公園(アニメカービィ)

登録日:2014/03/22 (土) 15:57:22
更新日:2024/04/23 Tue 21:15:08
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この項目では、テレビアニメ版『星のカービィ』第41・42話「メーベルの大予言!」から登場した、とある公園について取り扱う。


概要

見た目はブランコや滑り台などの遊具に砂場も揃った、ごく普通の公園という印象。
だが、建設に至るまでの経緯を知る人からすればとても「普通の」とは言えない。

日常生活を送っていて、よほど人口の少ない土地でもない限り、公園はどこでも見かけられるものだろう。
ところが、劇中世界のププビレッジは違う。
少ないながらも自動車やコンビニが存在する程度の文明レベルにもかかわらず、なんとこれまでろくに公園の描写が存在しなかった。
事実、映像上だけでも子供達が遊んでいるシーンの大抵が原っぱであり、41話以前の回できちんと整った公園で遊ぶ姿は皆無に等しい。

そんなこの公園の建設を指示したのは、驚くなかれ他でもないデデデ大王その人。
……テレビアニメ版のデデデ大王をよく知らない人にはこの項目を読んでもらった方が早いが、アニメ媒体の彼は自己中心的でおつむの足りない超ワガママな独裁者。「他人のためになる善行」を好まず悪事ばかりを働く、ゲーム版の彼以上にどうしようもない自称大王である。
根が悪い奴ではないため、カービィの葬儀*1に本気で涙を流して悲しむぐらいの感性は持ち合わせているが、基本的には村人達を振り回す迷惑者でしかない。
おまけに数え切れない悪事を働いても尚それが「悪事」である自覚が欠如しており「何も悪いことをしたことが無い」などとのたまう始末。
そもそも公園は村人達から要望されていたものであったが、当然デデデは取り合わず、むしろ魔除けと称した自分を模したすっげえキモいデザインの金ピカ黄金像を建てるなど、頑として自分のことしか考えないこの男が応えるわけもなかった。

では、なぜ公園建設は成ったのか?
その最大のきっかけはプププランドに妖星ゲラスの衝突が迫った時。

賢者の石カブーすらも残酷な予言を下し、誰もが生を諦めた終末の最中、ならばと村人達が懺悔しあう光景に感化されたことで彼は最期の善行を決意。
ワドルディ達を総動員させ、厄介者としてずっと憎んでいたカービィのために公園を作ったのである。


「どうだぞい!?」




他人を顧みないデデデが、他人への善意から公園を建てたという事実それ自体、周りには信じられない奇跡といっても差し支えないだろう。
実際、居合わせたエスカルゴンや公園建設を手伝ったワドルディ達も、思い残すことは無いとばかりに辞世の歌を口ずさむデデデの姿に涙を禁じえなかった。


命 短かし♪ 恋せよ デデデ……


終末が回避された後も、デデデの中ではこの善行は貴重な体験として記憶されているようで、時が経ってもちゃんと覚えていたが、逆に現場を知らない人々は誰も覚えていない。公園誕生の場に偶然立ち会ったトッコリもである。(むしろ全員「誰が」建てたかすら把握してない可能性もある)
それどころか日頃の行いが祟り、クイズショーで問題に取り上げられた時はデデデは善行をしたためしが無いとまで断言されてしまう程だった。残当

一応、後のエピソードで公園が取り壊された形跡は無く、残っているところを見るにやはり思い入れはあるらしい。


公園建設に至るまでの関係者たち

  • デデデ大王
言うまでもなく、上記の通り。
真っ赤に燃えるカービィの悪夢に関するメーベルの診断を真に受けず、「火を消す魔獣よこせ」と「冷凍魔獣レイゾウ*2」を用意。魔獣がやられた後に妖星ゲラスが衝突して焼かれるだろうと予言されてもお気楽なままだったが、世界の終わりという避けようのない運命が彼の心を動かした。
辞世の歌を口ずさむシーンはBGM(後述)もあって涙腺崩壊もの。
なお予言通りに結局焼かれはしてしまい、村人達の笑い者となって激怒したものの、自分が善行を働いた相手であるカービィには強く出られなかった。

上司と同じく、村人達の要望は知らんぷりのスタンス。
ゲラス衝突を目前に控えてデデデから本気で「何か悪いことしたか」と問い詰められた際、公園を作らなかった件を引き合いに出したことで彼を思い立たせる後押しになった。
デデデの善行に最も感動した一方、直後に空気の読めないトッコリの正論「まあ今さら遅いけどな」にはしかめっ面。

