名探偵コナン 迷宮の十字路

登録日:2014/11/09 Sun 10:36:11
更新日:2024/04/18 Thu 21:22:50
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工藤新一、古都の謎に挑む!?


監督:こだま兼嗣
脚本:古内一成
主題歌:倉木麻衣「Time after time ~花舞う街で~」

名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)』とは、劇場版『名探偵コナン』シリーズの第7作目のタイトルである。
2003年4月19日公開で上映時間は107分。興行収入は32億円。


【概要】

こだま兼嗣が監督となった最後の『コナン』作品。
また今回からデジタル製作に移行し、オープニングの解説シーンも一新された。

世紀末の魔術師』では出番が前半までだった服部平次が終始活躍する初の作品で、彼の剣道の腕が生きる激しいアクションも見られる。
京都府の実在する観光地が数多く登場するのも特徴*1
今回の舞台である京都は、これ以降も『絶海の探偵』等で舞台となっているが、実はゲーム版『3人の名推理』で劇場版より先に舞台となっている。

近年では2014年の『異次元の狙撃手』以降、劇場版と原作との連動が意識されるようになっているとされるが、公開当時はまだそうした構想があまり無かったと見られるところ、本作は珍しく原作とリンクしているのも特徴。実際、本作で初登場したある人物が14年越しに原作エピソード『紅の修学旅行』に登場した時には、既にコナン達と面識がある設定となっていたため、本作は同エピソードの前日譚とも言える。
また『14番目の標的』の後日談でもあり、今回も被害者の名前に数字が入っていた事でその事に触れられていた。

特筆すべきは、劇場版では初めてコナンが新一の身体に戻るシーンがあること。
その他、爆発がよく起きる劇場版にしては珍しく、 派手な大爆発シーンが一切無い 。精々人里離れた所でボヤが起こった程度。


【音楽】

メイン・テーマのアレンジから分かる通り、和楽器の要素が強め……かと思えば時々それらとは全く違った都会的な雰囲気の楽曲もあるなど、意外とバラエティ豊か。
TVへの解禁は2004年1月の初の2時間半スペシャル『黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー』から。
ただしこの話以降は翌年8月の『同時進行 舞台と誘拐(後編)』*2まで一切使われず、その後もほとんど使われなかった。
音響監督の交代に加えて和の要素が強めな楽曲が場面を選ぶからだろうか?
一応前作と異なりいくつかの楽曲はリニューアルされており、ちらほらと聴く機会はある……はず。

以下、ネタバレにご注意ください。


【ストーリー】

東京大阪京都で男性5人が相次いで殺害される事件が発生。
合同捜査本部によると、被害者5人は古美術を狙う盗賊団「源氏蛍」のメンバーである事、現場から各メンバーが所有する義経記が持ち去られていた事が判明した。

同じ頃、小五郎はコナン、蘭、園子を引き連れて京都にある山能寺を訪れる。
山能寺は12年に一度開帳される秘仏を近々公開するということで注目されているが、実はその秘仏は8年前に何者かに盗まれたらしい。
そして最近、秘仏を盗んだとされる犯人からそのありかを示すという奇妙な絵が届いたらしく、山能寺の僧侶・竜円は小五郎にそれの解読を依頼したいのだという。

コナンは秘仏を盗んだのは源氏蛍だと考え、絵の謎を解く鍵を見つける為に弁慶ゆかりの場所を巡っていく。
その過程で平次と出会い共に絵の謎を解こうとするが、途中で連続殺人の犯人と思われる人物からの襲撃に遭う。
あと少しの所で捕り逃してしまい、蘭たちと合流したその夜、先斗町の茶屋で山能寺の檀家である桜正造が殺害される。後の調べで彼も源氏蛍の一員だった事が判明した。
その後、大阪への帰路についた平次と和葉は再び謎の人物に襲われる。
翁の能面を被ったその人物に木刀による勝負を仕掛けられた平次は、相手の見た事もない術に苦戦。この場は和葉の機転もあり何とか危機を逃れた。

途中で合流した少年探偵団、小五郎の迷推理などからヒントを得て徐々に真相に近づくコナンと平次だったが、犯人からの電話で和葉が誘拐された事を知る。
和葉を返して欲しければ鞍馬山に一人で来るよう平次に要求するが、その平次は前日の襲撃が原因で倒れてしまう!

