ペガサス級強襲揚陸艦/改ペガサス級強襲揚陸艦

登録日:2012/06/25 Mon 11:23:34
更新日:2023/11/20 Mon 18:28:28
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ペガサス級強襲揚陸艦及び改ペガサス級強襲揚陸艦とは、機動戦士ガンダムシリーズに登場する宇宙戦艦である。


ペガサス級強襲揚陸艦

諸元

※データは2番艦ホワイトベースのもの。

建造:地球連邦軍ジャブロー基地 Aブロック1号ドック
所属:地球連邦軍
分類:強襲揚陸艦(または宇宙空母、全領域型戦艦など)
全長:262m
全高:93m
全幅:202.5m
全備重量:32,00t
推進機関:4連装熱核ハイブリッド・エンジンシステム
     ミノフスキークラフト・システム
装甲材質:ルナ・チタニウム合金
武装:52cm連装主砲 ×1基
   偏向型連装メガ粒子砲 ×2基
   前部3連装ミサイルランチャー ×8基
   後部ミサイル発射管 ×8門
   連装対空機関砲 ×18基
有効射程:地上72km
搭載数:モビルスーツ ×6~9機
    航空機 ×10機
    ガンペリー ×1機
    スペースランチ ×2機以上
乗員:最大500名


ペガサス級強襲揚陸艦とは、一年戦争が勃発した宇宙世紀0079年当時の最新鋭艦である。
地球連邦軍としては初めてモビルスーツ(MS)搭載運用能力を備えているのが特徴。

改ペガサス級はその改良型である。こちらについては後述。


なお、この艦には様々な名称が存在するが、本項目では現在の公式見解に則り“ペガサス級”と表記を統一する。




誕生の経緯

ペガサス級は元々、一年戦争以前に発動された地球連邦軍初の宇宙空母開発計画“SCV-X計画”、その中でも“SCV-27計画(またはSCV-27A計画)”によって建造された宇宙空母(SCV)であり、本来の搭載機は宇宙戦闘機FF-S3セイバーフィッシュ12機が予定されていた。

宇宙世紀0077年に宇宙戦艦(SBB)の名目で議会の承認を得て翌年2月に地球連邦軍本部ジャブローのAブロック1号ドックで建造が進められていた。
しかし一年戦争開戦当初の惨敗でMSの有用性が知れ渡り、“V作戦”が発動されると、その成果であるRXシリーズの母艦としてMSの運用を前提とした改修が施される。

そして完成が遅れた1番艦ペガサスに先んじて2番艦ホワイトベースが9月1日に竣工、ムサイ級軽巡洋艦一隻に付けられながらも同月18日にサイド7に入港することとなる。
その場凌ぎの試作運用艦ではあったもののホワイトベースの活躍や連邦軍へのMSの普及もあり、その後も次々と同型艦や改良型が就航していった。

なお、本級は当初1番艦ペガサスの完成が遅れたことで先に完成した2番艦ホワイトベースの名を採って『ホワイトベース級宇宙空母』や『ホワイトベース級揚陸航宙空母』など様々な名で呼ばれていたが、一年戦争終結後正式に『ペガサス級強襲揚陸艦』として統合された。





性能と特徴

地球連邦軍の従来の艦船とペガサス級の大きな違いは、やはりMS運用能力の有無にある。
ビンソン計画で建造されたマゼランサラミスにも一応の搭載能力が付加されていたが、所詮は付け焼き刃でしかなかった。
その中でもペガサス級は建造途中でMS母艦としての機能を付加されたため、連邦でもまともにMSを運用出来る数少ない艦船である。
搭載可能な数は6機とも、9機以上とも言われている。
特にセットで搭載・運用を想定していたRXシリーズの為にコアブロックの換装システムを備えたカタパルトデッキなど、専用の設備も設置されている。
また本級に搭載された大型カタパルトによるMS投射能力は同時期のジオン艦艇にすらなかったもので、まさに時代を先取りした船であった。


そして、もう一つの特徴として上げられるのがオプション無しでの大気圏離脱入能力とミノフスキークラフト・システムによる飛行能力である。浮遊したまま後退ししたり低空での飛行したりVTOL方式の軟着陸や発進も可能とジオンのザンジバル級機動巡洋艦にない機動力をもつ。
これによって最低限の整備で大気圏内外のあらゆる戦場で行動が可能であった。


