ゲッターロボ號

登録日:2014/01/04 (土) 00:15:48
更新日:2024/04/23 Tue 05:59:32
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戦う瞬間見る夢は

怒り それとも尽きない悲しみ


愛よ 鋼の砦に変われ

守りたいものがある限り



『ゲッターロボ號』は1991年~1992年にテレビせとうち発テレビ東京系で放送されたTVアニメ。
東映アニメーション最後のTVアニメ版ゲッターロボシリーズである。


概要

当初は「マジンガーZ」のリメイクとして企画されていたが、急遽ゲッターシリーズに変更されたという経緯を持つ。
そのためか、主人公の一文字 號兜甲児、敵のランドウ軍団はDr.ヘル軍団、メタルビーストは機械獣に置き換えても違和感がないレベルでマジンガーの要素が強く出ている。
また、ゲッターおよびメタルビーストを構成しているのは「G鋼石(磁鋼石)」という設定も、マジンガーのジャパニウム鉱石から由来している。
主題歌(厳密に云うと後期主題歌)や劇伴を手掛けたのも、ゲッターシリーズでお馴染みだった菊池俊輔ではなくマジンガーシリーズでお馴染みだった渡辺宙明である*1
後期主題歌や一部の挿入歌を歌ったのも、『マジンガーZ』や『グレートマジンガー』で有名な水木一郎氏であり、音楽面でもマジンガーシリーズとの強い繋がりを感じざるを得ない。

裏設定では初代とGから後の時代だが、初代ゲッターチームは未登場、ゲッター線といった旧作の要素は登場していない。
中盤では、徳間書店の「月刊少年キャプテン」で連載されていた漫画版よろしく神隼人の登場も考えられたが、
中の人のスケジュールの事情で登場を見送らざるを得なかった。

また、権利関係の複雑さから外部出演にも恵まれておらず、「ゲッターロボのアニメ作品」では唯一スーパーロボット大戦シリーズに登場していない。*2
唯一『ゲッターロボ大決戦!』にはゲスト的な扱いでスーパーゲッター號が登場している。
そのため、『ゲッターロボ・サーガ』を形成した怒涛の展開が取り沙汰される漫画版と比べ、
アニメ版は、子ども向けアニメとして地上波で一年放送されていたとは思えないほどゲッターシリーズの中でもマイナー中のマイナー。
歴代ゲッター作品の中でも不遇といっていいだろう。
放送当時には勇者シリーズエルドランシリーズといった幅広い年代の人気を集めたライバルがいたのも一因かもしれない。

とはいえ、シリーズ構成の星山博之氏による構成は手堅いもので、若さと情熱で立ち向かうNISARの青年たちや改造を重ねて強化されるゲッター、
新幹部・ナルキス子爵登場後の蛇牙城の内乱と、東映スーパーロボットの王道を1990年代にリメイクしようという意気込みは強く、
山根理宏、加々美高弘、長谷川眞也、さとうけいいち、大倉雅彦といった良い意味での作画班の暴走と、
最後の最後まで根性出して敵に勝利する最終決戦の盛り上がりは当時の熱気を感じさせてくれる。


「竜馬たちのいないゲッターなんて…」と、食わず嫌いするには実に勿体無い作品である。



ストーリー

西暦200×年……
地球上から争いはなくなり、人類は平和共存の道を歩んでいた。
だが、ある日北極に作られた一大多国籍企業”ポーラー・ステイション”が突如全世界に対して宣戦布告したところからこの物語は始まる。

ポーラー・ステイションを乗っ取り、世界征服に乗り出したのはコンピューターの頭脳を持つ天才教授老マッドサイエンティストであった。
その名はプロフェッサー・ランドウ。

そのころ北海道サロマ湖畔に作られたNISAR(ネイサー)”日本国際航空宇宙技術公団”では、宇宙作業用大型ロボット”ゲッターロボ”の試作第一号機が完成していた。
だが、ゲッターロボの設計者である橘博士はプロフェッサー・ランドウの暴挙を知り、急遽ゲッターを戦闘用ロボに転用することを決定する。

今、ランドウのロボット部隊に対抗できるものがあるとすれば、それはこのゲッターをおいて他にはないのだ。
(東映アニメーション公式サイト紹介文より)


登場人物

NISAR

北海道サロマ湖畔にある日本国際航空宇宙技術公団の総称。
11話にてNISAR本部が壊滅後、サロマ湖から浮上した秘密基地・ビッグネイザーを拠点にランドウ軍団に立ち向かう。