秘仏を巡る連続殺人の真相とは? そして誘拐された和葉を救うためにコナンがとった行動とは……?


【事件関係者】

CV:置鮎龍太郎
京都府警捜査一課の警部。
公家出身で警視庁の白鳥とは同期のキャリア組。あだ名は「おじゃる警部」。
よそ者の平次が事件の捜査に介入する事を快く思っていない。
シマリスを飼っており、記者会見場にまで連れ歩くほど溺愛している。さすがに事件現場に来る時は置いてきているが、この事が小五郎に疑われる原因となってしまう。
後に『漆黒の追跡者』などで再登場する。

  • 竜円(りゅうえん)
CV:中村大樹
山能寺の僧侶。34歳。
小五郎に絵の謎の解明を依頼する。
秘仏が盗まれた事をとても気にしており、すぐに警察に通報しようとしたが円海に止められたらしい。

  • 円海(えんかい)
CV:井原啓介
山能寺の住職。65歳。
秘仏が盗まれた事は「縁があったらまた戻ってくるかも知れん」とあまり気にしていない様子。
のんびりしているように見えるが、コナンと平次が只者では無いことを見抜いているような節がある。

  • 桜正造(さくら しょうぞう)
CV:亀井三郎
寺町通りで古美術店を経営。51歳。
義経記のファンであり、義経と弁慶の絆の深さを園子に語った。
先斗町の茶屋で納戸を物色していた時に何者かに殺害される。
後の捜査で店から『義経記』が見つかり、源氏蛍の一員「伊勢三郎」だという事が判明する。

  • 水尾春太郎(みずお しゅんたろう)
CV:遊佐浩二
能役者。33歳。
水尾流の若き宗家。独身で母親と暮らしている。
桜同様『義経記』のファンで、特に『安宅の関』の場面がお気に入り。
竜円、西条、千賀鈴とは自宅に招き入れるほど仲がいい。

  • 西条大河(さいじょう たいが)
CV:鈴置洋孝
古書店店主。35歳。
店の2階で一人暮らしをしている。
桜や水尾とは違い『義経記』は好きではなく、「『義経記』ではなく『弁慶記』のようなもの」だと言っていた。

  • 山倉多恵(やまくら たえ)
CV:鈴木弘子
宮川町にある茶屋の女将。52歳。
東山区で引ったくりに遭ったところを平次に助けられる。
5歳の時の千賀鈴を引き取って以降、実の娘のように愛情を持って育てており、彼女が小五郎に疑われた時にはもの凄い剣幕で彼女の無実を主張した。

  • 千賀鈴(ちかすず)
CV:安達まり
お茶屋「桜屋」の舞妓。19歳。
5歳の時に母親と死別して以降は山倉の元で育てられる。
父親は誰かは判らないが、毎月匿名で茶屋に仕送りが送られていた。しかし、3ヶ月前からそれが途絶えているという。
弓道を始めて日が浅い為、親指の付根に怪我をしている。その為小五郎に疑われるもすぐに容疑は晴れた。
年が近い事と手毬歌を暗唱できる事から、平次は彼女こそが初恋の少女だと考えている。

  • 市佳代(いちかよ)
CV:佐久間レイ
お茶屋「桜屋」の芸妓。宴会では三味線を担当。
蘭たちにみそぎ川や桜の事について教える。

  • 女将
CV:一龍斎貞友
お茶屋「桜屋」の女将(おかあさん)。本名は不明。
桜に9時に起こしてもらうよう頼まれるが、起こしに行った先で桜の遺体を発見する。
茶屋の名前が桜屋で中の人があのキャラの母親役もやっているが、あのアニメとは無関係。

