名探偵コナン 戦慄の楽譜

登録日:2014/11/20 Thu 10:17:33
更新日:2024/04/24 Wed 22:01:04
所要時間:約 15 分で読めます





この歌声を、消させはしない。


監督:山本泰一郎
脚本:古内一成
主題歌:ZARD「翼を広げて」

『名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)』とは、劇場版名探偵コナンシリーズの第12作目のタイトルである。2008年4月19日公開で上映時間は115分。
興行収入は24億2000万円。第32回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞作。

【概要】

週刊少年サンデー創刊50周年を記念して作られた作品。
煌びやかなクラッシック界を舞台に事件が繰り広げられる。それに合わせ「絶対音感」という能力が作品に深く関わってくる。
今作は、コナン以外の探偵団バッジ、スケボーやキック力増強シューズなど、博士の発明品があまり使われず、アクションは控えめである。
また、作中では「アメイジング・グレイス」などの名曲が多数登場する。
今回はコナンの他に、ゲストキャラである秋庭怜子が活躍するという珍しい作品でもあり、他のレギュラー陣は大きな活躍はしないのも特徴である*1

今回から劇場版のストーリーに関わる短編のサイドストーリー『BONUS FILE』がOVAで制作されるようになった。
本作のものは劇中の回想シーンをクローズアップしたプレストーリーになっている。

探偵たちの鎮魂歌』以来2年ぶりに著名人のゲスト声優が起用されており、堂本ホールの女性スタッフ役に坂下千里子、ゲームをしていた少年役で南海キャンディーズの山里亮太がそれぞれ数秒だが出演している。
なお、次の作品以降はいい意味でも悪い意味でも著名人のゲスト声優が本格的にストーリーに関わるようになった。


以下、ネタバレにご注意ください。


【ストーリー】

米花市にある「堂本音楽アカデミー」の練習室で爆発事件が発生。
その爆発で練習室にいた3人の音楽家が死傷する。
後日、コナン達は園子の計らいで、堂本音楽ホールの完成記念公演に招待される。それに先駆け、ホールで行われているリハーサルを見せてもらう事に。
そこには事件の捜査の為に目暮たちも来ており、爆発で負傷した河辺奏子が最後にメールを送った相手であるソプラノ歌手・秋庭怜子から事情を聞いていた。
帝丹小学校のOGという事もあり、翌日小学校でコナンのクラスの歌唱指導を引き受けてくれた怜子だったが、
その後お茶への異物混入事件、トラックの襲撃事件と彼女の周りで奇妙な事件が立て続けに起こる。
その一方で、堂本アカデミーの元門下生が新たに2人も殺害され、犠牲者は増えるばかりだった。

公演の当日、コナンと怜子はパイプオルガンの調律がおかしい事に気づく。同じ頃、調律師であるハンス・ミュラーが行方不明になっていた。
その事をアカデミーの創始者である堂本一揮に報告する為に2人は彼の行方を捜すが、突然何者かに襲われてしまう。
意識を取り戻した時には2人は犯人の手により、西多摩の貯水池に浮かぶボートの上にいた。
そして公演が始まった直後、音楽ホールで相次いで爆発が起こり、近づく事もままならない状況になっていた。
しかし、ホール内は完全防音の為、中の音楽家や招待客が爆発に気づく事なく公演は行われていた。
このままでは、やがてホール内も爆破される可能性がある。その中には招待されていた蘭たちの姿も…

果たしてコナンはこの危機的状況を打破し、蘭たちを助け出す事はできるのか……?


【事件関係者】

登場人物の名前には音階(ドレミファソラシ)のいずれかが含まれている。
  • 秋庭怜子
CV:桑島法子
ソプラノ歌手。
絶対音感の持ち主。
典型的な女王様タイプという感じだが、優しい一面もある。
何故か犯人に執拗に狙われ、コナンたちに厳しい態度で接するが、子どもたちに危害が及ばないようにするための配慮だった。
コナンと行動を共にするうちに信頼感が生まれる。
音楽ホールの爆破を止める為公演中の舞台上に、パイプオルガンのある音を使用しない「アメージング・グレイス」を歌いながら登場。
そして、ある音と連動していた起爆装置の作動を阻止する事に成功する。

  • 堂本一揮
CV:田中信夫
オルガン奏者。
堂本音楽アカデミーの創始者で元ピアノ奏者。アカデミーで爆発したのは彼が30年以上自宅で弾いていたもの。ピアニストを引退した時にアカデミーに寄贈した。
音楽に対しては妥協を許さない性格で、音楽は人間から神への問いかけだという考えを持つ。
中の人はコナンでは基本的に茶木神太郎を演じている。*2

  • 堂本弦也
CV:目黒光祐
ピアノ奏者で一揮の息子。
公演の責任者とハンスの通訳を担当している。
子供にも優しく、子供たちと初めて会った時にパイプオルガンの説明をしてくれた。
ベートーヴェンと髪型が似ていた事から小五郎に犯人だと疑われてしまう。

  • 譜和匠
CV:依田英助
堂本音楽ホール館長。
一揮とは旧知の仲。怜子と同じく絶対音感の持ち主。
35年間、一揮の専属ピアノ調律師だったが、彼がオルガン奏者に転向したのを機に引退する。
そして一揮の誘いで音楽ホールの館長に就任した。
引退した後も爆発したピアノの調律を任されていた。
今回死亡した被害者に対しては生活態度を問題視していた。

  • 千草らら
CV:水谷優子
ソプラノ歌手で堂本音楽アカデミーの9期生。
今回の公演で起用するソプラノ歌手の第一候補は彼女の予定だったが、先に出演が決まっていた奏子の推薦で怜子に決まったらしい。
それでも舞台に出ることは諦めておらず、万が一に備えて特訓を積んでいた努力家。
公演でその歌声を披露するも、途中で登場した怜子の気迫に押され、悔しそうな表情を浮かべながらも静かに身を引いた。

