タイムブルー/アヤセ

登録日:2014/11/20 Thu 22:17:33
更新日:2024/04/12 Fri 22:11:09
所要時間:約5分で読めます








「今のままなら、信じていられるんだ。変わるかもしれない、明日ってやつを」




アヤセとは、『未来戦隊タイムレンジャー』の登場人物で、タイムブルーに変身する。

演:城戸裕次

ユウリドモンシオンと共に西暦3000年に時間保護局に入隊した新人隊員の一人。
クールなイケメンで、性格はやや皮肉屋。
しかし、その内面には熱さを備え、また命の危機に瀕した人間は絶対に助けようとする一面もある。
その際に見せる挺身ぶりには形振り構わない危うさがあり、当初から浅見竜也にはそれを気にされていた。

脱獄したドン・ドルネロを追う為にリュウヤ隊長(に変装したリラ)によって追跡メンバーの一人に選ばれ、20世紀にやって来る。
「ドルネロ一味を全員逮捕するまで帰るな」という冷酷な指令を受けても、事態の深刻さの割には不思議なほど淡々とした態度を取っていたが、現代で出会った竜也の「未来は変えられなくったって、自分たちの明日だけは変えようぜ!」という言葉に強く心を動かされ、タイムレンジャーとしてドルネロたちを逮捕する為に戦っていく。

人と距離を置きたがる性格ゆえに、開業当初は「生活の為に何か仕事をするのに文句はないが、余計な干渉は迷惑」という態度で周囲と距離を置いていた。
また、皮肉屋で一言多い面が災いして、特に直情径行のドモンとは喧嘩になることもあったが、共に戦ううちに理解を深めていき、他のメンバーとも気安い言葉で冗談をかわしたりする事も多くなっていった。

……と、このように常にクールなイメージの彼だが、その反動からかギャグ回においては、他と比べても一気に崩れることが多い。
また公式でイケメン結婚詐欺師バーベラの回では、あっという間に結婚詐欺師に骨抜きにされた竜也とドモンに対して「お前たちは女というものが分かってない」「女は車と同じさ。操られるのではなく、操るもんだ」と豪語するがあっさり撃沈し、「俺を袖にした女はお前が初めてだ。必ず俺に惚れさせてみせるぜ!」と意気揚々と乗り込むなどのナルシストぶりを見せる。

意外にも蕎麦にうるさく、「4つの『たて』*1」が必要であるという蕎麦の極意についても知っていた。
一時は蕎麦にうつつを抜かすドモンを突き放す事もあったが、その熱意を汲んでタックに新鮮な蕎麦粉を取り寄せてもらうという気の利いた一面を見せることもあった。

「4つの『たて』が揃った蕎麦は、まさに究極……!」

ちなみに嫌いな食べ物はネギで鍋料理の時は避けていた。

「トゥモローリサーチ」の家賃が払えなくなった時には何か凄いことをすると思いきや、何と福引で1等のダイヤモンドを狙う作戦だった。
しかし、ハズレのポケットティッシュ以外は7等のカップラーメン一個しか当たらなかった。もっとも、その直後に直人と遭遇しお金がないことを話しているが…。


時間保護局への入隊以前はプロレーサーを目指していたことがあり、そのため車の運転が非常に上手い。5人で設立した会社「トゥモローリサーチ」での主な仕事はそれを活かした運転代行業(ただし、実際の運転代行サービスは二人一組で行動(一人が客の車を運転し、もう一人が乗ってきた車を運転する)するため実質的な業務形態はタクシーに近い)。
腕は確かで仕事も真面目なのだが、主にドモンのせいで客が逃げたり免停になったりして、あまり稼げている印象はなかったりする。
ちなみに現代では「綾瀬慎之助」という名を使っており、運転免許証の名前もこれ。



○タイムブルー
アヤセが変身する青の戦士。スーツアクターは竹内康博。
全体的に空中での反転や大ジャンプなどを利用し、スピードを活かして敵の攻撃をかわしつつ、一撃を与える戦法が得意。
必殺技はダブルベクターで×字に敵を切り裂く、「ベクターエンド・ビートX」。





















実はプロレーサーを目指していた時期に受けた身体検査で、不治の病である「オシリス症候群」を患ってることがわかり、余命は残りわずかという宣告を受けていた。

周囲と距離を置きがちなのは彼の性格によるものもあるが、それ以上にこの事を知られないようにする為もあった。
オシリス症候群とは、20世紀にはまだ存在しない宇宙磁力線病の一種で、治療法は30世紀でも見つかっておらず、発病してからは定期的に心臓に強い痛みの発作を繰り返した末に、1年か半年の後、ある日突然心臓が停止するというとてつもなく恐ろしい病気。
本編開始時点でも日常生活には問題ないが、時折心臓に強い痛みが走る発作を度々起こしている。

この為にプロレーサーの夢を断たれたアヤセは、自棄になったように喧嘩を繰り返す荒れた日々を送るが、そんな中でも「みっともないくらいに『生きたい』と願っている自分」に気付き、いつか来る終わりを覚悟しながらも微かに望みを繋いで必死に生きている。

竜也の「明日を変える」という言葉に強く反応したのもそれが理由で、いざという時の捨て身ぶりも決して自分の命を軽んじているわけではなく、いつ死ぬかもわからない身だからこそ命の重さを理解しており、目の前で不当に奪われる命を見ると自分を抑えられなくなるから。

