アルベロ・エスト

登録日:2014/06/29 (日) 19:19:08
更新日:2023/01/28 Sat 01:38:25
所要時間:約 20 分で読めます





アルベロ・エストはゲーム『スーパーロボット大戦シリーズ』のオリジナルキャラクター。
初出はスーパーロボット大戦MXスーパーロボット大戦OG外伝第2次スーパーロボット大戦OGにも参戦。
CV:宝亀克寿

◆概要◆

地球連邦軍の特殊作戦PT部隊クライ・ウルブズの隊長。 階級は少佐。 コール名はブラック・ウルフ(OGでは小隊名)。
MXの主人公ヒューゴ・メディオは嘗ての部下であり、戦士としての生き方を彼に教えた人生の師とも言うべき存在。
嘗て、デビルガンダムとの交戦でヒューゴや息子フォリア・エストを始めとする部下達を失い、
部隊は壊滅。 その責任を取る形で軍を去る(実際はウルベ・イシカワの陰謀に利用されたのであり、彼に罪は無い)。

それ以降は自分だけが生き残ってしまった悔恨を乗り越え、
クライ・ウルブズ最後の一人として己の命を脅かす存在と対峙し『超える』事を生きる目標とする様になる。

その為の力を手に入れるべく、ミタール・ザパトが主宰する次世代機動兵器開発計画『ツェントル・プロジェクト』に参加。
試作型TEアブゾーバー『メディウス・ロクス』のテストパイロットとして各地の戦場で暗躍する。

ミタールやメディウス運用のパートナーであるエルデ・ミッテのドス黒い欲望には勘付いているが、自身の目的の為に互いに利用し合っていた。
紆余曲折を経て、同じくミタールの元でTEアブゾーバーのテストパイロットになっていたヒューゴとは
その行く手を遮る壁として幾度も矛を交えるが、お互い心情を知っている間柄である事から、
芯の部分では信頼関係に揺らぎはなかった。

最終的には彼の復讐は終わりを告げ、エルデの欲望の結晶たるAI1を無に帰し、
最期はヒューゴに贖罪の言葉を告げてAI1崩壊と共にこの世を去った。

エストはイタリア語で「東」(つまりエスト親子はイタリア系)。
位置や方角を意味する言葉が名前に含まれるのはMXのオリジナル系の共通項である。



◆人物像◆


死は他人にとって、何らかの意味を与える場合もあるだろう
だが、自分自身にとっては無意味だ。 己の死から学び得る事は何も無い
倒すべき敵を倒し、生き延びろ。 生に執着しろ
それが、我等クライ・ウルブズの鉄則だ

年齢43歳。 大柄で筋骨隆々の体躯にワイルドな角刈り&クマヒゲ、鋭く据わった三白眼と
クライ・ウルブスの隊長だけに昼間の狼男と見まごう程のコワモテの持ち主。 笑顔が特に怖い。
その悪人面豪傑肌な見た目とは裏腹に、実際は至って冷静沈着で自己抑制の強い理性的な人物。
パイロットとしての技量は元より、指揮能力・判断力共に優れた優秀な軍人である。
OGでは同じく叩き上げ軍人ポジションのカイ・キタムラとは戦友同士という人間関係が追加された。 渋過ぎる。

『命』の尊さを重んじ、主に戦場のデータ収集と後詰めを担当するクライ・ウルブズの性質もあり、
戦場から『生きて帰る事の大切さ』を常々部下に言い含め、部隊をリードしていた。

また、軍人として任務を達成し生き残る為にチームワークを重視しており、
例え息子のフォリアであろうと公私混同は許さず厳しい意見をぶつける。
それが原因で親子としてはギクシャクした関係になってしまっているが、
これも戦場ではマイナスとなる事が多い血縁関係を互いに克服し、
より純粋な兵士に徹する為に息子と我が身に課した試練と考えていた。

しかし、任務に忠実な軍人故に、水面下で巡らされる陰謀には
否応無しに駒として利用されざるを得ない宿命に立たされ、
息子を死なせ、部隊は全滅という最悪の結末を機にその信念にも揺らぎが生じてしまう。

