ウィスピーの森(アニメカービィ)

登録日:2014/05/29 Thu 17:22:00
更新日:2024/04/08 Mon 11:11:07
所要時間:約 7 分で読めます






環境破壊は気持ちいいぞい!!



「ウィスピーの森」とは、テレビアニメ版『星のカービィ』に登場した森林のことである。
初登場は第5話「怒れ!ウィスピーウッズ」。


概要

ププビレッジの外れに広がる広大な森。
その名通り、森の王者であるウィスピーウッズを主としており、他の木も同胞として喋ることができる。

どこまでも似たような木が立ち並ぶ、自然豊かな地域。
しかし、それ故に村人達からは「一度入った者は二度と外に出て来られなくなる」魔の森と恐れられており、普通の人は好き好んで近づこうとしない。
動物たちのような森の住人も例外ではなく、彼らも下手するとウィスピーの森では無限に迷い続けてしまう。

カービィ達がウィスピーウッズと初めて接触するまで、安全に行き来ができる唯一の例外は郵便局長のモソ爺さんぐらいだった。
彼は迷わずウィスピーの森を歩くことができ、ウィスピーウッズに手紙を渡せるぐらいには「森に入れてもいい奴」として信頼を得ていた様子。
後にカービィ達も後述の事件をきっかけに親睦を深め、良き隣人として迎え入れられてからは彼らも迷うことは無くなった。

また、ウィスピーの森以外にも彼の友人「アコル」を主とする「東の森」が存在する。こちらも喋る木。


デデデとの攻防

自然に満ちた環境であるため、環境破壊大好きのデデデ大王からはたびたび狙われている。
なにせこの男、ウィスピーの森を切り拓いてまでやりたいことが超巨大ゴルフ場「デデデロイヤルカントリークラブ」の建設なのである。
それも村人達が利用することはできず、全てがデデデ専用の贅沢を極めたゴルフコース。
もちろん完成時に村人達は猛反対したが、全く取り合わず「ウィスピーウッズは消えたが、タイガーウッズがここにおる!!」などと開き直る始末。

こんな私利私欲で森を開発するとはウィスピーウッズもさすがに許さないのだが、そこは悪知恵に長けたデデデ大王。
工作、魔獣、更にはエコツアー乗っ取りなど、あらゆる謀略を駆使してゴルフ場建設を目論んでは、ウィスピーウッズとフーム、カービィ達との争いを繰り広げている。

ウィスピーウッズだまし作戦(5話)

特に彼の邪悪な知性が光った作戦。
この時はウィスピーウッズ伐採に向けて念入りな仕込みを行っており、カービィ達を手の平の上で転がしながら戦わずして勝利を収めた。
  • 最初に「森を伐採しようとする子供の悪党を懲らしめろ」というウソの手紙を書く
  • 手紙を前述のモソに配達させ、ウィスピーウッズに誤った認識を刷り込む
  • リンゴの罠でカービィをウィスピーの森に誘い込む
  • フーム達にも後を追わせて探索させ、夜までかかろうが粘り強く尾行する
  • 後はウィスピーウッズが表に出てくるのを待つだけ
こうしてウィスピーウッズをまんまとおびき出して伐採に成功し、力を失ったウィスピーの森を片っ端から切り拓いてゴルフ場の建設を成功させた。
伐採中にデデデの口から飛び出した冒頭の発言は、ゲーム版のデデデとは方向性の違う悪役であることを強く印象付けたと言える。

しかし、最後はカービィの口内に残っていたウィスピーウッズのリンゴから本人が蘇り、あっという間に木々で包み込まれ閉鎖する憂き目に……。
以降はデデデロイヤルカントリークラブが建設まで行き着いたためしはなく、準備段階で失敗に終わっているが、その分デデデも執着をより強めている。

ラブリーの利用(27話)

ある時ウィスピーウッズの根元に咲いた一輪の花(ラブリー)に目をつけ、デデデが考えた作戦。
花をホーリーナイトメア社の力で魔獣に変え、自我を持たせるというもの。
元の場所に植え直し、ウィスピーウッズと親しくさせることで油断させ、少しずつウィスピーウッズの養分を吸い取って枯らすという、恋心につけこんだ悪辣な内容である。
目に見えて分かるぐらい徐々に衰え、周りの同胞たちから目を覚ますよう懇願されても、話し相手が出来て喜んでいたウィスピーウッズは非情に徹することができなかった。

ラブリーによる養分吸収は順調に進んだものの、怪しんだフーム達から引き抜かれそうになり正体を現す。
最後はカッターカービィに倒され、またもゴルフ場計画は頓挫した。

アコル伐採(44話)

