頭文字D Second Stage

登録日: 2012/10/27(土) 00:03:15
更新日:2024/04/14 Sun 21:33:30
所要時間:約 8 分で読めます




しげの秀一の漫画『頭文字D』を原作としたテレビアニメ。
1999年10月から2000年1月までフジテレビ系列で放送された。全13話


[概要]

『頭文字D(First Stage)』の続編。
前作までのセル画からデジタル画に移行と同時に、キャラクターデザインの変更により前作よりも原作に近い作画になった。
また、一年弱でCGが大幅に進化したのも特徴。
本作は原作やアニメ第一期に比べてギャグ表現が抑え目になっており、前作よりもやや雰囲気が重くなっている。また随所でオリジナルの展開も目立った前作とは異なり、ほぼ原作通りに話が進む。
その為なのか次回予告で前作のようにナレーション(CV:細井治)と登場人物の会話は行われなかったが、代わりに次回のサブタイトル読み上げやアイキャッチの声を回によっては本編登場人物が行うようになった。
なお、次作以降から放送形態の変更により次回予告が無くなるので本作が最後になる。



[進化した技術]

本作の大きな特徴の一つであるマシンのCG化は、チープだった前作までのCGから一転、僅か一年で大幅に進化した。
バトル中は勿論、停車中もCGで描かれるようになった。
更に本作からナンバープレート(ただし架空のもの)や車名がハッキリ描かれるようになり、以後のシリーズにも継承された。

また、本作のみの要素として、バトル中のCGをよく見ると運転中のドライバーまでCG化されている事がある。



[原作との相違点]

前作程ではないが、やはり原作との違いがいくつかある。


1.原作で登場したキャラの一部が登場しない
高橋兄弟の従姉妹の「緒美」、拓海となつきのサッカー部での先輩の「塚本」、なつきの親友の「白石」が相当する。
緒美については前作の時点で登場せず、賢太戦でエンペラーが登場しなかった事により彼女の出番が完全に消失した。
塚本の登場する話は拓海が初めて赤城山に走りに行った話と、僅かではあるが、ギャラリーとして参加した拓海vs京一(赤城)戦の時の話であり、アニメだとこの話が塚本共々カットされた(啓介vs渉(赤城)戦で事故を起こすのも別人)。

その為、アニメでは須藤京一のバトルが初めての赤城山になる。

ただし、その拓海vs京一(赤城)戦の方は彼と同じ様な風貌の男がギャラリー出ており、恐らく彼だろうと推測されている。


なお、塚本は後にPS2用ゲーム『頭文字D Special Stage』でボイス付(CV:陶山章央)で登場した。

白石はアニメには登場せず、アニメで拓海になつきの正体を教えた人物は不明である。


2.バトルの結末が違う
拓海vs渉戦で、原作では渉の集中力が切れた事によるミスからの逆転勝利だが、アニメでは土砂崩れの場所を利用した拓海の天性による勝利になった。



3.細かい変更
武内樹と秋山和美の出会う話で、原作で和美が買っていたのは焼き鳥だったが、アニメでは鯛焼きに変更された。
また、拓海がなつきの真実を知る場所がラブホテルの駐車場からファミレスの駐車場になった。


4.アニメオリジナルの要素
エンペラーがナイトキッズとバトルする前に岩城清次とサンダーファイヤー(THUNDERS)のリーダー(CV:遊佐浩二)のバトルが追加された。車種は紫の180SX。
THUNDERS自体は前作から噛ませとして度々登場している。
また、塚本が登場しない関係で赤城で事故を起こしたのはアニメではこのリーダーになっている。


中里vs清次戦は、原作だと「その頃」といった感じで場面が切り替わり中里が劣勢の場面から描写されているが、アニメでは妙義山にエンペラーが襲撃してくる所から始まり、バトルもスタートから描かれている。
中里と清次のセリフも増えたり、原作で説明文だった部分は啓介が妙義でのバトル情報を仕入れ涼介に伝え彼が説明するといった形になっている。
また、原作では単独で秋名を攻めていた京一もアニメでは妙義山に居合わせている。


拓海vs渉戦では原作ではギャラリーのいないバトルだったが、アニメでは店長の許可を得て仕事を抜けた池谷と健二、賢太から情報を得た高橋兄弟と賢太がバトルを観戦している。
最終回でも中里と慎吾がほんの少しだが登場したり、原作では拓海達と同じガソリンスタンドでのアルバイトをしていたなつきがハンバーガーショップでアルバイトの面接をしていたりと独自の要素も多々ある。