  • 源義経
ご存知歴史上の武将……の名を騙る、盗賊団「源氏蛍」の首領。
平成3年頃から東京、大阪、京都を中心に仏像や古美術の窃盗を繰り返していた。
晩年は重い病に侵され、手下に秘仏のありかを示した絵を渡して謎を解いたものを次の首領にするという遺言を遺す。
従って既に故人である。

  • 武蔵坊弁慶
ご存知義経の部下……の名を語る盗賊団「源氏蛍」のナンバー2。今回の事件の実行犯。
年齢や性別は不明。平次の前に現れる時はいつもフルフェイスメットや翁の面を付けて顔を隠している。
剣との腕は達人クラスで、特に剣の腕は同じ達人クラスの平次を圧倒するほど。
平次が所有する水晶玉に何故か執着しているが……。

  • 備前平四郎
盗賊団「源氏蛍」のメンバーで、大阪府寝屋川市でたこ焼き屋「たこ平」を経営。35歳。弁慶に短剣で殺害される。
平次とは顔馴染みで、彼は中学生の時から世話になっていたらしい。
本作のプレストーリー的作品でもあるOVA『コナンと平次と消えた少年』にも登場している。
名前の由来は衣川の戦いで討ち死にした義経の家来備前平四郎から。

  • 駿河次郎
盗賊団「源氏蛍」のメンバーで京都市東山区で「スナック・ジロー」を経営。32歳。
弁慶に日本刀で殺害される。
名前の由来は義経四天王の一人・駿河次郎から。

  • 亀井六郎
CV:水戸耕三
  • 鷲尾七郎
CV:里内信夫
  • 片岡八郎
CV:水内清光
盗賊団「源氏蛍」のメンバー。年齢は亀井と鷲尾が35歳で片岡が34歳。
弁慶に東京都西国立市のとある神社に呼び出され、日本刀や弓矢で殺害される。
劇場予告でコナンが片岡に対し「危ない!」と叫ぶシーンがあるが、この2人は劇中では一切面識がない。名前の由来はそれぞれ亀井重清、鷲尾義久*3、片岡常春。

盗賊団のメンバーは全員『義経記』を所有しており、皆が義経の家来の名で呼ばれている為、上記の5人の名前は偽名だと思われる。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
博識だが京都の事はサッパリ。
犯人を追う際の軽やかな動きから、平次に「牛若丸みたいな奴」と言われた。
倒れた平次の代わりに和葉を助ける為、コナンはある行動に出る。
また今回は『黒の組織との接触』の後の話なので、劇場版シリーズで初めて『どこでもボール射出ベルト』を使用する。

ご存知平成のホームズ。
前に蘭と待ち合わせていた時に2時間も待たせてしまった過去を持つ。
しかし、その時に蘭が発した言葉は予想を裏切り……。

ご存知色黒関西弁探偵。今回のもう一人の主人公。
8年前に京都を訪れており、その時に見た手毬歌の少女に恋をする。
その時に少女が落としたと思われる水晶玉を見つけ、京都に行く時にいつも持って来ている。
犯人から幾度と無く襲撃に遭い、とうとう倒れてしまう。

ご存知蘭姉ちゃん。
今回はヒロイン属性が強め。
新一に2時間待たされても怒ることは無く、それどころか新一の身を案じていたという寛大な心の持ち主。
しかし待っているのはやはり辛いようで、会いたい時に会える和葉が羨ましいと辛い表情を浮かべていた。

ご存知関西娘。今回のもう一人のヒロイン。
平次が初恋の人を探している事は知っており、その初恋の人に嫉妬する。
平次の為に証拠品を見つけるが、その後犯人に誘拐されてしまう。

ご存知迷探偵。
宴会ではアクセル全開。本人は真面目にやっているが、今回も迷推理を披露する。
しかし、この事が結果的に事件解決の糸口になった。
殺害された盗賊団のメンバーの名前に数字が入っていたことから自分も狙われないか心配しており、その時コナンに心の中で「それは前にあっただろ」と突っ込まれている。

