ノア(FE)

登録日:2014/06/21 (土) 23:56:39
更新日:2024/04/13 Sat 14:57:25
所要時間:約 3 分で読めます




命令にそむくことはマズいが

それ以外は「臨機応変」にいかないとね


出典:ファイアーエムブレム ヒーローズ、任天堂、インテリジェントシステムズ、
2017年2月2日配信開始、(C) 2017 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS



ファイアーエムブレム 封印の剣に登場するソシアルナイト
比較的若い男性で、薄い笑みを浮かべた優男。比較的濃い顔や派手な髪色の多い封印の剣においては、顔グラだけだと非常に影が薄い。



真面目な概要


仲間になるのはノーマルにおける序盤の難関、ハードにおいては最難関とすら称されることで有名な七章「オスティアの反乱」。
同盟軍登場だが、勝手に突撃してプレイヤーの手を煩わせる上司や同僚と違い、比較的初期位置に近い闘技場前から出現する。
ロイ又は自軍参入済みの上司ゼロットによって話しかけると参戦となる。

  • 初期値と成長率、CCボーナス
ソシアルナイト LV7
HP:27(75)+3
力:8(30)+2
技:7(45)+2
速さ:9(30)+2
幸運:6(40)
守備:7(30)+2
魔防:1(10)+3
体格:10+2
属性:理
武器:剣C/槍D

装備
はがねの剣
てつのやり
きずぐすり

ソシアルナイトには珍しく槍よりも剣の方が得意で、初登場時はポニテ美少女剣士のフィルに闘技場の戦い方をレクチャーしていた*1
イリアの傭兵騎士団に所属しており、今回はゼロットの配下として登場。一見無愛想に見えるが、それはいつ死ぬかわからない生業からなるべく人との関わりを持たないようしているためであり、上記のように面倒見は悪くない。

支援相手は上司のゼロット、その妻ユーノ、同僚のトレック、9章にて説得可能なフィル、剣聖カレルである。
中でもフィルとの会話は、かなりこっぱずかしい恋模様が有り一度は見ることをお勧めする。
聖戦の系譜』が基準だと物足りないかもしれないが、『紋章の謎』や『トラキア776』、それらの作品のノベライズなどに比べると「お前たちは戦場で何をやっているんだ」とこっぱずかしくなること請け合い。当時の流行語で言うところの「ギップリャ」というやつである。

一方でゼロットやトレックとの会話では、この3人以外のイリア傭兵について語られる。
知己の死を淡々と語る彼らの会話には、厳しい世の中にやりきれない気持ち、三者三様でそれに向き合うイリア傭兵のシビアな価値観が見て取れる。

カレルとの支援会話では、赤ん坊の頃に自分を救ってくれた英雄カレルに会えたことに敬意とよろこびを表する。この支援会話で、彼の剣レベルが妙に高い理由がなんとなく察せるようになっている。
しかしカレルは「救ったわけではない、単に誰でもいいから斬りたかっただけだ。殺す対象は村人でも、それこそその村にいた赤ん坊でもよかったのだ」と当時の自分を心境を語って恥を告白する。
「逢えば伝説じゃなくなる。現実に直面すれば、幻滅するものだ。」というやつである。



封印の剣におけるネタキャラ枠


さて、このノア、封印の剣ユーザーの中では隠れたネタキャラとされている。

ユニットとしては技の成長率が45%とソシアル系最高であることと剣の初期武器レベルがCと高いこと(他のソシアル組は剣E)が特徴の技巧派。いわゆるビラク枠。
しかし、全体的には欠点の方が目立つ性能である。

まずは初期ステータス。
同マップ加入の同僚トレックと比較すると、ノアの方が3レベル上にも拘らず、力は同じで守備では負けているのである。
更に優っているステータスもHPが2、その他が1で大差がない。この3レベル分お前は何をしていたというのだ。

