ジャック・ノーマン

登録日:2014/01/06(月) 08:33:45
更新日:2023/05/06 Sat 02:09:29
所要時間:約 9 分で読めます








ジャック・ノーマンとは、『バイオハザードリベレーションズ』の登場人物の一人である。




概要

作中に登場する敵組織「ヴェルトロ」の指導者。
目的のためなら大勢の犠牲を出すことも厭わない邪悪な男である。
かのハンクを思わせる形のガスマスクを装着しているため、発売前のPVではプレイヤー達から「こいつハンクじゃね?」と予想されたことがあった。


元々ヴェルトロは愛国的な学生運動の団体であったが、次第に先鋭化していく組織の方針についていけなくなった構成員達が抜けていき、残ったメンバーは少数精鋭のテロ組織(都市ゲリラグループ)へと過激化。
テラグリジア開発に反対していた彼らは2004年、「T-abyss」と呼ばれるウイルスと大量のB.O.Wをテラグリジアに放ち、混乱を巻き起こした。
これが後に『テラグリジア・パニック』と呼ばれるバイオテロである。
この事件は最終的にはFBCが太陽光集積システム「レギア・ソリス」でテラグリジアを焼き尽くす掃討作戦を実行し、ウイルスやB.O.W.はテラグリジアごと滅ぼされた。
さらに事件後、FBCによる掃討作戦によりヴェルトロの主立った幹部は全員死亡したと発表された。


…だが2005年、何故かジャック・ノーマンは生きていた。
BSAAに向けて犯行予告の動画が配信された時、彼は前述のガスマスク姿で現れたのである。

どうしてノーマンは生きていたのか?
漂流中の、幽霊船と化した豪華客船クイーン・ゼノビア号で、再びT-abyssを用いて何を企んでいるのか?
謎は尽きない。



追記・修正お願いします。




メーデーWiki





















以下、本作の重大なネタバレにつき注意!!!




















これまで姿を見せていたノーマンは本人ではなく偽者。FBCのエージェントであるレイモンドが騙った姿であった。
本当のノーマンは眼鏡をかけたスキンヘッドの老獪で、それと比べて若々しい偽者のレイモンドとは似ても似つかない。




正体を暴かれたエージェント(レイモンド)がパーカーらに向けて探せと言った「テラグリジアの真実」。
それはテラグリジア・パニック自体が、実はFBCとグルになって引き起こした自作自演のバイオテロである事だった。
真の黒幕であるFBC長官…モルガン・ランズディールはノーマンと取引をし、T-abyssと拠点になる3隻の工作船「クイーン・ゼノビア」「クイーン・セミラミス」「クイーン・ディード」をヴェルトロに与え、先のバイオテロを発生させるよう仕向けたのだ。
詳しくはテラグリジアの項目を参照。
この事から、彼らが大規模なバイオテロに及ぶ事ができたのはモルガンの支援という形で外部に依存していた面が大きい。

テラグリジア・パニックに遭遇したFBCのレイモンドは当時から
「なぜヴェルトロのような小規模のテロ組織が、大規模なバイオテロを行使出来たのか」
「ヴェルトロがウィルスやUAVのみならず、B.O.W.まで大量に調達出来たのはなぜか」
「誰がヴェルトロのバックに付いているのか」
という疑問を口にしており、負傷していた為パーカー達より先に司令部へ退避した際、偶然ノーマンとモルガンの通話を聞いてしまった。
パーカー視点の場合、遅れて退避したため通話の最後を断片的に耳に出来るだけで真実はぼやかされているが、レイモンドは真実に比較的近い場所までリーチを掛けてしまっていた。
それも、アメリカ主体の対バイオテロ組織のリーダーが、利権拡大のために、街1つと大勢の市民を犠牲にしたバイオテロに加担しているという最悪の事実を伴う形で。

ノーマンが居たのはこのうちクイーン・ディード号の方であり、ゼノビアとセミラミスのどちらにも最初から居なかった。
当時モルガンが謀った証拠隠滅により、レギア・ソリスの照射に巻き込まれクイーン・ディードは沈没。
テラグリジア・パニック時のレギア・ソリス照射ムービーにおいて、テラグリジアの傍らで沈没していくクィーン・ディードが確認出来、モルガンとの通話によれば船内ではバイオハザードも発生していた模様。
船内にいたノーマンは同胞、そしてウイルスと共に海底へ沈み、全てが闇に葬り去られた…





はずだった。




録音開始 FBC特務機関所属ダリオ・バリオーニ 19時48分
レコードを入手した 後続部隊に ランズディール長官への報告を要請する

我々は悪魔と遭遇してしまった チーム全員の死亡を確認
目標である映像端末は未回収である 任務は失敗した

奴らは座して死を待ってなどいなかった
我々FBCを 標的を待ち構えていたのだ…
あれは…あれは復讐の権化…


"クィーン・ディード"はすでに海底深く沈んだ
人の身では脱出はおろか生き残ることすら不可能だ だが…

おお"ヴェルトロ"
崇高なる御名を借り受けながら虚飾にかどわかされた不義は 異形と化す我が身の咎として甘んじて受けよう

だがモルガンよ 貴様にも安息の日は訪れない
我々は不死となる 我が身の怒りは不滅と化す

貴様との取引を記録した映像はここだ
我々は真実を守り通そう
何年でも何十年でも…!



