ホイミ系

登録日:2009/07/23(木) 03:58:43
更新日:2023/12/21 Thu 16:58:03
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ホイミ系とは、『ドラゴンクエスト』シリーズに登場する呪文体系の1つ。


■概要

自分や味方のHPを回復する、有名な呪文体系。
細胞を活性化させて自己治癒能力を高め、外傷を回復させる(回復の原理は、他にもいくつかある)。
エフェクトは「なんかキラキラする」というもの。


■体系

消費MPや回復量は作品により異なっている。
専門的な使い手としてはやはり僧侶だが、ベホマズンは勇者の特権である場合も多い。

  • ホイミ
初出 :DQⅠ
消費MP:2~4
効果 :HP35前後回復
範囲 :味方1人

  • ベホイミ
初出 :DQⅠ
消費MP:3~10
効果 :HP85前後回復
範囲 :味方1人

  • ベホイマ
初出 :DQMJ2
消費MP:6~90
効果 :HP285~999回復
範囲 :味方1人

  • ベホイム
初出 :DQⅨ
消費MP:8
効果 :HP160前後回復
範囲 :味方1人

  • ベホマ
初出 :DQⅡ
消費MP:6~24
効果 :HP全回復
範囲 :味方1人

  • ベホマラー
初出 :DQⅢ
消費MP:10~48
効果:HP110前後回復
範囲 :味方全体

  • ベホマズン
初出 :DQⅢ
消費MP:20~128
効果 :HP全回復
範囲 :味方全体

  • リホイミ
初出 :DQMJ
消費MP:2
効果 :毎ターン行動後、HPを最大値の1割ずつ回復
範囲 :味方1人

  • リベホイミ
初出 :DQⅩ
消費MP:4
効果 :HPを最大120少しずつ回復
範囲 :味方1人

  • リベホイム
初出 :DQⅩ
消費MP:10
効果 :HPを最大500少しずつ回復
範囲 :味方1人

「ホイミ」~「ベホマ」と、「ベホマラー」~「ベホマズン」、
「リホイミ」~は一括して分類されることが多いが、習得は別々となっている。
  • 「ホイミ」~「ベホマ」
  • 「ベホマラー」~「ベホマズン」
  • 「リホイミ」~「リベホイム」


■設定

「癒しの呪文」または単に「回復呪文」。
自己治癒能力を高めて傷を塞いだり、治りを早めるだけだったりと、原理の設定は資料や漫画で微妙に違う。

「効果があるのは外傷だけ」という点はほぼ共通しており、疲労や病気には効果がない。また毒などの状態異常も直せない。
漫画版『Ⅶ』では、地面に叩きつけられる直前に「ホイミ」を唱え、受ける衝撃を±0にするなど、応用例が描かれている。

ファイナルファンタジー』シリーズで登場する回復魔法「ケアル」等と違い、
ゾンビっぽい敵に唱えても反転ダメージをあたえる効果はない。
それに、Vからは敵に本来味方対象の呪文を使うのは混乱(これもホイミ系は混乱時特殊行動が設定されたキャラ以外基本的には使わない)やマホカンタで反射などのやむなくの場合のみで、能動的には敵を対象にできない(FC版とSFC版とGBC版のIIIと、FC版のIVまでは可能だった、またそれを利用した戦術は後述)。

漫画等では、特定の攻撃で付けられた傷には効果が無かったり、逆にダメージになることもある。
トルネコの大冒険』シリーズでは、前方に回復効果のある光を飛ばす「ホイミの杖」が存在する。
これは、呪文を反射する水晶に向けて使用し、反射させて自分のHPを回復するのが主な使用法だが、
ゾンビ系の敵に使用すると逆にダメージを与えられる(「やくそう」をぶつけた場合も同様)。

呪文の名称「ホイミ」の由来は諸説あり、
  • 休み→イホみ→ホイみ
  • 放る+忌みor痛み(=いたいのいたいのとんでいけ)
  • 特に意味はなく、堀井雄二氏の思い付き
  • 何となく「ホウミ」だったが、沖縄方言で不適切な単語だったため変更
  • ホイっと身を助ける
etc……。

いずれも良く噂になるが、今のところ「コレ」だと明言されているソースはない。
どれも十数年近く語られているので、ひょっとしたら複数の由来があるのかもしれない。

ちなみに、『Ⅱ』発売当時「オールナイトニッポン」に出演した堀井雄二氏は、
「ホイミ」の語源について聞かれ、「特に語源はなく、適当に感じで、感覚で作った」と回答している。


■歴史

「ホイミ」「ベホイミ」は初代『ドラゴンクエスト』から登場し、今のところ全作皆勤。
「ホイミ」はほとんどの作品で主人公がレベルアップすると習得でき、ゲーム序盤で「やくそう」と並んでお世話になる。
『Ⅱ』で「ベホマ」、『Ⅲ』より「ベホマラー」「ベホマズン」が追加。