次に成長率だが、50%以上なのがHPのみ。
特に力と速さの成長率はソシアルナイト4人の中で最下位であり初期上級職のエキドナダグラスと同等、同系統のパーシバルと比べると力は同等だが速さは5%劣る。
上級LV20期待値も力・速さ・幸運・守備が20前後で技だけが24とやや高めという何とも言えない数値となっている。
体格が良いので鋼の剣などの重い武器を使いこなせるが、素の速さが低いので結局攻撃速度では他より劣ることが多く、むしろ騎兵ユニットは体格が大きいと「救出」の値が下がってしまい、救出役としての運用に制限ができる分マイナスとなってしまう。
さらに追撃とばかりに競合相手が
  • 高水準のバランスに纏まりやすく、便利な高速支援のある赤騎士アレン
  • 同じく高速支援と、剣士並みの速さ成長率と強キャラクラリーネとの支援のある緑騎士ランス
  • 高い守備初期値と成長率で走る壁になり得る上に、今作屈指の強キャラミレディとの支援もある個性派ソシアルのトレック
  • ハードモードでは真面目に育てた赤緑すら置き去りにしかねず、あまつさえ 初期値で技以外はノアのレベル20期待値とほぼ同等の能力 を誇るエトルリア三軍将の黒騎士パーシバル*2
と使いやすい面々が揃っており、CCアイテムの入手しにくさも相まって、フィルを説得するだけで終わることも多々ある。
特にランスはソシアル系で最も速さが伸びる上に、ノアのウリの一つである技の成長率で並んでしまっている。ついでに言えば幸運と守備以外は同等かそれ以上の成長率である。

しかし、ノアも剣レベルCのおかげで序盤から入手機会が多く性能も優秀なキルソードをすぐさま使用できる点は明確なアドバンテージとなる。
上記の通り技が伸びるのでキルソ使用時の必殺も比較的出やすい。
ついでに言うと封印の剣では騎兵と言うだけである程度の地位が保障されているため、単騎無双を狙わないなら実は出番自体は結構作れる。
結局ランスの剣レベルが伸びたらノアはお役御免だとか、そもそも序盤のキルソードはルトガーディークに使わせればいいとか言ってはいけない
登場章にある闘技場には使いやすい鉄の剣で挑戦できるので、難易度ノーマルなら一気に経験値を稼ぎパラディンへのCCを目指す手もある。
…が、闘技場では速さが重要なので速さの成長率が低めなノアでは思うほどうまくいかないかもしれない。

そして封印の剣時代は珍しかった恋愛エンドを強くにおわせるものであり*3、上記の事から封印の剣関連のスレではノアどのと呼ばれネタキャラとして認知されていたりする。
封印の剣におけるイラナイツとして挙げる人も非常に多く、ワードバースセシリアなどが物議をかもす中でウォルトとともに確固たる地位を築いている。こういう点もビラク枠。
その手の縛りプレイ動画ではネタキャラとして愛されている。ぜひ一度使ってみてほしい、そして絶望を味わおう。


さらに性格面もウケがいいとは言えない。過去の本項目には

性格面では、上記の通り大事な人間を作らないようにしていると言いながら、フィルとの支援会話では(転んだ)フィルに膝を見せるよう迫ったり、支援Aで盛大に告白したりと自己矛盾ととられかねない行動をしていたりする。

と書かれていたし、実際そういう風に捉えて好かない・嫌うプレイヤーも多い。ついでに成長率も低いし。
実際の彼は「同輩を失うつらさを分かっているからある程度壁を作り、過剰な思い入れを持たないようにする。しかしそれだけでは単に孤立してしまうだけなので最低限の社交性は持つ」
というドライな性格である。支援会話をすべて読んでみると実はフィルとの会話の方が特殊であり、この特殊な例が最初に目に入ってくる上にめちゃくちゃ印象に残るのがこういった悪印象につながってくるのだろう。
ただしこの性格をうまく生かせている支援会話が存在しないことも事実。他人と距離を詰めるのにジレンマを抱くなどの一面を別のキャラとの支援会話でもう少し掘り下げてくれれば、あるいは印象も変わったのだろうが……。

