偽りの名 シャーロック

登録日:2012/06/03 Sun 13:41:20
更新日:2024/04/13 Sat 23:05:57
所要時間:約 11 分で読めます






さあ、選ぶがいい。


従属か 死か。



《偽りの名 シャーロック》とは、TCGデュエル・マスターズ」のクリーチャー。
DMR-04「エピソード1 ライジング・ホープ」に収録された5体目のアンノウンであり、エピソード1のラスボスである。

他のアンノウンの例にもれず、このクリーチャーの名前の元ネタもスパイ・暗殺者から取られており、こちらはみんなよく知る作家コナン・ドイルの生み出した名探偵「シャーロック・ホームズ」から。
どうしてルパンではなくホームズなんだと突っ込んではいけない。


解説

偽りの名(コードネーム) シャーロック SR /文明 (10)
クリーチャー:アンノウン 23000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、サイキック・クリーチャーをすべて破壊する。
誰も、サイキック・クリーチャーをバトルゾーンに出すことはできない。
Q・ブレイカー
バトルゾーンにあるクリーチャーを相手が選ぶ時、このクリーチャーを選ぶことはできない。(ただし、このクリーチャーを攻撃またはブロックしてもよい)

何と言っても特徴は、「バトルゾーンに出た時、サイキック・クリーチャーすべてを破壊」「サイキック・クリーチャーの呼び出し禁止」という、非常に強力なサイキック・クリーチャー対策能力を有していること。
そのため、このクリーチャー1体いるだけでサイキック・クリーチャーはほぼ完全に封じられてしまうのだ。超次元デッキのデュエリストにとって、これほど厄介なクリ-チャーもないであろう。

同じような能力を持ったクリーチャーに、《ボルシャック・ギルクロス・NEX》がある。
あちらはこちらと比べ、「ドラゴンなので、サポートが豊富」「スピードアタッカーを持ち、アタッカーとしても優秀」と言う利点がある。
しかしギルクロスの場合、《超次元ガード・ホール》等の「除去効果を持つ超次元呪文」に弱いという弱点がある。

それに対し、このクリーチャーはアンタッチャブルを有しているので、除去呪文に対して強い耐性がある。
加えて自身の基本スペックも23000のQ・ブレイカーと言う、あのベジーダ様と同等のものを有しているのだ。

そのため、アンタチャブルと合わせてフィニッシャーとしても十分強力なスペックとなっている。


ところが、いくら能力が優秀でもそれを台無しにする難点がいくつも存在している。

まず、10マナとコストが高いこと。
普通に召喚していたら対策対象であるはずのサイキック・クリーチャーに間に合わないため、使うには必然的にコスト踏み倒しに頼る必要がある。
しかし、コスト踏み倒しの多くは強力であるが故に殿堂入りもしくはプレミアム殿堂となっており、探すのは一苦労。
かつては《ホーガン・ブラスター》《ミラクルとミステリーの扉》《獰猛なる大地》等で踏み倒す方法もあったが、そうすると他にもフィニッシャーが入る構築になるのでシャーロックを優先的に入れる要素が薄れる。
踏み倒すのを嫌ってマナブーストで出そうとしても、10マナもあればシャーロックよりも凶悪なゼニスがいるので…


追い討ちをかけるように、エピソード2・エピソード3の両方にシャーロックよりも強力な超次元メタカードが何枚か出てしまった。

一枚は《「修羅」の頂 VAN・ベートーベン》
彼は11マナとシャーロックよりも重いが、ゼロ文明であるのでマナを支払う時に好きな文明を選べる。
また、召喚時限定だが相手のクリーチャーを全てバウンスするとんでもない効果を持っている。
さらにベートーベンが場にいる間はドラゴンとコマンドを持つ相手のクリーチャーは置き換え効果で墓地送りにされるおまけ付き。
しかも、エターナル・Ωの効果を持っているので全バウンスを数回使える等、シャーロックにほぼ勝っている。

もう一枚は《暴走龍 5000GT》
ベートーベンと《魔光帝フェルナンドⅦ世》と火文明に、ビクトリーレア補正を加えて4ではなく何故か3で割ってしまった結果生まれた狂気のクリーチャー。
シャーロックも真っ青なチートスペックを持つ。詳しい事は項目で。


そして、何よりの難点はシャーロックは完全に対サイキック・クリーチャー用に特化し過ぎて環境に適応できないところにある。
ベートーベンや5000GTはそれぞれシャーロックと同様に全体除去とロック能力を持っているが、連ドラや速攻などの超次元に依存しないデッキにも強い。
一方でシャーロックは相手のデッキに完全に依存しており、最悪マナの肥やしになってしまう。