任務上、AI1の『教育』にも多大な貢献をしているが、アルベロ自身は
「機動兵器の力を引き出すのは人でありパイロット、性能の限界を超えるには、搭乗者の力量や技量、そして感情が必要」
という信念を持つ為、人工知能制御の無人兵器には否定的なスタンスを取っている。
(これにはミタールも同意見…かといってパイロットにサイボーグ手術を施したりおかしな水着を着せたりするのはどうかと思うが)。
彼が教えた兵器として・戦士としての在り方は後のAI1自身の選択に極めて重要な影響を及ぼす事になった。

日本文化に造詣が深いという意外な一面があり、彼自身の戦いに懸ける信念や死生観には
ブディズム的な精神性が多分に反映されている。
部下達にもそれ等を学び取らせようとしたのか、
ヒューゴが課された訓練の中には寺に籠って座禅を組むというのもあったらしい。



◆MX◆



俺は倒す。 俺の生を阻む敵…世界を破滅に導こうとする敵をな…

概要通り、過去の清算としてデビルガンダムを超える事を目的としている。
本作のデビルガンダムは人類補完計画調律が失敗した場合世界を破壊してしまう為の保険であり、
もし暴発する事があってもマグネイト・テン(自軍)が抑止力になる、というのが大まかな流れだが、
物語終盤――月面で復活したデビルガンダムと決着をつけるべく、
マグネイト・テンと共同戦線を展開、遂にクライ・ウルブズを陥れたウルベ諸共仇敵の撃滅に成功。

しかし、強くなる為に進化を重ね最早DG細胞と大差無い存在になってしまったラズムナニウム=メディウス・ロクスとそれを操るAI1が
デビルガンダムに代わる次なる脅威となる事を既に悟っていたアルベロは、その介錯役をヒューゴに託す。
ラ・ムーの星を取り込み暴走を始めたAI1がマグネイト・テンに倒された事で、
彼は背負ってきた罪から解放され、AI1やエルデと共に消滅して逝った。

生に執着する様、ヒューゴに教えを授けたが、同時にその教えのせいで
身体を半機械化され、クスリ漬けの生き地獄に叩き込まれても尚『死ねない』ヒューゴに対する罪悪感もあったらしく、
一時、ヒューゴが死んだと思われた時には「これでもう苦しまずに済む」と呟いていた。

専用BGMは『CRYING BLACK』。曲名はヒューゴやアクアと同じ『~ING+色名』の法則。
不気味な前奏と不安を煽る様な旋律が特徴で、強制戦闘イベントにおける被ダメや撃墜を連想させる不吉なイメージの曲。
但し、優先度が低い為、普通にプレイする限りは余り聞く機会には恵まれない。



◆『スーパーロボット大戦OG外伝』◆

ゲーム序盤から中盤にかけてヒューゴ共々MXにおけるクライ・ウルブズ時代の回想に当たる場面の詳細が描かれた。
原作では過去回想も含めて終始パイロットスーツ姿だったが、OGでは新規でクライ・ウルブズの制服を着たグラフィックが追加されている。
息子のフォリアもキャラクターとしてはスパロボに初参戦したが、MXプレイ済みのユーザーには訪れる未来が分かりきっているだけに……。

主に、OG2における自軍(後の鋼龍戦隊)の後詰めやツェントル・プロジェクトからの依頼遂行を基本任務として活動。
デビルガンダムに当たる存在は人造アインストシリーズ『イェッツト』に置き換えられ、
同時にイェッツトの誕生にミタールが噛んだ事から、ウルベに利用されてミタールに拾われたというMXの経緯が
より一層簡略化され、ミタールに踊らされていたという流れに変更されている。

能力値は申し分なく高いが、部下共々スポット参戦なのが惜しい。 悲劇が起こる前の在りし日、という事か。
戦闘BGMは『CRYING BLACK』のアップテンポアレンジ曲、『SHOUTING BLACK』が用意されている。
ダークな雰囲気の前奏は同じだが、中身は正統派のメロディアスハードロックに『泣き』の要素が入っており非常にカッコ良い。
カイ少佐と戦友繋がりか、『格好いいおっさん用BGM第2弾』等とも呼ばれる人気の一曲である。

