プルートゥ(鉄腕アトム)

登録日:2014/2/23(日) 14:52:02
更新日:2023/11/24 Fri 06:44:09
所要時間:約 6 分で読めます




漫画『鉄腕アトム』のエピソード「地上最大のロボット」に登場するロボット。
漫画版、アニメ第三作である『ASTRO BOY 鉄腕アトム』、及び同エピソードを浦沢直樹がリメイクした漫画『PLUTO』でそれぞれ設定が異なる。

声:兼元新吾(第一作)、森川公也(第二作)、大塚明夫(ASTRO BOY)


・漫画版のプルートゥ
かつてとある国の王であったサルタン(チョチ・チョチ・アババ三世)が世界一のロボットを目指して「世界最高水準の七体のロボット」を破壊する為にお抱えの科学者であるアブラー博士に作らせた戦闘ロボット。
外見は漆黒のボディと二本の角が特徴的。

世界一のロボットを目指して作られただけあり100万馬力から放たれる高い格闘能力と伸縮自在の角、角から放たれる電磁波を武器とし、さらにアトムのマシンガン程度ではビクともしない堅牢なボディに相手の砲撃を弾き返す遮断ビームと攻防両面に於いて高い次元で纏まった性能を誇る。まあ戦闘用ロボットがマシンガン程度でダメージ受けたらそれはそれでどうかと思うが。
事実、世界最高水準の七体のロボット達との戦闘で彼に決定打を与えられたのはブランドーのみである。
また、両腕を広げて高速回転することで竜巻を発生させて飛行することが可能。

性格は基本的に(七体の破壊を目的とすることを除けば)戦いの際には人間を巻き込まないように気を遣ったりアトムに受けた恩を返したりと騎士道精神を持ち合わせた高潔な性格。
とはいえモンブランを容赦なく不意打ちで破壊し、エプシロンと戦う際には彼の不利な状況で戦いを挑むなど目的の為なら手段を選ばない一面もある。

その圧倒的性能や「地上最大のロボット」というストーリー、その悲劇的な宿命などから今なお高い人気を誇り、アトムに登場した敵の中では「青騎士」と並び非常に高い知名度を誇る。


【作中での活躍】
サルタンに与えられた命令である「世界最高水準の七体」を破壊すべく活動。
まずスイスの山にて山案内ロボットであるモンブランをほぼ不意打ちに近い形で撃破し、次にアトムを狙い日本に出現。そのスペックからアトムを圧倒するがここではお茶の水博士の介入により撤退、その後スコットランドにて自らを捕獲しようとするノース二号を返り討ちにする。

そして3番目の相手として日本のアトムを狙い再び襲来。戦いを望まないアトムに対してアトムの妹ウランを人質にとって彼と交戦しようとする。
しかしアトムとの戦闘中に乱入してきた七体のロボットの一体ブランドーとの戦闘で深手を負ってしまい、そこをアトムに助けられた事で彼の心に変化が起こり始める。
この敗北の後、サルタンの命令により再び敗北した場合自爆する装置が取り付けられる。

その後ドイツのゲジヒト、ギリシャのヘラクレス、オーストラリアのエプシロンを次々に破壊し、天馬博士の改造により100万馬力になって復活したアトムと阿蘇山で対峙。
だが戦いの最中阿蘇山が噴火。当初「戦いのためのエネルギーを浪費したくない」という理由から我関せずプルートゥだったが、アトムの説得から遂に主人の命に逆らいアトムと共に鎮火作業に手を貸すようになる。

プルートゥの心に「善」が芽生えはじめ、アトムと協力したのも束の間、そこにゴジ博士が作り上げたプルートゥを上回る性能を誇る戦闘用ロボット「ボラー」が襲来。
既に満身創痍のアトムを守るため、ボラーを道連れに阿蘇山の火口に落ち自爆した。

なお、実はプルートゥもボラーも同じ人物(サルタンの召使いロボット)によって作成された物である。彼の目的は「サルタンにとって大切なロボットであるプルートゥを破壊する事でサルタンに戦いの空しさを説く」事であり、結局の所どう転んでもプルートゥは誰かに破壊される宿命にあり、彼との一連の戦いはアトムの心に深い傷を残す事になる。



俺は地上最強のロボットだ…
お前の力で俺を倒す事は出来ん

・『ASTRO BOY鉄腕アトム』のプルートゥ
第17話「地上最大のロボット」及び第18話「プルートウは死なず」に登場。
漫画版と大幅に設定が異なり、アトムをロボット達の王にしようと目論む天馬博士が彼を成長させるため、自身の分身として作り上げた成長するロボット「シャドウ」によって作らせたロボット。早い話がアトムの当て馬
なお原作と微妙に異なり名前はプルート「ウ」の表記になっている(エンディングのクレジットではプルートゥ表記だが)。

二本角などのシルエットは漫画版と同じだがメインカラーがから深い緑色に変更。全体的にロボットらしく武骨にリデザインされている。

武装面では伸縮自在の角と電磁波を失ったが、代わりに腰に装備されたマシンガン、両指に装備されたキャノン砲、前身から放たれるミサイルと火器類が強化されている。
また、両腕からジェット噴射らしきものを噴射することで原作同様竜巻を引き起こす事が出来るほか、背面のバーニア噴射により通常の飛行も可能である。

