雪圏玉/エルサレム/星の人/チルシスとアマント(planetarian)

登録日:2014/11/17 (月) 23:58:29
更新日:2019/01/06 Sun 19:34:02
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Key制作のキネティックノベル作品、planetarian ~ちいさなほしのゆめ~の外伝作品群である。
著者は原作ゲームのシナリオも担当した涼元悠一
PC版、PS2版の初回盤限定特典の短編小説として付随した物。
後にそれを基にした全4篇のドラマCDとなり、こちらはメモリアルエディションにも内包されている。

また、第3話「星の人」は涼元氏の『二次創作』として、「星の人/系譜」というエピローグが存在する。
元々は氏のブログで公開されていたものだが、ドラマCD及び劇場アニメではこの「星の人/系譜」も公式に採用されている。

ゆめみの過去、老屑屋の過去、本編のその後等を描いたショートストーリーであり
どれも短いながらもplanetarianの世界観を更に広げる感動作となっている。
Keyやplanetarianを気に入っているユーザーは目を通しておかないと損な作品と言える。


以下、ネタバレ全開の為、未見の人は注意。



●雪圏玉(スノーグローブ)
世界大戦以前、人々が平和に暮らしていた頃の話。
花菱デパートプラネタリウム館で働く里美は、近頃の客入りの少なさなども含めた時の移り変わりに疲れを見せ始めていた。
そんな中、同じプラネタリウム館で働くロボットのゆめみがおかしな行動を取り始める……


CV:すずきけいこ
本編でもお馴染みのコンパニオンロボット、当時はまだ特徴の一つであるインフォメーションリボンは未搭載。
他の職員たちと一緒に楽しげに仕事に励んでいるものの、やはり要所要所で人間とは根本が異なると思わせる言動も健在である。
意味も無く無断で外に出るという謎の行動を繰り返すという不具合を起こすようになり、原因も全然わからなかったが
その真相は無垢な子供の願望を重要命令として認識していたということだった。

ちなみに配属から10年を経たゆめみは既に旧世代のロボットであり、もはや彼女のような存在は珍しいものではなくなっている。

  • 倉橋里美
CV:水月阿伽留
スタッフの1人でリーダー格、ゆめみとは10年の付き合いになるベテラン。
6歳の誕生日に貰ったギリシャ神話の絵本や15歳の夏に見た星空への憧れなどから、現在の仕事を志した。
夢を持って楽しく仕事をする初心を忘れていて、最近はプラネタリウムに対する世間の関心が減ったこともあって少々疲れ気味。
そんな愚痴を人知れずゆめみに零したのだが、それがまた意外な展開を見せることに。
ゆめみの行動の真相を知った時、忘れてしまう人間と覚えていられるロボットはどちらが幸せなのだろうと語っていた。

  • 三ケ島吾朗
CV:森小路旭
ゆめみを製造したメーカーから派遣されてきた技術者、ゆめみのかかりつけ医師のような存在。
みんながロボットを珍しがっていた昔とロボットなど当たり前となった今の時代とを遂比べてしまう年寄り染みた性格。

  • 森見由香
CV:久子由美
スタッフの1人で一番の新人。本編でゆめみとの別れを一番悲しんで泣き崩れていたスタッフが彼女である。

  • 古賀茜
CV:渡辺由宇
スタッフの1人でゆめみとも仲良し。寿退社に少し憧れている。

  • アキノススム
今風の青年。彼が10年前に何気なく交わしたゆめみとの結婚の約束が今回の騒動の発端であった。
引っ越しでもう会えなくなるから自分と結婚してほしいと懇願する当時の彼にゆめみは
「10年経ったら自分が外に迎えに行く」ということを秘密の命令としてメモリの奥深くにインプットしていた。
その約束の10年が経ったことで人知れず外に出ていたということである。
しかし肝心のススムがその約束をすっかり忘れていた。
真実を知った彼はゆめみに結婚の破棄を申し出てようやく事態が収まった。




●エルサレム
世界大戦開戦直後、南米パタゴニアでの話。
ある教会に立て篭もる狙撃兵の説得の為に派遣されたマードック率いる一個小隊。
敵の異常な能力に追い詰められていく中、彼らが捉えた敵の正体は美しい金髪の修道女であった。