  • カービィ
普段は憎いピンクの人気者だが、デデデが人生最期の善行を働こうと思えた相手がカービィだったという事実はなかなか重みがある。
ゲラス接近の影響で地上に嵐が吹き荒れ、空に舞い上がった時も、デデデはワープスターが来るまで彼の手を握って放そうとしなかった。
上記の終末を受け入れたデデデの隣で、ブランコに揺られて無邪気にはしゃぐ姿が対照的。

  • メーベル
ププビレッジの占い師……というテイのカウンセラー*3
元々、バーのサモを通じて村人達の「デデデ大王に公園を作って欲しい」という要望を知っていたため、デデデから悪夢についての相談を受けるとこれ幸いとばかりに「心の奥底の良心」と診断し、解決したいなら「公園を作れ」と誘導を試みた。
だが悪夢の内容だけでは的確な答えが出せなかったことも災いし、都合のいい回答を得られないデデデが激怒してあえなく失敗。
後に城の天体望遠鏡から見えた妖星ゲラスを利用すると、予言と称してデデデを脅したもののやはり効果は無く、それどころか予言通り本当にプププランドが滅びると発覚した時には最もショックを受けてしまった*4

公園のことは覚えていないが、妖星ゲラスにまつわる騒動は強く記憶に残ったようで、デデデの神権政治に利用された時はこのことを引き合いに出して壮大な茶番劇に打って出た。

  • 村人達
公園を強く要望していた人々。
彼らが妖星ゲラスの衝突を受け入れ、懺悔しあった光景がデデデを善行に走らせた最大の要因とも言える。
……のはいいが、その懺悔の殆どがヒドすぎると評判。



余談

  • これまで悪役として強調され続けたデデデの悪夢騒ぎを経て、貴重な善行である公園の流れは屈指の名シーン。
    後編のストーリーが一転して「世界の終末」を意識した暗い内容が続き、視聴者に次回予告からして最終回かと疑われるような雰囲気だったこともこのシーンの特別さを引き立たせている。

  • 41・42話の頃にはゲーム版のBGMがよく使われるようになっており、公園のシーンで流れたのは『SDX』の「銀河にねがいを」からエンディングのイントロ。
    場面も相まって泣きのメロディーとしての印象が非常に強く、こちらも評価が高い。

  • 奇しくもデデデに善行を決意させるきっかけの一つとなった妖星ゲラスの元ネタは、1962年に公開された特撮映画『妖星ゴラス』。
    この映画は当時の東大理科部教授による科学的考証のもと、「ゴラス衝突前に地球を巨大ロケット推進装置で動かして回避する」という荒唐無稽なストーリーが話題となった怪作である。
    • そしてアニメカービィでも、生を諦めないフームの立案でゴラスのオマージュかの如く「大砲の弾でゲラスの軌道を逸らす」という荒唐無稽な作戦*7が実行されたのだが……いかにして成功を収めたかは、是非とも自身の目で確かめてほしい。つまりBlu-rayBOX版を買おう

  • ちなみに、死ぬ間際に罪滅ぼしとして公園を欲しがった市民の為に作り上げ、ブランコで口ずさむという下りは1952年の昭和のモノクロ映画『生きる』のオマージュ…もといパロディという非常に分かりにくいネタが仕込まれている。
本当に子供向けアニメなのかこれ?


追記・修正は少しでも徳を積みながらお願いします。


出典:テレビアニメ『星のカービィ』ア・ウンエンタテインメント スタジオザイン 任天堂 ハル研究所 中部日本放送 電通
42話:2002年7月27日
(c)Nintendo/HAL Laboratoly.inc・CBC. All Rights Reserved.
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最終更新:2024年04月23日 21:15

*1 といってもこれはニセの葬儀で、カービィに度の過ぎたイタズラをしでかしたデデデを本気で反省させるべく、フーム達によって仕組まれた。

*2 カービィはこいつの攻撃からアイスをコピーしようとしたが、吸い込めないのでメタナイトが持参した松明からファイアをコピーして倒した。

*3 サモが客の話を聞き、メーベルが占いと称して悩みをピタリと当てているように思わせるというカラクリ。

*4 ちなみにゲラスの衝突はホーリーナイトメア社もひそかに予測していたが、彼らが手を加えたのかどうかは不明。しかし彼らだったら本気でやりそうなのが怖い……。

*5 このせいでイローの仕業と思ったホッヘパパはイローを怒ってしまった。

*6 もっとも、常にへんなものばっかり出してそうだが…

*7 元々はなんとゲラスを破壊する予定であり、これにはメタナイト卿ら城の騎士たちも流石に「軌道を逸らすのが精一杯」と見立てていた。だが最終的には「押し戻すだけで十分」と、唯一の望みに賭ける価値を見出し協力を申し出た。……ちなみにこの時もハルバードは用意されていない(下手したら建造に着手していなかったかもしれない)と思われるので、内心藁にも縋りたい気持ちだったであろう。