巨大戦艦(遊戯王OCG)

登録日:2013/11/06(水) 14:49:06
更新日:2023/07/24 Mon 21:58:05
所要時間:約 6 分で読めます




巨大戦艦(遊戯王OCG)とは遊戯王オフィシャルカードゲームのカード群。


【概要】

ELEMENTAL ENERGYで登場した「巨大戦艦」と名のついたモンスター群。
属するモンスターが機械族の上級or最上級モンスターであり、下記のようなカウンターを扱う効果を持つ。

  • 召喚時(一部は特殊召喚時にも)カウンターを3つ(カバードコアは2つ)置く。
  • カウンターが乗っていれば戦闘では破壊されない。
  • 戦闘を行うたびにカウンターが1つづつ減ってゆき、0の状態で戦闘を行った場合に破壊される。

ほとんどの巨大戦艦はカウンターを消費して固有のメリット効果を発動することもできる。

このカウンター効果は元ネタの『グラディウス』における巨大戦艦ビッグコアシリーズのシャッターの再現。
コアを守るシャッターをカウンターに見立て、ダメージを受けるたびに破壊を免れる代わりカウンターが減っていき0になったら破壊されると言うもの。
モチーフを上手く再現しているが、OCGにおいてはデメリットとも言える。
しかも、こっちから殴ってもカウンターが減る(突撃でもするのだろうか?)。

なおレアリティは基本的にスーパーレア。
組む際には光り物がズラッと並ぶ高級感あふれるデッキとなる。
…が、(遺憾なことに)需要が低いせいか相場は安め。



【カード】

●モンスター

上級モンスター

  • 巨大戦艦ビッグ・コア
星6/闇属性/機械族/攻2300/守1100
このカードの召喚時にカウンターを3つ置く。
このカードは戦闘によっては破壊されない。
戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時にこのカードのカウンターを1つ取り除く。
カウンターのない状態で戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時にこのカードを破壊する。

初の巨大戦艦。
当時はカテゴリに属しておらず、そのせいで英語名で「巨大戦艦」カテゴリを指す"B.E.S."が含まれていない*1
そのせいで、英語版でのボスラッシュは「“B.E.S.”と名の付いたモンスターまたは“Big Core(巨大戦艦ビッグ・コアの英語名)”」と回りくどいテキストになってしまった。
上級巨大戦艦の中では最大攻撃力だが、元祖であるせいか基本効果しか備えておらず、優先度は低い。


  • 巨大戦艦テトラン
星6/風属性/機械族/攻1800/守2300
このカードの召喚時にカウンターを3つ置く。
このカードは戦闘によっては破壊されない。
戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時にこのカードのカウンターを1つ取り除く。
カウンターのない状態で戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時にこのカードを破壊する。
またこのカードのカウンターを1つ取り除く事で、フィールド上の魔法・罠カード1枚を破壊する。この効果は1ターンに1度しか使用できない。

元ネタは外伝作品のボス。
魔法・罠の除去効果を備える。
上級でこの攻撃力はかなり低いと言わざるを得ないが、巨大戦艦の中では唯一の除去効果を持っているので、優先度は高い。
低い打点も戦闘耐性があるので大きなデメリットでもなく、
そういう意味では共通効果の恩恵を最も受けた巨大戦艦といえるだろう。


  • 巨大戦艦クリスタル・コア
効果モンスター
星5/水属性/機械族/攻2100/守1000
(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。このカードにカウンターを3つ置く。
(2):このカードは戦闘では破壊されない。
(3):1ターンに1度、相手フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。
その相手の表側攻撃表示モンスターを表側守備表示にする。
(4):このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。
このカードのカウンターを1つ取り除く。取り除けない場合このカードを破壊する。

表示形式を変更する効果を持ち、この効果はカウンターを消費しない。
ノーコストとはいえ地味な効果ではあることは否めないが、打点が控えめな巨大戦艦にとっては他のカテゴリ以上に重要性が高く、巨大戦艦デッキでの優先度は高め。
水属性のレベル5なので、アトランティスデッキで使われることもある…というかそっちで使われるほうが多かったに違いない。
レベル1チューナーとシンクロすればドゥローレンを出せ、機械族のレベル5なのでノヴァの素材にもなれる。