エピソード3以降も肝心のメタ対象の超次元が再録されないことを見るに、シャーロックが表舞台に立つことはこの先ないだろう。


と思ったらまさかのドラゴン・サーガで意外な活躍をするになった。
カード指定に関する裁定変更である。

かつては「バトルゾーンのカードを1枚選び手札に戻す」といったような能力を持つカードで進化クリーチャーを選んだ場合、進化元ごと手札に戻っていたのだが、
裁定が変更され進化クリーチャーを選んだ場合、一番上の進化クリーチャーを戻すか、下に重なっている進化元になっているカードを戻すかという選択を取るようになったのである。
つまり上のカードをはがして、進化元をバトルゾーンに残すというかつては《ロイヤル・ドリアン》でしかできなかった退化という戦法が取れるようになったのである。

裁定が変更された際は《センジュ・スプラッシュ》というコスト4の水の呪文が用いられていたのだが退化をする以外にはいまいち分が悪く流行ることがなかった。
さらにその後さらに裁定変更が行われ、本来進化クリーチャーから退化したクリーチャーは召喚酔いがなくなるのだが、
進化クリーチャーがそのターン中に出ているのであれば退化しても召喚酔いをするようになってしまった。

その後《龍脈術 落城の計》というコスト3で退化が行える呪文が登場。センジュと比べてコストが軽くなっただけではなく、
S・トリガーでありバトルゾーンのコスト6のカードをなんでも1枚手札に戻すという除去としても優秀な性能を持つ。
この汎用性の高いカードが登場してから再び退化という戦術が流行りだしたのである。
その候補としてまず上げられたのが自身がスピードアタッカーを持ちさらにワールド・ブレイカーでもある《世紀末ヘヴィ・デス・メタル》。
そしてもう1つがこのシャーロックである。

シャーロックの目に行く能力といえばまず超次元メタであるが、パワー23000とアンタッチャブルというだけでも半端ない。
退化してもすぐ殴れないがこの場持ちの良さが評価され、退化の候補としてあげられたのである。
超次元メタの能力も何気に便利であり、《超次元ホワイトグリーンホール》と《勝利のプリンプリン》という凶悪な防御コンボを発動させなくできる。

さらに空気を読むかのように「スーパーレア100%パック」で再録された。
まだ退化という戦術は登場してから日が浅いがその実力は未知数。これからのシャーロックの活躍に期待したい。


背景ストーリー

エピソード1におけるラスボスとして登場。
《エイリアン・ファーザー》、女王《マザー・エイリアン》の仇である《偽りの名 13》を討った《唯我独尊ガイアール・オレドラゴン》と《絶対絶命 ガロウズ・ゴクドラゴン》。
しかし、それすらもまだ前座にすぎなかったのである。2体の前に現れた真打《偽りの名 シャーロック》。彼はその「覚醒を封じる力」により、2体をリンク解除してしまう。
希望の龍が両方ともリンク解除され、なすすべなく倒されていくエイリアン・ハンター連合軍。
追撃をかけるシャーロックにより、王と王女の忘れ形見であり、エイリアン、ハンター両軍の希望の姫である《勝利のプリンプリン》の命までも危うい状況へ追い込まれる。

その時、ハンター5戦士の1人にしてプリンプリンの婚約者である《勝利のリュウセイ・カイザー》がシャーロックの前に立ちはだかる。
彼の活躍で、婚約者にして両軍の希望の姫であるプリンプリンは逃れることに成功する。彼の命と引き換えに…

こうしてエピソード1は、章としては珍しく主人公側の敗北で終わることとなった。だが希望は残されている。受け継がれし双子が、希望をもたらしてくれるであろう。

クロニクル最終決戦デッキ 覚醒流星譚

DMBD-13にて、シャーロックの末路と新たな設定後付け改変が判明した。
シャーロックは「虚無のアンノウン」という通称があり、ゼニスの所持するゼロの力にもっとも近い…所謂ゼニスに限りなく近いアンノウンだった。
覚醒リンクの解除能力は超次元の力をゼロ化させるという手法による能力で、リンク解除後にガイアール・カイザーを瞬殺して彼の魂をDS世界へと追放する。
しかし、《真羅万龍 リュウセイ・ザ・ファイナル》にパワーアップしたリュウセイによって致命傷を受けるが、相打ち狙いでなおも魂を別世界に追放する一撃をリュウセイに放つ。
ところが、その一撃はリュウセイの身代わりとなったガロウズを撃破する形で終わった。

漫画版

漫画「デュエマ・ワールド」で登場した際には、絶望感溢れるラスボス的なポジションで登場。
連合軍が希望の双子を守りながらのアンノウンとの戦いを決意した直後に、まず1ページ丸まるシャーロックの姿が手前のオウドラゴンよりも大きく書かれ、

