阿佐海岸鉄道阿佐東線

登録日:2014/09/30 (火) 23:38:00
更新日:2022/08/07 Sun 23:18:46
所要時間:約 4 分でフィニッシュ。*1




阿佐海岸鉄道阿佐東線は、徳島県の阿波海南駅*2から高知県の甲浦駅まで結ぶ阿佐海岸鉄道の路線である。

概要

「阿佐線」の線名の通り、本来は波の海部から佐の御免を結ぶ計画だった。
西側は、御免~奈半利間が、土佐くろしお鉄道阿佐線(通称「ごめん・なはり線」)として開通している。
JR四国牟岐線と合わせて「阿波室戸シーサイドライン」という愛称が付けられている。
そのためか、駅番号は1からではなくJR四国から通し番号となっていた。ちなみに開業は1992年と平成になってからである。

牟岐線の末端区間を延伸するかのように開業したこの路線は、沿線人口も少ない上に駅数も3つで距離にしてわずか8.5kmと非常に短い。
そのため、運賃収入も2千万円を切る(輸送密度170人/日)で、毎年5千万円~9千万円の赤字となっている。
当然のことながら黒字の年は一度もなく、地元自治体の負担も限界が来ている。
JR線以外の鉄道路線で最も利用客が少なく、ぶっちゃけいつ廃線になってもおかしくない
こんな散々な状況のため、最初期の計画である延伸の可能性は皆無といえる。

ちなみにこの路線は国鉄再建法により、1980年に工事が凍結していた。
しかし、この時点で線路がほぼ完成していたために1988年に徳島県などが第三セクター会社として阿佐海岸鉄道を設立し、工事を再開させたという経緯がある。
これは国鉄の分割民営化後に工事が再開された唯一の例らしい。
結果はごらんの有様なわけだが…。
ここまでして開業したわけだし、1日でも長く生き残れるよう頑張ってほしいものである。

2016年、線路・道路両用車「デュアル・モード・ビークル(DMV)」の導入を発表。
JR北海道の開発で、JR北海道は安全対策や資金難などから実用化を断念した。しかし阿佐海岸鉄道は、DMVによって室戸方面へ乗り入れ、観光の目玉にする計画である。

2019年3月のダイヤ改正でJRとの直通運転を終了。その後2020年7月よりDMV対応工事が始まり、2020年11月1日に阿波海南〜海部間が牟岐線より編入された後に同月30日に休止。2021年12月25日に改修が完了し、世界初のDMV路線として再スタートを切った。と同時に念願の室戸方面への事実上の延伸を果たした。
成功を祈らずにはいられない。

【運行形態】

平日は一日13往復の運転で、阿波海南から阿波海南文化村、甲浦からは道の駅宍喰温泉へバス路線としてそれぞれ直通する。

休日は一日12往復で、阿波海南文化村方面への直通は平日と同様。甲浦方面に関しては、1往復のみ甲浦から海の駅とろむ発着として室戸方面へのバス路線として乗り入れる。(それ以外の便は道の駅宍喰温泉発着)

JR直通時代は全線通しの普通列車が毎時1本ほどの運転で、入出庫の関係で宍喰止まりの列車もあった。
また、朝の2往復のみ牟岐線牟岐駅まで直通運転を行っており、JR四国の車両(キハ40系)と阿佐海岸鉄道の車両をそれぞれ1両ずつ使用されていた。
かつては牟岐線から特急列車も乗り入れていたこともあったが、普通列車扱いとなっていた。

【使用車両】

  • DMV
2021年より導入。マイクロバスをベースに改造された、線路と道路を両方走れるハイブリッド車両。3台導入されている。
JR北海道より技術継承が行われ、営業運転としてはついに日の目を見た世界初の車両でもある。

ちなみに3台それぞれに愛称、カラー、デザインがそれぞれ設定されている。

  • DMV-1号:未来への波乗り…太平洋の波をイメージした青色ボディに、サーフィンや宍喰駅の伊勢えび駅長が描かれた「未来に向かってチャレンジする」イメージのデザイン。

  • DMV-2号:すだちの風…徳島名物のすだちをイメージした緑色ボディに、そのすだち葉が舞う風に白鷺が飛ぶ「空高く舞い上がる」イメージのデザイン。

  • DMV-3号:阿佐海岸維新…真紅のボディに高知の英雄こと坂本龍馬と土佐に輝く太陽が描かれた、「地域活性化の維新を起こすイメージ」のデザイン。

【過去の車両】

  • ASA-100形(しおかぜ)
阿佐海岸鉄道生え抜きの車両。新潟トランシス製の18m級気動車。
座席は転換クロスシートと車端部がロングシートのセミクロス。

  • ASA-300形(たかちほ)
2008年に廃止となった高千穂鉄道より譲渡された車両。後述のASA-200形の代替として導入された。
導入時は高千穂鉄道時代の塗装だったが、2010年からは徳島県のキャラ「すだちくん」と、東洋町のキャラ「ぽんかんくん」のラッピング列車となっている。
上記の100形と300形は路線のDMV化に伴い運行終了。

  • ASA-200形(あさしお)
ASA-100形同様、阿佐海岸鉄道生え抜きの車両。座席構造が一部異なる。
2008年6月末に車庫内で脱線事故を起こし、同年11月18日付けで廃車となってしまった…。

【駅一覧】

  • 阿波海南駅
牟岐線乗り換えで、起点駅
かつては同線かつJR四国単独駅だったが、モードインターチェンジ*3設置の都合上当駅が境界駅となり、線路も分断された。*4
ここからバス路線として、阿波海南文化村へ直通する。

  • 海部
かつての牟岐線との境界駅だが、現在は単独の中間駅。
阿佐東線では唯一列車交換ができた駅だった。
使用されなくなった線路に前述のASA-100形が静態保存されている。

  • 宍喰
阿佐東線の中間駅で車庫がある。徳島県最南端の駅でもある。

  • 甲浦
終着駅。高知県最東端の駅ではあるが、県内からすれば隔離されたような位置にあるため、他の路線との接続はない。
1面1線の高架駅で室戸、さらに奈半利方面へ延伸できるような構造にはなっているが、ここから線路が伸びることはなかった。代わりにモードインターチェンジと地上へのアプローチが設置された。と同時にホームが廃止され、地平のロータリーに乗り場が変更された。
ここからバス路線として、道の駅宍喰温泉へ直通する。また休日1往復のみ室戸方面へ直通。

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最終更新:2022年08月07日 23:18

*1 DMVのモードチェンジ完了時に流れるアナウンス音声。モロ日本語読みな上に気の抜けるようなトーンなので、是非聴いて欲しい

*2 2020年11月までは海部駅が起点だった

*3 鉄道モードとバスモードを切り替えるための設備

*4 隣の海部駅は高架駅な上に周辺が住宅地のため。