  • 巨大戦艦ビッグコア Mk-II
星6/炎属性/機械族/攻2400/守1100
このカードが特殊召喚に成功した時、このカードにカウンターを3つ置く。
このカードは戦闘では破壊されない。
このカードが戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時にこのカードに乗っているカウンターを1つ取り除く。
このカードがカウンターのない状態で戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時にこのカードを破壊する。
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、このカードはリリースなしで召喚する事ができる。

巨大戦艦では貴重な、ボスラッシュから出した際にカウンターが乗る優秀なカード。
また妥協召喚効果も備えているので巨大戦艦のエース…と言いたいところだが、なぜか通常召喚ではカウンターが乗らない
つまり、妥協召喚しても使いきりのアタッカー(しかも性質上自身より弱いモンスターの戦闘でも死ぬ)にしかならないという致命的な欠陥を抱えているのだ。
当然アドバンス召喚しても乗らない
この欠点から、ただでさえクセの強い巨大戦艦の中でもさらにクセの強いモンスターとなってしまっている。
もっともゼロスとの併用が前提なら他と違ってアドバンス召喚の手間なく出撃できるので、安定はしないが採用の価値はある。


最上級モンスター

  • 巨大戦艦カバード・コア
星7/地属性/機械族/攻2500/守 800
このカードの召喚時にカウンターを2つ置く。
このカードは戦闘によっては破壊されない。
戦闘を行った場合、ダメージステップ終了時にコイントスで裏表を当てる。
ハズレの場合、カードのカウンターを1つ取り除く。
カウンターのない状態で戦闘を行った場合、
ダメージステップ終了時にこのカードを破壊する。

最上級の巨大戦艦。ただし、攻撃力は控えめ。
カウンター消費時にコイントスが当たると消費が0になる。
ハズレても通常通り減るだけなのでリスクはないが、メリットがカウンターが減らないだけというのは何とも言いがたい寂しさがある。
その上なぜかカウンターが2個しか乗らないのでデフォルトで1回損をしている気分にされるという謎采配。
以前は巨大戦艦の中で最高打点でボスラッシュ軸なら優先度は高かったがビッグコア Mk-IIIの登場によりその利点すら奪われてしまう。
唯一のレベル7であることを活かせない場合は、こちらも優先度は低い。


  • 巨大戦艦ビッグコア Mk-III
効果モンスター
星8/光属性/機械族/攻2700/守1900
(1):相手フィールドにモンスターが存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から守備表示で特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。このカードにカウンターを3つ置く。
(3):このカードは戦闘では破壊されない。
(4):このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。
このカードのカウンターを1つ取り除く。取り除けない場合このカードを破壊する。
(5):墓地のこのカードを除外して発動できる。
自分の墓地の「巨大戦艦」モンスターを全てデッキに戻す。

マキシマム・クライシスで登場した久々の新規巨大戦艦。
サイバー・ドラゴン同様の特殊召喚効果に加え、召喚・特殊召喚どちらでもカウンターが乗るという親切仕様。
ようやくまともになったとも言う。IIとIIIで差が開きすぎではないだろうか
リリース要員、ボスラッシュ要員、巨大戦艦中最高打点、さらに墓地の自身を除外して墓地の巨大戦艦をデッキに戻す効果も備える。
これにより、ボスラッシュの弾切れを容易に防ぐことができると、至れり尽くせりの新エースである。
むろん優先度は非常に高い。というか自然と3積みすることになるだろう。
サイドラ条件で特殊召喚できるレベル8なので巨大戦艦の中では汎用性がありエクシーズ素材としての出張も可能。


  • 巨大戦艦ブラスターキャノン・コア
効果モンスター
星9/地属性/機械族/攻2500/守3000
このカード名の(1)の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。
(1):相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合に発動する。このカードにカウンターを3つ置く。
(3):このカードは戦闘では破壊されない。
(4):このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時に発動する。このカードのカウンターを1つ取り除く。取り除けない場合このカードを破壊する。