驚くべき事にノーマンは僅かながらに残された水没を免れたエリアで生存し、自らにT-abyssを投与し続けることで1年間も延命していたのだ。
それも、かつてGウイルスを自らに投与・異形化したバーキン博士と異なり人の姿を保ったまま。
とんでもないド根性である。
見た目は先述の老いた姿だが、既にT-abyssの効果で人ならざる力を手に入れており、ある物を回収するためにクイーン・ディードに侵入したFBC特務機関の隊員全員を返り討ちにするほど。
一方で変異に苦しむかのような呻き声を上げることもある。
共に沈んだヴェルトロの同胞の中にも投与した者はいたようであるが、変異に抗い続けて命を落とした、あるいは人としての死を選んだ者ばかりであり、とある一室にはヴェルトロの旗に包まれ弔文と共に弔われた彼らの遺体が並べられている。

人間を捨ててまで生き永らえた理由は、モルガンとの取引を収めた映像データが記録されたPDAを守り通すため。
先述のFBC特務機関の目的もノーマンの所持するそれだった。
ノーマンは初めから彼のことを信用しておらず、万が一に備えて証拠となる映像を撮り、手中に収めていたのである。
ヴェルトロを陥れたモルガンへの復讐と破滅を望みながら……


モルガン…!モルガン・ランズディール!
貴様らにはめられ我々"ヴェルトロ"は…!


全ての同胞が死に、孤独となったノーマンは只モルガンへの憎悪と復讐心だけで生き続けていた。
その結果、ジルとクリスが対面した時点では既にまともな思考など残っておらず、目の前の二人をモルガン以外の人物と認識する事さえ出来なかった。
そして最後のT-abyssを己に投与し、最強の変異体―――アビス完全体と化したジャック・ノーマンはジル達に襲い掛かる。



モルガン よく見ろ

貴様の所業がもたらした地獄を



アビス完全体(ノーマン)



T-abyssの力でクリーチャーに変貌したノーマン。
どっちの名称を使うかは媒体によってブレがあるものの、戦闘開始時に「ノーマンを倒す」と表示される事から、本項目では表記をノーマンに統一する。
キャンペーンモードの最終ボスで、ジルとパートナーのクリス2人で戦う。


タイラントのそれを踏襲した筋骨隆々の体型に加えて、肥大化した左腕の爪を武器とする。
やはり胸にはタイラント同様に心臓が露出している。
が、真の弱点は背中の腫瘍であり、こちらを撃った方が与えられるダメージも大きい。


戦闘前のムービーで頭部が割れ、中から巨大な眼球が露出している。
ノーマンの特筆すべき点は、その眼球から発した光で幻覚を見せつける特殊能力を持つ事。
これによってあたかも空間を歪ませて姿を消し、瞬間移動したかのように見せかけている。
時には分身と共に攻撃したり、フェイントを織り交ぜてジルを惑わすことも。
もはや一見しただけでは超能力か何かにしか見えないが、あくまでも幻覚に過ぎない。
幻覚を除けば、ノーマンの攻撃は割とオーソドックスなものばかりである。

ジルと視線を合わせている最中に光を放ち、幻覚からの攻撃に転じるのがノーマンの基本的な行動。
ただし距離が近ければ普通に攻撃してくるほか、いきなりダッシュすることもある。



最終ボスだけあって耐久力はトップクラス。
弱点の腫瘍も含め、とにかく撃ち込まないとなかなか倒れてくれない。
おまけに耐久力の低下につれて幻覚のパターンも増加し、戦いは一筋縄ではいかない。
だが、ノーマンの攻撃は空振りか否かに関わらず、その後の硬直時間が長いという短所がある。
仮に喰らっても追い討ちをもらうことは滅多に無いので、落ち着いて体勢を立て直すこと。




ちなみに『アンベールドエディション』のレイドモードでは、一定条件を満たすことでゴーストノーマンという色違いのボスが登場。
全身血のように真っ赤なアビス完全体といったところで、中身がノーマンと同一人物なのか、全く新たな変異体なのかは謎に包まれている。
(筆者はアンベールドエディション未プレイなので詳しい方追記求む)


