ミニラ

登録日:2011/06/23 Thu 22:50:09
更新日:2024/01/19 Fri 22:45:15
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ミニラとは、『ゴジラシリーズ』に登場する怪獣である。ゴジラの子供として有名である。
なお、本項目ではミニラ以外の、ゴジラの子供的存在といえる怪獣についても取り扱う。



【ミニラ】

初登場は『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』。以降、『怪獣総進撃』『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』に登場した。
その後は登場の機会がなかったが、2004年の『ゴジラ FINAL WARS』で久々の登場を果たした。

当時、特技監督を務めた有川貞昌氏によれば、「ゴジラの子供というキャラクターが作られたのは、特技監督が円谷英二氏から世代交代したため、その記念もあるのでは」と語っている。

デザインには当時人気だった漫画『おそ松くん』の登場キャラクター・チビ太をイメージしたとされており、ゴジラの子供でありながら、どちらかと言えば人間にも似た顔立ちとなっているのが特徴。
ただし、初代ゴジラのスーツアクターを務めた中島春雄氏は「ゴジラの方が(顔つきが)かっこいい」と評していたが。
なお、元ネタのチビ太本人は後に巨人になったり、コラボ企画でジャミラになったりしているが、ミニラにはなっていない。

昭和のミニラのスーツアクターは一貫して小人のマーチャンこと深沢政雄氏が担当しており、その極端に小さな体格を生かした芸が起用の決め手となった。
ちなみにスーツはかなり動きにくいものだったのだが、それが却って子供らしい動きに繋がったとか。


怪獣島の決戦 ゴジラの息子

ゾルゲル島にあった卵から誕生した。卵の中にいた時からある種の電波でゴジラを呼んでいた。
誕生直後にカマキラスに襲われるが、間一髪でゴジラに助けられ、その後はゴジラに世話をされていた。
島の娘のサエコには木の実をもらったためか懐いており、サエコについて行こうとしてゴジラに止められ、ダダをこねていた他、カマキラスがサエコに襲い掛かった際には俄然と立ち向かった。

ゴジラからは放射熱線の吐き方をややスパルタ気味に教わったものの、普段は上手く吐けず、ドーナツ状になってしまう。
しかし、尻尾を踏まれたり、何かしらの切っ掛けがあると普通の熱線を吐ける。

クモンガに実験隊が襲われた時に出くわし、そのまま交戦。
クモンガの糸で身動きが取れなくなったが、ゴジラに助けてもらい、最後はゴジラと共にクモンガの打倒に成功。
最後は実験隊によって降られた雪の中、ゴジラと共に眠りについたのだった。


怪獣総進撃

怪獣ランドでゴジラや他の怪獣と共に過ごしている。
最後の決戦に一番乗りし、キングギドラとの戦いでは首の一本を倒した。最後はまた怪獣ランドで過ごしている。


ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃

他の怪獣同様、一郎のの中に登場し、日本語で会話する(CV:内山みどり)。
一郎が現実でガバラというガキ大将にいじめられていたように、ミニラもまたガバラという怪獣にいじめられていた。
一郎と仲良くなり、一郎に励まされてガバラに逆襲する。また、現実で一郎が強盗に捕まった時は、ミニラが一郎に勇気を与えた。

一郎と夢のミニラだが、どちらもガバラという名の存在にいじめられている点や、親=ゴジラとは普段はあまり会えてない点から、一郎=ミニラとも考えられる。
一郎がミニラを励ましてガバラと戦ったように、ミニラに勇気をもらった一郎は強盗に立ち向かった。
そして、ミニラを最後は大人のゴジラが助けたように、一郎を大人の警察が助けている。

夢と現実で互いに勇気を与え合い成長するストーリーはなかなか良い。


ゴジラ FINAL WARS

スーツアクトレスは神尾直子(造形を手掛けた若狭新一氏の要望によるもの)。

富士山中で猟師の田口左門と孫の健太に発見され、以降行動を共にするように(この時のBGMは『ゴジラの息子』の流用)。
当初は人間大のサイズだったが、ゴジラとアンギラスラドン、キングシーサーの戦いを見届けてリング状の熱戦を吐いた後、突如として20mまで巨大化した。
最後は健太と共にカイザーギドラとの戦いを制したゴジラと、尾崎真一ら大人達の間に立ち、それ以上戦わないよう無言で訴えた。
そして立ち去るゴジラについて行った。