10期になってひょっこり現れた7機目の巨大戦艦。誰が呼んだかジャガイモコア*2
こいつならではの特別な効果は持っていないが、Mk-IIIよりも自己SSの条件が緩く、攻撃表示でもよいため即攻撃に参加できる。
また大きな特徴として☆9のモンスターとしてはトップクラスに召喚条件が緩いと言う点が強みになり得る。
この特徴により正規のエクシーズ召喚でしか出せないランク9のモンスターとの相性が非常にいいのだ。
おそらく属性・種族を共有できる無限起動への出張パーツとしてデザインされたカードであり、特にあちらの「無限起動アースシェイカー」のシナジーが強い。
むろん【巨大戦艦】でも十二分に活躍してくれるだけのスペックはある。

●魔法カード

  • ボスラッシュ
永続魔法
自分が通常召喚していないターンにこのカードを発動できる。
(1):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、自分は通常召喚できない。
(2):自分フィールドの表側表示の「巨大戦艦」モンスターが破壊され墓地へ送られた場合、そのターンのエンドフェイズに発動できる。
デッキから「巨大戦艦」モンスター1体を特殊召喚する。

「後続が続きにくい」と言うなんとも致命的な弱点のある巨大戦艦デッキだが、それを回避する切り札がこれ。
自壊するなり戦闘破壊されるなりして破壊された巨大戦艦の後続を出してくれる、複数枚発動していれば1体の破壊から複数体巨大戦艦を出せる優秀な切り札…だが、欠点も多い。
まず通常召喚できないというOCGの中でも抜きん出て恐ろしいデメリットがある。
通常召喚できずとも後続が出せるのでそこまででは…と思うかもしれないが、テキストの通り「破壊されて墓地へ送られた場合」にしか対応していない。
つまり除外・バウンスを喰らったり破壊以外で墓地へ送られるとラッシュが止まり、その上通常召喚で手札から後続を出すこともできなくなる
加えて特殊召喚のタイミングがエンドフェイズと遅く、その隙を狙われる危険性もある。
そして特殊召喚なのでMk-IIとIII、ブラスターキャノン以外はカウンターが乗らないので、出撃即大破の悲劇が待っている。
といった風に、扱いづらさも目立つ。というか扱いづらさのほうが目立つ
しかしそうはいっても巨大戦艦の主戦術を担うカードであることは間違いなく、またゼロスの登場によりサーチも可能となったので、採用する意義はあるといえよう。


  • 巨大要塞ゼロス
フィールド魔法
(1):このカードの発動時の効果処理として、デッキから「ボスラッシュ」1枚を手札に加える事ができる。
(2):自分フィールドの「巨大戦艦」モンスターの攻撃力・守備力は500アップし、相手の効果の対象にならず、相手の効果では破壊されない。
(3):1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。
手札から「巨大戦艦」モンスター1体を特殊召喚する。
(4):自分フィールドに「巨大戦艦」モンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動する。
そのモンスターに、自身の効果で使用するカウンターを1つ置く。

マキシマム・クライシスで登場した新規サポート。元ネタは「グラディウス」のラストステージであるゼロス要塞。
カードイラストはビック・バイパーとバクテリアン軍が要塞内で戦っているシーンで、奥に光っている赤いのがラスボスのマザーコンピューターでありその手前には最後の仕掛けであるシャッターがある。
何かと強力だったり壊れフィールド魔法が濫造された9期後半の最後に作られたフィールド魔法なのだがそれらのフィールド魔法の中でも書いてあることのおかしさはトップクラス。
その効果は
  • ボスラッシュサーチ
  • バンプアップ
  • マジェスペクター耐性付与
  • 1ターンに1度の特殊召喚
  • NS・SSのいずれにも対応するカウンター補充
である。盛りすぎである。11年分の反動
とにかく巨大戦艦の欠点をことごとく補う効果を備えており、贅沢などという言葉では足りないほどのフィールド魔法。もちろんテラ・フォーミングと併せてフル投入を推奨。
どの効果も強力だが、特に(3)のSS効果はシンクロ召喚やエクシーズ召喚との相性も良く、戦術の幅が広がったと言える。
ただし言い換えればこれからの巨大戦艦デッキはこのカードに強く依存することになるので、カウンター罠などを駆使して何としてでも死守したいところ。