話は逸れるのだが、イリア地方(ついでに聖戦の系譜のトラキア王国なども)の元ネタは史実のスイス*4
山がちなスイスでは外貨の獲得手段が傭兵くらいしか存在せず、その信頼を守るために彼らは他勢力に雇われた自国の民とも凄惨な殺し合いをしなければならなかった*5
それこそ今作のティトとシャニー、あるいはシグーネのように、知り合い同士が敵味方に分かれて凄惨な殺し合いをしなければならなかったし、負けると分かっている戦いからも逃げるわけにはいかなかったのだ。
これは「敵の兵士を同郷のよしみで見逃した」「命惜しさに戦場から逃げ出した」なんて評判が立つと傭兵としての価値と信頼を失ってしまう=傭兵としての価値が下がる自分どころか故郷の人々が生きていくための手段がなくなるためであり、むしろ命惜しさに逃げるという選択が可能な騎士よりも勇敢に戦わざるをえなかった。
彼らは負けて死ぬ時でも、むしろ死ぬより悲惨な目に遭うと分かっている時ですらも決して逃げることなく勇猛に戦わなければならなかった。フランス王家に雇われ、ルイ16世とその家族を守るべく革命軍に虐殺された「ギャルド・スイス」の話などは有名である。
つまり中世スイスの傭兵にとって、戦いとは「自分が生きるために行わなければならないこと」であり、「自分の正義や感情よりも『スイス傭兵というブランドを守る』ことが優先される」という過酷なものだったのだ。

発売から20年、人生経験を積んだ頃にイリア地方の設定やその元ネタのスイス傭兵なんかを踏まえてトレックやゼロットとの支援会話を見てみると、昔とは違う答えが見えてくるかもしれない。
戦いの中に生きる傭兵騎士にとって、他人に真面目に肩入れしてしまうと情が移ってしまい、失うつらさが増えるばかり。味方だって死ぬかもしれないし、敵味方に分かれて殺し合うかもしれないし、明日は我が身だ。
かといって他の生き方なんて選べない。だから「肩入れしないことで喪失感を和らげる」という生き方になる……と、一見テキトーな生き方の優男に見えるが根っこは結構シリアスなキャラ。
しかし2002年はまだまだ「愛と勇気の物語」が好まれていた時代。そういうものを理解するには、当時のオタク文化はまだ未熟だったのである。

ここ最近もサブカルは充実してきて、この手の「明るく気軽に見えるが実際は壁を作っているだけ」というキャラも様々な作品で見受けられるようになってきた。
トレックとの支援会話で、トレックの休日の過ごし方である「寝てた」「釣り(とは名ばかりでぼーっとするだけ)してた」というものに呆れつつ、自分がいざ問われると「……これといって何も」と答えざるを得ないところなんかは、生々しい体温が感じられるセリフである。
そんな彼が初めて夢中になれる相手がフィルさんだったのである。

その何ともパッとしない性能とちょっとイラっと来る性格のせいでウケが良くないのは確かなんだけど、たまには既存のネタや凝り固まった価値観を捨てて見てみるのもいかがだろうか。
そして使って絶望しよう


ヒーローズ


別に世界を救ってやろうとか考えてたわけじゃないが……

戦って何になるのかと思うこともある。


出典:ファイアーエムブレム ヒーローズ、任天堂、インテリジェントシステムズ、
2017年2月2日配信開始、(C) 2017 Nintendo / INTELLIGENT SYSTEMS


フィルが初期キャラとして実装されていたヒーローズだが、逆に初期からいたことが災いしてかノアは長らく登場することはなかった。
そして2023年6月、開花フィルと同時という形で登場。イラストはネコモチ氏。
原作では剣の方が強調されていたが、フィルと同時という都合もあってか槍・騎馬ユニット。剣だったらガチャ仕様上ヘイトを買うことになっただろう
「想いを集めて」では、エイルを交えて原作のゼロット支援で語られていた「イリア騎士の伝統である、遺言をしたためる手紙」を中心に話が進む。