MP消費の幅が広く、「ベホイミ」と「ベホマラー」は回復量にも幅がある。
大抵は
ベホイミ :50~80 or 90~110
ベホマラー:70~90 or 90~120
の2種類。

回復量が高い作品では、戦闘時に道具として使うとHPが回復する効果を持つ装備品や「けんじゃのいし」、
味方全員のHPを回復する特技「ハッスルダンス」など、
「MP消費が無い代わりに回復量は抑え目」な代用品がよく登場している。

『DQMJ』では『FF』の「リジェネ」と似た効果の「リホイミ」が登場。
メーカーが合併したことと関係があるのだろうか。

『DQⅨ』では「ベホイム」が追加された。
大きな仕様変更としてこれまでの作品では回復量がある程度の幅で固定されていたのが、回復魔力で回復量が増加するようになった(ベホマ、ベホマズン除く)。
また、同作の「ベホマ」のMP消費量は「24」に増加し、「ベホマズン」のMP消費量が「128」とエラい数値に変更されている(これまでの最高は『Ⅲ』のMP消費「62」だった)。
そしてこの2つの呪文の回復量は「999」固定となった。
つまり、味方サイドは全回復だが、HPが4桁の敵サイドにとっては全回復とまではいかないが大回復するという意味である。
また「HPを3桁回復させる呪文」が存在しなかったがゆえに、『Ⅶ』のバリクナジャ、『Ⅷ』のレティスやマルチェロ*1のように、元のHPと比較して雀の涙ほどしか回復しないベホイミを使わざるを得ないボスモンスターが存在していたのでその対応ともいえる。*2


■ホイミ系専属スライム

ドラクエシリーズでは、ホイミ系呪文を名称に含めているスライムが多数存在する。
それらのスライムは、他のモンスターとともに出現する事が多く、
戦闘時に自分の名前に含まれた回復呪文でモンスターを回復させることがある。

『Ⅱ』から登場した「ホイミスライム」を始めとして、
『Ⅲ』より「ベホマスライム」、『』より「ベホイミスライム」と「スライムベホマズン」……
といった具合に新たな種族が追加されていった。

回復呪文を得意とする性質はパーティのメンバーとして有益なため、
モンスターを仲間にできる作品では、これらのスライムが積極的に仲間モンスターとして採用されることが多い。
殆どのホイミ系呪文に専属スライムが存在するが、「ベホイマ」と「リホイミ」のみ専属スライムが存在しない。
主に下部から触手が生えたクラゲのような姿をしたタイプが多く、これらはスライムの中でも「マジックスライム属」と区分される。


  • ホイミスライム
初出 :DQⅡ
ホイミ系専属スライムの代表。青い頭とオレンジ色の触手を持つ。
『Ⅳ』の「ホイミン」という、「モンスターを仲間にする」要素の原型を生み出した種族でもある。
『モンスター物語』では、魔法おばばにさらわれたスライム達が、
秘伝のタレで満たした壺に球根の水栽培のごとく乗せられた結果、
触手が生えて「ホイミ」を身につけたとされている。

  • ベホマスライム
初出 :DQⅢ
ホイミ系専属スライム第2号。赤い頭と緑色の触手を持つ。
「ベホイミスライム」を差し置いて先行登場。
「ベホマ」が存在しない『DQMJ2』では代わりに「ベホイマ」を使用する。
『モンスター物語』では「ホイミスライム」と同様の方法で、「スライムベス」から作られたとされている。

  • ベホイミスライム
初出 :DQⅣ
黄土色の頭と紫の触手を持つ。
上記2種に比べると登場作品は少なめ。
『Ⅳ』ではHPや攻撃力などのステータスは「ベホマスライム」よりも高かった。

  • スライムベホマズン
初出 :DQⅣ
マジックスライム属ではなくキングスライム属の色違い。
だが、「キングスライム」や「メタルキング」とは違い、専用の合体スライムは存在しない。
基本的に緑色だが、SFC版『VI』では赤紫色だった。
作品によりMPが無限のタイプと、「マホトラ」で相手のMPを奪うタイプが存在する。

  • ぶちベホマラー
初出 :DQⅥ
『Ⅵ』にのみ登場。マジックスライム属ではなく、緑色の身体に黄色の斑を持ったぶちスライム。
5大ホイミ系呪文(ホイミ、ベホイミ、ベホマ、ベホマラー、ベホマズン)のうち、
『Ⅳ』では唯一存在しなかった、ベホマラー専属スライムがようやく登場。
だが、『Ⅵ』では「ベホイミスライム」が登場しないため、5大ホイミ系スライムが一作品に揃う事は無かった。
実は滅多に「ベホマラー」を唱えない。

  • ベホイムスライム
初出 :DQⅨ
『Ⅸ』での「ベホイム」初登場に伴い新登場。緑色の頭と橙の触手を持つ。
『モンスターパレード』では「ベホイム」の代わりに「ベホイマ」を使用する。
だったら「ベホイマスライム」に改名しろよ…。


