アーガマ級強襲用機動巡洋艦

登録日:2012/03/04 Sun 20:55:04
更新日:2023/09/27 Wed 03:10:33
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左弦砲撃手、弾幕薄いぞ!何やってる!





アーガマ級強襲用機動巡洋艦とは、宇宙世紀ガンダムシリーズに登場する宇宙巡洋艦である。







アーガマ級強襲用機動巡洋艦

ARGAMA class assault mobile cruiser

諸元

建造:アナハイム・エレクトロニクス社
所属:エゥーゴ
   地球連邦軍
   カラバ
   FSS
全長:323m
MS搭載数:約9機

《武装》
単装メガ粒子主砲 ×4門
単装メガ粒子副砲 ×4門
大口径メガ粒子砲 ×2門
ミサイルランチャー

《改修後武装》
単装メガ粒子主砲 ×4門
単装メガ粒子副砲 ×4門
ハイパー・メガ粒子砲 ×2門
ミサイルランチャー
対空レーザー砲



反地球連邦組織“エゥーゴ”の指導者であるブレックス・フォーラ准将の意向により、エゥーゴの象徴として建造された宇宙巡洋艦の艦級。
資料によっては、単に“アーガマ級強襲巡洋艦”とも。

「強襲巡洋艦」とは現実にはないカテゴリーの艦種であるが、これは元々ペガサス級と同じMSの運用を主目的とする「強襲揚陸艦」とされるはずだったが、火力の増強で揚陸艦と呼べるレベルではなくなったために付けられたものらしい。


一年戦争で活躍した名艦ホワイトベース(というよりはペガサス級)を参考にアナハイム・エレクトロニクス社の支援を得て建造された。
モビルスーツ(以下MS)母艦としての機能を追求しており、二層構造のMSデッキや両舷の開放型カタパルトデッキを有するなど高いMS運用能力を持つ。

火力も単装メガ粒子主砲4門、主砲同軸の副砲4門、シャッター内蔵型の大口径メガ粒子砲2門にミサイルランチャーと、威力は高いが使い勝手の悪い武装が多かったペガサス級から大きく増強された。

また、機動力と高速長距離巡航能力にも長け、艦の外側に配置された非戦闘時に遠心力で疑似重力を発生させる回転式居住ブロックや収納式のブリッジなど居住性や防御力も優れている。


バリュートシステムを装備出来るが、本来は大気圏内での運用は想定されておらず、バリュートも木星圏での重力ブレーキの為の装備である。
ミノフスキー・クラフト・システムは搭載されているが、あくまで月面のような低重力下で活動するための低出力型である。

ただしこの点には艦によって差があり、2回目の改修で高出力型に換装したアーガマや最初から地球上での運用を目的として発注されたニカーヤのように1G用のミノフスキー・クラフトを積むことは可能なので、やろうと思えば活動させることが全く不可能という訳ではない。

しかし原形となったペガサス級と違ってブースターやカタパルト無しでの単独大気圏離脱は無く、自力で宇宙に帰還することは出来ない。
ただし、それらはあくまでエゥーゴやカラバのような大規模な設備を持たない、あるいは使えない非公式の組織だからであって、マゼラン用ブースターなどの流用自体は可能なので、マスドライバー施設を保有する連邦正規軍やそれに近しい組織は普通に打ち上げている。
実際、ペガサスⅢやニカーヤはバイコヌール宇宙基地やキャリフォルニア・ベースのような大規模な基地を経由して宇宙に上がっている。


弱点としてはMS母艦としての機能を追求し過ぎたため、ペガサス級より上とはいえこの時期の艦艇としては火力が乏しく、対MSに必需品とも言える対空砲さえ装備されていないので攻撃や防御は搭載MS頼りだった。
これらの火力面の弱点を解消し、更にMS運用能力を向上させた発展系として建造されたのがアイリッシュ級戦艦ネェル・アーガマである。

これらより洗練された後継艦が早い時期から登場したため、中途半端な立場になった本級はグリプス戦役から第一次ネオ・ジオン抗争の間に数隻が建造されただけに留まり、同時期に活躍したアレキサンドリア級重巡洋艦やアイリッシュ級程普及することはなかった。