武装面では本級の兵装としてサブブリッジ上部に実体砲弾式の連装主砲を1基、 前足 基部の円形シャッタードーム内部に偏向型連装メガ粒子砲を2基装備している。

これらの兵装は従来の艦艇と比べても非常に強力な装備で、特に実弾主砲は口径52cm*1、弾頭重量2t、最大射程72kmという艦載砲としては破格の大口径砲の物であった。*2

また、シャッタードーム内に搭載されている偏向型連装メガ粒子砲は無砲身の特徴的な構造で、砲口の上下に備わるミラーによって仰角を付ける風変わりなものであったが、あまり上手くいかなかったのか改装後の前期型や後期型には砲身のある新型に換装されている。

一見するとその戦力は極めて高いように思われるが、実際の個艦戦闘能力は中途半端で、あくまで巡洋艦並みと言わざるを得なかったという。
特に威力が強過ぎ、反動のある大火力の兵装は地上ではおいそれと使えず、それを補う副砲の類も無い。
艦の形が箱型の割に砲塔の配置個所も散漫なので(特に主砲)斉射もし難く火力の指向性にやや問題が有る。

それ以外にはミサイルランチャーや格納式機関砲など射程の短い近接迎撃兵器しか備わっていない為、防衛は専ら艦載機であるMS頼りであった。


MS運用能力や整備能力の信頼性やリニアカタパルトの評価は高く、後のアレキサンドリア級重巡洋艦アーガマ級強襲用機動巡洋艦の参考となり、
さらにそこからドゴス・ギア級大型戦艦アイリッシュ級戦艦ラー・カイラム級機動戦艦などに繋がっていく。

しかしながら、後に連邦軍艦の集大成となるカイラム級には直接的にはペガサス級の面影は見られず、特に格納・展開式のカタパルトは本級のみの特徴で終わった。
むしろMS運用母艦として後代の基礎となったのは長いカタパルトを露出させるアレキサンドリア級だろう。
宇宙から地上までを網羅する汎用性も、アーガマ級・カイラム級など継承者はいるものの、全体としては珍しい装備にとどまった。


さて、ペガサス級の特徴と言えばやはり名前の通り天馬を連想させるその威容であろう。ジオンが「木馬」と呼んだ所以である。

このような外見なのは、特徴的な固定翼、前後に伸びたMSデッキとエンジン、そしての頭の様に伸びた艦橋が原因だが、そのような特異な形状になったのは船体がブロック構造になっている為である。
僅かな期間でMS母艦への設計変更が容易に行えたのはこの為。
被弾箇所の切り離しも迅速に行えるので、ダメージコントロール能力も高い。
配置も艦本体を囲む形に配置されていて、いざというときの盾代わりになるので致命的なダメージを避けられた。

事実、かのホワイトベースはア・バオア・クー攻略戦で左舷エンジンに被弾した際に切り離しを行い、座礁するものの轟沈は避けられた。*3

翼のような部分は太陽光発電パネル兼放熱板だが、大気圏内では技術的に未成熟なミノフスキー・クラフト・システムを空力的に補助する役目を持ち、割と重要な部分だったりする。


現在の形になるまで試行錯誤があったようで、建造案の中には二段式飛行甲板やより大型のエンジン、果てはドリルなんて物も…
ドリルを考案した奴は何かキメてたのだろうか? あるいは海底軍艦でも見ていたのか。


一見すると万能な多用途艦に思えるが、あまりに建造を急ぎ過ぎたが故に多くの問題を抱えていた。
富野監督はホワイトベースを指して

「戦争初期の敗北で生産能力の激減した連邦軍が単艦多用途を追求するあまりに火力は戦艦以下、速さは高速艇以下、物資輸送能力は輸送艦以下の中途半端な艦が出来上がった。」

としている。
作画中も特に地上では「どう考えても戦闘機に簡単に落とされる」と嘆いていたらしい。

特にエンジンは大変な問題児であり、初期に建造されたものは不調やトラブルなどの問題を度々起こしていた。
この欠陥の解消は前期型のペガサス級では解決を見ず、4番艦サラブレッド以降で設計が見直されるまで待たねばならなかった。


ちなみに、最初期の艦はブリッジがかなり広く作られており、重力ブロックが設けられていたりと妙に居住性が高いことから、参謀などの多数の上級将校を乗せ後方寄りで運用する艦隊旗艦型の運用が為される予定だったのではないかとも言われている。




改ペガサス級(サラブレッド級)

ペガサス級は急造の試作運用艦であるが故に数々の問題を抱えていた。
改ペガサス級(準ペガサス、準ホワイトベースとも)は、そんなペガサス級の設計を大きく見直して欠陥を解消した後期型のペガサス級である。