「突如としてそこ(・・)に現れた、それ(・・)はまるで希望と対になるように…、それ(・・)はまさに、絶望そのもの!」

と説明されながら登場。
ここまで2ページ使っているものの、シャーロックはなんと一切喋っていない
ここで最初の台詞で連合軍を追い詰めるがリュウセイの特攻により、ガイアールやプリンプリン等は逃げられてしまう。

しかし、逃げたところでエイリアンの拠点とその主である王と王女、さらには烏合の衆である連合軍の要であった超次元の力を一夜で失った時点で勝敗はすでに決していた。
地上は瞬く間にアンノウンに支配されていったが、荒廃した世界で希望の双子の片割れはたくましく成長していった…


漫画と背景ストーリーの両方とも連合軍に勝利した状態で物語はエピソード2に移るものの、なんとそこにはシャーロックの姿は一切ない。
つまり、ラスボスにして誰にも倒されずに勝ち逃げした状態だった。

今後のストーリーでの再登場に期待したいところだが、エピソード3で《神託の王 ゴスペル》が最後のアンノウンとされ、しかも実は倒されていたことに設定が変わったので絶望的である。


リメイク

超絶の名(スーパーネーム) シャーロック SR /文明 (10)
クリーチャー:アンノウン 23000
Q・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、サイキック・クリーチャーとドラグハートをすべて、持ち主の超次元ゾーンに戻す。
誰も超次元ゾーンからバトルゾーンにカードを出せない。
相手がクリーチャーを選ぶ時、これを選ぶことはできない。(ただし、このクリーチャーを攻撃またはブロックしてもよい)

2017年発売のゴールデンベストにて、スーパーカードとして再登場。ファンを歓喜させた。ファンがいたのかどうかは知らん
スーパーカードの名に違わず効果が強化されており、サイキッククリーチャーだけでなくドラグハートをも対象にとれるように
環境に大きく食い込んだ熱血星龍ガイギンガを筆頭とする強力なドラグハート群を除去出来るというのは大きな強化点。選んでるわけではないのでガイギンガのエクストラターン獲得能力も発動しない。
破壊するではなく超次元ゾーンに戻すというテキストの為、厳密な完全上位互換というわけではないが、実際の使用感覚はほぼ上位互換だろう。


余談

ではここからは少しネタ的な話を。

この通り非常に強力なクリーチャーであり、後述の背景ストーリーから見ても、シャーロックはラスボスとしてふさわしいクリーチャーである。
しかし他のアンノウンたちと比べ、このクリーチャーはイマイチネタとしての人気がない。

と言うのもこのクリーチャー、他のアンノウン達と比べ決定的に違うところがある。それはフレーバーテキストがないのである。
他の主要なアンノウン達はみなフレーバーテキストを持ち、それにより個々人の個性や考え方などがわかり、デュエル以外でもネタとして楽しむことができた。
なのだが、このシャーロックは主要にもかかわらずフレーバーテキストを有していないため、その性格や考え方を図り難い部分があるのだ。

だが考えてほしい。フレーバーテキストが無いというのは、喋れなかったからではなく、寡黙だからと言えるのではないだろうか?
そもそもアンノウンは実在・架空のスパイや暗殺者などから名前をとられている。そのため彼らには撹乱や諜報活動に加え、秘密の厳守等の技能が備わられてしかるべきなのだ。

だが、例えば《偽りの名 ゾルゲ》はどうであろうか?
彼はエイリアンとハンターをいがみ合わせるという、非常にスパイとしての技能が必要とされる任務についている。
にもかかわらず、彼はフレーバーテキストで「そのうちすべては我々のもの」と、いつ誰に聞かれるかもわからない状況で秘密を喋ってしまっているのである。スパイとしては失格であろう。
さらにこれだけならば良かったのだが、あろうことか彼はハンター、エイリアンの前でアンノウンの目的を暴露してしまっているのだ。そのため彼は同僚にも「無様」と言われる大失態を犯している。

それに対し、シャーロックは何もしゃべることはなく、かつハンター、エイリアンの切り札である2体のドラゴンを破ると言う活躍を見せているのだ。

これらの点から見ても、いかにシャーロックさんがスパイとして素晴らしいかがわかるであろう。まさに彼はアンノウンの鏡と言えるのである。
我々はもっとシャーロックさんの素晴らしさについて理解する必要があるであろう。



………………。(ツイキ・シュウセイオネガイシマス)
       ――偽りの名 シャーロック

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最終更新:2024年04月13日 23:05