中堅レベルのテーマに放り込まれたらこれのような事になるようなレベルのとにかく効果を盛り込んだカードだが、悲しい事にこれまでの巨大戦艦と言うテーマそのものが弱かったためバランス的には丁度良くなっている。


●相性の良いカード

  • リリース要員となるカード
ゼロスを使えば巨大戦艦だけでもアドバンス召喚は可能だが、消費が大きくなるので外部からサポートを組み込むのがベター。
性質上黄泉ガエルを使えないので、グローアップ・バルブを初めとする植物族出張セットや、戦闘サポートも兼ねるジュラゲド、ボスラッシュを戻してSSできるBF-精鋭のゼピュロスなどが良い。
リンク召喚の登場によりスケープ・ゴートもリンクモンスターに変換することによって擬似的にリリースが可能になり、リリース要員が必要ない時もリンクモンスターによるアタッカーの追加が行えるので無駄がない。
Sinスターダスト・ドラゴンはゼロスを守ることができ、アタッカーにもなるので巨大戦艦が来ない時の戦線維持として役に立つ。
サイバー・ドラゴンは種族が合致しているので相性が良いように思えるが、巨大戦艦の場持ちの良さのせいでSSできないケースが多く微妙に噛み合わない。

  • 各種蘇生カード
これらもリリース確保の理由から。
上級モンスターしかいないので手札から出すより墓地から出した方がフィールドに数を揃えやすい。

上級以上のモンスターばかりなのでまず腐らない。
貴重なモンスター除去の手段となる。

フィールド魔法をサーチできるカード。
相性が良いというか必須と言っても過言ではない。
多少手札でダブつこうがなんだろうが、ゼロスを発動させないことにはバクテリアン帝国が危ないのである。
惑星探査車は召喚権を使ってしまうがゼロスの効果によりカバーできるため他のデッキよりは上手く使えたりする。
盆回しは相手に送り付けたフィールド魔法を何らかの方法で退かせないと、ゼロスが除去された時にゼロスの再発動が行えなくなるのでこの中では使い難い方に入る。ゼロスの効果でテトランを特殊召喚して即除去したい。

  • スターライトロード / 大革命返し
大量除去を防ぐカード。
ゼロスを死守しないとバクテリアン帝国が危ない。

  • 各種カウンター罠
相手の妨害を兼ねるのもあるがゼロスを守るために採用する。
ゼロスを死守しないとバクテリアン(ry

  • アストログラフ・マジシャン /クロノグラフ・マジシャン
巨大戦艦の自壊をトリガーに追撃でき、更にそれぞれサーチや特殊召喚も持っている点で好相性。
Pモンスターなので巨大戦艦をP召喚できるのもありがたい。


  • ゼノ・メテオロス
巨大戦艦の自壊を(ry)
チューナーなのでS召喚もでき、 Mk-IIならX召喚にツィオルギン、炎魔刃フレイムタンを使い分けられる。
特にフレイムタンはボスラッシュやゼロスを守れる点で好相性。

  • ワルキューレ・シグルーン
邪魔になったボスラッシュを処理することでデメリットを解除でき、ブラスターキャノン・コアと星遺物の胎動でリクルートし合える。

  • スネークアイ/黒魔女ディアベルスター
こちらも邪魔になったボスラッシュを処理でき、ディアベルスターは自己特殊召喚も持っているので手札事故も減らせる。
あちらから原罪宝を経由することで間接的にサーチできるスネークアイの方はMk-IIがいると自己特殊召喚できるワイトバーチが扱いやすく、あちらと共にフレイムタンのL素材になる。