尚、彼等クライ・ウルブズのOG参戦については発売当日まで前情報が一切無く、
多くのプレイヤーを驚かせると同時に次回作でMX本編に当たるストーリーが展開される事を大いに期待させた。


◆『第2次スーパーロボット大戦OG』◆


フォリア…お前を救う為に俺は鬼道を往く…
許せヒューゴ…今の俺には、この手段を選ぶしかない…
そして必ず…これがクライ・ウルブズ……最後のミッションだ


ツェントル・プロジェクトが影のスポンサーの助力を得て厚みを増した事もあり、
ガイアセイバーズに招聘され、メディウス・ロクスのパイロットに選ばれると同時にガンマ・セイバーの隊長も務める。
マッド・ドッグスの犬コロ共は、一応アルベロの指揮下。
表向きは機体強奪の罪人として戦場の陰で暗躍していた原作に比べると、
大統領直轄の特殊部隊といういわば官軍に組み込まれた事で逆に反逆者の汚名を着せられた自軍を追討する立場になった。

戦う動機も大きく変更され、イェッツトとの交戦現場から瀕死のフォリアが回収されているとして、その治療の対価に協力を余儀なくされている。
その為、部下を死なせてしまった罪を背負いながらも、クライ・ウルブズの精神を貫く事でその清算を目指した戦士だったMXに対して、
一人の父親としての弱さ、『枷を嵌められ、狗にされた狼』の悲哀が強調されている。

クライ・ウルブズの誇りは持ち続けており、外道サーカス団(尚ピエロしかいない模様)たるガイアセイバーズの中では屈指の人格者。
組織内で上手く立ち回る事で自身もヒューゴも共に生き残り、フォリアを蘇生させる事を目指していた。
望んで敵対していたMXとは違い、ヒューゴの協力を求め、自身の配下に勧誘した事もあった。
また、メディウスの進化に巻き込まれる形でヒューゴが取り込まれてしまった時は、
自らの手で彼の生きる道を閉ざしてしまった事を深く悔やみ、フォリアに会わせる顔が無いとすら言っている。

だが――そんなアルベロを待ち受ける真実は、更に救いの無いものだった。
非道にもミタールがちらつかせたフォリアは、他人の死体に整形手術を施しただけのダミーであり、フォリア本人は既に戦死していた。
つまり、ミタールとエルデはありもしない希望を餌に、アルベロを利用していたのである。

そして、メディウスが第2形態へ進化する過程で、アルベロは機体内で暴走したラズムナニウムに取り込まれて身動きが取れなくなったところを
彼を用済みと見做したエルデに息子の死を告げられ、更に凶弾に貫かれてしまう。
ただ一人生き残ったエルデの証言で、彼の最期は『功を焦り独断専行した挙句返り討ちに遭った負け犬』として処理されてしまった…。




因みに、彼亡き後のガンマ・セイバーの後任は何とムラタ無明オッサン繋がりというシャレだろうか。
無明の世界へ誘うアルベロ自分が無明なムラタでは雲泥の差だと思うが…。
ちなみに部下だったマッド・ドッグスの(ryは非情になりきれないアルベロを内心嫌っていたようであり、自分達と馬が合うムラタの指揮下に入った後はアルベロを侮辱するような発言を口にしていた。

パイロットとしては高水準な能力値を持ち、特に高レベルの指揮官技能で周囲のユニットを強化してくる。
固有エースボーナス『指揮効果+5%、命中率+10%』で、更に補正は高まる。
一方、交戦の機会そのものは然程多くは無い。