挿入歌:brave new world/fripSide


  • マードック
CV:大塚明夫
教会立て篭もりの狙撃兵説得の為に派遣された凄腕の狙撃兵、イギリスのコッツウォルズ出身。
狙撃は天候やコンディションにも大きく左右されやすいと語る実戦派の古強者である。
教会地下シェルターのロボット軍団を火災を起こすという奇策でやり過ごしたものの、最後の一体に致命傷を食らわされてしまう。
しかし、敵の排除よりも人間の安全を優先するロボットの思考によって最終的に事なきを得た。

本編に登場していた老屑屋の若い頃であり、今回の戦いであるロボット軍団との戦いが後のロボット嫌いの性格に繋がっていると思われる。
なお、涼元悠一氏の当初の設定では両者はたまたま同じイギリス人なだけの別人だった(時代が合わないため)が、後に時間軸を検証し直した所同一人物でも問題ないということで、現在はどちらとも取れる扱いとしているようだ。

  • マンソン
CV:奥田啓人
部隊の実質的なリーダー役で階級は中尉。度々言い争いになる部隊員たちを厳しくも叱咤激励していく。
もう助からないと判断したグエンにトドメを刺したことをデイビッドに咎められ、言い争いになっている隙を突かれて射殺された。

  • グエン・チャウ
CV:櫛田泰道
部隊員の1人、今回の任務の不自然さに苛立ちを見せており、デスク上がりのデイビッドには特にキツく当たっていた。
マードックと合流しようとした一瞬の隙を突かれて狙撃されてしまい致命傷を負ってしまう。
もう助からないと自分で判断し、自らマンソンにトドメを刺してほしいと頼んでそのまま逝った。

  • ダニエル・ディアス
CV:遠藤大輔
部隊員の1人、機動装甲兵を駆って作戦に参加している。
他の隊員がやられたことに怒りを覚えており、単身で教会へと突っ込むも、敵の離れ業によって装甲兵ごと爆散してしまった。

  • デイビッド・サリンジャー
CV:石田彰
部隊員の1人でデスク上がりの特務上等兵。
ピューリッツァー賞を目指す戦場記録兵と嘯いているが、命の危機に取り乱した挙句カメラのレンズが泥だらけなことにも気づかないほど未熟。
故に実戦ではヒヨッコで血や死体に怯えるなど部隊の足を引っ張りっぱなしだった。
最終的にマードックと自分以外の全員が殺されて錯乱してしまい行方知れずになってしまった。



と、思いきやそれは全て演技であり、彼の本当の正体はとあるロボットメーカーに勤めていたエリート社員である。
今回の作戦もパタゴニア教会地下にあるシェルター、通称神の国を見つけるために彼がでっち上げた物。
その本質は冷酷残忍なもので、目的の場所を見つけ出した後はロボットをけしかけてマードックも始末しようとする。
しかし、マードックの奇策の数々によって右腕を失った上、最終的には自分の身を案ずる味方のロボットに引き摺られて燃え盛るシェルターへと消えていった。

  • シスター
CV:増田ゆき
教会に立て篭もっているターゲットの狙撃兵、巨大な狙撃銃を片手で操りながら正確無比な狙撃を繰り出す人間離れした技能を持つ。
その正体は嘗てデイビッドの勤めていたメーカーが制作したアハトノイン型と呼ばれるロボットで、教会内に同じ姿をしたものが何体も存在している。
発注先の命令によってロボット三原則の一つである人間に危害を加えてはならないという命令を
「人間とはどういうものか」という部分を書き換えることで、ある特徴を持つ人間以外は悪魔と認識して襲ってくるようになっている。
量産型で無数に同型機が存在する。不気味。

なお、同じロボットとはいえ、民間用廉価版のゆめみとはメーカーもコンセプトも開発コストもまるで違う別物。
互換性も恐らくは無い。


●星の人
世界大戦が終わり、生き残った人類が細々と暮らしている世界での話。
地下のある集落に住んでいるレビ、ヨブ、ルツの三人の子供たちは表の世界で一人の老人を見つけ出す。
星の人と呼ばれるその老人との交流、そして彼が見せる星空の美しさ、その先にあるのは……


  • レビ、ヨブ、ルツ
CV:谷井あすか、西墻由香、松岡由貴
崩壊した世界の地下集落で暮らす三人の子供たち。
紅一点でリーダー格のレビ、ガキ大将気質のヨブ、大人しい性格のルツ。
ずっと地下で暮らしていたので外の世界の常識は殆ど知らず、星空や月や太陽のことも知らなかった。
星の人が見せる星空の世界に憧れ、彼の跡を継ぐことを決意する。
そしてその為に自分たちが見つけた宝物である十字架すらも手渡していた。
その代わりに手にしたゆめみのメモリーに確かな温もりも感じていた。