4番艦のサラブレッドが1番艦となったことから「サラブレッド級」とも呼ばれ、系統も宇宙攻撃空母(SCVA)に変更されている。

中でも戦後アナハイム・エレクトロニクス社で建造された7番艦アルビオンは従来のペガサス級とは一線を画すタイプで、あらゆる面で設計変更が行われた。
その為に器用貧乏感が否めなかった前期型に比べてあらゆる面で優れた能力を獲得、優雅な外観に反して高い性能を持つに至っている。

なお、4番艦サラブレッド以降に建造されたものはほぼ全てが改ペガサスだが、建造開始時期の都合なのか5番艦ブランリヴァルのような初期型名義のペガサス級*4もわずかながら確認されている。




G級戦艦

近藤和久氏の漫画『ジオンの再興』に登場する万能型艦艇の一種。
ペガサス級をベースに開発されていて、基本構造もそれに準じている。
名称こそ「戦艦」だが、艦籍コードはペガサス級同様「CVS」なので扱いとしては宇宙空母であるらしい。
なお、本級の登録されている艦は全て「G」で始まる名称で統一されている。

現在のところオフィシャルな作品には登場しておらず、半ばグレーな存在となっている。




一年戦争以降のペガサス級

一年戦争中には複数が各所で活躍(例外あり)したものの、高コストの割に器用貧乏な面が祟ったのか、それともより洗練された艦船が開発されたためか、戦後に数隻が建造されたに留まり、連邦の主力艦種とは成り得ずに歴史の中に消えていった。

サラミスやマゼランなどとの性能差が高く連邦得意の大規模陣形運用などに組み込み難いという点が問題視されていた可能性は有る。
アニメなどの創作では映える一隻のみのワンオフ多用途高性能艦艇も実際の戦争、特に戦略・兵站的観点から見れば無駄が多く扱い辛い代物であり
後代のネェル・アーガマも似た様な問題を抱え、特務艦扱いされていたりもする。

一年戦争以後、特にデラーズ紛争やグリプス戦役期以降は多数の艦艇による大規模な艦隊戦から少数の万能艦による電撃戦寄りに戦争形態がシフトしていったので、
改ペガサス級以降の戦略的価値はあった筈だがカイラム級とクラップ級の様にやはり消耗部品などを揃えたほぼ同一の艦型の艦を
大量生産し大規模連携で運用する方が最終的な勝利を拾い易かったのだろう。

しかしペガサス級のコンセプトは確実に後世のラー・カイラム級ドゴス・ギア級へと昇華されていった。


常に華やかな場所から遠ざけられてきた“天馬”は、その姿こそ消えたものの確実にその血を残していったのである。





ペガサス級強襲揚陸艦の同型艦

改ペガサス級強襲揚陸艦の同型艦

建造が正確に確認出来るものは以下の通り。()内は改ペガサスとしてのナンバーとなる。

1.ペガサス
2.ホワイトベース
3.ホワイトベースⅡ(ホワイトベースJr)
4(1).サラブレッド
5.ブランリヴァル
5(2).トロイホース
5(2).グレイファントム
6(3).スタリオン
7(4).アルビオン

この他、漫画作品等やパラレルワールドの宇宙世紀にも同型艦やバリエーションが登場する(カタナのトロイホースⅢ等)。

実験的な要素の強い艦艇だった為か個々で形状が大きく異なり、同型艦でも完全に同じ外観の物は少ない。

ゲームでの活躍

SDガンダムX,GX、GNEXT、GCENTURY

サラミスも万能WS扱いだったXを除けば地球連邦の万能戦艦として攻略の要となる。
逆に敵対する場合は一刻も早くMSをけしかけて沈め敵の進軍を阻害するよう心掛けたい。
ちなみにGXではエゥーゴも地球連邦扱いだったため上位互換はアーガマであり、ティターンズ側の万能戦艦は搭載がホワイトベースと同じグレイファントムとアーガマと同じアルビオンだったが、GNEXTからはエゥーゴが独立した&アルビオンのスペックが大幅に下げられたため連邦での万能戦艦上位種がなくなり、連邦>ホワイトベース&アルビオン、ティターンズ>アルビオン、エゥーゴ>アーガマ&ネェル・アーガマ、リガミリティア>ホワイトアーク&リーンホースJrという構図に

ギレンの野望(シリーズ)