[主要登場人物]

カッコ内は担当声優。


藤原拓海(三木眞一郎)
主人公。ご存知秋名が産んだ天才ダウンヒラー……なのだが、今作ではなつきの秘密を知らされるわ文太のハチロクをほぼ八つ当たりに近い形で壊してしまうわ、見ていて気の毒になるほどメンタルをやられている。
走り屋としてのポテンシャルの進化は1stほどではないが、「メカについても知っていかなければならない」という課題を見出す大きな進歩があった。
負けず嫌いな性格は健在で、エンジンを換装した『乗りにくい』ハチロクを乗りこなすために配達が終わってから秋名を何度も往復して走り込む執念を見せる。*1

  • 搭乗車種:スプリンタートレノ AE86 GT-APEX
拓海と打って変わって、ポテンシャルそのものが大きく進化したもう一人の主人公。文太が入手したTRD/グループA仕様エンジンへと換装されたほか、足回りやボディにもバランスよく手が加えられている。
収録したエンジン音も換装前後で全く異なっており、換装後はさすがレース用なだけあってかなり攻撃的なエキゾーストを奏でる。*2
例によってチューニングの詳細は明かされていないが、拓海の「ハンドル、クラッチが重たくなった」セリフからタイヤのインチアップ、強化クラッチの導入は確実。


藤原文太(石塚運昇)
拓海の父親。ご存知秋名最速の豆腐屋。
ぶっきらぼうに見える文太だが、今作ではかなり心温まるシーンあり。
2ndステージ開始以前に非公式ルートでTRDフルメカチューンの4A-Gを入手しており、自慢の愛車・AE86に搭載する機会をうかがっていた。グループA仕様のパーツを組み込んだエンジン*3ではなく実際にレースカーに搭載されていたエンジンそのものを引っ張ってきているため、TRDのかなり偉いポジションに居る人間とのコネクションを持っているのかもしれない。元ラリースト恐るべし。


武内樹(岩田光央)
拓海の親友の愛すべきバカ。
この頃から自身のハチゴーにターボを付ける計画を立て始める。
再びリア充フラグ到来。へし折られたけど。
最終話のエンディングでは綺麗なコーナリングを成功させ、涙目でガッツポーズをする可愛らしいシーンがある。

愛車のレビンのルーフに石がぶち当たる場面があるが、その場面以降はルーフにボッコリと凹みがモデリングされている。細かい。


池谷浩一郎(矢尾一樹)
ご存知池谷先輩。
この頃からスピードスターズとしての活動が減っていく。
ニューハチロクのタコメーターの取り付けを健二と共に手伝う。

前日の夜に突然「1万回転オーバースケールのタコメーターが欲しい」という拓海のムチャな願いを聞き入れ、入手のために力を尽くすなど仲間の為の努力を惜しまない「漢」。


健二(高木渉)
相変わらずの暇人。
見せ場は少ないが、侵攻してきた強敵に対し「拓海が負けたら適わなくても勝負する」という池谷の漢気に触発され「ならその後オレもやる、やる時はやるってとこを見せよう」と決意する場面は普段のちょっと情けない感じを忘れるほどカッコいい。またハチロクのタコメーター取り付けを池谷と手伝い、渉とのバトルにも池谷と共に観戦するなど相変わらずのいい人ぶりは健在。

原作ではアニメ版よりも拓海のハチロクにターボを装着することを熱心に計画しており、池谷と2人で雑誌を見ながら「そんなでけータービンじゃ回せねーだろ」などとわいわい話していた。


茂木なつき(川澄綾子)
拓海の彼女だった
本作で遂にあの秘密が拓海にバレる。
悪気がなさそうなだけに余計タチが悪い。


立花祐一(西村知道)
GSの店長。
文太によるニューハチロクのセッティングに付き合うなど、後述の政志ともども現役の走り屋時代を思い出している楽しそうなおっちゃん。
普段は文太の拓海への英才教育には干渉しないが、今作では『ハチロクの封印』を解くために一役買って出る。

樹の「一身上の都合による早退」を許したり、バトル観戦をしたい池谷を「行ってこい」と早上がりさせるなど、青春する若者の背中を押してくれる人格者。
原作では恋をする樹に心の中で「がんばれよ」とエールを送っていた。