直接ウィスピーウッズが被害を受けたわけではないが、友人の被害なのでこちらに記載。
ウィスピーの森を諦めたデデデが代わりとして東の森を狙い、アコルを伐採して森ごと独占するというもの。
この時はウィスピーウッズに頼まれて様子を見に来たカービィ達が「穴だらけのアコルに動物たちが住んでいる」光景を危険だと考え、追い出してしまったことを好機と見て計画を進めた*1

最終的にアコルは悪天候からの濁流に押し流され、狙い通り……と思いきや、事前にウィスピーウッズがカービィに託した命のリンゴでよみがえったのでやはり失敗した。

神権政治(62話)

普段は当たらないメーベルの占い*2がやけに的中しまくったことから思いついた作戦。
メーベルの人気を利用して国務大臣に就任させ、占いの結果をもとに政治を行う神権政治をもって、ついでにゴルフ場建設の口実を作ろうと企んだ。

デデデの思い通りに事が運ぶかと思われたが、突如メーベルはいつぞやのように世界の滅びを予言。
まさかとデデデも信じなかったが、過去にデデデを焼いた予言が的中したことを引き合いに出されると反論できず、もはやゴルフ場どころではなくなりププビレッジを捨てるハメに。

エコツアー乗っ取り(69話)

フーム開催のエコツアーを利用した作戦。
元々は環境意識が欠如している村人達のためにウィスピーの森で開かれたツアーを、デデデが乗っ取り真逆を行く冒涜的行為の数々で台無しにしていく。
最終的にデデデ達の火の不始末で森林火災が起き、しかも逃げ込んだ先がウィスピーウッズのド真ん前だったため、放火犯と発覚して捕まり心中しかけるハメに。
トルネイドカービィの活躍で消火に至ったが、デデデとエスカルゴンは償いとして植林活動に従事させられた。

とうとう懲りたのか、デデデがこれ以降デデデロイヤルカントリークラブに言及することは二度と無く、長き戦いはウィスピーウッズの勝利に終わった。


余談

  • デデデの野望が野望なので、ウィスピーウッズが絡む回は上記のように時として環境問題の風刺を盛り込むことがある。

  • デデデとウィスピーウッズの攻防のうち、最初の件に関してはコピー能力が登場しなければこれといった戦闘も無いという異色のエピソードでもある。
    同時にアニメカービィ全体ではこれが最初の社会風刺となる。
    • また、ウィスピーウッズが初めて姿を現すシーンのBGM「裏切り」は、全100話を見返してもこの1回きりしか流れない貴重な楽曲。
      収録されているサントラで聴いても記憶が薄いせいで「未使用曲かな?」と勘違いする人も少なくない。
筆者がまさにそうだった

  • 前述の通り、最初のデデデロイヤルカントリークラブに絡んだデデデの悪事はアニメのデデデ大王のキャラクターを決定付けた重要な描写でもある。
    この頃はまだアニメカービィ自体が賛否両論だった時期で、初回から悪役寄りではあっても本格的な悪事が少なかったデデデがチェーンソーをかき鳴らし、冒頭の爆弾発言と共に高笑いしながら森林伐採する光景はゲーム版のファンにショッキングな出来事となってしまった。
    • ただ、ファンがショックを受けたのは直近の『星のカービィ64』で「今まで悪事を働いてきたけど本当は良い奴」として描写されたデデデのイメージが根強かったためとも考えられる。
      実は当時のゲーム版デデデも現在(特にいわゆる熊崎カービィ以降)で見られるほどの善性を見せた機会は『夢の泉』や前述の64ぐらいと非常に少なかったりする。
      果たしてアニメ版デデデのポジションが実際の所、どれだけの反響を呼んでいたのかは今となっては不明である。
      • 正直な所、アニメカービィはデデデの悪事がかわいく見えるほど他がヤバイ要素てんこ盛りなので、相対的に程よく薄まっていたのかもしれない……。

  • デデデがウィスピーウッズだまし作戦後の森林伐採で言い放った「環境破壊は気持ちいいぞい(ZOY)」はあまりにインパクトが強烈だったせいか、その後もネット上ではネタとしてちょくちょく使われるようになった。
    主に創作物でレッドマンを始めとしたキャラクターが木を切り倒す・燃やすといった行為をした場面の他、当然ながらウィスピーウッズ及びその亜種を倒した場面で用いられやすい。植物ではないキングゴーレムでは流石に使われないが



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最終更新:2024年04月08日 11:11

*1 実際は動物達とアコルは共生関係にあるため、別に死にかけとかではなかった。

*2 サモ伝いに聞いた客の悩みを当てているように見せているカラクリをかつて明かした筈だが、もしかして普段は適当に占ってるんだろうか……?