武装

  • 単装メガ粒子主砲
前部に1基、艦底部に2基、後部に1基の合計4基備える。
周囲360度方向に常に3門の施行が可能で広い範囲のカバーが可能で、速射性の高さから対空防御にも用いられた。

アーガマ以外ではアイリッシュ級の副砲や、ディープストライカーの主砲に流用されている。

なお、ハイメガ粒子砲の登場後は主砲扱いされなくなってしまった。


  • 単装メガ粒子副砲
主砲身下部の棒状の物が同軸副砲である。(らしい)
特に使われたことはない。


  • 大口径メガ粒子砲
カタパルト下部のシャッタードームに格納された大口径のメガ粒子砲。
ペガサス級と同じくIフィールドでメガ粒子を偏向して発射するタイプで、チャージに時間がかかる為に連射は出来ないものの絶大な火力を誇る。


  • ハイパー・メガ粒子砲
アーガマのみの装備。
メールシュトローム作戦で戦力の大半を失った穴を埋めるべく、第一次ネオ・ジオン抗争序盤のラビアンローズでの1度目の改修でメガ粒子砲と置き換える形で搭載された。
その出力はコロニーレーザーの25%にも及び、ジュドーをして「まるでコロニーレーザーじゃないか!」と評した程の超火力で、廃コロニーの残骸くらいなら一撃で消滅させることが出来る。

これを装備した後はこちらが主砲と呼称されるようになった。


  • 対空レーザー砲
グリプス戦役時は搭載されていなかったが、第一次ネオ・ジオン抗争中のグラナダでの2度目の改修で装備された。

……ということなっているが、実は『Ζ』の序盤から使っているし、なんならヘンケンが「主砲だと街に被害が出るから対空砲火を水平に使え!」*1とまで言っている。

また、ブライトの「弾幕薄いぞ!」も対空砲火を意味していると思われるが、対空機銃の類が無い場合、速射性の高い単装砲を乱射させている可能性がある。

どちらにせよ、劇中では艦のあちこちからビームが飛び出しているくらいの曖昧な描写しかされなかったので何処に装備されているのか、どんな装備なのかは不明。


  • ミサイルランチャー
艦橋後部に設置されているらしいが、具体的な配置は不明。
おそらくクラップ級のように対空防御用のものだろう。

これとは別に艦底部にもミサイルランチャーがあるらしく、第35話でキリマンジャロ基地攻略作戦に掛かるカラバを支援する為に衛星軌道上からの支援爆撃を敢行した。




同型艦


アーガマ

ARGAMA

所属:エゥーゴ → カラバ
建造:アナハイム・エレクトロニクス社
艦長:ヘンケン・ベッケナー中佐 → ブライト・ノア大佐

アーガマ級1番艦。
スペースコロニー・スウィートウォーターでアナハイム社の支援を得て秘密理に建造された。
エゥーゴ艦隊の旗艦としてグリプス戦役や第一次ネオ・ジオン抗争中期までの激戦を駆け抜けた。

建造当初はブレックス准将の趣味から“ホワイトベースⅡ”の名で呼ばれていたが、後にアナハイム社の会長メラニー・ヒュー・カーバインの趣味で上座部仏教の経典「阿含経」から“アーガマ”と名付けられ、そのまま艦級名となった。

なお、“ホワイトベースⅡ”という艦は既にペガサス級に存在する。


【グリプス戦役での活躍】

カミーユ・ビダンシャア・アズナブルクワトロ・バジーナを擁するエゥーゴの中核として地球上以外でのあらゆる局面で登場、活躍した。
当初の艦長はヘンケン・ベッケナー中佐だったが、ブライト・ノア中佐(エゥーゴ参加後は大佐に昇進)のエゥーゴ加盟と共にブライトに艦長の座を譲った。

グリプス戦役の最終局面、グリプス2での決戦でティターンズの艦隊を殲滅することに成功したがアクシズには大きなダメージを与えることが出来ず、エゥーゴもモビルスーツはZガンダムメタスジムⅡネモリック・ディアス数体や艦艇もサラミス改数隻、アーガマ以外のほぼ全ての戦力を失った。


