マリオペイント

登録日:2014/07/17(木) 19:24:42
更新日:2023/07/18 Tue 18:07:25
所要時間:約 8 分で読めます








ウッホホッホ ヤッホッホッホ


ウッホホッホ ヤッホッホッホ


マーリオーペインッ♪


\ワアアアアアアアアア/





マリオペイントとは、かつてスーパーファミコンで発売されたゲームソフトの事である。
開発はインテリジェントシステムズ。

概要

1992年7月14日に発売された、スーパーファミコンマウスパッド付属のゲーム。
マウスで2Dのお絵かきやアニメーション作成を楽しむソフトである。
マウスとパッドが付属する都合上、ソフトと一緒に専用の箱に入れられて販売された。

今で言えば、パソコンに搭載されているペイントツールのはしりとも言える存在。
が、実際は当時から本格的なグラフィックソフトウェアが登場しており、単純な性能面で比較すれば業務用のそれに勝てるはずが無かった。
だが発売されるや否やヒットを巻き起こし、ユーザー間で話題となる。


その最大の理由はズバリ「ハードルの低さ」。
この頃のパソコンは非常に高価で、かつ今と違って操作が複雑・・・と、当時の任天堂がターゲット層に定めた子供達からすれば手が出せない代物である。(安くて一台数十万円。あくまで安物で、である)
ゲーム機みたいに玩具感覚で買ってもらえる訳も無く、家庭には殆ど普及していなかった。

しかし、本作は複雑な操作を要求される事はなく、必要最低限の機能でCG制作を体験することができる。
更にソフトの価格自体も9800円と、一般家庭でも十分購入できる範囲。
SFCソフトの中では高い方だが、それでもPCの値段と比べたらお財布への優しさは段違いである。
その点では子供に遊び感覚で触らせるのに最適なソフトであり、当時のゲームソフトでは唯一無二の存在感を放っていた。
UIの完成度も非常に高く、本作のエッセンスは現代に至るまで社内のゲームに再利用されている。
同時にファンからも名作として長く愛されており、PC側のペイントツールが充実した現代でもVC等の形で配信を望む人は少なくない。


任天堂らしく随所に小ネタや遊び心が込められている。


ちなみに、マリオをはじめとした一部グラフィックは『スーパーマリオワールド』からの流用。

また、このゲームの大半のイラストはスーパーマリオメーカーに新規イラストで再登場した



各モード

お絵かきスクリーン

タイトル画面からマリオをクリックしてゲームを始めた時の画面。
でかでかと真っ白なキャンバスが広がっており、基本はこの画面で好き勝手にお絵かきすることになる。


使用可能な色数は16色。それ以上は作ったりできない。
※スタンプ作成ツールで、下の例図のようにマス毎にドットを打って無理矢理新しい色を作れなくもないが、ドットである仕様上塗り直しが利かないなど色々面倒な点に注意
例:□■□■□■□■□■□■
  ■□■□■□■□■□■□
  □■□■□■□■□■□■
  ■□■□■□■□■□■□

□を、■をで“青紫”、なら藍色
□を、■を朱色で“スカーレット”、ならローズ…などなど
こういうとこでもユーザーの遊び心が試される。

塗る時はペン(ベタ塗り)かスプレーの2種類から選び、太さも3段階から選べる。
また、四角形や円の描画も可能。
塗り潰しもできるが、後述のドットスタンプで塗り潰す時はよく考えないと泣きを見る。


一番の売りはスタンプである。
最初から特定のキャラクターやパターン、フォントが入っているが、それだけでなくスタンプの自作も可能。
ドット単位で細かく作れるため、その気になれば小さいながらもゲームキャラのドット絵を再現したり精巧なスタンプも作れてしまう。
これでドット絵に目覚めた人もいるのではないだろうか。

ちなみにスタンプはペンのように描画することも可能。
なので、自作で1ドットだけのスタンプを作れば規定のペンの太さより小さいペンとしても使える。



一からお絵かきなんざめんどくせえ!という人のためにあらかじめ塗り絵も用意されている。
全部で4種類。



操作を一段階戻すときは犬のアイコンをクリックする。
一段階だけなので、何回押してもそれ以上は戻らない。
押した時のクシャミのような鳴き声がなんとも言えないものがある。
他のモードの時でも共通して犬のアイコンだが、スタンプの自作中のみ操作せずに放置すると・・・


スクリーン上の絵を一気に消したい時は消しゴムアイコンを使う。
アイコンによって9種類の異なるアニメーションが用意されており、どれも凝っていて必見。



この後のモードで作成したデータもまとめているせいで量が膨大だからか、セーブ時間が長い。
長いのだが、その間にもロボットのアニメーションと共にテクノなBGMを流し、「待たされている」感を軽減するといった工夫も見られる。




