石田将也(聲の形)

登録日:2014/07/13 Sun 16:10:06
更新日:2024/03/16 Sat 19:02:22
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石田将也とは『聲の形』の主人公。初登場時小学6年生。現在は高校3年生。贖罪マン。
母、姉、姉の娘と4人暮らし。


CV:入野自由、松岡茉優(幼少期)


【概要】

小学校時代は悪ガキだったが、現在はそれを真面目に深く悔いているため自分自身を非常に嫌っているため全体的にネガティブ思考が多い。
また、過去への負い目から自暴自棄になり、人間のクズのように振る舞ってしまう場面も少なくない。

悪ガキだった過去とは裏腹に通っている高校は有数の進学校で、完全に独学で手話をマスターしている事からわかるように地頭は良く、どちらかと言えば成績は良い方である。*1
因みに高校では将也自身が他者を拒んでいた事もあるがやや強面なのとひたすらバイトに打ち込んでいる姿からクラス内ではちょっと浮いていたようである。*2
また、結絃の正体を知ったときなど、不測の事態に動じることはあっても、すぐにその状況を考察することも多く、見た目とは裏腹に冷静な性格をしている。



【来歴】

小学校時代は好奇心旺盛な悪ガキで、度胸試しと称して川への飛び込みを行うなど、人がやらない無茶な行為を好んでいた。
かつては馬鹿騒ぎを楽しんでいた親友達も段々と大人になっていき、遊べる友達が減る寂しさを感じていた頃に、
ある日転校してきた耳の聞こえない少女西宮硝子と出会う。
退屈な日々に鬱屈としていた石田にとって、硝子は「変わった奴」や「非日常」だった。
彼女が障害ゆえにクラスへ溶け込めなくなってくると、今度は彼女に対するいじめを行う中心人物になる。
周囲の人間が硝子を疎んじ始めている事を察知した当初は彼女がいじめに遭わないように不器用ながらも警告し、石田なりに庇おうとしてはいた。
しかし、硝子自身が過去の経緯故に引っ込み思案であったり、周囲の大人の対応といった不幸も重なって
石田の思いやりは功を奏さず、「自分の思いやりを無碍にされた」といった逆恨みに近い感情を抱くようになり、
彼もまたいじめる側へと回るようになってしまった。

彼女へのいじめを暗喩するものとして「興味が出た、このまま続けたらあいつがどうなるか」とナメクジに塩をかけている描写がある。


担任の竹内はこれに対し「やり過ぎはよくない」と言った趣旨の言葉しか述べず、積極的に将也を止めようとはしなかった。
竹内自身、硝子のことを殆ど児童に丸投げし、自らは硝子に関わりたがらないと言う無責任っぷり。
更に、硝子に不満を持つクラスメートが声なき声で石多を応援する風潮すらあり、
石田は硝子のいじめを通して皆の期待に応えているかのようにすら感じる状況下にあった。
こうした環境が状況をより悪化させ、将也のいじめ行為は止まらなくなる。

だが、補聴器具を8度も破損する(被害額170万円)など度の過ぎた行動が原因となり、硝子へのいじめに関して母親が学校側への相談を行うに至る。
そうなるとクラス担任の竹内が態度を豹変し、「俺は注意したのにお前がやめなかった」という態度で、
自分の責任を棚上げしていじめの全責任を将也に押し付けてくる。
しかも将也に加勢したり見て見ぬふりをした他のクラスメートに対しては「側で見ていてどう思った」と尋ねており、
共犯者も傍観者も一緒くたに傍観者として扱っている。
竹内がいじめの責任を全て将也に押し付けると、クラスメートもその担任に従う形となり、今度は将也が逆にいじめを受ける日々を送る事になる*3
更に竹内は将也がいじめを訴えても「西宮をいじめたお前に他人のいじめを糾弾する資格はない」として取り合わなかった。
なお、将也がいじめを受けるようになっても硝子へのいじめが止んだわけではなく、将也のほうがシューズ紛失などの被害を受けていたと言うだけである。


硝子はそんな将也を気の毒に思っていたが、将也はいじめた相手から同情されることに苛立ち、硝子が愛想笑いが崩さないことにも不快感を覚え、
ある日取っ組み合いの激しい喧嘩をしてしまう。
そしてそれが遠因となり、硝子は転校。和解することもなく終わる。