  • 山根紫音
CV:金月真美
バイオリン奏者で堂本アカデミーの8期生。
負傷した奏子の代理として出演する事に。
神経質そうな女性だが、舞台に上がると別人のような顔つきになり、見事な演奏を披露する。
一揮からも気に入られており、彼が奏子から借りたストラディバリウスを使って公演に望む。

  • ハンス・ミュラー
CV:フランシス・ポル
ドイツ人のオルガン調律師。
かつては一揮と揉めた事もあったが、今は和解している。
公演当日に行方不明になるが、監禁されていたところを佐藤と高木に発見される。

  • 河辺奏子
バイオリン奏者。
練習室の爆発に巻き込まれ重傷を負い、それが原因で記憶を一部失っている。
絶対音感の持ち主の一人。
過去に弦也と曲の解釈を巡って激しく対立している。

  • 連城岳彦
  • 水口洋介
堂本音楽アカデミーの1期生。
連城がピアノ奏者で水口がチェロ奏者。
練習室の爆発に巻き込まれ2人とも死亡。
現場にはフルートの胴部管が置かれていた。

  • 志田治
バイオリン奏者で堂本音楽アカデミーの1期生。
自らが経営する飲食店で、ガス漏れが原因の爆発に巻き込まれ死亡。
現場にはフルートの足部管が置かれていた。

  • 曽根久男
ビオラ奏者で堂本音楽アカデミーの1期生。
ハンググライダーに細工をされ、海に転落し死亡。
彼の車の中にフルートの頭部管が置かれていた。

ちなみに上記の男性4人はピアノカルテットを結成していたが、コンサートで酒に酔ったまま演奏したりと評判はよくなかった。

  • 相馬光
フルート奏者で堂本音楽アカデミーの6期生。
3年前に伊豆にある堂本アカデミーの宿舎で、今回の被害者4人に酒を無理やり飲まされた後、崖下に転落して死亡する。
酒の件はあったが、警察は殺人事件ではなく不運な事故だと判断したらしい。
父親は不明で、母親は5年前に死亡している。
怜子とは婚約者の関係だった。
好きな歌は「アメイジング・グレイス」。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
蘭に対して、コナンとしてなら素直になれるが、新一としてはなれない模様。
今回は事あるごとに音痴をネタにされる。
それでも実は絶対音感の持ち主。
怜子を守らないといけない気がすると言っていたが、その理由は後半で明かされる事になる。

ご存知平成のホームズ。
ふと口にした言葉で蘭の機嫌を損ねる。
バイオリンを弾く事が出来るが、蘭曰く変な弾き癖があるらしい。

ご存知蘭姉ちゃん。
冒頭で新一と喧嘩をしてしまう。なので今回は新一に対してツンデレ気味。
過去にはもっと長い期間喧嘩をしていたようだが、この詳細は今回の短編プレストーリー『謎の壁と黒ラブ事件』で語られている。

ご存知迷探偵。
弦也を髪型でベートーヴェン・フリークだと決めつけ、それを被害者たちが冒涜したので犯行を行ったと推理する。…まあ、前例があるので気持ちは分からなくはないが。

ご存知哀ちゃん。美人な女王様タイプ
終盤で元太のリコーダーを使ってコナンに音階をアルファベットに置き換えたサインを出し、最後の爆発の阻止に協力する。
相棒としてね。

ご存知天才発明家。
今回も恒例のクイズを出すが、それと同じような事が元太の身に起こる。

ご存知純真小学生。
コナンに何のためらいも無く音痴と言ってしまう恐ろしい子。
会場に現れないコナンを信じて待っていた。

ご存知探偵団団長。
ちょっとしたイタズラで怜子のお茶を飲み、仕掛けられていた薬で喉を痛める。
この後はリコーダーで会話を試みるが、これが事件解決に役立った。

ご存知天才小学生。
怜子に合唱大会へ向けての歌唱指導を頼む。

ご存知蘭の親友。
得意のテニスで蘭を圧倒するも、その後の蘭の殺人的スマッシュに唖然。
蘭の中学時代の回想で冷静なツッコミを入れる。
蘭と新一の仲直りの後押しをした。

ご存知警部殿。
小五郎の迷推理に頭を抱える。
怜子のガードにと高木を彼女の元へ行かせるが…

ご存知御曹司警部。
今回の事件関係者の人間関係を詳しく教えてくれる。
バイオリンはアマティ派。

ご存知高木君。
怜子のガードをしようとしたが、追い返され目暮に大目玉を食らう。

ご存知一課のアイドル。
今回は久々に狙撃の腕を披露。

ご存知千葉君。
志田の爆発現場で捜査に加わる。


【余談】

今回の事件の中で貯水池にいたコナンと怜子が、自分の音感を頼りに離れた所から声でプッシュホンを掛けようとするシーンがある。
このシーンを見て「絶対無理だろ」と思った人もいるはずだろう。

だが後に、関西の人気バラエティー番組『探偵!ナイトスクープ』の中で、実際にこの方法で電話を掛けられるかどうかの実験が行われた。
その結果、見事電話を掛ける事に成功している
なので試す時には本当に掛かってしまう恐れがあるので、110番や119番などは避けたほうがいい(番組では117番で挑戦)。
ちなみに番組内ではサッカーボールを蹴って受話器を外すシーンも再現している。





絶対音感を持つ方、追記・修正お願いします。


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最終更新:2024年04月24日 22:01

*1 ただし、個々の小さな活躍が無かったら詰んでいた可能性がある。

*2 2018年10月17日に死去