柊聖十郎

登録日:2014/07/05 (土) 00:12:00
更新日:2024/02/22 Thu 10:51:56
所要時間:約 11 分で読めます







「忘れるな。おまえは俺のために生まれたのだということを」


相州戦神館學園 八命陣の登場人物。主人公、柊四四八の実の父親にして、夢界深層にある何かを巡って争っていると思しき六勢力の一角、逆十字の首領。
作中での親しいキャラやファン、ライターの正田卿からは「セージ」と呼ばれている。

CV:壬生中将/遠近孝一 PC版/CS版




■人物

宗教学、社会心理学、考古学、民俗学といった多くの学問で名を馳せた天才学者。しかしその実態は、相当な人嫌いであり凄まじいまでの利己的主義者でもある。
威圧的な容姿と、氷の計算機めいた極めて冷酷な精神の持ち主であり、戦闘においては過虐はないが、同様に情けも容赦もない。
隙のない凍結した鋼のような気配を纏い、顔立ちこそ整っているが非人間的なほどその印象は温かみを感じない幽鬼のような不確かな存在感を滲ませる男。
妻である柊恵理子からも「すべてを不安にさせる、近づけばまともじゃいられなくなる人」と語られている。

紛れもなく四四八の実父だが愛情はなく、息子や妻を含めた全ての他者を駒か何かとしか思っていない向きがある。
登場人物の一人、神野明影とは同盟を組んでいるが、それはあくまで戦略上の判断であり、少なくとも聖十郎に仲間意識は皆無である。
また、六勢力唯一の現代人であるにもかかわらず、基本過去の時代が舞台となる夢界に違和感なく適応しているなど謎も多い。

超人的な肉体と、極めて優秀な頭脳を持つものの、その精神性と行いは鬼畜・外道の類であり、真っ当な人間からはかけ離れている。
体験版においては登場直後から、妻である柊恵理子を 「役にたたない屑」と切って捨て、夢界において全身をバラバラにして現実の肉体共々殺害する という所業を見せつけプレイヤーにその邪悪さを強く印象付けた。


そんな類稀な天才である聖十郎だが、彼は何故か彼から見た凡人こそを心から憎み、そしてそれ以上に強く羨んでいる節がある。





■能力資質

その天才性は戦闘においても遺憾なく発揮され、高次元万能型の素質を持つ四四八の更に上位互換とも言える力を持つ、穴が一切存在しないオールラウンダー。
同時に、何が得意かも分からないためその固有能力すらも定かではない。作中では咒法、創法を多用する傾向がある。

一瞬で相手の技術、戦法、体術を見切り、それに対応するどころか「覚える」事で自分の技術として使用する事すら可能な戦闘センスの持ち主。
また、正体不明の異能を有しており、彼と闘った人間は突如として重度の不調に襲われる事になる。









以下ネタバレ










「生きるという事に、嘘も真もあるものか…!」





現実での聖十郎の正体、それは天賦の才を持つ一方で、数多の病魔を発症し続け生涯一度たりとも健常であれた事のない特異体質な肉体の持ち主。
当然並の人間ならすぐに死んでいるが、彼は超人的な身体能力と、皮肉にも”病に屈しない強烈な自我”を持って生まれた為、数十年の間耐え続けている。

彼が他者を羨む理由は、 本来ほとんどの人間が当たり前に持っている健康な体が羨ましくて仕方がないため。
後述の能力による資質強化の前の本来の能力資質も狂的なまでの健常な肉体への羨望から戟法と循法に突出したものである。
作中で語られる外道行為も、全ては自らの病を取り除き延命するための闘病の結果であり、彼は生きるためならいかなる非道行為であろうと平然と手を染める。

彼の傲慢なまでの自己中心的な性格は、己を蝕む病から生じており、彼は天才である自分が取るにたりない凡人に同情・憐憫されている現実を絶対に認めようとしない。
作中の現実世界でも、彼を憐れみ介護しようとした人間を階段から突き落とすなどの暴行を働いたり、病院に放火を行ったり、挙句の果てには邯鄲法の実験のために毒物を投げ込んで学校一つを全滅させるなど無茶苦茶な外道行為を働いている。

自他共に認める外道畜生であるが、その彼の真実を知って嫌悪や不快を抱く人間だけではなく、その境遇故、彼に対し同情や憐憫の念で接する人間(ついでにプレイヤーも)も後を絶たない。彼の真実を知る人間程「まともではいられなくなっていく」のである。


作品の舞台となる夢界への入り口を開き、夢を操る邯鄲法を組み上げたのも、自らの病魔を夢の力をもって取り除くためであり、物語の元凶の一人と言える。
そして彼が持つ他者の健康な身体、健全な精神、輝き溢れる才能に対する嫉妬が、後述する最悪の異能となって夢界で発現する事になる。







■固有能力

生死之縛・玻璃爛宮逆サ磔(しょうししばく・はりらんきゅうさかさはりつけ)

聖十郎が相手を「羨ましい」と思い、その相手が聖十郎に向けて『敵意・憎悪・憤怒・憐憫・同情・嘲笑』といった負の感情を抱く事で、聖十郎の抱えている「病み」と、負の感情を抱いた側の肉体や才能といった「輝き」が入れ替わる。