そういった事情故に、タイムレンジャーとしての戦いの中でもこと「生命」の問題に関しては激しく感情を面に出すことが多い。
Case File.33「リトルレディ」にて、家出少女を成り行きで車に乗せた時には、その娘の亡くなった母親の思い出を冒涜した囚人に対して怒りを爆発させ、タイマンでフルボッコにして少女を救出した。
またCase File.39「雨に濡れた嘘」では、レダーウィルスへの大量感染が起こった際、ドルネロとの取引でワクチンを作るという案に、「例え1%でも可能性があるなら皆それに賭けたいはず」と真っ先に賛同し、滝沢直人が無闇に犯人逮捕を優先して取引を失敗させそうになった時には凄まじく怒り、彼を殴り飛ばした。

「わかってんのか!?…このケースには、数百人の命がかかってんだぞ!!」


病気の事を知っているのは、Case File.10「明日への脱出」で打ち明けた竜也のみ。
普段は態度にこそ出さないが、明日をも知れないアヤセにとって竜也の前向きさには常に救われており、2人に焦点が当たるエピソードでは戦隊シリーズの赤青の伝統を感じさせる、息のあったコンビネーションを見せている。






以下、本編のネタバレ注意















皆に気遣われまいと、竜也を除くメンバーには病気の事をひた隠しにしてきたアヤセ。

もちろん、唯一秘密を打ち明けられた竜也もそれを傍観していたわけではなく、Case File.18「影の予感」では一度「みんなにちゃんと話そう」と提案しているが、その時に彼が返したのが冒頭の台詞である。
仮に未来へ戻れたとしても、待っているのが希望のない検査と治療漬けの日々であるアヤセにとって、明日を変えると言った竜也と共に戦い続けることが、生き続ける為のただ一つの希望になっていたのだ。

だが、その願いも空しく、病は少しずつ進行し、遂に車の運転中の発作を恐れたアヤセは免許証を紛失したと嘘をついて運転を避けるようになる。


そして、Case File.40「アヤセ脱退!?」において、とうとう真相がメンバーに知られてしまう。
駆けつけた4人が見たのは、雨の中、ワクチンを作るための血液ケースを人々に届けようと最後までそれを手放さずに倒れたアヤセの姿だった。


今まで彼が耐えてきた苦しみと、この先に待つ未来の希望の無さに、打ちひしがれるメンバー達。
このまま戦わせる事はできないが、かといって30世紀に戻っても治療法があるわけでもない。
それでもドモンたちは「20世紀よりは可能性がある」と必死に元の時代へ帰るように説得し、戦いの場から遠ざけようとするが、アヤセはそれを拒否し、はっきりと自分の意思を伝えた。


「俺は…俺は、そうしたいんだ。頼む…!」


例え残り少ない命でも、未来を変えていけるという実感を持てる道を選びたい。
そんな彼の気持ちに、竜也も「アヤセの信じるものを一緒に信じる」と宣言し、最終的には仲間たちも彼の出した答えを受け入れ、改めてタイムレンジャーとしての戦いを共に切り抜けていく。
全てが終わり、5人は黄昏れる港を肩を寄せ合いながら歩むのであった*2

そして、世界の半分が消滅するという「大消滅」を目前に控えた西暦2001年。

大消滅に巻き込むまいとした竜也によって、4人は強引に30世紀に帰還することになるが、そこでアヤセは驚くべき事実を知る。
歴史に修正が加わったことで、アヤセの身体を蝕んでいたオシリス症候群は、1年前に治療法が発見され、もはや不治の病では無くなっていたのである。

治療を受け、このまま30世紀で穏やかに生きること、或いはもう一度プロレーサーとしての夢を追いかけること。
それは、アヤセがずっと夢見てきた未来のはずだった。

しかしそれは同時に、竜也と、そして21世紀の人々を見捨てて生きる事を意味する。




迷い悩んだ末、アヤセは決断した。




「俺は、どんなに良い未来でも、このまま受け入れられない」




生きられるならもちろん生きていたい、ただしそれは、誰かに押し付けられた未来ではなく、自分で選んだ未来の中で。
記憶抹消の為にやって来たロボット警備兵を殴り倒し、保身のために4人を現代に行かせまいとするリュウヤ隊長の「お前は生きたいんじゃないのか?」という揺さぶりもきっぱりと撥ね退け、ユウリらと共にタイムジェットγで21世紀へと再び帰還。
竜也と共に最後の敵・ネオクライシスを破壊し、大消滅を食い止めた。

21世紀の世界は救われ、アヤセ達は再び変わった30世紀へと帰る事になる。

アヤセが生き延びられる未来を捨ててきた事を薄々のうちに感じ取った竜也は涙を流すが、そんな彼にアヤセは笑顔で別れを告げる。

それは、自棄でも刹那的でもない、明日を生きることを決意した、力強い笑顔だった。








「大丈夫だ。―――俺は、生きる」







最終回となるCase File.50「無限の明日へ」において、竜也は平和になった世界で、アヤセそっくりの青年が元気よく働いているのに出会う。

未来のアヤセは、同じように元気な姿を見せられるようになっているのか。

彼は、自分の「明日」を掴むことができたのか。



その答えは、千年の時の向こう側にある。

映画『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』では仮面ライダーディケイドに敗れ、亜空間に消されていた。
そして終盤で復活し、他の戦隊、ライダーと共にショッカー・ザンギャック連合と戦った。


「今のままなら、信じていられるんだ。追記・修正できるかもしれない、項目ってやつを」


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最終更新:2024年04月12日 22:11

*1 ちなみにそれは「取れたて」「引き立て」「打ち立て」「茹でたて」

*2 この場面は最終回(Case File.51・スペシャル)のエンドカードとして流用された(映像ソフトには未収録)