  • リミッター解除
機械族の攻撃力を倍にするカード。
ゼロスは相手の破壊しか防げないので自壊は免れないが、ボスラッシュがあれば実質デメリットはなくなる。

ボスラッシュやゼロスで高打点を連打できるので打点でごり押す戦略を使う事ができる。
ゼロスと同時に発動できれば対象に取れず効果で破壊されない高打点をスキルドレイン下で相手にしないといけないので中々骨が折れる。
効果は無効化されるためカウンターは乗らないが戦闘破壊耐性のみの巨大戦艦も多いので実質的にほぼデメリットがない。
通常召喚時のMk-IIやボスラッシュから出した巨大戦艦は戦闘すると勝手に死んでいく弱点が無くなる。
ただしクリスタルコアやテトランは効果が使えなくなり巨大戦艦内で低い打点を晒すだけになるので相性は悪い。



【戦術】

まずは何よりも迅速に巨大要塞ゼロスを発動させるのが理想的。
そしてゼロスのSS効果か、Mk-IIIを含むリリースを生み出すカードを使って上級巨大戦艦をアドバンス召喚、戦闘耐性を活かしてビートダウンを展開する。
ゼロスがあるならMk-IIは妥協召喚でもSSでも即座に戦力になる。
そして同時にボスラッシュを貼って後続を確保し、戦線維持を行う…というのが基本の動きで、特に複雑な戦術をとるデッキではない。
ボスラッシュを使うのであれば上級打点を連打できることを利用しスキルドレインを使う手もある。
ゼロスの効果を順調に発動できれば最上級並みの打点がマジェスペクター耐性を持って複数体並ぶため適当にゴリ押してるだけでも勝てたりする。

なお、このデッキは弱点が多い。

  • 上級・最上級が大半を占めるので手札事故を起こしやすい
  • 奈落には落ちる割に打点が低いので戦闘で不利
  • ボスラッシュが不安定(必ずしも使う必要はないが)
  • フィールド魔法に依存している
  • ゼロスとボスラッシュ以外のサーチ手段が少ない
  • 戦闘以外でモンスターを除去する手段がない

どのような構築であっても一定以上の不安定さは払拭できない現実がある。
こればかりはどうにもならないので割り切るしかないだろう。
辛口評価のように感じるかもしれないが、これは新登場のMk-IIIとゼロスの追加による強化を視野に入れた上での評価であるのを踏まえていただきたい。
それ以前は回すだけでも一苦労のデッキであり、その過去に比べれば見違えるほど改善されたのが現状なのである。
一応、相性の良い「進撃の帝王」の登場により少し安定性が増したという時期もあった。
いずれにしろ、不安定さを少しでも軽減できるような構築を求められるという点では以前と変わりなく、
構築難度はまだまだ高い。

ボスラッシュは通常召喚できないデメリットが大きく採用する際はそれらをカバーする戦術を意識することになる。
なので採用しないかゼロス発動のおまけについてくる手札コストと割り切る構築にしてしまう手もある。

カテゴリのメリットとしては、やはり戦闘破壊耐性が挙げられる。
ゼロスによる耐性付与と組み合わせた際の強力さは言うまでもないが、それを除いても戦線維持の面から見て有利である。
永続ではなく回数制限があるものの、高速化の進んだ現環境においては数回の戦闘に耐えられるくらいで十分なので、さほど気にする必要はない。

…はっきりと言ってしまえば、数ある他のカテゴリを差し置いてまでこのデッキを選ぶ理由は性能上の観点からいえばないに等しい。
優秀なカード・カテゴリがひしめく機械族においては、巨大戦艦よりも強力で手軽なものはたくさんあるだろう。
しかし、かといってこのデッキを選ぶ強い理由がないなどというわけでは断じてない。
巨大戦艦の最大の魅力…それはカードイラストに尽きるだろう。

漆黒の宇宙空間+威厳と重量感あふれる巨大メカ、これでは心が躍らぬほうが無理というものである。
特に宿敵ビック・バイパーと激戦を繰り広げるMk-II・IIIの勇姿は、ラディウスファンならずとも
思わず魅入ってしまうような格好良さを放っている。
お世辞にも取り回しが良いとは言えない巨大戦艦デッキだが、むしろその重さが「巨大」感を醸し出しており、「らしさ」を演出できているとは言えないだろうか?