……ヒューゴ……
エルデは俺が……俺達が連れて逝く……
だが、お前は生きて帰れ……それが……
それが……俺達クライ・ウルブズの鉄則だ……

ハードルート終盤、MX決着篇『ラスト・クライ』にて、重傷を負いながらもAI1内部で生存していたという驚愕の事実が明かされた。
鉛弾をぶち込まれて一月近く飲まず食わず、おまけに決戦の地は南極である。*1
自分の戦いから「敗北」と「戦いに敗れた者の宿命」を学んだAI1が鋼龍戦隊に敗れた事を受け入れ、滅びを選んだ事をエルデに告げる。
それを認めようとしないエルデを自分と同じくAI1に取り込まれたドゥバン、そしてAI1自身と共に内側から道連れにし、散って逝った。

…その後、AI1はアルテウルの隠し持っていたズフィルード・クリスタルによって再生、
新人祖アダマトロンのカラータイマーとして再利用され再び破壊された。
その際取り込まれたアーマラは後のシリーズで生存が確認されたが、
アルベロとドゥバンは彼女とは取り込まれたタイミングが大きく違う為、そのまま逝ってしまったと解釈するのが自然と思われる。





◆乗機◆


MXにおける過去の乗機。 マップ上にユニットアイコンはあるが操作は出来ず、ヒューゴの過去回想にのみ現れる。
クライ・ウルブズは、ゲシュペンストだけで編成されていたらしい。
アルベロ機のカラーは暗い黄土色。OG参戦以降はフォリア機の専用カラーへと変更されている。
ネオ・ジャパン軍から支給された対DG特殊エネルギーキャノンを装備しており、見事命中させるが…

本編ではゲシュペンストどころかパーソナルトルーパーという区分さえ語られる事も無い。
オリジナルのゲシュペンストが何処で作られたのか等も一切語られず、実は本作においては出自不明の謎の機体。
そもそも、COMPACT2やAの様にゲシュペンストは作品の枠を越えて出張する機体ではあるが。
オリジナルからしてあの人の乗機だしな…。


OG外伝におけるクライ・ウルブズ時代の乗機。 この時点で先行生産されていた3機の内の2号機。
指揮官用ブレードアンテナを装備。 プラズマ・バックラーは左腕にしか装備されておらず、
代わりに各レンジによって使い分ける事が出来る強力な火器フォールディング・ツーウェイ・キャノン(通称F2Wキャノン)
を装備しており射撃戦能力が高い。 このセッティング仕様は「タイプN」と称し、
実は後の正式量産型開発にもアルベロ機やヒューゴ機の運用データが活かされている。

機体カラーはに。 更に肩にはクライ・ウルブズのエンブレムがある。
カラーリングも手伝い、ゲシュペンスト・タイプRVとはまた別の原点回帰を感じられるマシン。
コトブキヤからプラモ化もされており、非常にカッコ良い出来栄えである。


★メディウス・ロクス

ツェントル・プロジェクトTEアブゾーバー試作5号機。 MX、第2次OG両作においてテストパイロットを務める。 詳しくは専用項目で。




★余談

◎キャラデザインが確定する前のラフ画では、『写真の入った懐中時計を首に下げている』というビジュアルだった。


◎MXでは逆上して発砲してきたエルデの銃弾を躱した上、逆に殴り倒して無理矢理協力させるシーンがある(Not薄い本)。
それに対して、第2次OGで動けぬところを彼女に撃たれたのは、ある意味エルデからの遠回りの仕返しとも受け取れる。


◎意外にも専用BGMに恵まれており、OGでは部隊全滅の前後で
『SHOUTING BLACK』『CRYING BLACK』とイメージを変えたアレンジの二曲が用意され、
そこへ更に乗機メディウス・ロクス専用の『MEDIUS LOCUS』が加わる。


◎クライ・ウルブズはシャドウミラーがいた並行世界にも存在している。
特殊鎮圧部隊ベーオウルブズと並ぶ戦力を有し、反乱を起こしたシャドウミラーを追い詰めた
『3つのウルブズ』の一角だったという(残る一隊は不明)。
しかし、向こうの世界でも隊長がアルベロだったかは定かではない。
また、シャドウミラーを片付けた後も真の脅威は依然として残っており……。





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それが、我等アニヲタ・ウルブズの鉄則だ
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最終更新:2023年01月28日 01:38

*1 生に執着し過ぎだろ……。