登録日:2012/05/04(金) 08:15:32
更新日:2023/07/12 Wed 08:31:51
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第一次怪獣ブームとは、1960年代後半に起きた子供向け作品のブームである。
怪獣という存在が日本の児童文化に根付いた決定的な時期であり、また
ウルトラマンといった巨大ヒーローが初登場した時期でもある。
【発端 〜1965年】
日本映画界は1960年をピークに、以降は坂道を転げ落ちるように観客動員数が下落していた。
テレビの台頭をはじめとする娯楽の多様化に押されていたのである。
そんな中、下落幅の少ないジャンルとして怪獣映画があった。
東宝の
ゴジラシリーズは子供のファンを獲得、怖い存在のはずの怪獣が子供に人気というのは、
当時の大人には理解出来なかったが、その人気は浸透していった。
そこに子供向け作品を求めていた大映が1965年に「
ガメラ」で怪獣映画に参入、一定の人気を得た。
そして
円谷英二が設立していた円谷プロが第1回の自社制作作品として「
ウルトラQ」の制作を開始、
怪獣がブームになることを予想したテレビ局の要望で怪獣路線になる。
これにより、怪獣ブームの爆発が約束されたような状態となった。
【1966年】
1月1日、ついにウルトラQが放送開始。
毎週色んな怪獣や不思議な世界を見られるこの番組は大ヒットとなり、水面下では続編の制作が決定する。
そして、半年でウルトラQが終了。ついに
ウルトラマンが放送開始となった。
ウルトラマンの前週から開始した
マグマ大使と共に大ヒットとなり、子供たちの間に巨大ヒーローの存在を浸透させた。
さらに妖怪物の「悪魔くん」で怪獣のような巨大妖怪を出したり、往年のヒットアニメ作品「
黄金バット」にまで怪獣が登場している。
【1967年】
前年の勢いを保ち、ブームは頂点へ。映画界ではブームに乗って松竹と日活が「ギララ」と「ガッパ」を制作。
怪獣映画は海外輸出が見込め、政府の文化輸出による補助金も計算に入れた計画であった。
東宝や大映も前年に続き積極的に作品を制作している。
テレビ界では惜しまれつつもウルトラマンが終了、繋ぎとして東映の「
キャプテンウルトラ」を経て「
ウルトラセブン」が開始された。
また、東映では子供向け時代劇の傑作「仮面の忍者
赤影」が放送、定期的に怪獣も登場するパワフルな時代劇であった。
実写巨大ロボットヒーローの元祖「
ジャイアントロボ」もこの時期に制作された。
【1968年】
一大ブームを呼び起こした怪獣特撮だったが、そのブームも長くは続かなかった。
予算があまりにかかるためか、あまり動員数を稼げなかった松竹や日活は一作で撤退、
また東映も怪獣物のテレビ作品は制作しなくなった。
残った東宝も「
怪獣総進撃」で区切りをつけ(現在、制作側は否定)
円谷もウルトラセブン終了後はマイティジャックの後期で怪獣が登場したぐらいである。
大映も倒産の危機から予算を絞り、ガメラスタッフは苦しみながら制作を続けた。
こうして第一次怪獣ブームは終了したが、ウルトラシリーズの再放送は一定の視聴率を稼ぎ、
第二次怪獣ブームに繋がるのである。
【ブームを支えた作品】
●テレビ作品
全体的に質は高いが、制作費に苦しみ短命に終わった作品もある。
ウルトラQから始まったウルトラシリーズは、間に東映のキャプテンウルトラを挟みながらブームを支える屋台骨となった。
特にウルトラマンはブームの頂点に立つ作品で、平均視聴率は30%超、最高視聴率は40%以上と化物番組であった。
◆マグマ大使
ピープロ制作。ウルトラマンより一週早く開始した
手塚治虫原作による、初の実写カラー巨大ヒーローテレビ作品。
ヒーローが「神によって創られた
意志を持つ巨大変形金属生命体」(妻子持ち)なので、後世の
トランスフォーマーや
勇者シリーズの走りとも言える。
また敵方のトップ役の
大平透は自ら自身の役のスーツアクターと声を兼任し、レギュラーの子役は本番組後黎明期の
ジャニーズ事務所にスカウトされアイドルに転身した。
予算対策として同じ怪獣で2〜4話使うストーリーになっており、その分ウルトラシリーズに劣らない特撮であった。
水木しげる原作のモノクロ作品。
妖怪物だが、たまに大海魔など巨大な妖怪が登場し、明らかに怪獣であった。
◆仮面の忍者赤影
カラー作品。
横山光輝原作作品で、派手なイケメン忍者の活躍を描いた忍者物の快作。
数は少なめながらたまに怪忍獣と呼ばれる怪獣が登場し、物語を盛り上げた。
◆キャプテンウルトラ
上記のようにウルトラシリーズの繋ぎ作品。
ウルトラマンには及ばなかったが高い視聴率を獲得した。
1960年代にして全編宇宙を舞台にしたスペースオペラを実写で制作した点で評価される作品である。
詳しくは項目で。高い人気を得たが予算難で2クールのみの制作となった。
●映画作品
大手5社がすべて怪獣の出る作品を作った異常な時代であった。
ゴジラを始めとして、常に作品を制作していた映画界での屋台骨。
◆ゴジラシリーズ
ブームの作品だが、子供たちにトラウマを植え付けた作品群。
実はアニメと連動した作品である。
日本製キングコング第2弾。
◇大映
東宝独占だった怪獣映画界にガメラと大魔神で殴り込みをかけた。
ゴジラに次ぐ人気シリーズに成長した空飛ぶ亀。
しかし、「
対バイラス」以降は予算縮小に苦しむことに。
時代劇であり、その神々しさで人気を得る。
一年で三作と乱発し、予算難でシリーズ終了となった。
◇松竹
ギララのみで怪獣映画は撤退した。
しかし、ホラー作品等で特撮は使用している。
◇東映
怪竜大決戦とワタリの2本の特撮時代劇以外は怪獣映画はろくにないが、
SF作品はいくつか制作している。
◇日活
ガッパ以外は特撮作品はろくにない。
【余談】
当時は関連商品で儲けて制作費を回収する、
マーチャンダイジングのシステムが確立されてなかったため、大抵の作品が予算に苦しんだ。
アニメ界にも怪獣ブームは影響を与え、
『鬼太郎』には
大海獣という怪獣みたいな妖怪が登場し、メカ大海獣と対決している。
(同作者のデビュー作『
ロケットマン(水木しげるの漫画)』の『怪物グラヤ』のリメイクであるが、『鬼太郎』より前にリメイクされた『怪獣ラバン』では
ゴジラそのものが登場する
)
この頃成立したものとしてキャラクターショーがある。
怪獣が生で見られるショーは大人気となり、デパートや遊園地の目玉となった。
ちなみにこの頃のショーには撮影に使われたスーツも多数駆り出されている。
ショーで酷使されすぎて原型を留めなくなった
ウルトラファイトの
テレスドンを覚えている人も多いのでは。
追記・修正お願いします。
- 黄金バットには「話の本筋に全く関係ないのにねじ込んだかのように怪獣が出てくる」のもよくあったな -- 名無しさん (2013-08-09 13:38:11)
- 特撮の伝説かつ、王道のはじまり。 -- 名無しさん (2013-08-09 14:04:37)
最終更新:2023年07月12日 08:31