セーブ時に残りカウントが12になってからやたらと遅くて長いのはお約束。そのくせカウントが再開すると物凄い勢いで減っていく。
(これはデータ圧縮に時間をかけているため)
また、余程複雑なものを作らない限り発生しないがセーブに失敗すると「DATE OVER FROW」と表示されて煙を吹く。
普通にプレイする限りはほぼお目にかかれない光景である。




アニメーションランド

画面を分割してアニメーションを作成する。
設定できる分割数は4・6・9。
お絵かきスクリーンと違い、コマ自体をコピーして張り付ける機能が使える。


作成したアニメーションはスクリーン上に表示され、ここからアニメの速度を切り替えたりパスラインを引いて動かしたりできる。
また、周りのアイコンを消してスクリーンだけを表示する他、サウンドコラージュで作った音楽を流すことも可能。


お絵かき、アニメ、サウンド・・・と、自分の作品を一通り作った上で行き着く最終到達点とも言える。



サウンドコラージュ

効果音の鳴るアイコンを譜面上に配置し、簡素な音楽を作るモード。
音を鳴らせる回数は最大128回で、更に始点と終点の設定やテンポの変更が可能。
サンプルとして3曲の音楽が呼び出せる。


流石に今と比べると様々な制約が存在し、
  • 黒鍵は使えない
  • 同時に鳴らせる音は3つまで、同じ高さの音は同時に使えない
  • 音を任意に伸ばせない
などの細かい不満点はある。
しかし裏を返せばシンプルに使いやすいという事でもあり、UIを含めてその手軽さから完成度は高い。
後に非公式でこのモードだけを独立させたソフトウェアが出回った程。
海外でも人気があるのか、動画サイトには国を問わず数々の作品が投稿されている。


音色の数は15種類あるのだが、その中でも人の顔をしたアイコンが発する
アッフン♪
は強烈なインパクトを誇っており、妙に人気がある。
サンプルのアイコンを全部アッフンに置き換えるのは誰もが試したと思う。



ハエたたき

本編とは何の関係もないミニゲーム。
発売当時は家庭にマウスが浸透しておらず、マウス操作に慣れてもらう目的で用意された。
こちらもミニゲームとしては傑作であり、お絵かきそっちのけでハエ退治にのめり込むプレイヤーがいたほど。



その名通り、次から次へと現れるハエをマウスの分身たるハエたたきでクリックして退治する。
ハエは全部で4種類おり、うち3種はハエたたきに危害を加える攻撃を繰り出す。
ダメージを受けるとアッー!という断末魔と共にライフを1失ってしまう。
逆に、点滅した手の1UPハンドをクリックすればライフが1増える。


  • 小型のハエ
ショウジョウバエみたいな小さいハエで、ただ飛び回るだけ。
素早くて捉えにくいが、しばらくすると疲れて休憩する。
パシッ \ヌッ/

  • 黄色のハエ
トンボみたいな形状のハエ。
尾から↑の小型ハエよりもっと小さいハエの群れを出して攻撃する。
この群れは素早い、倒せない、鬱陶しいと3拍子揃ったイヤな敵であり、群れが出される前に本体を叩かなければならない。
恐らく最優先で倒すべきハエ。


  • 爆弾ハエ
ボム兵に虫の羽が生えたようなハエ。
ハエたたきが近づくと点滅し、自爆しようとする。
その性質上、勝手に近寄ってくるので非常に倒しやすい。
攻撃性を除けば小型ハエをも下回る最弱。


  • 水色のハエ
水色のハチっぽいハエ。ポーズ画面でもクリックすると小憎たらしく踊っているアレである。
小型ハエと同じく素早い上に、時間が経つと4方向に火花を散らす。
しかし、攻撃時に一旦止まる性質があるので撃たれる前に仕留めやすくはある。



これらのハエを合計100匹仕留めると、ボスの巨大ハエが登場。
普通のハエよりもはるかにタフで、何度もしつこく叩き続けないと倒せない。
放射状かつ螺旋を描いて飛ぶ火花、黄色ハエよりも多いハエの群れで攻撃してくる。
また、ダメージを受けた際などに尾からジェット噴射しながら高速移動する時があり、この炎にも攻撃判定がある。

叩き続けるほど体が赤く変色していくが、同時に攻撃も激しくなる。
それでも粘り強く叩くとボスはバラバラになってステージクリア。
ちなみにこの巨大ハエ、こっちがゲームオーバーになると憎たらしい顔で笑われる。




全3面で、それぞれBGMが異なる。
一度に出てくるハエの数も2匹ずつ増えて最高6匹に。
また周回制でもあり、3面をクリアすると最初に戻るが画面左上に勲章がつく。
そしてハエ達の攻撃・スピードも一段と激しくなる。
勲章は周回を重ねるごとに違うデザインが増えていく。