鈴木政志(石井康嗣)
鈴木自動車を経営する文太の元走り屋仲間。
レース用エンジンを仕入れる事が出来たりする謎のオッサン。
2024年現在ではもはや常套手段になったAE86への20バルブ4A-Gのスワッピングだが、手軽に換装できるキット*4などが存在していなかった時代にこれをやってのけた政志はかなり敏腕。

アニメ版ではカットされてしまったが、実は原作では「楽しみだぜ文太 公道で日本一速いハチロク作りてーなー」と頭文字D随一であろう野望を吐露していた。


高橋涼介(子安武人)
ご存知赤城の白い彗星。前作で拓海に負けたことで引退を決意していたが、エンペラー襲撃に伴う緊急事態から一時的に現役復帰する。

前作からイメチェンして茶髪にした(前作では青みがかった黒髪)。%%Fourth Stage以降で元の髪色に戻るが。%%
拓海に負けた後である本作でも、ストリートのカリスマとしての風格を改めて視聴者に見せつけた。
愛車のFC3Sのホイールを拓海とお揃いのRSワタナベ8スポークに交換している。特段触れられていないため理由は不明。


高橋啓介(関智一)
レッドサンズのNo.2。
本作ではバトルが渉戦しかない上に、事故車との遭遇により決着がつかないまま中断してしまったので見せ場が少ない。
…一応エンペラーとのバトルで啓介は清次とバトルしているが、本作はおろか原作ですら詳細は描かれなかったので省略された(後のBattle Stageに収録された)。

近所でもないだろうに、拓海が須藤に敗北した翌日に池谷たちのガソリンスタンドへ直接やって来て「藤原拓海が負けたと思っちゃいない」「仇はオレ達がとる」と言いに来るあたり相当アツい、こちらも「漢」。


中村賢太(岡野浩介)
啓介をこよなく尊敬するレッドサンズのメンバー。
本作では単なるギャラリーに近い。
渉に対していっぱしに啖呵を切った直後に始まった啓介vs渉のバトルでは、見事に1人だけ置いていかれた。ちくしょお。

ナレーション役として涼介を出演させる都合上、エンジンブローしたハチロクが復活したのを目撃したり、拓海が秋山渉とバトルするという情報を得たりとやたら情報通。スパイかお前は。


史浩(細井治)
外報部長。
前作の第11話で啓介にヒロシと呼ばれていたが、今作では第6話のみだがエンドクレジットまで浩(ヒロシ)表記になってしまった


須藤京一(田中正彦)
エンペラーのリーダー。
ハイパワーターボと4WDが絶対条件で、これに当てはまらないクルマはクルマとして認めないらしい。
色々と彼に不利な条件が重なっていたとは言え、拓海に完全勝利し、連勝記録をストップさせるという、涼介ですら出来なかった偉業を成し遂げた。*5
アーケードゲーム作品ではそれほどの強キャラとして扱われることが無いが、拓海をして「もし秋名でやっても勝てなかった」と振り返るほどの凄腕の持ち主。
涼介とは浅からぬ因縁があり、彼と自分の「走りにかける哲学」をかけた、激しいバトルを繰り広げる。

涼介にはハッキリと「オレはアイツが嫌いなんだ」と明言されてしまっている。
  • 搭乗車種:ランサー・エボリューションⅢ CE9A
合理性を突き詰めた京一の「答え」と言える愛車。エアロパーツなどは組まれておらず、外観で変更されているのはマフラーぐらいというのがまた不気味さを醸し出す。
自然吸気のレスポンスとターボパワーを両立させるミスファイアリングCPUが目玉。鳴り響く破裂音は拓海が「うるせぇな」とボヤくほどやかましいほか、間近で聞いたギャラリーは耳を塞いでいた。