そして彼の最大の特徴は「倒した相手の能力を学習し、より強く進化していく」というもの。
胸には四本の横線が入っており、一人倒す毎に一本ずつ点灯。これが彼が進化した印である。

性格もそれぞれの相手に対し真正面から各々の得意分野で戦いを挑むなど、声を担当する大塚氏の演技も相まって正々堂々とした武人の様な印象を受けるキャラクターとなっている。
対戦相手を倒した後は不必要に破壊しない、弱い相手との戦いを嫌うなども彼の武人らしさに拍車をかけている。


【劇中での活躍】
ロボットボールの試合に突如乱入、スター選手であるハーレーにロボットボールで戦いを挑みこれに勝利するとロボットスクワッド隊長のデルタ(ゲジヒトのリデザインキャラクター)、ロボッティング世界チャンピオンのヘラクレス、ロボット環境観測員エプシロン、そしてアトムの四体に宣戦布告を行う。
その後デルタをサバイバル戦闘にて下し、ヘラクレスを決闘の末倒す事に成功するが、その戦闘で重傷を負う。

その帰りに遭遇したアトムとも戦闘に入るも、先の戦闘で負ったダメージから満足に戦えず海に転落してしまう。しかしアトムによって助けられ、そこで「友達」という物を知る。

天馬博士に修理された後、アトムに「友達」の意味を聞くべく日本へと赴き、そこでウランと交流するもそこに自分の番組の視聴率アップを狙ったハムエッグが襲来。彼の放つ刺客ロボット三体(モンブラン、ノース二号、ブランドー似)を10秒で文字通り秒殺し彼女を守るも、すれ違いからアトムと敵対関係に陥ってしまう。
ここでアトムと二度目の戦闘に入るが、既に心が芽生えはじめていたプルートウはウランを守るために無防備になったアトムにとどめを刺さず、あえて見逃している。

その後エプシロンに戦いを挑み、彼女のフィールドである水中で戦闘となる。
最初は彼女の特殊能力である「自然観察」能力と海という特殊な戦場での相性を生かした戦闘や高い威力を誇る光子砲によって押されていたが、「海底火山を背負って戦う」ことで彼女の光子砲を封じ、勝利。しかし、彼女の放った「貴方に守るべき物はないの?」という問いかけに心が揺れ動く。

そして最後に残ったアトムとブロッケン火山にて対峙。過去の四戦からその能力を極限まで増幅させたプルートウに一方的に押されるアトムだったが人々からの声援を受けて潜在能力を開花させたアトムの姿を見て「感情」を芽生えさせたプルートゥは戦いに疑問を抱くようになり、行動不能となる。
だがそこに襲来したプルートウの全ての戦闘データをコピーした「ダークプルートウ」からアトムを守るため原作同様ダークプルートウを道連れに火山へと落ちていった。

俺にもやっと…守るべき物が…見つかったんだ…

アトム…ウランにも伝えてくれ…「ありがとう」と…!


この戦闘で大破したかと思われたが、後に青騎士率いるロボタニアの一員として復活。
ヘラクレスやラビア、アトラスと共にロボタニアを守る兵士として人類と戦うが青騎士とアトムが対峙した際には「友人を傷つける事は出来ない」としてアトラスと共に離反、彼の説得に応じて人類の元へと帰って行った。

・『PLUTO』のプルートゥ
アブラー博士が作り手、という点では原作と同じ。
だが、雇い主や後述する最大の相違点など、多くのアレンジが施されている。

二本角をはじめとした造形は同じだが、浦沢画特有のリアルタッチ、獣のような咆哮なども合わさり怪物然とした印象がかなり強くなった。
原作準拠の伸縮自在な角に加え、天候を操り竜巻や雨を発生させるほか、電子頭脳が挿入されていないロボットの体を電磁波で遠隔操作するといった常識離れの芸当も可能。

作中ではとある命令により、抹殺対象がロボットのみならず人間にまで及んでおり、殺害する際は竜巻に身を隠すことで自然災害を装って襲撃するのが常套手段。
それまで人間と変わらぬ生活を過ごしていた、或いは新たな道を見つけたロボットや人間達の日常に終焉を告げ、抗おうとする彼らの命を無残に散らかしていく様は死神の趣が強い。
殺害後は必ずと言っていいほど、頭部に二本の棒状の物を添えるか突き刺すかして自身の犯行と存在を誇示している。
ただし相手が空中で爆死、バラバラに砕け散ってしまった場合などはこの限りでない。

※以下、アニメ版視聴者は特にネタバレ注意※







追記・修正は世界最高水準の七体のロボットを倒してからお願いします。

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最終更新:2023年11月24日 06:44

*1 この時近く川では水面が盛り上がる異変が起き、花売りのロボットも明らかに何者かが操っているかのように描写されていた。この事から考えると、言及はされていないがプルートゥが電磁波で遠隔操作してゲジヒトを害したものと思われる。