武器は『イリア傭兵騎士の槍』
奥義が発動しやすい(発動カウント-1)
ターン開始時、周囲1マス以内の味方が2体以下の時、自分と、周囲2マス以内の自分と支援を結んでいる相手に【回避】*6、「敵の強化の+を無効」を付与(1ターン)
周囲1マス以内の味方が1体以下の時、戦闘中、攻撃、速さ、守備、魔防+5、ダメージ+敵の攻撃の15%(戦闘前奥義も含む)

Bスキルは『怒涛・キャンセル3』
自分から攻撃した時、戦闘中、自分の追撃不可を無効、敵の奥義発動カウント変動量-1(同系統効果複数時、最大値適用)
Cスキルは『速さ守備の奮進』
ターン開始時、周囲1マス以内の味方が2体以下の時、自分の速さ、守備+6、【再移動(1)】を付与(1ターン) 周囲1マス以内の味方が1体以下の時、戦闘中、速さ、守備+3

流石にインフレ後のキャラということもあってか、騎馬ながら原作のイラナイツぶりが嘘のような非常に高い攻撃・速さを持ち、魔防は犠牲になっているが守備はそこそこ。
人との関わりを避ける振る舞いを反映してか、周囲の味方の人数が少ないことを必要とする。一方で多少は居てもいいあたりが色々と彼らしい。
武器とCのどちらも「ターン開始時は隣接2体以下、戦闘時は1体以下」に統一されており、この条件なら配置調整にはあまり苦労しないだろう。
そして同時に支援を結んでいる相手をパワーアップさせる特性を持ち、あからさまにフィルと組ませろという雰囲気を出している*7。いやらしい。
速さで勝って追撃を取る&【回避】の補正を得られないと厳しいが、その点さえ通じれば十分な騎馬アタッカーである。
欠点はやはり支援相手を管理・併用する手間、また支援をつける相手が「速さが高く、強化無効を持たない」とそこそこ限定的な範囲になること(無視してもノア自身は問題ないが)。
なお【回避】は重複しても多重発動するため、【回避】持ちと組ませても(相対的に効果量は減るが)無駄にはならない。



ここはアニヲタwikiだからね。
いちいち許しを貰っていてはいざという時素早く追記・修正が出来ないさ。
項目改悪はまずいがそれ以外は「臨機応変」にいかないとね

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最終更新:2024年04月13日 14:57

*1 この説明文が同時にプレイヤーへの闘技場の説明にもなっているのだが、この時代は露骨にチュートリアルですと分かる文章がないため新規勢には分かりづらかった。特に封印の剣はスマブラDXによる宣伝効果、携帯機初のファイアーエムブレムということで新規勢が非常に多かった。

*2 ただしパーシバルについてはこの作品のソシアルナイト・パラディン全員の存在意義を食ってしまうほど強いので別格だろう。

*3 ただし封印の剣においては、結婚エンドになる相手はロイと支援会話のある女性6人のみで他はどれだけ仲がよくなってもエンディングに変化はない。

*4 特にフィクションの「傭兵」は、ベオウルフやヒュウやファリナのように「金のにおいのする方に寄っていき、金払いの悪さや命惜しさで寝返る」という描かれ方をしやすいのだが、実際の傭兵という概念は非常に定義が難しい。『騎士は忠誠、傭兵は金』という見方はTRPG時代に役職の個性化を図るために一面を強調して作られた概念である。

*5 今作でもシャニーとティトがそんな目に遭いかける。あちらはティトの雇い主クレインがシャニーの雇い主ロイ側につく判断をしたために事なきを得た。

*6 速さが敵より高い時、受けた範囲奥義のダメージと、戦闘中に攻撃を受けた時のダメージを速さの差×4%軽減(最大40%)(巨影の範囲奥義を除く)

*7 開花フィルは最近の原作剣士キャラには珍しく【回避】を持たず、強化無効も持たないため最大限に効果を得られる。