ナースエンジェルりりかSOS

登録日:2014/01/01 Fri 00:56:53
更新日:2023/08/06 Sun 12:26:55
所要時間:約 3 分で読めます




「ナースエンジェルりりかSOS」とは1995年から1996年まで放送された秋元康原作(といってもあくまで原案)のテレビアニメ。また、それに先駆けてりぼんで連載された池野恋による漫画。

監督は後番組のこどものおもちゃセクシーコマンドー外伝すごいよ!!マサルさんおじゃる丸で有名な大地丙太郎。
また装甲騎兵ボトムズ等で有名な高橋良輔(※赤ずきんチャチャを筆頭にりぼんアニメの常連)が、演出協力(事実上の総監督)として参加している。
演出に魁!!クロマティ高校等の桜井弘明(大地丙太郎とはチャチャ三羽ガラスで有名)が参加しており、特にバレンタイン回は桜井演出の光る名作とされる。


俗に言う変身ヒロインアニメで「聖なるワクチンで戦う看護婦さん」という微妙に恥ずかしい題材だが(多分秋元の趣味)、命をテーマにシリアスなストーリーとして構成。
全体的な中だるみや序盤のテンポの悪さなどから打ち切りとなってしまったが、
1クール終盤でヒロインの幼馴染が加入したり、2クールでヒロインを導いていた憧れの異性(所謂タキシード仮面ポジ)が敵になり、改心した悪役と立ち位置が入れ替わる展開など見所も多く、根強いファンが存在。
ヒロインの戦闘よりも男キャラの戦闘の方が動いているという珍しい作品だったりする。

特に最終回はヒロインが自分の誕生日に地球を救うために死を宣告されるという衝撃的な内容だった。このラストは大地監督曰くいじめ問題で自殺に迷っている子供へのメッセージのためだったらしい。
スタッフは泣きながら最終回を制作していたとか…。
放送終了後もヒロインの誕生日パーティーが有志のファンやスタッフ・キャストによって開かれていた。

遊戯王少女革命ウテナなどで知られる光宗信吉作曲のBGMは名曲が多く、最終回で使われた「組曲:命の花」は神曲として語り継がれている。
OPは小室哲也の楽曲で、EDはりりか役の声優の麻生かほ里が歌っている。カップリングだったまりちゃんずの「ナースエンジェル音頭」は黒歴史。


また、アニメ版に先駆け、「ときめきトゥナイト」で有名な池野恋による漫画版が少女漫画雑誌りぼんで連載されていた。
一種のメディアミックスだが、大地監督が漫画版を読んでアニメ版の内容を慌てて変更したりと影響は大きかったりする。
漫画版は緊迫感の少ない和やかな展開だが、アニメの影響か次第にシリアスになった。また、アニメで不遇だったクイーン=アース勢を補填する作品としての見方もあったりする。
アニメ版のキャラデザも池野氏によるもので、アニオリキャラのデューイは後に逆輸入された。



【ストーリー】

森谷りりかは私立白鳩学園に通う普通の小学4年生。
10歳の誕生日に転校してきた、地球の姉妹星であるクィーン=アースの戦士カノン(加納望)から、自分が伝説の「ナースエンジェル」の生まれ変わりだと知らされる。

そしてクィーン=アースや地球の侵略を企むダークジョーカーと戦い、
ナースエンジェルの力の源で浄化と癒しの力を持つ緑のワクチンと、邪悪な力を持ち人々をダークジョーカーに変える黒のワクチンの原料となる「命の花」を探しす使命を託される。

憧れの相手であるカノンの助けを得ながらナースエンジェルとして戦うりりかだが、ダークジョーカーとの戦いの度に力の源である緑のワクチンは消費されていく。
黒のワクチンに侵されていたカノンは残り僅かな緑のワクチンで自らを治療するのを躊躇い、りりかの幼馴染である宇崎星夜に力を託して死亡してしまう。

そしてりりかと星夜の二人三脚での命の花探しが始まるのだが、ダークジョーカーからの刺客が二人に襲い掛かるのだった。



【主な登場人物】

●森谷りりか/ナースエンジェル
CV:麻生かほ里
私立白鳩学園4年B組の明るく心優しい女の子。カールした金髪をポニーテールにしている。おばあちゃんっ子で幼稚園児の弟がいる。
伝説のナースエンジェルの生まれ変わり。某超能力三人娘のリーダーではない。

10歳の誕生日に加納先輩ことカノンからエンジェルキャップを贈られ、ナースエンジェルに変身してダークジョーカーと戦いながら命の花を探す使命を託される。
恋心を抱いている加納の前ではおしとやかに振る舞う。加納に託されたナースエンジェルの使命を張り切っているが、星夜からの好意には鈍感。
しかしなんだかんだで星夜を頼っており、ミミナに焼き餅を焼いたりとまだ発展途上。地球の命の花が絶滅しているため、エネルギー源である緑のワクチンが尽きかけて絶体絶命に陥ることが多い。