一文字 號(CV:草尾毅)
本編の主人公。プロトゲッター、ゲッター1(ゲッターマシン1号機)/ゲッター號のパイロットで正義感の強い熱血漢。17歳で血液型はB型。
勉強は苦手だが天性の直感と反射神経の持ち主で、スポーツと格闘技マニアを活かした戦法が得意。
お調子者で「死中に活」を「シチューにトンカツ?」、「なすがまま」と聞いて「ナスがママ…ってことはキュウリがパパか!?」と勘違いするほどのバカだが、
宇宙開発用ロボットであるゲッターを兵器として使われるのに苦悩する橘博士とは裏腹に、
「たとえ使う目的が違ったとしても多くの人々の命を守れるのなら、博士の造ったゲッターロボは必ず活かされると思います!」
とランドウ軍団に立ち向かう勇気を見せる。

橘 翔(CV:小林優子)
本編のヒロイン。橘博士の娘でNISARのメカニックチーフを勤める。16歳。
一人称は「ボク」で所謂ボクっ娘なのだが、口調は女性らしく、號と剴のいさかいを止める役割をも持つ。
メカに関する技術は父親にも引けを取らず、運動神経も號に勝るとも劣らない。
実はかなりの大食いで、ケーキが大好物。よくスリムなボディを保ってられるな…と、言ってはいけない。
実兄である信一の死後、父とともにゲッターの改造に着手、第11話からゲッター2/ゲッター翔のパイロットを務める。

大道 剴(CV:神谷明)
號と同じゲッターのパイロット訓練生。17歳。
実直で文武両道の日本男児だがやや慎重でナイーブな性格のせいか、シミュレーターでの操縦技能は號にやや劣っていた。
1話~10話までは信一と共に防衛庁から委託されたのバトルヘリ2号機(通称:バトル2)でプロトゲッターの援護に回り、11話からゲッター3/ゲッター剴のパイロットを務める。
弟のテツには厳しく徹するが、本来は誰よりも弟のことを思っている不器用なところもある。
中の人が中の人なのか、第1話でプロトゲッターで出撃しようとする號に対し、
「脇役に回れというのか!?」
と対立する場面があるが、脚本によるものか、神谷氏のアドリブによるものかは不明。
なお、夏の話ではふんどし姿で海水浴にいそしむ姿が見られる。

橘博士(CV:永井一郎)
ゲッターロボの開発者。
当初は防衛庁からゲッターロボを対メタルビースト用に投入するように言われ苦悩する。
しかし、信一の死と號らの若き闘志と平和を守る情熱がきっかけとなり、ゲッターの強化改造を決意する。

橘 信一(CV:古川登志夫)
橘博士の息子で翔の実兄。號らの成長を誰よりも見守るよき教官だった。
第2話でプロトゲッターの突破口を切り開く為自らバトル1でメタルビーストに特攻しその若い命を散らすが、その魂は幾度となく窮地に陥った號らを激励した。

武藤由自(CV:金丸淳一)
NISAR情報処理班のチーフを勤めるメガネッ子。15歳。
頭脳明晰でゲッターの合体・特訓プログラムを立ち上げたのも彼である。
基本的には穏やかでハムスターのモモタローを愛する心優しい少年だが、
体力・運動神経に劣るためゲッターのパイロット候補生から外れたトラウマをヤシャ男爵に利用されて號らと対立したことも。

リー・フォア・メイ(CV:原えり子)
NISARのメディカル・チーフを勤める號らのマドンナ的存在。
序盤こそ出番は多めだったが、後半は少なくなってしまう。
穏やかで献身的な彼女の心は剴主役のエピソードで彼の精神的支柱となることが多かった。
ちなみに脱いだらかなりのボインで、夏の話ではまぶしいビキニ姿を見せてくれる。

Dr.ポチ(CV:佐藤正治)&Dr.タマ(CV:田の中勇)
橘博士の助手1号&2号で、マジンガーにおけるせわし・のっそり・もりもり三博士ポジ。
またの名を「ワンニャンドクター」。
両者とも號らよりも小さい背丈で、ポチは太っちょで「~だワン」が口癖、タマはサリーちゃんのパパみたいに斜めに尖がった髪型で「~だニャー」が口癖。