【第一次ネオ・ジオン抗争での活躍】

エゥーゴの数少ない戦力となったアーガマだが、グリプス2での決戦でアーガマ自体も多くの人員と戦力を失った状態でサイド1の1バンチ・シャングリラに逃げ込まざるを得ない状態だった。

そこでジュドー・アーシタ達シャングリラの子ども達をスカウトし、アナハイムのドック艦・ラビアンローズとの接触や月面・グラナダ市への寄港で戦力強化にΖΖガンダムを始めとするMSの受領、主砲のハイパー・メガ粒子砲への換装、ミノフスキー・クラフト・システムと対空レーザー砲とタラップの追加などの改修が行われた。

地球へ降下するネオ・ジオンの艦隊を追って地球へ降下し、ダカールを占拠したハマーン・カーンを脅かした。

ダブリンへのコロニー落としの阻止に失敗した後、アーガマは自力で宇宙へ帰れないためにカラバに譲渡され、クルー達は別れを惜しみつつシャトルで宇宙に戻った。
……しかし、この時期のエゥーゴは連邦の正規の組織として認知されているはずなので、連邦のマスドライバー設備でも借りれば普通に打ち上げてもらえたとは思うのだが……
実際、アーガマを宇宙に還す計画はあったようだが、何らかの理由で実現しなかったようだ。

これ以後の動向は不明である。



ペガサスⅢ

PEGASUS-Ⅲ

艦籍番号:CVW-07
所属:地球連邦軍
艦長:イートン・F・ヒースロウ少佐

アーガマ級2番艦。経緯は不明だが地球連邦軍の所属艦として地球上で建造していた艦で、ニューディサイズによる“ペズンの反乱”に際して急遽編成された討伐艦隊の先遣部隊“α任務部隊”の旗艦としてバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。

改装前のアーガマとほぼ同型だが、ブリッジと居住ブロックの稼働機構がオミットされていたり、ペガサス級を思わせるレーダーアンテナなど微妙な差異がある。
カラーリングも白をメインに青がサブカラーというアーガマと対照的なもの。

ヒースロウ少佐を含めて実戦経験の無い者が多かったが、“ペズンの反乱”における主要な戦闘には全て参加し、手痛いダメージを負いつつも任務を成し遂げた。



ニカーヤ

Nikāya

所属:FSS
艦長:ディドコット・クレイ大尉

漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に登場。
FSS(Federation Survey Service)会長ジル・ブロッケン・フーバーの足としてジャブローまで乗り込んできた。
元々はミノフスキー・クラフト搭載艦を欲したカラバが発注していたものだが、第一次ネオ・ジオン抗争後引き取り手がなくなっていたところをフーバーに引き取られたらしい。

カラーリングはアーガマに近いがカタパルトに赤いラインが入り、艦橋はレーダーがペガサスⅢに近いが下顎?が若干長い独自の物。
ブリッジ、居住ブロックの可動機構やハイメガ粒子砲の未設置など仕様は改装前のアーガマに近いが、最初から1G重力下用ミノフスキー・クラフトを搭載していたり戦闘ブリッジを設置しているなど独自のものも存在している。

ジャブロー戦後はレッド達の母艦としてキャリフォルニア・ベース経由で宇宙に上がり、FSS・キマイラ隊組の母艦として旧ジオンの遺したプラント艦・ミナレットを巡る騒動に参戦する。

ちなみにニカーヤというのは「阿含経」の類義語のこと。



ユーロン

艦籍番号:CVWA-10
所属:エゥーゴ
艦長:フレドリカ・エルメ中佐

漫画『機動戦士ガンダム ヴァルプルギス』に登場。
エゥーゴの参謀本部が対ネオ・ジオン用に向けてアンマン市に発注した艦。

より正確には「アーガマ改級」で、従来のアーガマ級の問題点を洗いだし、キール(竜骨)の延長やエンジンの換装によってアーガマとはほぼ別物と化している。
全体的なイメージとしてはアーガマをベースにネェル・アーガマやラー・カイラム級機動戦艦クラップ級巡洋艦の要素を足したような感じ。