分かり合えなかった硝子が転校した後、島田達の本性に気付いていた彼女がずっと自分を守ってくれていた事実に気付き(机の落書きなど)、
いじめに加担したことを深く後悔し、反省した。
中学生時はおとなしくなっていたが島田らによっていじめていた事を暴露され、硝子に対して罪悪感もあって本人もこれを否定せず、暴力等は受けなかったがクラスの人間全員から無視され完全に孤立してしまう。
無論将也も歩み寄ろうと努力したが島田と広瀬から受けた冷淡な反応が原因で完全な人間不振に陥り、卒業まで誰とも話さず過ごす。
尚、独学で手話の勉強を始めたのは中学二年生の頃から。


【硝子との再会】

高校3年のころは中学時代からの孤独から人間不信に陥って将来を悲観し、自殺を決意する。
自殺した後に禍根を残さないように親が払った170万をバイトなどで同額を工面してから支払い、この時のために手話を覚え硝子を探して謝罪と和解を持ちかける。
将也本人は結果がどうであってもこの後に死ぬつもりでいたが予想外に硝子は将也の謝罪を優しく受け入れ、「また会おうね」というメッセージを送られた事で自殺を思い留まった。
以降は生きて硝子に対する贖罪をしようと、苦悩し、迷走しながらも東奔西走していく事になる。


硝子との再会後は毎週火曜日に橋の上で会って親交を深めている。
単純に話すだけで終わる日もあるようだが、過去の贖罪意識から彼女へ尽くそうとする場面も多い。

硝子が小学校の同級生佐原みよこに会いたいと言ったときは、学校への遅刻覚悟で朝から佐原探しを敢行し、見事探しだすことに成功した。
硝子は小学校の同級生との交友関係が継続しておらず、手話が出来ない相手とのコミュニケーションも困難なので、単独での情報収集は難しく、
将也の努力なしに再会を果たすことは難しかっただろう。


【交友関係】

中学校時代に孤立させれれたため、完全な人間不振に陥っていた高校時代は周囲の人間から嫌われていると思い込み、積極的に人と交流せず、基本的に孤独であった。
しかし硝子との再会をキッカケに前向きな人間関係を築くようになり、硝子の妹の結絃、高校のクラスメートの永束、小学校時代の同級生である佐原と仲が良い。
特に結絃は学校に通わず好き勝手に行動しているため、硝子とは違って頻繁に将也の家へ遊びに行っている。
また、バカッター騒動の停学明けからは高校のクラスメイトの真柴と友人になり、小学校時代から一緒の川井とも交友関係を持つようになったがこちらは真柴に近づきたいという下心があることや過去の出来事もあり複雑な感情を抱いている。
小学校時代のクラスメイトで佐原と同じ学校に通う植野直花からは想いを寄せられているが、植野がはっきりとした態度を取らない事もあって将也視点から彼女の真意は掴めずそれに気付くことはない。


【過去の呪縛】

硝子のいじめの主犯であったという過去は、将也が硝子と交流して行く上で度々大きな問題を引き起こしている。
当人同士では完全に和解できても、他人から見れば都合の良い話であるため、手話を覚えるなどの努力もあまり評価されない傾向にある。
将也は過去に奪ったものを取り戻すべく全力で硝子に尽くすと言う気持ちで真剣に取り組んでいるのだが、
他人からは過去を許してもらって都合良く交流しているようにしか見えないのも冷たい視線を浴びる原因である。

将也の過去を一度も咎めず許したのは佐原のみ。
彼女はいじめの現場にいなかったためいじめの過去を知らなかったが、
現在の将也が誠意を見せて過去のいじめから現在の状況まで全てを隠さず語ると言う誠意を見せたため、
「硝子ちゃんが(過去を気にせず)笑うなら私も笑う。私達をまた会わせてくれてありがとう(要約)」と言って将也を受け入れた。