吉井レミ(CV:遠藤みやこ)
ソードトマホーク理論を提唱した吉井博士の一人娘。
ソードトマホークを吉井博士に開発させるために長年蛇牙城に幽閉されていたが橘博士との手で救出される。
物覚えがいいのか、父の研究理論を理解していたようで回復後はGアームライザーの開発にも協力。
終盤では自らGアームライザーを駆りゲッター號と共に捕われた学者達を救出に蛇牙城に突入、
父の仇でありながらも、生みの親であるランドウに見捨てられ絶望するラセツの姿を見て手を差し伸べるが……。


蛇牙城(ベガゾーン)

プロフェッサー・ランドウが北極の多国籍企業・ポーラー・ステイションを乗っ取り、世界征服の拠点に改造した姿。
その禍々しい巨悪の城からは世界で唯一G鋼石が採掘され、それから鋼鉄の悪魔・メタルビーストが生み出され世界中に牙を剥く。

プロフェッサー・ランドウ(CV:郷里大輔)
ロボット工学・コンピュータ開発の権威だったが、5年前に学会を失踪。
更なる英知を得る為にスーパーコンピューターを頭脳に直結した結果、精神に異常をきたしマッドサイエンティストに変貌した。
自ら生み出したクローンのラセツとヤシャのケンカに頭を抱えたり、ヤシャが戦死した際には葬儀を開いたり、と親心を持ってはいたが、
ナルキスのゴッドストーンを得た際に暴走、ゲッター號との決戦でナルキスに反逆されて死亡する。
…が、蛇牙城の最終決戦で魂が復活し我が子のように思っていたはずのラセツを「部品」として憑依、ゲッターもろともナルキスを始末せんと目論んだ。

ラセツ伯爵(CV:阿部道子(女)、永井一郎(男))
ランドウのクローンで、女性の肉体に老人の顔を宿しているが、怒った時にしか出てこない。
諜報戦と変身能力に長けているが、肝心な所でツメが甘くその失敗を配下のロボット兵に八つ当たりするヒステリックな面も。
生みの親であるランドウを父のように慕っており、ナルキス出現後はランドウに見捨てられないか苦悩、
最終的に慕っていたランドウに部品として扱われた事に絶望する。
最終話前の話は今までとは別人なまでにふつくしくなっていた。

ヤシャ男爵(CV:佐藤正治(兄)、池水通洋(弟))
ランドウのクローンで、一つの体に二つの顔を持つ。青い顔が兄で、赤い顔が弟。
猪突猛進で自らメタルビーストを駆り、単身殴りこみをかける武闘派で兄弟共にラセツとはそりが合わない。
終盤、ナルキスに利用されて功を焦った挙句自滅してしまった。

ナルキス子爵(CV:堀川りょう)
シリーズ中盤、異次元から現れた謎の少年。
首からぶら下げた緑色の石『ゴッドストーン』によりあらゆる超能力を操る。
常に冷ややかな笑みを浮かべながら自らを「神」と名乗り、ランドウに代わりて地球を支配せんと目論む。
ゴッドストーンを取られてしまうと一気にヘタれてしまうのが欠点といえば欠点。

ディアナ
ナルキスに付き従う謎の巨女。終始無言だが常にナルキスの背後に立ち、彼を守る。


フルパワーチャージ・セットアップ!チェェェェンジ・ゲッター號ッ!!


ゲッターロボ

宇宙開発用に造られた巨大ロボット。当初は武装のない状態で戦っていたため、3機のゲッターマシン(無印でいうゲットマシン)が合体するスーパーロボットになるまで11話も費やした。
合体時には通信機・レーザーガンにも変形するシステム起動キー・ゲッターフラッシャーをコンソールパネルに接続することが必要。
なお、分離時には「オープン・ゲット!」ではなく「チェンジ・ゲッターオフ!」と叫ぶ。
本作の合体バンクは従来のゲッターとは異なり、謎の空間内でプラズマをバリバリ放出しながら合体する。
そのためか、『これゲッターじゃなくアルベガスじゃね?』とか『超電磁ロボじゃん…』と思うのもしばしば。

プロトゲッター
改造される前のゲッターロボ。
初回では全身青一色だったが、後に装甲強化用の特殊ペンキを塗られてのトリコロールカラーになり、武装強化を重ねスーパーロボットに変わっていく。