■同じ、似た効果や派生系のもの

やくそう」などの汎用アイテムは除外。

  • 奇跡の石
『Ⅶ』で登場するアイテム。戦闘時につかうと味方1人のHPを30~35回復。
「やくそう」や「ホイミ」にくらべると回復量がやや少ない。
『Ⅶ』のダーマ地下の生命線。

  • けんじゃのいし
『Ⅲ』から登場。戦闘時につかうと味方全員のHPを中回復するアイテム。
MPを消費しなくてすむが、たいていの作品で「ベホマラー」より回復量が10~20ほど低い場合が多い。

  • ちからのたて
『Ⅱ』から登場する。戦闘時につかうと自分自身に「ベホイミ」の効果。
』からは、炎・吹雪属性への耐性がついた。
またリメイク版『Ⅶ』では、効果が「ベホマ」になった「真ちからのたて」も登場。

  • ゲントのつえ
』で登場する武器。戦闘時につかうと味方1人に「ベホイミ」の効果。
チャモロが仲間になったとき、最初から所持している。非売品。

  • しゅくふくのつえ
『Ⅳ』『Ⅴ』『』に登場する武器。戦闘時につかうと味方1人に「ベホイミ」の効果。
非売品。
『Ⅷ』以降は武器としては登場しなくなり、杖スキルの特技としての登場になる。

  • けんじゃのつえ
SFC『Ⅲ』『Ⅶ』『Ⅸ』『Ⅹ』で登場。
SFC『Ⅲ』『Ⅶ』では戦闘時につかうと味方1人に「ベホイミ」の効果。
『Ⅸ』『Ⅹ』では効果が変更されており、味方1人に息攻撃によるダメージを軽減する「バーハ」の効果をかける。
購入可。

  • せかいじゅのしずく
『Ⅳ』から登場した味方全体のHPを全回復するアイテム。非売品だが、一部の作品では店で購入できることもある。
しかし、基本的には同時に1個しか所持できないことが多い。貴重品なのでここぞというときに使いたい。
『DQM』シリーズでは普通に購入可。

  • ハッスルダンス
戦闘時、味方全体のHPを中回復する特技。
MPは消費しないが、その代わり回復量は「ベホマラー」より少し低いことが多い(『Ⅷ』ではスーパーハイテンション時に発動すると回復量が変動する)。
『Ⅹ』など、一部作品ではMPを消費する。
そ~れ、ハッスルハッスル。

  • マホイミ(DQM2)
味方1人にMPを分け与える呪文。
発動に必要なMPは20。それに対し味方にあたえられるMPは15。ちょっと使いにくい。
上位の呪文で「マホリク」や「マホイズン」がある。
また、『Ⅷ』では効果が類似している「マホアゲル」という呪文が登場。

過剰に回復することで逆に相手にダメージを与える技らしいのだが、扱いが難しく既に失われた呪文とのことで登場することはなかった。
技の性質上消費MPがとんでもないことになることが失われた最大の原因だと思われるが、内容を考えるとかなりえげつない呪文。

ブロキーナがマホイミの原理を応用して会得した技で、マァムへ伝授された。
攻撃と同時に敵に過剰な生命エネルギーを送り込むことで体組織を破壊する技。
なお実際に攻撃を加えていることと、回復エネルギーを送り込むのは一瞬なので消費MPが少なく済んでいる。コツが大事なのかベホマすら使えないのに習得できた。
ダイはこの技を見て自分に無駄があった(攻撃時はずっと全力で闘気を放っていた)ことを知った。
バーンの腕にも大きなダメージを与えるスゴ技になっている。対生物では最強技の一つ。
バトルロードでもMPの概念がないので、こちらの設定が採用。
プラチナキングにもダメージを与えられる。


■余談

『DQⅢ』ではゾーマの闇の衣を光の玉で引っ剥がすと、「ベホマ」で150前後の大ダメージを与えられる。
ちゃんと身包み剥がないと、普通に全回復しちゃうので注意。スマホ版以降は敵に味方対象の呪文は使用不能になったのでこの手段はダメになった。邪神の面で混乱…は回復呪文を使わないのでやはりダメ。

『FC版Ⅱ』ではラスボスのシドーさんが「ベホマ」使ってきます。
流石邪神、マジパネェっす。

仕様の違いでバトルロードだと「ホイミ」の回復量が200前後。
「今のはベホマではない……ホイミだ」

由来の都合上ドラクエ以外ではあまり見ないが、逆にホイミが出てきたらドラクエ由来と思っていい。
『PAPUWA』ではハーレムが隊員の給料をすべて賭けた馬の名前がケンタウルスホイミで、リキッドのイメージ映像では上半身がホイミスライムの馬となっており完全にドラクエ由来である。
また、雑誌も作者も違う『竜と勇者と配達人』でシグルドが大損させられた馬の名前もホイミケンタウロスである。
なんだこのシンパシーは。


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最終更新:2023年12月21日 16:58

*1 リメイクではより実用的な呪文に差し替え

*2 このニッチを埋める特技「めいそう」もあったのだが、ほぼラスボス専用技になっていた