ご存知哀ちゃん。
コナンから電話を受け、ある事を相談される。
戻橋(死者が一度だけ蘇生したとされる橋)の説明文を読み、意味深な笑みを浮かべる。

ご存知天才発明家。
恒例のクイズを探偵団に出題するも灰原に答えられてしまい、副賞として探偵団と京都に行く事に。

ご存知純真小学生。
純真すぎるあまり、綾小路に「人間の友達いないの?」ときつい事を言う。
ちなみに今作の後のエピソード『お金で買えない友情』がきっかけで灰原への呼び方が変わるため、彼女をさん付けで呼ぶのはこの映画が最後になる。

ご存知探偵団団長。
京都で迷子になるも、探偵団バッジの機能により六角堂で発見される。
この事がトリック解明のヒントになった。

ご存知天才小学生。
義経と弁慶の事について解説してくれる。
……というか小学一年生にしては詳しすぎる。

ご存知蘭の親友。
忘れられがちだが、彼女の恋愛模様も蘭と結構似ている。
みそぎ川で何かが落ちた音を聞いたらしい。

ご存知警部殿。
合同捜査本部の指揮を執る。
東京で殺害された3人の遺留品を見てある謎に気づく。

ご存知御曹司警部。
綾小路とライバルだと思われる事を嫌う。祇園じゃちょっとした顔らしい。
桜が源氏蛍のメンバーだった為、東京から京都に駆けつける。

ご存知高木君。
彼のちょっとした発言から、首領死亡説が浮上。

ご存知一課のアイドル。
綾小路ほどではないが、白鳥の事も変人だと思っている

大阪府警の警部。
劇場版初登場。
今回は平次の保護者的立位置。
奔放な行動をとる平次に振り回され気苦労が耐えない。


【用語】

  • 手毬歌
まるたけえびすにおしおいけ」……と、平次の初恋の相手が毬をつきながら歌っていた歌。
京都市中心部にある通りの並び順を覚えるために歌い継がれてきた実在の曲で、「太町通・屋町通・川通・条通……」と、京都市を東西に走る通りの名前が北から順に編み込まれている。
だが少女は「あねさんろっかく」という箇所を「よめさんろっかく」と歌い間違えていたようだが……?

なお、昭和に十条通が加わっているなど、歌い継がれる過程で街も唄も変化しており、作中で使われたのは現実(公開時)の並び順に合わせたもの。
関連して、東西を唄う「丸竹夷」と同じように、南北に走る通りを唄う「寺御幸」も存在する。

山能寺に届いた手紙には、「秘仏の在処を示す」として、
五段の雛段にセミや天狗、金魚にドングリなどが描かれたイラストが添付されており、コナンたちは頭を捻ることに。
(詳細な解読法・暗号の示していた場所については映画を参照。)

  • 源氏蛍
美術品を狙う盗賊団。
首領『源義経』、№2『武蔵坊弁慶』を筆頭に、メンバーは義経とその部下の名前のコードネームが付けられており、
また全員が源義経の人生を描いた軍記物語『義経記(ぎけいき)』を所持している。
物語冒頭でメンバーのうち弁慶と伊勢三郎を除く全員が死亡(後に伊勢三郎も誅殺)しており、もはや組織の体を成していないと考えられる。


【余談】

当時公開された劇場版『コナン』は、翌年に拡大枠でアニメ版を放送していた月曜日に放送する事がほとんどだが、本作の初回放送は『金曜ロードショー』の枠で放送している。


寛大な心を持った方、追記・修正お願いします。


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最終更新:2024年04月18日 21:22

*1 ただし、小五郎に推理を依頼した山能寺、最終決戦の舞台となった玉龍寺は架空のもの。

*2 しかもこれも現実音としての使用で、きちんとBGMとして使用されたのは2ヶ月後の『八岐大蛇の剣(前編)』を待つことになる。

*3 ただし鷲尾義久の通称は七郎ではなく三郎である。