武器はリング熱線、放射熱線だが、今作では一切戦わず、放射熱線もゴジラの真似をして吐くのみ。

デザインは後述のベビーゴジラを手掛けた西川伸司氏によるもの。
また、造形物はぬいぐるみの他にアップ用(上半身のみ)と、ラストシーン用の人形が造られている。


【ベビーゴジラ】

ゴジラVSメカゴジラ』に登場。
ベーリング海のアドノア島で発見された卵から誕生した、ゴジラザウルスの幼体。
プテラノドンの巣に託卵されていたらしく、先に誕生したラドンからは兄弟のように思われていたらしい。
同時にゴジラにとっては唯一の同朋と認識されている(ゴジラとの直接の血縁関係はない)。
そのためゴジラ、ラドン双方からかけがえのない同胞として求められるが、本人は研究所で世話をしていた五条梓に懐いている。

ベビーの研究でゴジラの対策が進み、さらにベビーを使ったおとり作戦が実行された。
最後にゴジラが勝利した後は三枝未希に野生の本能を呼び戻され、ゴジラと共に海へ帰った。

人間の周辺で育ったせいか、花(最初に口にしたのが花瓶に活けてあった生花)とハンバーガーが好物である。


スーツアクターは破李拳竜、デザインは西川伸司が担当。
デザインの方向性について「ゴジラの子供」と「ゴジラザウルスの子供」という二案が浮上し、後者のコンセプトを取り入れたという経緯がある。

造形物は着ぐるみのとメカニカルモデル(上半身のみ)が製作された。
前者については戦闘シーンが無いという事もあって、特殊メイク用のフォームラバーが使われた(おかげで破李拳竜氏は身に着ける際に破かないよう気を遣わなければならなかった)他、スタッフのお遊びで尻尾の先にも背鰭が追加された。


【リトルゴジラ】

ゴジラVSスペースゴジラ』に登場。
ベビーゴジラが放射能の影響なのか、身長30mでマスコット状に成長した姿。
ちなみに劇中では「ベビーゴジラ」もしくは「チビゴジ」と呼ばれており、「リトルゴジラ」の名が劇中で呼ばれるのは次回作になってから。

バース島で監視付きではあるが、平和に過ごしており、また人に懐くようになった。ゴジラもたまに上陸していた模様。

スペースゴジラに襲われ、ゴジラに守られるがクリスタルに閉じ込められるも、スペースゴジラが倒された事で解放された。


『ゴジラ1954-1999超全集』に掲載された川北紘一監督のインタビューによれば、アンケート調査でもう一度見たいキャラクターNo.1にベビーゴジラが選ばれた結果、登場する事になったという。

デザインはベビーゴジラ同様、西川伸司氏が手掛けており、ベビーゴジラのデザインで没になった「ゴジラの子供」のコンセプトが取り入れられている。
だが、東宝側から「女性や子供の集客率アップ」という要請を受けた結果、ベビーゴジラから一転して丸っこい姿となった点については賛否が分かれている。


【ゴジラジュニア】

ゴジラVSデストロイア』に登場。
バース島の核物質が反応を起こし沈没した際の影響でリトルゴジラが変化した姿。
その存在は映画公開までのシークレット扱いとなっており、おかげで平成ゴジラVSシリーズ(坂井孝行版)はえらく苦労したらしい。

まだ小さい事から「ジュニア」と呼ばれ、リトルゴジラの名残である緑色が残っている他はゴジラに近い姿になり、本当の息子であるミニラよりゴジラに近い。
ただし、スタイルはだいぶん前傾姿勢で、そこはゴジラザウルスにも似ている。
本格的な熱線も吐けるようになり、熱線の周囲に泡状の粒子が見られるのが特徴。
身長40mという事だが、リトルの頃と比べると頭部はむしろ縮んでいるのでは…… 
また、鯨の死骸が見つかった事から鯨を捕食した可能性が指摘されるなど、リトルより性格が凶暴化している(一応、『三大怪獣 地球最大の決戦』のゴジラも鯨を追いかけていたが)。