硝子の母も妹の結絃も最初は彼が硝子に近づくことを好まなかった。

結絃に至っては将也が硝子を心配して川に飛び込んだ様子を写真に撮り、バカッター騒ぎのネタにして彼を停学処分に追い込んでいる。
しかし将也はそんな結絃のことを怒ることもなく、文句を言われても尚硝子のために全力で尽くす姿を見せ、やがては和解へと至った。

西宮姉妹の母も最初は将也が謝罪した途端にビンタを食らわせたが、彼が硝子のために誠意を持って努力する姿を見たのに加え、
不登校で交友関係の狭い結絃と絡むようになったこともきっかけとなって彼を見直すようになった。

2人とも将也のことを傍観者の立場で捉えず、間近でその真摯な姿勢を見ることが和解のきっかけとなっている。



それでも小学校からの同級生である川井や植野などは相変わらず傍観者の立場にいるため、
将也の誠実さを理解できず、その行為を単純に都合の良い話だと思っている。
更に川井は、都合が悪くなったときクラスメート全員の前で過去を暴露するという暴挙に出た。


結局いつまでも過去に苛まれ、何度も精神的なダメージ受けているが、将也はそれでも一貫して「何があっても命懸けで硝子を守る」ことを心に誓っている。
そして花火大会の夜、飛び降り自殺を図った硝子の腕を間一髪のところで掴み、彼女を引き揚げる代わりに自分が力尽きて下の川へ転落。
文字通り“命を懸けて”硝子を救ってみせた。

その後は救出の際に負った怪我で入院。
結絃曰く、肩と尻に大ダメージを負ったらしい。
肩は力尽くでの引き揚げによる脱臼、尻は落水の衝撃だと思われる。
また、命に別条はなかったが、落水の際に意識を失ったのち、そのまま二週間も昏睡状態に陥ってしまった。

【硝子との関係】

将也の硝子に対する行為には贖罪や過去の清算で説明の付かない行為もあり、純粋に硝子を異性として見ている場面も多い。
しかし贖罪として真摯な姿勢を貫く事においてそれは「下心」という不純物になるため自覚しないようにしている節がある。

電車で2人きりになったときは変に意識するがあまり全く話題を振ることが出来ず、逆に硝子が頑張ってメールで話題を振ってきた。
気を悪くしないようにと必死に考え、結局いい話のネタを思いつかなかった。
この時点で既にどことなく硝子のことを意識している様子がうかがえる。

猫カフェで可愛いポーチを貰ったときは、迷うことなく硝子へプレゼントしている。
使いどころに悩んだり、渡す相手に悩んだりすることなく、プレゼントを決断する辺り、彼にとって最早硝子は贖罪を抜きにしても大きな存在となっている事がうかがえる。

硝子が佐原とプールに行ったときは軽く動揺し、羨ましそうな顔を(しながらも、送られてきた水着写真は迷わず保存)していた。

なお、硝子も将也の真摯で誠実な態度と行動を見る内に段々惹かれていったようで将也と話しながら顔を赤らめたり、将也の前で歌うのを恥ずかしがったりと、明らかに将也を意識しており、
将也の真摯さに対しての噛み合わなさを見せている。
佐原は毎度のように空気を読み、2人だけの話になると結絃を連れてそっと離れると言う気遣いまで見せている。
結絃は「そろそろちゅーしても良いんだぜ」とまで言い、露骨なまでの後押しを図ったこともある。
ただ、将也はいつまでも過去の呪縛と贖罪に囚われ続けており、硝子を異性として尊重する行動は全て無意識のうちに行っているため、
現状を恋愛の観点から素直に捉えることが出来ず、またそう捉えてしまったら彼のしてきた贖罪の行動も全てが台無しである。


硝子の決死の告白を「えっなんだって?」する難聴主人公じみたことをしたが、
これも単純な鈍さだけが原因ではなく、彼が「自分が硝子に好かれるわけがない」「都合良く好かれるなんてあってはいけない」と言う過去への負い目があるため、まさか告白だとは思わなかったことによる。
また、聴覚に障害がある硝子の発する言葉はどうしてもたどたどしいものとなるため、
実際に聞く将也の立場としては予想外の言葉をぶつけられると理解が追いつかなくなることも原因である。
実際、告白した日の硝子はよく喋っていたのだが、手話を使わずにたどたどしい発音で積極的に喋るため、将也は聞き取れずに困惑していた。