登場人物のほとんどが条件に嵌る上に嵌ってしまえば為す術無く全てを奪われる非常に悪辣な能力。
詳細は項目参照。







■人間関係
さて、この柊聖十郎と言う男。本人の人格からすると皮肉なことに、人間関係にかなり恵まれている。


  • 甘粕正彦
夢界における聖十郎の主。生へと執着して懸命に生きる聖十郎のことを心の底から「尊敬」しており「親友」と呼び対等に扱っている。故に彼は聖十郎に対し悪感情を抱いておらず、逆さ磔にかからない。
なお、聖十郎としては甘粕は邯鄲法構築のためのモルモット以外の何物でもないが、自らが何よりも欲する盧生(完全に夢の異能を現実へと持ち出せる者)の資格を持っているため、他の人間よりも「羨ましく」感じる憎い相手でもある。
だが、上述の通り能力が通じず資格を奪い取る事が出来ないため、それもまた聖十郎を苛立たせる原因となっている。

甘粕の眷属その2。聖十郎の悪性を全肯定しており、甘粕同様逆さ磔にかからない。彼としては「友達」と称して付き纏っている。
悪魔として「セージの絶望する姿が見たい」という願望から付き纏っているのであるが、作外のホワイトデーなどでは一緒にモテない組として悪魔召喚の触媒集めをやっていた辺り、そういうの抜きにしてもかなり気に入ってる模様。

  • 柊恵理子
妻。聖十郎としては家政婦程度にも思っておらず、四四八を産むための「肉の試験管」としてしか見ていなかった。ただ恵理子側はそれでも彼のことを「愛」している。
あるルートにおける聖十郎と彼女の会話シーンは戦神館屈指の名シーン。感動、笑い、外道が「愛」によって倒される爽快感という三つの異なる気持ちを同時に味わえると評判。彼に引導を渡す救済者(死神)である。

息子。彼もまた甘粕同様盧生の資格を持っており、聖十郎からは盧生の資格を自身に献上するために生まれただけの存在だと完全に思い切っている。
四四八もまた「母さんを苦しませた相手」としてかなり嫌っている。四四八からすると「俺の親は母さんだけ」レベルの嫌いっぷりである。
そんな四四八にとって最も憎むべき対象であるが故に、ある場面で四四八は彼と向き合うことを余儀なくされ…

  • 真奈瀬剛蔵
長年の友人であり、彼の天敵。反りが合わずに何かある度にケンカしていた模様。しかし恵理子曰く「剛蔵さんだけはあの人の友達でいてくれた」そうなので、彼にしては上手く付き合っていた方なのだろう。
実際に聖十郎が周りの人間に対して嫉妬していることを理解して、その原因を知っていたのだから関係は深かったように思われる。
あるルートでは聖十郎の「友達」として、彼と対等に向き合うことを決意。彼の悪行を止め、決着を着ける為に行動する。








余談

  • 賢しい者の相手を得手とする盲打ち、壇狩摩とは相性が悪いと思われていたが、戦えば一方的にボコボコに出来ると正田卿が発言した。
「囚われない」が信条の狩摩も聖十郎に対して嘲笑の感情を持ってしまうので条件に引っ掛かるそうな。
ただまぁ「あの」狩摩なので、その敗北が結果的に狩摩にとっていい方向に作用するか、もしくは両者は交戦できないと思われる。
事実本編では交戦していない。

  • ソフマップ特典ドラマCD『くりえいと☆千信館学園』では、何をどう間違えたのか親馬鹿キャラになって登場。恵理子とバカップルやってたり、やたらと四四八にベタベタするなど、もはや原作とは別人とも言えるキャラと化していた。
    「おはよーう、四四八。今日も頑張ってるねえ」

  • セージの専用BGM、『生贄の逆さ磔』は彼の不気味さ・不安定さを見事に体現しており作中でもかなりの良曲。
    …なのだが、上記の『くりえいと』では親馬鹿と化したキャラ崩壊状態のセージが出てくる…どころかセリフが回るたびにこのBGMが流れるため、結果的に笑いを産み出す曲となってしまった。何という公式による風評被害。

  • 晶ルートはぶっちゃけ彼のためにあるルートと言っても過言ではなく、ひたすらに「柊聖十郎」という人間を掘り下げている。
中でも中盤に登場するセージの手記はライターの気合の入りっぷりがうかがえる内容となっている。また手記の内容のある矛盾点が作中の謎を解く鍵の一つとなっている。

  • 息子である四四八とは、完璧超人、戦闘の資質がオールラウンダー、オーラの色が緑、人間関係に恵まれているなど何気に共通点が多い。なんだかんだで親子である。


  • 先天的に数多の死病に冒され続けてきた半死人にもかかわらず、邯鄲法を会得する前でも2m120kgの巨漢である剛蔵と喧嘩して引き分けに持ち込むわ、全くの専門外である邯鄲法を先人が残した文献から再構築し夢界への扉を開くわ、彼の元に甘粕が来訪するまでは、病状が相当に進行していた身体で自ら成人男性を邯鄲法の被験者にすべく拉致しては殺害し、を繰り返すなどの凄まじいバイタリティを発揮している。肉体を強靭な意志が凌駕している超人、否さ魔人とさえ形容できるかもしれない。






追記修正は聖十郎に対して対等な視線で真っ向から向き合える人にお願いします。


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最終更新:2024年02月22日 10:51