岩城清次(川原和久)
いろは坂のサル
…ではなくエンペラーのNo.2。
キレやすい性格で、京一曰わく「腕は良いが頭が悪い」。
ガラは悪いが、同じくガラの悪かった慎吾や後の土坂峠のランエボ組に比べると、バトル自体は遥かに正々堂々としている。
「アウト・オブ・眼中」などの台詞やビンタなどのシーンから、妙に人気がある。
(上の台詞は次回予告でも使われており、「見ない奴は…。」と前置きした上で、「アウト・オブ・眼中!!」中里と一緒に叫んでいる。)
  • 搭乗車種:ランサー・エボリューションⅣ CN9A RS
清次が「ゾクゾクするほど綺麗」「鍛え抜かれたボクサーのボディみてぇなもん」と評するほどベタベタに惚れ込んでいる愛車。この様子を見るに、ただ速いから適当に乗っているというだけではなさそう。
グレードは競技ベースのRSであり、装備が簡素な代わりに車体の軽量さがウリのえらくスパルタンな代物。清次の頭も軽いからお似合い
GSRのホイールとフォグランプ付バンパーを流用したさりげないドレスアップが光る。ボンネットのステッカーの綴りは本来"monster"だが、劇中では版権に配慮してか"monstar"となっている(これは原作漫画内でも同じ綴り)。


秋山渉(松本保典)
埼玉からやってきたシスコン走り屋。
レース用のエンジンを「遅い」と言う拓海自身の無知から来る発言にずいぶんな怒り方をし、彼にバトルを申し込む。正直言って貧乏を拗らせているようにも見える。
アニメ版では「拓海&ハチロクの覚醒」にクローズアップした都合上、渉のセリフが原作よりもかなり減ってしまっている。彼のアツいというか凄く暑苦しい情熱的なセリフはぜひ原作漫画を購入して読んでみてほしい。
  • 搭乗車種:カローラレビン AE86 GT-APEX
渉の汗と涙の結晶であるハチロクターボ。280馬力を叩き出す代償として操作の安定感・ハンドリング性能を失っており、車体を暴れさせながら峠を疾走するデンジャラスなマシン。
拓海のトレノはノーマル然とした大人しい外観であるのに対し、こちらはエアロやロールケージを組んだ「いかにも走り屋」な仕様。ただ、グレードは走り屋御用達のGTVではなく豪華版のAPEX。


秋山和美(柚木涼香)
樹の嫁になりかけた
渉の妹で、群馬には知り合いの旅館の手伝いでやってきた。
樹とは結構良い雰囲気だったのだが…
Fourth Stageでは樹に更なる悲劇をもたらす。


中里毅(檜山修之)
ナイトキッズのリーダー。
オープニングで毎回事故らされる不名誉な扱いを受けるなど、本作では拓海と並んで不幸な人物。(尤も原作では「一方その頃…」というもっと酷い扱いだったが。)
彼の大活躍は彼が主役のドラマCD『頭文字D オリジナルCDドラマ 黒い稲妻・新たなる不敗伝説』まで待たねばならなかった。

庄司慎吾(藤原啓治)
ナイトキッズのメンバー。
出番は少なく最終回でも登場したがセリフなし
相変わらず、中里とは仲が悪いようで良い。



[主題歌]

  • OP
Blazin' Beat/m.o.v.e

  • ED
キミがいる/Galla





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最終更新:2024年04月14日 21:33

*1 この経験が4thステージでの「レブしばり」で活きることとなった。

*2 収録に使用されたのは監修を務めた土屋圭市のマイカー・ドリキンAE86ストリート号。制作当時はAE111のノーマル4A-Gにエアクリーナー無しのファンネル・TRDのオリジナルマフラーを装着しており、ベストモータリングスペシャルの未公開映像で筑波サーキットを走行した際の車載映像で全く同じ音が聞ける。

*3 かつては総額300万円ほどでエンジンのパーツ一式を購入可能だった。レブリミットは9000回転となる。この仕様の4A-Gは著名人だとレーサーの飯田章氏と、他ならぬ原作者・しげの秀一氏が製作して愛車のAE86に搭載。

*4 本来横置きのエンジンを縦置きにするため、やることがものすごく多い。換装で困る最たる要素がデスビの位置。ハチロクのボディだと干渉してしまうため、キットが無い時代は邪魔になる部分をカットしたり叩いてスペースを無理やり作るなどしていた。他にもアクセルリンケージ、水回りの配管、グループA仕様に至ってはドライサンプのためオイルパンの代わりに設けるオイルタンクの取り付け位置も考えなければならない。

*5 なお啓介は条件があまりにも拓海に不利すぎる内容だったのを理由に「あんなおかしなバトルはバトルじゃない」と無効試合扱いしており、のちに渉に対して「群馬にはどんな奴にも負けたことがないハチロク使いがいる」と述べている。