記、目に焼き付く修正


次の旅が始まる


旅と呼ぶにはあまりに厳しく、あまりに悲しい


過去に向けてのオデッセイ


次回『編集』



アニヲタは次の巡礼地へと向かう

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最終更新:2022年07月17日 21:40