ナースエンジェルとして未熟な部分もあったが、愛する加納の死や復活からの裏切りなどを乗り越えて成長し、看護師になる夢を持つようになる。
しかし命の花は最後まで見つからず、ダークジョーカーに地球とクイーンアースが滅ぼされる時が迫る。
そして11歳の誕生日の前夜、命の花と引き換えに自分が死ななければならないことを加納によって知らされる…。
後番組の世界でもアニメが放送されてたり、人気チャイドルをやってたり、そっくりの看護師や家族が出たりしている。

●宇崎星夜
CV:石田彰
りりかに片思いするクラスメイトで幼馴染。小4にしてこのアニメ一のイケメン。口がうまく三枚目のお調子者だが、りりかを守るためなら文字通り何でもする。ただし報われないが…。
歌は歌うが別にリリンの文化の極みとは言わない(放送期間が一緒)。デューイと中の人を逆にした方があってるとは当時から言われてた。
家が病院で医者の息子なのに血を見るとぶっ倒れるのが玉に瑕だが、父親の仕事を誇りに思っている。自室の窓がりりかの部屋の窓と向かい合わせになっている。
序盤ではりりかを守ろうと足手まといになって加納に記憶を消されていたが、後に戻してもらった。嫉妬していた加納を助けに駆け付けたり、加納先輩ラブなりりかに健気に尽くすいい奴。

中盤からは加納の超能力を分けて貰ってりりかと一緒に生身で戦うようになり、超能力も少しずつ使いこなせるようになった。
いざという時には勘の良さと冷静な判断力を発揮するのでかなり頼もしく、明らかに加納より役に立っている。戦闘シーンを切り取ってみると、まるで超能力バトルアニメの主人公である。
武器は使用せず、テレポートや念力、エネルギー弾などを使う。クイーンアースのダサめな戦闘服は着ない。漫画版では変身したけど。

なお星夜役の石田彰氏は「星夜には本当に共感していた」と証言しており、最終回のアフレコでは号泣しながら演じていたらしい。

●加納望/カノン
CV:菊池英博
ロンドンからの転校生・加納望としてりりかの前に現れた。優秀な美少年で学校の人気者。白鳩学園6年生だが年齢詐称疑惑がある。「ときめきトゥナイト」の真壁くんに似ている。
実はその正体はクイーンアースから来た使者カノン。ダークジョーカーによって危機に瀕したクイーンアースや地球を救うために来た。クイーンアースの正装が一部で「光GENJI」とか「ダサイ」とか言われまくっていた。
超能力やビームサーベルで戦ったり、他人の記憶を消したりできる。クイーンアースのヘレナ王女とは幼馴染で恋人同士。
りりかと共にダークジョーカーと戦うが傷ついた末に死期を悟り、「りりかを助けたい」と望む星夜に自分の超能力と使命を託した後に命を落としてしまう。
その後ダークジョーカーとして復活するも、りりか達と戦った末に元の自分を取り戻した。その後はクイーンアースに帰ってヘレナ王女の補佐を続けている。

故郷と地球を救う目的があったからなのだが、10歳の女子小学生をいきなり異星人同士の戦いに巻き込んだ上にピンチの時は助けずに叱責したり、
(エネルギーが枯渇して弱っていたので)サンドバッグにされまくった上にあっさり死んでしまい、(しかも作画崩壊回で退場)
後に洗脳状態で復活した時は味方の頃より活躍したり、さらには恋人そっくりな11歳の女子小学生に死んでくれと言わざるを得なくなるなど貧乏くじを引きまくっている。

漫画版では短パンをはいており、命の花の株を一株だけ所有していたり、離脱時期が遅かったりなど結構活躍している。
11年前は侵略者に滅ぼされた母国再建のために戦うとある惑星の王子で、デューイは仲間だった。

●ヘレナ王女
CV:天野由梨
クイーンアースの王女で、クイーンアースと命を共有している。おしとやかで儚げな美少女だが芯は強い。カノンとは幼馴染で恋人同士。
黒のワクチンに触まれて病床に臥せながら、超能力でクイーンアースを覆う黒のワクチンの力を押さえ続けており、テレパシーで地球のカノンとりりかをサポートしている。
最終回時点ではクイーンアースと共に命が尽きかけていた。病に伏せる前はクイーンアースのナースエンジェルとして戦っていた設定があるらしい。

伝説のナースエンジェルのもう一人の生まれ変わりで、もう一人の生まれ変わりであるりりかとは青い目と黄緑色の髪を除いて瓜二つ。
影が薄いアニメ版に対して漫画版ではもう一人のヒロイン。りりかとは命を共有しており、ヘレナが死ねば同時にりりかも死んでしまうという設定がある。

●ハーブ
CV:石田彰
りりかに拾われた雑種の子犬。飼い主はハーブを置いてどこかへ引っ越してしまったらしい。
ダークジョーカーの気配を真っ先に察知してりりかに伝えようとするなどかなり優秀。
中の人が同じ星夜にはローマ字から「ヘーブ」と呼ばれている。
ちなみに石田彰氏がラジオで言っていた「アスラン・ザラより好感度の高い犬」はハーブのこと。