ゲッター號
號の操縦するホバージェット機・ゲッター1を中心に合体した陸戦形態『フォーメーション・號』。
拳を飛ばすナックルボンバーや脚部に内蔵された刃・レッグブレードなどによる格闘戦が得意。
漫画版との違いは背中のローター。ローターは円盤状のカッター・ブーメランソーサーとしても捕縛用の超電磁光線・マグフォースサンダーの発生装置としても使える。

ゲッター翔
翔の操縦するドリルジェット機・ゲッター2を中心に合体した空戦形態『フォーメーション・翔』。
右腕のドリルを突き出し特攻するトルネードアタック(ドリルは飛ばすことも可能)、胸部から放つおっぱいミサイル・ブレストボンバーなど、
女性的なシルエットに見合わない豪快かつスピーディな戦法を得意とする。
こちらは漫画版と大してデザインは変わらず、とある回では成層圏を攻撃するメタルビーストを迎え撃つため高機動ブースターを接続して宇宙戦に挑んだ。
なお、信一が戦死しなければ彼が操縦することになっていたらしい。橘博士…

ゲッター剴
剴の操縦する大型ジェット機・ゲッター3を中心に合体した海戦形態『フォーメーション・剴』。
高出力・大火力の持ち主で胸部から放つ熱光線・ブレストビームが最大の武器。
ゲッター2がキャタピラ部となっているため、そのドリルを活かし地底に潜ることも突貫も可能。
出番も少なく、登場初期こそ敵から最弱と思われていたが、ストーリーの進展と共に強機体になっていた。
漫画版との違いは胸の放熱板。

スーパーゲッター號
ユタカが開発した、対勇者エルドラン用装備…
もとい、エネルギー増幅装置も兼ねたサポートメカ・Gアームライザーとゲッター號が武装合体した姿。
この形態にならないと磁鋼剣ソードトマホークの刀身が精製できない。
また、ゲッターの三変化も殺されてしまうのでナルキスとの最終決戦ではあっさりパージされてしまった。

一応、ソードトマホークはブーメランとしても使用可能。草尾氏と神谷氏の「トマホーク・ブゥゥゥメランッ!!」は必聴の価値あり!


余談

バンダイグループのユタカ社から完全変形・合体する玩具「磁鋼合体ゲッターロボ號」「スーパー合体スーパーゲッターロボ號」が発売されており、放送当時としては出来はいい方。
「スーパー合体~」は1999年に特別限定版として再販、ブラックバージョンも発売された(現在は入手困難)。
また、往年のジャンボマシンダーシリーズを彷彿させる「ジャンボゲッター」という人形も発売されたが、
こちらはジャンボマシンダーシリーズの歴代ゲッターとは異なり、ゲッター號しか発売されなかった。
また、ユタカの親会社でもあるバンダイからもプラモデルが発売、3機のゲッターマシンが完全変形・合体するのも再現されている。
同じく、バンダイから2021年9月18日に超合金魂ゲッターロボ號が発売。これまた3機のゲッターマシンが完全変形・合体し、豊富な手首パーツや武器、見映え重視パーツがついてくる。
また、2022年2月に同じ超合金魂で(此方はプレミアムバンダイ限定だが)Gアームライザーも発売される。

ゲームにおいてはPS専用ソフト『ゲッターロボ大決戦!』に登場。キャラとストーリーは漫画版だが、メカは漫画版とアニメ版のいいとこ取り。
後者では初出撃ムービーではビッグネイザーから発進されるゲッター號チームが描かれている他、
燃費のいい武装とゲッター線の暴走がないという面で使いやすく、補給メカと併用できれば第一線でも活躍できるという良待遇。
そしてルートの選択によってはスーパーゲッター號&ソードトマホークが使用できる。
漫画版のファンのみならず、アニメ版ファンでも『大決戦!』をプレイする価値は大きいといっていいだろう。

スーパーロボット大戦シリーズ」では多くのゲッターロボシリーズが登場する中長らくスルーされてきたが、
2017年度に『スーパーロボット大戦X-Ω』の第2期参戦作品としてようやく登場するに至った。
キャラは漫画版準拠だが、メカデザインはアニメ版準拠となる。


追記・修正・セットアップ!チェェェェンジ・ゲッター號ッ!!

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最終更新:2024年04月23日 05:59

*1 余談だが、実子の渡辺俊幸は同時期に『太陽の勇者ファイバード』の劇伴を担当していた。

*2 後述するように漫画版は参戦している