  • エズラ
CV:及川ひとみ
集落のリーダー的な存在の女性、落ち着いた口調と物腰だが子供たちによると結構怖いらしい。
子供たちが助けた老人を星の人と呼び、徳の高い人として敬う。

  • エレミヤ
CV:細野雅世
集落で暮らす大人の女性の1人で子供たちの面倒を見て居る姉御肌な女性。

  • イザヤ
エレミヤとよく共にいる女性の1人、優しい性格で星の人に関する真実を子供たちに吐露する。

  • 女神像
集落の守り神とされる修道女の姿をした像

  • 星の人
CV:広瀬正志(ドラマCD)→大木民夫(劇場版)*1、小野大輔(若い頃)
小さなそりに乗って表の世界を旅していた老人。
星の人という名前にあるように、黒くて丸い投影機を用いて星空の素晴らしさを伝え歩いている。
たまたま助けられたレビ達三人にも同じように星空を見せてあげた。

その正体は本編の主人公である屑屋その人。
ゆめみのメモリーを抜き取ったは行方知らずとなっていたが、右足を失う重症を負いながらも生還。
以降は屑屋ではなく星屋として星空の素晴らしさを伝え歩いていたようだ。
自分の宝物として防水ケースに入ったゆめみのメモリーをいつも持ち歩いていたが、それをレビ達の宝物である十字架と交換した。
が、レビ達の集落にやって来た時にはもう体が限界に来ており、歩いたり話したりするだけでも相当な負荷がかかっていた。
子供たちに星空の素晴らしさを教え、彼女たちを弟子にしたことをとても満足に思い
最後は自分を看取りに来た女神様の像=ロボットの側で安らかに息を引き取った。

そして空の彼方、彼は自分の人生を大きく変えたそのロボットと再会を果たす。



  • ほしのゆめみ
CV:すずきけいこ
「星の人/系譜」にて登場。
多くの人々で埋め尽くされたプラネタリウム――天国で屑屋と再会する。
その時にはロボットでありながら涙を流せるようになっていた。
ゆめみと屑屋の再会は彼女が神様に祈っていたことが叶っていたことの証明でもあった。


―満来の拍手の中、俺は悟った―

―この星に産まれこの星が育んできた星の人の系譜―

―その末席に今、俺も加わるんだと―



◆舟守の塔
劇場版planetarianのパンフレットにてその存在が明かされた、『星の人』と『チルシスとアマント』のミッシングリンクとなるストーリー。

星屋から始まった星の人の使命は、代々受け継がれてゆく中でいつしか人々の言葉を記録し、星へと届けることに変わっていった。
もはや人類の滅亡は避けられない中、最後の星の人となった兄妹は星の人の証(ゆめみのメモリーカードを始めとする、人々の言葉を宿した様々な記録媒体)を手に、月へと向かうロケット施設へたどり着いた。
施設を守るロボットに導かれ、月へと降り立った二人は、月のコンピュータに全ての言葉をインプットする。
使命を果たした二人は子を産み、育てていくことを夢想するが、既に月は人が長く生きられる環境ではなかった――。


●チルシスとアマント
「星の人」から遥かな時が流れた時代の話。
全てが凍りつき、人が誰もいなくなった『町』で、勉強を続ける二人のきょうだいについて綴られる。

planetarianの最後を飾る物語で、劇場版メインテーマ『星の舟』はこのエピソードをモチーフとしている。

  • チルシス
勉強を続ける男の子。自分達がどうしてこんなことを続けているのか疑問に思っている。

  • アマント
勉強を続ける女の子。チルシスの誤りを指摘し、導く存在。

+ネタバレ
チルシスとアマントの正体は人間ではなく、月面に残されたスーパーコンピュータ。
お互いに誤りがないかを確認するために、一対のAIが存在している。
この頃の地球がどうなっているかは不明だが、おそらくは既に人類は滅亡しているものと思われる。

星の人が遺した人々の言葉を記録し、それを星へ伝えるという使命を果たすために稼動を続けていた。
やがてチルシスが全ての言葉の記録を完了し、アマントは脱出船を完成させる。
チルシスを乗せた星の舟は月を離れ、記録した言葉を繰り返しながら、星の海を進んでいく。

10万年後、アルファ・ケンタウリにたどり着いた星の舟は、記録の中からあるロボットの遺した言葉を再生する。
その言葉をもって、planetarianの物語は完結となった。




―プラネタリウムはいかがでしょう?―

―どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき―

―満天の星々が、みなさまをお待ちしています―






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