幻覚のパターン

全パターン共通して、胸から紫色の煙を噴出しているノーマンが本体。
攻撃される前に撃つことでひるませ中断可能。
他はすべてジルの幻覚なので、本体以外からの攻撃には当たっても傷一つ負わない。
また殆どの幻覚に言える事だが、ジルの立ち位置によっては本体が死角に現れて不意を突かれることもある。
なるべく部屋の中央で戦うことは避けたい。



  • 瞬間移動
ジルの近くへ接近し、爪を振り下ろす。
これは非常に見切りやすい。


  • 分身(同時)
2体に分かれ、ゆっくり爪を振りかぶって叩きつける。
初見では一瞬戸惑うものの、煙を出している方が本体だと分かれば予備動作の長さもあって対処は楽。


  • 分身(ダッシュ)
2体に分かれる点は同時と同じだが、中距離から一斉にダッシュしてジルに詰め寄って来る。
普段の動きが鈍重なので思わず焦らされる行動。


  • フェイント(2段構え)
偽ノーマンが爪で攻撃し、消えた直後に本体が同じ攻撃を繰り出す。
爪の攻撃は薙ぎ払い、アッパーカットなど幾つかの種類がある。


  • フェイント(途中移動)
構えている最中に姿を消し、ジルの背中側に回り込んで攻撃する。
いきなり姿を消すので戸惑うが、次に出る場所がほぼ決まっているので対処はしやすい。


  • フェイント(連続)
偽ノーマンが出現→アッパーカット→消滅の流れを何度も仕掛け、最後に本体がアッパーカットをぶちかます。
焦らず本体が出てくるのを待つこと。


  • 距離を取る
特に何かをするわけではなく、ジルから離れてすぐに他の幻覚攻撃に転じる。




本編ではかなりの強敵だが、レイドモードではプレイヤーが成長したり強力な武器を入手できることもあってあっさりボコボコにされたりする。
ラスボスェ…



末路

ジルとクリスの猛攻に押され、絶叫を上げたノーマンは膝をつく。



…すべてが おわった…
やっと…死ねるのだ…これで…私は…



そう言い残し、彼は異形の怪物として生涯を終えた。
その時偶然か必然か、彼の腕は彼の座っていた椅子に当たり、その椅子は燭台を倒し…その燭台の蝋燭は椅子の後ろに掲げられていた血染めのヴェルトロの旗に火を付ける。
苦しみに耐え続け復讐の日を待った執念の男は、ヴェルトロの象徴たる旗と共に炎に包まれたのであった。
ちなみに、クイーン・ディードの名前の由来であるカタルゴの女王・ディードーは炎に飛び込み自害するという最期を迎えている。

一欠片の理性を感じられる最期の台詞については、色々な解釈ができる。

絶望的な閉鎖空間で同胞たちに先立たれ、己も死を望んだのか。
憎しみだけで生き、真実を守り通すことに疲れた彼の本心か。
それとも、自分に代わりモルガンへ制裁を下す者が現れたことに安堵したのか。

いずれにせよ、今となっては誰にもノーマンの心中を知る術は無い。

(一方で、もし前述のゴーストノーマンが仮にノーマン本人だったとすると、本編から独立しているとは言えあまりに報われないものがある)

彼の根源的な思想、ならびにヴェルトロが引き起こした行為は決して褒められたものではなく
その上で反省どころか自分達の行いに神だ何だと理屈をつけて正当化する辺り、同情に値しないド外道である。
だが、最終的にモルガンの操り人形ないしスケープゴートとして体よく利用された所を見るに、これでも結局は手の平で踊らされた道化に過ぎなかった。
同情の余地が無い悪であると同時に、ある意味では本作最大の犠牲者といえよう。




その後、2人が手に入れた映像データはただちにBSAAで公開され、遂にモルガンの所業が白日のもとに晒された。
弁明の余地もなく逮捕されたモルガンの末路は、ノーマンが望んだ通りの結末か。
長官を、そして求心力をも失ったFBCは後に解体され、人員及び装備の大部分がBSAAに吸収される事となった。


余談

一定の条件を満たすことでレイドモードでも使用可能。残念ながらガスマスク姿の彼を操作することはできない。

体術は処刑…ではなくタックル。高齢ながら体を張るじいさんである。
当然全ステージで使用できるので、ノーマンVSノーマンというシュールな光景も実現可能。





追記・修正は沈没船で1年間生き延びてからお願いします。

画像出典:『バイオハザード リベレーションズ』 2012年1月26日発売
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最終更新:2023年05月06日 02:09
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