空の大怪獣ラドン

登録日:2011/06/08 Wed 22:08:45
更新日:2024/03/05 Tue 18:55:50
所要時間:約 4 分で読めます





「空飛ぶ戦艦か! 火口より生れ地球を蹂躙する紅蓮の怪鳥ラドン」



空の大怪獣ラドン



1956年12月26日公開
同時上映 『眠狂四郎無頼控』



【概要】

記念すべき東宝怪獣映画初のカラー作品。ラドンと戦闘機のドッグファイトはクオリティーが高く、後の東宝特撮映画にもこれを超える空中戦は殆どないだろう。
伊福部昭氏の作曲した「ラドン追撃せよ!」がこれに更にスピード感を加えている。
また「ラドン追撃せよ!」は後の『ゴジラVSキングギドラ』にもアレンジの上で使用された。


【ストーリー】

九州・阿蘇の炭鉱で連続殺人事件が発生。被害者は鋭利な刃物で斬殺されており、調査が開始される。
そして出現した犯人=メガヌロン。しかし炭鉱の奥には更に恐ろしい怪物が生まれようとしていた……。



【登場人物】

◆河村繁(演:佐原健二)
主人公。炭鉱で技師として働く。連続殺人事件の調査に乗り出すが…
佐原氏は本作が初主演作。

◆キヨ(演:白川由美)
繁の恋人で事務員。兄の五郎(演:緒方燐作)が犯人と疑われていたため、肩身の狭い思いをしている。

◆西村警部(演:小堀明男)
連続殺人事件の調査の指揮を執る。…が自衛隊の対ラドンの作戦の時もいる。あんた、警察官だろうが!

◆柏木久一郎(演:平田昭彦)
古生物学者で理学博士。ゴジラバランゼットンを一撃で倒しただけあって謎の飛行物体=ラドンの正体を暴くも、その方法にはツッコミを入れざるをえない。
劇中では単に「博士」と呼ばれるだけで名前が明確に明かされず、映画公開当時は劇場販売プログラムの配役欄または黒沼健の原作を読まない限り、観客にはキャラクター名が不明だった。

◆井関(演:田島義文)
新聞記者。出番が結構多い。あの写真をどう見たらそっくりと言えるのか…




【怪獣】

ラドン
水爆実験や阿蘇の火山活動やらいろんな原因により誕生した、翼竜プテラノドンの生き残り。の時点であり得ないくらいデカイ。
マッハ1.5で飛行し、その衝撃波(ソニック・ブーム)で地上を根こそぎ破壊する。飛んでるだけで都市を壊滅させてしまう人間にとって大迷惑なやつなのだ。

劇中では2体登場するが、伏線が一度しか提示されないので、ちゃんと話を聞いてないと混乱する。
ゴジラシリーズに登場する個体との関係は未だにハッキリしない。
空中戦の凄さは概要で述べた通り。主役なだけあってコイツらの登場からがこの映画の本番である。
通常のスーツ、飛行モデル、上半身ギニョール、子供の各造形物を使い分け撮影された。

一方、特撮映画として初めての本格飛行怪獣だったため、撮影は苦難の連続だったらしい。
特にアクターが中に入ったままでワイヤーで吊り上げ撮影するという極めて危なっかしい手法が取られており、のちの作品では「人が入っていない状態の着ぐるみを吊り上げる」方式が主流となった。
(一応、本作式の例もある。例えば「モスラ3 キングギドラ来襲」のヤングギドラは助走をつけたまま浮かぶシーンがあり、人が入ったまま吊り上げている)

海外では「RODAN(ロダン)」という芸術家みたいな名前で呼ばれる。外国人には「ラドン」という名は発音しにくいらしい。


メガヌロン
2億年前の巨大な古代トンボ「メガヌロン」の幼虫。要するに超巨大ヤゴ。
石炭層の中の卵が復活し大量発生。人間を襲いはじめた。
結局はラドンの餌だが、観客に姿を見せず人間を狩り、襲われた人間の死体の描写もあってラドンよりも怖い。
作中のホラー担当。この映画でトラウマができるとしたら、間違いなくコイツのせいである。スーツは3人で動かす大きなもの。

後にリニューアルされてゴジラシリーズ登場する。同作ではメガニューラ→メガギラスに進化できることが判明したが本作でも同様だったのかは不明。



【兵器】

◆24連装ロケット砲車
見た感じ実際にありそうだが、実は東宝特撮映画オリジナルな兵器。通称「ポンポン砲」。
初出は『ゴジラの逆襲』で、この映画以降も頻繁に登場している。
ちなみに「ポンポン砲」という名のガラクタ兵器自体は実在しているが、これとは全くの別物である。

◆ノースアメリカンF-86Fセイバー
55年から航空自衛隊の主力機であり、東宝特撮映画にも結構出てくる。

◆シコルスキーS-51
アメリカ製の軍用ヘリコプター。「バキ」のシコちゃんとは関係ありません。今の内に言っとく。

◆M24チャーフィー軽戦車
52年から自衛隊に配備された、アメリカ軍の戦車

◆オネスト・ジョン
55年に在日米軍に配備された、無誘導対地ロケット弾。当時、核弾頭を搭載できることから、国会で問題になったヤバい代物。
ガチムチ天使とは関係n)ry…



【余談】

クライマックスの阿蘇山の噴火シーンは二百坪と百坪の大がかりなセットを作り、専門家に教授された噴火のメカニズムを再現、溶鉱炉をそのまま持ち込むという力の入り様だった。

なお、最後のラドン落下シーンの際に操演のピアノ線が切れてしまったのだが、円谷英二特技監督が操演のアドリブと勘違いしていたこともあり、ピアノ線が切れたまま撮影が続行された。
しかし、ラドンの動きが不自由になることで、却って悲壮感が出ていると好評になったそうだ。

撮影中の事故で佐原健二が大怪我を負うも2日しか休ませてもらえなかった。その事を知った佐原の先輩である鶴田浩二が「佐原のことを殺す気か!?」と撮影所に怒鳴り込んできたことも。



追記・修正は二人がかりで、マッハ1.5で飛びながらお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 東宝
  • 特撮
  • カラー
  • 映画
  • 怪獣
  • ラドン
  • メガヌロン
  • ラドン追撃せよ!
  • 福岡県
  • 長崎県
  • 佐世保
  • 熊本県
  • 阿蘇山
  • 東宝特撮映画
  • 空の大怪獣ラドン

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年03月05日 18:55