地球連邦の万能戦艦としてペガサスと改良型のホワイトベースが初代から登場。
大抵のナンバリングで8マス以上の移動能力を持つため、移動適性が△の空中でも4マスは動けてそんなにストレスは感じない。そして対空能力は〇で武器の射程にも優れるためジオンの航空機(隣接してないドダイザクを含む)を片っ端からアウトレンジで落としてくれるし耐久もペガサスの時点でザンジバルを大幅に上回る。
何よりもうれしいのはV作戦を実行すれば見かけの必要技術をすっ飛ばしていきなり開発&生産が可能になること。そのためかなり長い間(1年戦争限定シナリオなら文字通りエンディングまで)どこでも使えるMS拠点&遠距離射撃戦力としてお世話になる。

ジオン側としてはガンダム以上に喉から手が出るほど欲しい逸材だが、ホワイトベースのほうは設計図の奪取は不可能だが原型艦のペガサスのほうは運が良ければ奪取して生産できるし、キシリアのブーイングを無視してランバ・ラルドムを補給すればガンダムの撃破に成功しガンキャノンやガンタンクと共にホワイトベースを一隻鹵獲してくれるため、是非ともイベントを成功させ手に入れ戦力として活用しよう。え、整備はどうするのかって?知らんな。

戦士達の軌跡

アムロカイハヤトセイラ編では母艦として登場し、撃沈されると作戦失敗になる。
2連メガ粒子砲・2連大砲・ミサイル・機銃といった数々の武装を搭載しており、メガ粒子砲や大砲はもちろん、レベルが低い序盤では機銃でも脅威になり得る。
しかし、耐久力こそ高いが原作通り狙われやすく、素早く敵を処理していかないとブライトの「総員退避~!」の断末魔を何度も聞くことになってしまう。
逆にジオン編では破壊対象として登場するため、撃沈すれば基本的にクリアだが*5、Sランクを狙う場合はガンダムガンキャノンガンタンクも合わせて倒す必要がある。
なお、ミッションによっては各砲座を収容した非武装の状態で登場することもあり、展開の有無によってステータスが若干違う。


ガンプラ

MS以外の商品展開に乏しいガンプラだが、かろうじてホワイトベースとアルビオンが発売されている。
ただし、色分けや組み立て易さという点ではあまり初心者向けではない。

旧キットからホワイトベースが1/2400と1/1200スケールで発売。
1/2400は特にギミックも付属品も無い白の単色整形だが、1/1200は赤、白、青の3色のランナーで構成されており、ハッチの解放ギミックと同スケールのガンダム、ガンキャノン、ガンタンク、ガンペリー、主砲が付属し、収容して遊べる。
ただしデッキ内部までは造形されておらず、左右カタパルトハッチも展開式ではなく取り外し式に留まる。


2000年代にはEXモデルからホワイトベースとアルビオンがキット化。
ホワイトベースは成型色が赤、白、灰とやや地味めになったがカタパルトデッキ内部まで造形され、艦載機もガンキャノン2機目とGファイター、コア・ブースターが加わった。
また、新たにメガ粒子砲もTV版と劇場版の2種類が付属、エンジンも側面の外装が取り外し可能となり、エンジン切り離しギミックと念願のカタパルトハッチ展開も可能になった。

一方アルビオンは白の単色成型で付属品もGP-01とGP-02の2機、差し替え用のメガ粒子主砲、カタパルトパーツと遊びの幅は減ったが、カタパルトパーツは金属製となっている。
後にメッキバージョンも発売された。




余談

  • デザインは大河原邦男氏によるもの。
    モチーフはスフィンクス。

  • 元々は『無敵鋼人ダイターン3』に登場するメカだったものを流用している。
    そのため、ガンダムの登場メカでは最も早くデザインされたメカである。

  • 機動戦士ガンダム』の準備稿であった『フリーダム・ファイター』の時点では「フリーダム・フォートレス」という名前で、この時点ではロボット兵器の登場予定がなかった為、このフリーダム・フォートレスこそが主役メカであった。





追記・修正はエンジンの出力が上がったらお願いします。

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最終更新:2023年11月20日 18:28

*1 異説として58cm説、88cm説がある。

*2 なお、これでも連邦軍最大ではない。連邦海軍のジュットランド級戦艦は600mm3連装砲を主砲としている。

*3 最終的に轟沈したが、これは着底した要塞そのものが爆発したため。

*4 ただし、ブランリヴァルも最初期型に比べて大幅に改良されている。

*5 シャア編では序盤は破壊対象に設定されているものの、終盤になるとガンダムの撃墜が目標になるので脇役扱いになる。