この問題に関しては飛び降り事件を経て一定の解決へと至り、将也は贖罪意識を捨て、手を取り合い未来へ向かって歩むことを誓い合った。
その後はお互い素直になれない部分がありながらも友達以上恋人未満の関係になりつつあり、文化祭では硝子が待ち合わせを持ちかけ、将也も素直に応じている。
更に時間が大きく飛んだ最終話では手話でお互いの晴れ姿を手話でベタ褒めし合い、植野が「イチャつくな」と制止を掛ける始末であった。
相変わらず友達以上恋人未満に収まっていたとはいえ、過去の呪縛と贖罪意識を乗り越えて完全に親密な関係を築くに至っていた。


【主人公として】


少年漫画誌の主人公としては珍しく、基礎的な能力に主人公補正がない。
特別なものを持って生まれる、ハイスペックな人間の側で育つ、ある日偶然特別な力を得る、フラグをぽんぽん乱立出来るなどと言った素質はなく、元は極めて平凡な少年である。
手話が出来たり態度が誠実だったりと言う人よりも優秀な点も全て自発的な努力によるものである。
恋愛関係ではフラグを立てたが、硝子が落ちたのは硝子の人間性が特殊すぎた為、植野は悪口を言い合える腐れ縁であり、やはり将也に特別なものが備わっているわけではない。
また、成長のために誰かが力を貸してくれる場面も少なく、基本的に壁に当たっては殆ど自力で乗り越えたり、硝子の姿を見て自ら成長を誓ったりしている。
将也自身は未だに自分が成長していないと嘆いているが、実際は主要人物の中で誰よりも、しかもまっとうな形で成長を遂げている。

その努力の結果も主人公らしいものがあり、影響を与えた相手は多い。
西宮一家は将也との交流がきっかけでそれぞれ心境を変化させ、永束や佐原も将也の誠意ある態度に触れたことで協力的な姿勢を見せるようになっている。


【余談】


自殺を決意した際に身の回りの物をほとんど売ってしまったために、自室はかなり殺風景。
服装にも無頓着で私服は常に黒の半そでTシャツに長ズボン。何故かシャツのタグをいつも外に出している。
週刊少年マガジンと思われる漫画雑誌をよく読んでいる事以外に特に趣味と言った趣味はない。
あえて言えば趣味はバイトであり、学校でも「バイトの鬼」と言われているとか…。

特技は硝子のために覚えた手話で完璧と言っていいほどマスターしている。
しかも手話教室に通っていた描写も特になく、本だけを使った数年間の独学だと思われる。すげえ。
硝子や結絃ですら手話教室に通って手話を覚えたと言うのに…。
一応、小学校時代の先生に長々と褒められる程度には通っている高校の偏差値は高く、2年間のアルバイトで170万円近い金額を稼ぐだけの意欲の高さは持ち合わせている。
高校生で学業とバイトを両立させつつ170万稼ぐのはそうそう出来ることではない。
手話の独学やバイトの稼ぎなど努力の絡む部分では主人公補正が働いているが、
基礎学力やバイトでの熱心さを加味すれば少なくとも「あり得ない」と言うレベルではない。
全体的には補正がなく、ここぞというときの補正だけやたらと大きい主人公である。


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最終更新:2024年03月16日 19:02

*1 小学生の頃は相応に成績が悪かったようだが、中学時代に孤立させられた事で部活動に打ち込む事や遊ぶような友達もいなかったため他にやることもなかった事もありひたすら勉強に打ち込み、成績が急上昇した模様。進学校を受験したのは小学校の同級生と会いたくないといった事情も含まれていると思われる。

*2 とはいえ名前自体は覚えられていたりクラスメイトから普通に話かけられていた辺り、変な人とは思われていたが別に嫌われていたわけではない様子。将也の方も没交渉的ではあるが会話の応対等はしっかりしている

*3 実質的にクラスメートの皆が石田を焚きつけて虐め行為を代行させて、風向きが変わった途端に石田に全責任を押し付けた。という状況を、石田に対して好意を抱いていた植野だけは不満に思うと同時に、そんな石田を庇えなかった罪悪感を抱き続けることとなった