越美北線

登録日:2014/03/02(日) 21:50:00
更新日:2024/03/26 Tue 19:56:17
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越美北線(えつみほくせん)は、福井駅と九頭竜湖駅を結ぶJR西日本の鉄道路線である。

愛称は「九頭竜線」で、旅客案内にはこちらの名称が使用される。どっかの必殺技じゃないよ!


概要

元々は国鉄時代に岐阜県の美濃太田駅と福井県の越前花堂駅を結ぶ「越美線」の北部分として1960年に開業した。
南半分に当たる越美南線が1923年に先行開業したのに比べて大幅に後れを取ったが、これは路線をなるべく直線化して建設費を軽減したため、
川沿いを走る線路から2つのトンネルを通る計画に変更した為、工事期間が大幅にかかった為である。
しかし、全線開通した1972年には既に国鉄の経営が真っ赤っ赤の末期状態に陥っており、九頭竜湖駅から越美南線の北濃駅までの工事は中止となり、長らく路線バスでの連絡となっていた。しかし県境超えの山深い地域を走るとあって利用者は少なく、国鉄によるバスの運行は民営化よりも早く終了している。
その後、越美南線は長良川鉄道に移管され、越美線として完成する事なくそのまま越美北線として存続した。

2024年3月16日、北陸新幹線金沢~敦賀間延伸開業により、並行在来線である北陸本線ハピラインふくい線に移管されたことにより、同社内では七尾線と同じく他のJR在来路線と一切接続が無い路線となってしまった。
ただし、全列車が福井駅発着となり新幹線との接続は出来るので、完全な孤立にはなっていない。

ちなみに、越前大野~九頭竜湖間はJRで2区間しか現存しないスタフ閉塞使用区間の一つで、越前大野では駅員と運転士がスタフをやり取りする昔ながらの光景が見られる。

沿線には一乗谷と「北陸の小京都」の大野市、荒島岳のみと見るべきものが多くなく、コロナ禍による利用客の減少、JR西日本全体の収益の悪化によって減便が行われた。輸送密度も1000人/km未満であることが公表され、何らかの協議が行われる可能性がある。
福井豪雨を乗り切った越美北線だが、今後どうなるのかその動向が注目される。

使用車両

キハ120形…専属車5両を使用し、1両編成で全区間運行。たまに2両だったり3両だったりする。
車体の色はシルバーに鶯色という独自のものだったが、経費削減の一環でなんと朱色5号(首都圏色)に塗り替えられてしまった…


主要駅解説

  • 福井
北陸新幹線ハピラインふくい線、えちぜん鉄道勝山永平寺線・三国芦原線、福井鉄道福武線(福井駅停留場)乗り換え。
福井県の県庁所在地である福井市の中心駅。大体全てが揃っている大都会で、荒島岳を除く越美北線内の主要な観光地は福井駅から全てバスが出ている為、越美北線に乗らなくても事が済んでしまうチート駅。

  • 越前花堂
線路名称上の起点駅。歴史的経緯から越美北線の所属駅となっている。

  • 六条
京都にもありそうで実はここだけな駅。

  • 一乗谷
戦国時代の越前の覇者である朝倉氏の本拠地である一乗谷城の最寄駅。
しかし駅から徒歩約30分の上に福井駅からバスが出ている為、この駅で降りる人は少ない。駅は結構派手にラッピングされて、最寄り駅のアピールはしている。
意外や意外だが土日限定で永平寺行きの特急バスが運行している為、実は永平寺の最寄駅だったりする。

  • 越前高田
曹洞宗の本山である永平寺の最寄駅…のはずなのだが、寺への交通機関は一切ない。因みに歩くと3時間はかかる為観光客は全て福井駅orえちぜん鉄道永平寺口駅からバスで行く。

  • 美山
途中駅で数少ない交換可能駅。福井市美山地区の中心駅。

  • 牛ケ原
周辺にはシバサクラが植えられている。このあたりから大野盆地に出て景色が一気に開ける。

  • 越前大野
「北陸の小京都」大野市の中心駅。福井駅を除く越美北線の駅で唯一の有人直営駅。かつてはここに車両基地が置かれていた。
最後の交換駅で以東は全て単線駅の為、夜間停泊する車両はわざわざ九頭竜湖駅からこの駅まで戻ってくる。最近、雲海から天守閣が浮かぶ姿が「天空の城」として知られる竹田城に似ている事からそれにあやかって「天空の城 大野城」とPRしている大野城の最寄駅。

  • 下唯野
実は荒島岳の最寄駅その1。この駅からのルートは尾根沿いを登る為若干ハード。

  • 勝原
荒島岳の最寄駅その2。この駅からの方が荒島岳から近い。

  • 越前下山
九頭竜温泉最寄り駅。

  • 九頭竜湖
終着駅で、福井県最東端の駅。
九頭竜湖駅と名乗っているが、九頭竜湖からは離れている。


福井豪雨による廃線危機と全線復旧

2004年7月に発生した福井豪雨により足羽川に架かる7つの橋のうち5つの橋が流され、全線不通となってしまった。被害の程度が軽かった越前花堂-一乗谷間と美山-九頭竜湖間は同年9月に復旧したものの、越前花堂-美山間は特に被害が酷く、復旧には新線建設するのと同じ額に当たる40億円の費用と莫大な時間がかかる為、そのまま廃線or路線バス転換がリアルに持ち上がり、もはや廃線は確定かとささやかれた。
しかし、福井県と近隣自治体の粘り強い交渉と建設費負担がものをいい、3年後の2007年に遂に全線復旧した!
何故その時JR西日本が廃線にしなかったのかは今を持っても謎であるが、一説には考えられるのは北陸本線・湖西線の直流転換工事にかかる費用の支援を断られないようにするためとも。

豪雨発生時、キハ120は3両が越前大野駅側に取り残され、2両が福井駅側に取り残された。2両ではラッシュ時の運行に不安が出るため、山陰地区で運用離脱後留置中だったキハ58系を現役復帰させて対応。キハ58系は全部で3種類が使用され、最末期に使用されていた車両は復旧記念列車にも使用された。

鉄道代行バス

路線の復旧に時間を要するため、鉄道の代行としてバスが運行された。当初京福バスが動員されたものの、代行輸送の長期化で不都合が出始めたため、2005年6月に京福バスからJR西日本の子会社である西日本JRバスに変更された。しかし福井県内に西日本JRバスの営業所がなく、一番近い金沢営業所が担当することになった。代行輸送引き受けに際し、金沢との間を回送すると非常に手間を喰うため、美山駅の駅前に臨時の営業所を設置し対応した。
路線の不通区間は一乗谷-美山間だったが、一乗谷駅は駅前が狭いためにバスが乗り入れることができず、代行バスは越前東郷-美山間で運転された。

この代行バスには俳優の関口知宏がNHKの番組の企画で乗車し、その様子が全国放送された。




追記・修正は路線の将来がどうなるかを予想しながら宜しくお願いします。

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最終更新:2024年03月26日 19:56