+ ゼロスのない頃の昔話
シンクロ召喚が出る前は「最弱のカテゴリ」と名高かったが、実際に使ってみると別段そういうわけでもなかった。
  • 手札に来た巨大戦艦は《打ち出の小槌》や《カードトレーダー》で戻すか、《サンダー・ブレイク》《天罰》などのコストにしてしまう
  • 墓地に落ちた巨大戦艦は《貪欲な壺》で回収しながらドローソースにする
  • 早すぎた埋葬》《リビングデッドの呼び声》のほかにも《名推理》などで特殊召喚手段を確保
  • 攻撃して役割を終えたら速やかに墓地に行ってもらい、《ボスラッシュ》で後続の巨大戦艦をデッキから呼び出すことで巨大戦艦を素引きするリスクを減らす
  • 当時主流だった《激流葬》《ライトニング・ボルテックス》などを意にも介さない
  • 破壊されても戦闘破壊扱いではないので、対戦相手のその手の効果を発動させない
など、さながら「ドでかい除去ガジェット」のように動いたのである。

当時はたびたび「《ボスラッシュ》はカウンターが乗らないのが弱点」と言われたのだが、実際はむしろその逆でこんなゴミが手札に来ても仕方ないのでさっさとデッキから特殊召喚したい
つまり《ボスラッシュ》がフィールドにある状態だとむしろこんなろくに打点も出せないのがいつまでもフィールドにへばりついてほしくないので、むしろカウンターが乗らない方がメリットだったのである。
そのためディスシナジーと思われがちな《名推理》との相性は実は最高だった。通常召喚を狙う際の生け贄要員も含めてレベルがばらけまくっているため、ほぼ確実に1体特殊召喚できるのだ。
それが巨大戦艦なら《ボスラッシュ》を発動できるので、あとは上に箇条書きにしたような動きに移行すればいいってわけ。
逆にこの戦略を取った場合、Mk-IIとの相性は「採用しない方がいい」レベルで悪い。

当時は《奈落の落とし穴》や《強請脱出装置》がメタ的に弱かったという事情があり、《サイクロン》が制限カードだったことも追い風だった。
また、当時はあまりにも一線級とそれ以外のデッキの差が激しく、帝やガジェットなどの「ガチデッキ」とは明確な住み分けをするのがマナーとされていた。カードパワーに差がありすぎてまともに遊べないのである。
そのため戦術を妨害されることがあまりなかったという事情もあるが、これは当時(剣闘獣より前)のカテゴリデッキ全般に共通する特徴でもあった。

うまく動くと「あの最弱カテゴリがこんなに華麗に動くのか!?」と相手の肝を抜ける上にその「うまく動く」頻度がイメージよりずっと高く、あまりにも珍しいもんだからギャラリーが集う。
ちなみに原作再現と称されてクソモグラに手札にバウンスされて悶絶するまでがセット。
「原作再現!原作再現なんで許してください!」

使うのは面倒だったし使うこと自体が間違ってるレベルで弱点も多かったのだが、「手札事故ばっか起こしてモンスターもすぐに死ぬ」というイメージよりは全然強い。
当時としては特殊召喚をバシバシできたので使っていて楽しいデッキだった。
その後高打点のモンスターを特殊召喚してアドバンテージを荒稼ぎする環境になったことで完全に強みを失い、《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》が出た後は使う意味が一切なくなった。
いくら何でも相性が最悪であり、当時は選択肢のなさからどんなデッキにも1枚積まれていたからだ。

当時の【超時空戦闘機】との相性は、かつては巨大戦艦の方が完全に有利だった。なにせこちらは一切戦闘破壊されないため、戦闘破壊をトリガーにする戦闘機たちの強みが完全に死ぬ。
しかし《オネスト》の登場後は話が変わってきて、戦闘機側の瞬間的な打点が圧倒的に高くなるので、むしろ巨大戦艦側が不利になってしまう。
つまり《オネスト》という凄腕のプレイヤーによって、このボスラッシュは攻略されたのだ。
今となってはこの時期の理論がなにひとつ応用できない、遠い昔話である。