●ミミナ
CV:並木のり子
クイーンアースの第二王女でヘレナの妹。カールした緑色の髪の小柄な美少女。地球では加納の妹を名乗り、イギリスとフランスを間違えていた。
活発でわがままな性格で、一目惚れした星夜に大胆なアプローチをしている。ナースエンジェルのコスプレで戦うことがあるが戦闘能力は皆無。
アニメ版ではブロス決戦後に登場し、クイーンアースで唯一心を読む能力を持つ設定。最終回直前の役割を除くとぶっちゃけいらない子。
漫画版ではなんと治癒能力の持ち主で、アニメ版の12話に相当する段階で地球に来てりりかやカノンをサポートする。カノン離脱後はりりか・星夜との三人組で協力して戦った。

●ブロス
CV:堀川りょう
ダークジョーカーのボスにして全ての元凶。黒のワクチンの力で全宇宙を死に満ちた世界に変えることが目的。黒のワクチンや邪悪な魔術を用いる。
長髪のわかめ頭とオッドアイが特徴で、公家のようなオカマ口調で喋る。わかめや邪悪なおじゃる丸呼ばわりされるネタキャラ。
一見人間っぽいが体のサイズが常人よりも一際でかく、正体は「ダークジョーカーの母体で悪の意識の集合体」らしい。

部下を全員美少年や美青年で固めていたり、おっさんのケトーを冷遇して少年のデューイを可愛がったり、
デューイへの歪んだ愛やダークカノンへの扱いなどショタコンホモ疑惑が一部で濃厚。
普段は余裕に満ちた態度だが、デューイに黒のワクチンの貯蔵タンクを破壊されたり、りりかに顔に傷をつけられた時はマジギレして取り乱した。
中の人はベジータだが口調はフリーザ。なにげに怪演だったりする。

●デューイ
CV:渕崎ゆり子
ダークジョーカーの幹部。銀髪に三つ編みの中性的な美少年で、口達者な皮肉屋。ケトーとは対照的に知性派。
戦いをゲーム感覚で楽しむ残酷な性格で、りりか達を煽りながら何度も追い詰めた強敵。加納を失明に追い込んだ張本人。
なお、別に石ころ収集が趣味なわけでもミニ四駆ファイターな訳でもない。

りりかとの戦いで度重なる敗北を受け、りりかを倒すためにブロスに「痛みを感じない身体」にされた末に捨て駒にされてしまい、りりかの残り僅かな緑のワクチンで命を救われた。
その後は借りを返す名目でダークカノンからりりか達を救い、ワクチンの補填のためにブロスの館の黒のワクチンを奪ってりりかに渡した。
(しかし黒のワクチンの貯蔵タンクを破壊してしまったことで、ダークジョーカーのモンスターが大量発生してしまう)
以降はブロスに追われる身となり、りりかと星夜に助けられてからはツンデレ化して仲間入りした。(星夜「お前結構いいやつ」→「バカか!///」)
森谷家で和食がお気に入りになったらしく、食いしん坊キャラが定着。目の前に食べ物を出されると食べずにはいられないらしい。実は元々改心する予定はなく、打ち切りになった結果の展開だった模様。
りりかを名前で呼べずに「ナースエンジェル」と呼んでいたが(普通は人前でナースエンジェルと呼ぶ方がよっぽど恥ずかしいが)、最終回で……

その後は髪を染めてウエイターをやっていたり、カノンと一緒にアイドルのバックダンサーをやっていた。
11年前にはカノンとは主人公・ヒロインのカップルだった。
スタッフに愛されているのか、メイン回の作画や演出に恵まれている。
最近大地監督の座談会に出演した淵崎ゆり子氏が、お気に入りの台詞としてデューイの台詞を言っていた。



【アニメにおけるエピソード】

テレビ東京系列、金曜6時の時間帯のりぼん原作アニメの第3作目で赤ずきんチャチャの後番組として制作された。
原作はあのよく悪くも大物Pで有名な秋元康、OPの作曲に当時、一世を風靡していた小室哲哉と中々豪華なメンバーだった。

しかし明るいギャグ描写で人気を得た赤ずきんチャチャに対して、本作はシリアスに描かれていることや、テンポの悪いストーリーなど前作のファンからは受け入れられず、視聴率も前作と比べると低迷していた。
結局本作は1年以上続いた前作、前々作に対し1年未満で終了してしまうことになる。

が、その最終話の号泣必至なラストは多くの反響を呼び、当時のアニメディアの企画である「今月の名場面」では150票以上を獲得して1位に輝いた。
(ちなみに、本放送時最終話の2日前はあの新世紀エヴァンゲリオンの最終回だった)




追記・修正は緑のワクチンを補給してからお願いします。


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最終更新:2023年08月06日 12:26