H&K G3

登録日:2012/03/26 Mon 16:40:00
更新日:2022/08/23 Tue 21:06:55
所要時間:約 4 分で読めます




諸元
全長:1025mm
重量:4.34kg
口径: 7.62mmNATO弾
装弾数:20
発射形式:S/F
製造:H&K(西ドイツ)

1960年代においてAK-47FN FALコルト M16と並び「世界四大突撃銃」と称される自動小銃。
現在ドイツを代表するH&K社の第一作目であり、G36が登場するまでドイツ軍で配備されていた突撃銃である。


○開発の経緯          
戦後、東西に分割されて誕生した西ドイツは冷戦の最前線として再軍備を急務としていた。ベルギーのFN FALを「G1」として導入するも、各国が競うように同銃を買い求めたため、生産が追い付かず、配備は一向に進まず。ライセンス生産を希望するも「またドイツに攻め込まれるかもしれない」というベルギー側の懸念もあり破談に。

そんなとき、スペインに脱出していたStG45(StG44の改良型)の開発チームが帰国する。彼らはマウザーの元技術者らが設立したH&K社にてスペインで設計したセトメモデロAをベースに「HK31」を開発する。
これを軍が1959年に採用したものがH&K G3である。


○どんな銃?          
ローラーロッキング機構とディレイドブローバックを採用している。複雑な機構ながら反動の抑制に優れており、セミ・フルどちらでも扱いやすい命中精度の高い銃である。
命中精度に関してはバレルにガスピストン等、振動を与える余計な物が一切付いていないという理由もある。
照準器のデザインも優秀で、練度の低い兵士でも短期間の訓練で目標に当てることができるそうだ。
「HK417よりG3の方が精度良くて当たる」という現場の意見も少数ながらあるらしい。

薬室には薬莢の張り付きを防止するための溝が掘られており、火薬の滓が付着しやすい。しかし、ガスピストンがない分、ガス圧作動方式より清掃箇所は少なく楽である。


○欠点             
ローラーロッキングという機構は構造上、ボルトハンドルを引く力が大きくなりがち。
ガスピストンより重量がかさみ、5.56mmNATO弾との相性は悪く、高品質な部品を要求されるので後継のG36ではガスピストン方式に転換されている。
弾を撃ち尽くした際のホールドオープン機構がなく、手動でボルトを後退させ、弾倉を交換するという手順を踏む必要があり面倒である。
しかもそのボルトスプリングがディレイドブローバックの都合上、最初が泣きそうになるほど硬い。
この時チャージハンドルを引き、上に回して溝に引っ掛けて固定。弾倉を入れ替えた後上からチャージハンドルを叩いて前進位置にする通称「H&Kスラップ」が一部の人々に人気。
もちろん普通にチャージハンドルを戻してもいいのだが、下手に力を抜くとボルトを戻すスプリングの力で腕を痛めるので、叩いた方がある程度安全というのもある。
ただしマルイの電動ガンでこれをやると、チャージハンドルがプラ製なので折れる事が多い。2021年に出した新世代MP5A5ではわざわざ「スラップ可能」とアピールするほど。


しかし、薬室に弾を残したまま弾倉を交換する「タクティカルリロード」を行うと、ボルトに負荷がかかり破損の恐れがあるため推奨されていない(G3だけじゃなくてMP5も)。


○派生・バリエーション     
G3で採用した機関部の設計(ローラーロッキング)を引き継いだものが多く存在する。
主なものに、狙撃銃型のSG/1や再設計型のPSG-1MSG-90、機関部をほぼ流用したMP5や5.56mm仕様のHK33、軽機関銃のHK11、HK21等がある。

基本モデルのG3からストックやハンドガードを改良したモデルやカービンモデルも数多くあり、海外向け製品や海外でのライセンス生産品も加えるとG3をベースとした銃は60以上もある(主にポルトガル、ギリシャ、ミャンマー、イランなどが採用している)。
このなかには東側で主流である7.62mm×39弾仕様もあり、突撃銃のなかでは群を抜いている。

数多くのバリエーションは弱小メーカーだったH&Kが軍用小火器部門でのシェアを築くための生き残り戦略から生まれたものである。
操作の同一性を保つことによる訓練期間の短縮やコスト削減が狙いで、導入時の障害が少なくなっている*1


○活躍             
じーすり先輩。妹がいっぱいいる。はしたない技を持つ。

アニメ一期第三話と第九話にてトリエラが使用。

アインが埠頭襲撃時に使用。

主に敵勢力の超国家主義者が使用。M21とは弾薬の互換性がある。


○余談             
現在もドイツ軍などで使用されており、ライセンス生産やノンライセンス生産が行われている。
G3から更新済みでもG36やHK416のH&K製品を使用するところも多く、H&Kの一大シェアが築かれている。
本国ドイツではG11の開発が頓挫したため、1996年まで第一線で活躍することとなる。

しかしローラー式ディレイドブローバックも色々問題があったり、小口径弾にはあまり相性が良くないということもあり、次世代のG36系やUMPではターンボルトロッキングに切り替わっている。



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最終更新:2022年08月23日 21:06

*1 しかし、高性能でありながら高価格な製品でもあり、MP5を除いて商業的に大きく成功したとは言い難い