住処を失った後は故郷でもあるアドノア島に向けて北上。
途中でゴジラをデストロイアと戦わせるために未希達に誘導されたが、デストロイアに襲われた未希達を救い、デストロイアと交戦。
生まれて初めての実戦がよりによってデストロイアということもあって終始苦戦していたが、一瞬の隙を突いた熱線の連射で勝利し、ゴジラと再会するが、復活して完全体に爆発進化したデストロイアにさらわれ、殺される。
ゴジラがエネルギーを分け与えても起き上がる事なく瞳を閉じ、怒り狂ったゴジラはデストロイアに凄まじい報復を行った。

しかし、その後……

続きは自分達の目で確かめてほしい。


デザインは西川伸司と岡本英郎の両名が担当し、西川氏にとってはベビーゴジラ・リトルゴジラに続いての登板となった。
デザインコンセプトは「ゴジラと恐竜の中間」のイメージとのこと。
当初はゴジラとして成長した姿の新規デザインもあったのだが、予算やスケジュールの兼ね合いで没になった。
次に控えていたハリウッド版ゴジラへの布石とする意図もあったらしく、互いにデザインを送り合っていたらしい。
また、造形物はベビーゴジラ同様、着ぐるみとメカニカルパペット(上半身のみ)が製作された。


【ベビーゴジラ'98】

マグロ喰ってるイグアナ……もとい、ローランド・エメリッヒ版『GODZILLA』に登場するゴジラの幼体。

劇中ではマジソン・スクエア・ガーデンの地下に産み付けられた200個もの卵から孵化。
生まれて短時間で歩行や走行が可能であり、早いうちから捕食行動を行える*1。マシンガンが通用していなかったのを見るに皮膚もそれなりに硬いようである。
これらが成長でもしようものなら「人類に打つ手はない」のキャッチコピーもあながち間違いではないのかもしれない。

しかし一箇所に卵を集中して生んでいたのが災いし、最終的にはMSGごと爆破するという方法で卵やベビーは全滅させられた。
……と思いきや、ラストに1個だけ無事だった卵からベビーが孵化し……という場面で映画は終わる。
実現することはなかったが、構想されていた続編ではこの生き残ったベビーが成長して活躍するものとなっていた。
そしてそのプロットはアニメ『ゴジラ・ザ・シリーズ』において実現することになる。

なお、ベビーゴジラの一連のシーンそのものはベビーの見た目も相まって「数年前公開されていた某恐竜映画のラプトルのパクリじゃねーか」と評する声も少なくない。

余談だが、鳴き声は某破壊大帝の原語版ボイスでお馴染みのフランク・ウェルカー氏が演じている。

アニメ映画版3部作の前日譚小説『GODZILLA 怪獣黙示録』にも親共々登場。
厳密には怪獣の中の種としては「ジラ」扱いなので、「ベビージラ」といったところだろうか。
フランスのルーアン近郊にて欧州奪還軍と戦闘、異常な繁殖力によるベビーの群れが囮となって親が奇襲するという集団戦法で人類を苦しめた。
最終的にメーサーとレールガンの一斉射撃により倒されたものの、全滅は困難を極め、核使用すら検討される事態になった。


【余談】

ミニラはあの『グリーンマン』にも登場していた。これがミニラの昭和作品最後の出演だから悲しい。

本によっては『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』以降のアイドル・ヒーロー化したゴジラは人懐っこいミニラが成長したものという説が唱えられており、それを表すかのように「ミニラ成獣」というトイカードも存在している。
だが、そうすると時系列では最後になる『怪獣総進撃』ではまだミニラの姿のままという矛盾が発生してしまうが。

先述の小説『怪獣黙示録』に記されている、日系ブラジル人アルベルト・イチロウ・サントスの証言にて、
彼がとある事情で南米に迷い込んだ際、「ミラ」という名の少女に救われ、2人で協力して森で暴れまわっていた怪獣・ガバラを相手に戦った事などが語られており、ご丁寧に地の文でも「眉毛が太い」と評されている。
これらは恐らく先述の「イチロウ」という名前やガバラとの戦いなどから『オール怪獣大進撃』」における一郎少年とミニラのオマージュであろう。

声優の花澤香菜は「ミニラに似ている」と昔言われていたらしい。

アメゴジの赤ちゃんよりミニラやベビーがいいという方は追記・修正をお願いします。

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最終更新:2024年01月19日 22:45

*1 劇中では匂いがついていたために人間を襲っていたが、本来は一応魚食が中心。また予定されていた続編では怪獣化した昆虫を食べるという構想があった。