艦名の由来は『西遊記』に登場する「玉龍」から。




ゲームでのアーガマ


スパロボシリーズ

正直なところ、弱い。
やはり武装の乏しさが最大のネックである。

おまけにスーパーロボット大戦シリーズではネェル・アーガマやラー・カイラムまでの繋ぎがほとんどという不遇な扱い。
とはいえ強制的に出撃する機会が多いのも事実なので、改造&必中を覚えさせるとそこそこ戦力になったりする。
あと、アーガマより前の艦がある場合はアーガマでマップ兵器が追加されるのでブライトに稼ぎをやらせる場合はここからが本番ともいえる。
ただ最近のシリーズでは見直され、特にZのように普通に強い場合もある。
ちなみにスパロボのアーガマは多くの作品で最初からハイパーメガ粒子砲が装備されている『ΖΖ』の状態である。違うのはZくらいだが、そのZのアーガマが普通に強いのはある意味皮肉か。
あと、基地から打ち上げている事が多いとは言え、当然のように地上から宇宙に上がったりもする。

SDガンダムGジェネレーションシリーズ

Gジェネシリーズでは改装前が“アーガマ”、改装後が“アーガマ改”として登場する。
改装前のほうは武装の攻撃範囲にクセがあり、火力も低いので非常に使いにくい。
改装後はハイメガ粒子砲を手に入れて戦えるようになる。

GジェネNEOでは本格的にストーリーが始まるSTAGE2から使用可能。どこでも使用可能な万能戦艦で、択一で手に入るネェル・アーガマもしくはラー・カイラムといった新しい戦艦を入手しても、二隻目のチーム母艦として最後まで運用できる。例外はデラース>ホワイトファングルートで金が余裕があるときにリーンホースJrを購入した時ぐらい。

ペガサスⅢは参戦すること自体が稀。
性能では改修前アーガマと同等だが若干キャパシティが多いという特徴がある。

ギレンの野望シリーズ

アクシズの脅威無印と脅威Vに参戦。ジオンの系譜ではMSの方はZ世代まで登場しているのに船の方は0083までのしか登場していないため、万能戦艦はアルビオンで打ち止めとなる。
また、新ギレンの野望でもアルビオンは登場したがアーガマはやっぱり未登場。

そして脅威無印では耐久やMS搭載能力や火力ではアルビオンの方が上だし、アルビオンは脅威から実装された近代改修でバージョンアップが行えるため、新規でアーガマを生産するうまみが少ない。数少ない利点は改修でネェル・アーガマにできることだろうか。

脅威Vでは調整が入り、耐久が大幅に増加した。攻撃・移動に伴う消費が少なく補給線を気にしなくてもよい事、運動性がそこそこあるのでMSの火力が増大している時期的に、アルビオンでは撃沈の危険性があるがアーガマなら耐えるケースが多々ある事など数隻あっても良いレベルになっている。しかし搭載数8という半端な数が9機で3小隊を構成・運用できなくなる欠点が人を選ぶ。

SDガンダムX・GX・GNEXT・GCENTURY

XとGXではエゥーゴやりがミリティアを含む地球連邦チーム、GNEXTとGCENTURYでは連邦から独立軍扱いとなったエゥーゴで生産可能。

いずれのナンバリングでも
  • (サラミスやムサイですら万能扱いだったXを除き)万能戦艦
  • 耐久力が火力がホワイトベースやアルビオンより上
  • ユニットを6体収納可能で、ちょうど周囲のへクスに配置可能

となかなかのスペックを誇る。




立体化

ガンダムシリーズでは艦艇が立体化、ことガンプラになるのは稀だが、アーガマは1/2200スケールの旧キットと1/1700のEXモデルの2つが発売されている。
旧キットは居住ブロックのアームの長短2種類の選択式、EXモデルはアーガマのギミックを一通り再現しているが、どちらも成型色は白一色と高い塗装技術が求められる。

ガンプラ以外だとコスモフリートコレクション、コスモフリートスペシャル、SDならFWガンダムコンバージSBで立体化されているが、どれも現在は入手が難しい。

変わったものではプレミアムバンダイから1/144スケールのHGUC用カタパルトデッキが発売された。
カタパルトの長さは短中長の3つを選べる。







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最終更新:2023年09月27日 03:10

*1 つまりラーディッシュのように主砲・副砲で対空戦闘を行っている訳ではない。