後に『メイド イン ワリオ』にもプチゲームとして部分的に用いられ、更には隠しミニゲームとして収録された。
オリジナル版と比較して以下の違いがある。
  • 1UPハンドの出現頻度がやや多い
  • マウス操作ではないため、Bボタンを押しながらだと高速移動ができる
  • 効果音が異なる
  • ステージクリアデモに登場するキャラクターがメイドインワリオのものに差し替え
  • 黄色のハエが出す群れのスピードが低下
  • 巨大ハエの無敵時間がやや延長
  • 巨大ハエの攻撃パターンがステージを追うごとに解禁される仕組みに(最初は放射状の火花のみで、クリアごとに群れ発射・ジェット体当たりと増えていく)
  • 巨大ハエのジェット体当たり使用条件が「身構えている時にハエたたきが重なっているor真下をうろちょろする」と明確化された(元々は後者寄りだがランダムに近かった)
  • 勲章のデザインが☆マークに統一

さらに『スーパーマリオメーカー』にも収録されている。
コースを作っている時たまにハエが現れるが、全て退治するとミニゲームに突入する。
ブラックパックンのパーツを振り続けると任意でハエを呼ぶ事ができ、アップデートでボスの巨大ハエも現れて叩き続けるとハードモード版に突入する。
雰囲気はほぼ当時そのままだが、原作よりタイム設定がシビアである意味で本作最難関という声も。
ここでしか入手できないキャラマリオが2つあるのでコース作りの気分転換などで挑戦してみてはどうだろうか。



オプション

マウスの移動速度や、お絵かき中のBGMを選べる。
BGMは全部で3種類あり、どれも印象深い。
無音にもできる。


なお、デフォルトBGMは後にニンテンドーDSの『さわるメイドインワリオ』でも復活している。
最初は原曲の音源がそのまま流れるが、1ループすると驚きの変化が・・・!

その他のBGMも『メイドイン俺』で特定の条件を満たすと流れる。


余談

後に続編とも言える『マリオアーティスト』が64DDで発売された。
・・・が、64DD自体とても普及したと言えるレベルではなかった事から「知る人ぞ知るソフト」と化している。
その後も『メイドイン俺』のインターフェイスに本作のそれが採用されたり、WiiUの\『スーパーマリオメーカー』/でもインターフェイスに加えハエたたき(とタイトルのエフェクト)の要素が復活したりと、今もなおマリオペイントの血は確実に受け継がれている。

ゲームを起動すると腹筋をする男と足を掴む男という謎のアニメーションが流れる(項目冒頭の画像)
腹筋を繰り返した後に男は後転からの逆立ちを披露し、ファンファーレが鳴り響く。
また、稀に映像は同じだが流れる効果音が変化し、「ウッホホッホ ヤッホホッホ ウッホホッホ ヤッホホッホ」という謎のボイスが流れる(項目冒頭の文面)
このゲームの象徴の一つといえよう。

タイトル画面には沢山の小ネタが仕込まれており、タイトルの一文字ごとに専用のエフェクトが用意されている。


  • M・・・マリオがパワーダウン(チビ化)、もう1回押すとパワーアップ
  • A・・・Aの文字がいきなり落ちる。マリオが巻き込まれた場合、なぜか上から戻ってくる
  • R・・・Rの文字に一つ目が現れて歩き出す。クリックするたびに謎の鳴き声を発する
  • I・・・一瞬だけネガポジ状態になる。音楽も不協和音っぽく
  • O・・・Oの文字が爆弾になり大爆発、タイトル文字がバラバラになるがすぐ元通り。その後けけソングが流れる
  • P・・・草原のような背景が広がる。ファイアフラワーや車、電車に至るまで全てクリックすると音が流れる。更に、一瞬だけ通り過ぎる流れ星を運よくクリックできると・・・?
  • A・・・ヨッシーが通り過ぎる
  • I・・・タイトル文字と音楽が震える
  • N・・・スタッフクレジットが流れる。そういえばこのゲームエンディング無いもんね
  • T・・・虹色のクレヨンで好きに塗り潰せる

当時発売されたガイドブック(末はピカソか、ビートルズという副題付き)ではプロのグラフィッカーが「マリオペイントでもここまでできる」とばかりに本気のイラストを載せていた。


追記はマウスで絵をかきながら、修正はマウスで色をぬりながらお願いします。













































ハックション!!!!




言い忘れていたが、隠し要素としてBGMを無音に切り替えてしばらく経つと誰かのクシャミが流れる。
犬のアイコンをクリックした時の声もクシャミっぽいが、それとは全く違う。
無音で黙々とお絵かきするつもりが盛大にびびった人もいるのではなかろうか・・・

画像出典:マリオペイント
発売日:1992年7月14日/発売元:任天堂 開発元:インテリジェントシステム

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最終更新:2023年07月18日 18:07