【アニメでは】

遊戯王GX』で71話「VSゲームチャンプ 巨大戦艦テトラン発進」より、シューティングゲーム元世界チャンピオンの銀流星が使用。
ボスラッシュによる特殊召喚を、機械族の特殊召喚に反応するバーンカードであるサイバー・サモン・ブラスターと組み合わせる戦術を取った。
アサルト・コア(下記参照)→テトラン→クリスタルコア→ビッグコアと繋ぎ、それぞれの効果も使用している。

だが、十代の鬼畜モグラことN・グラン・モール(初登場)に自爆特攻され、破壊でなくバウンスで巨大戦艦を除去された結果、ボスラッシュが発動不能に。
流星は通常召喚不可のデメリットのためにLP100の瀕死状態+モンスター0という状況の十代に止めを刺せないまま1ターンを過ごし、
苦肉の策として邪魔になったボスラッシュを破壊しようとサイクロンをサーチするが、発動する前に敗北。
「弱点があるカード」である以上仕方ないのだろうが、何というかボスラッシュの一番痛い部分をここぞとばかりに強調するような屈辱的な負け方であった。
もっとも流星自身はそれなりに楽しんだようで、デュエルを通して十代と和解している(直後に怒りに触れた斎王に洗脳されるが)。

こちらから攻撃してもシールドが壊されてしまう点については作中では「相手の死に際の反撃でシールドが破壊される」という描写がなされている。
一応、シューティングゲーム経験者とはいえ速攻でその指示を出した十代も十代だが……



【ゲームでは】

TFシリーズでは、アニメからオリジナルカードとしてサイバー・ドラゴンと同じ効果を持つ下級モンスター「巨大戦艦アサルト・コア」と、
巨大戦艦1体にカウンターを三つ乗せる「シールドリカバリー」という、 何故OCG化してないのか謎なほどの 必須カードが登場している。

余談だが、『タッグフォース』では「巨大戦艦」となっているアサルト・コアだが、アニメ版では単に「アサルト・コア」という名前であり、
自身の効果によりフィールド上では「巨大戦艦」として扱うという後のビヨンド・ザ・ホープのような効果を持っていた。
おそらく当時はビヨンドやらハーピィレディのような名称変更テキストや効果をつけるよりそのままカード名に着けた方が早いという判断だと思われる。
おかげでそこそこ小さいかつコアと言う面目なのに素で巨大戦艦を名乗るカードになったわけだが

後に『デュエルリンクス』にオリジナルカードとして収録された際にはビヨンド・ザ・ホープ等で確立されたためか、カテゴリを効果外テキストに記載し、カード名をアニメ同様の「アサルト・コア」としている。
また、Kozmoと同じくVに各種専用台詞が設けられており(「アサルト・コア」を除く)、シナジーが薄いあちらと異なり「太陽風帆船」でリリース要員確保・「惑星探査車」で「死皇帝の陵墓」をサーチ*3、「アークジェット・ライトクラフター」で墓地の巨大戦艦をレベル9として蘇生させ「No.9 天蓋星ダイソン・スフィア」をエクシーズ召喚する等、シナジーはそれなりに良い。
なお、「アサルト・コア」と「シールドリカバリー」は御伽龍児のレベルアップ報酬で手に入るので、可能であれば彼も育成しておきたい。*4



余談

英語名での接頭辞「B.E.S.」とは「Bacterian Empire Ship (バクテリアン帝国艦)」の略。
つまりグラディウスシリーズにおける主要な敵「バクテリアン」の戦艦と言う事。




このカードは追記した時3つカウンターを置く
カウンターが無い時に修正した場合、ダメージステップ終了時に破壊される

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最終更新:2023年07月24日 21:58

*1 その後OTS Tournament Pack 4に再録されて以降のものには追加された

*2 『V』において、ジャガイモの様な隕石が大量にひしめくステージのボスだった為

*3 2023年5月現在「巨大要塞ゼロス」は未収録。なお、同じような効果を持つ「テラ・フォーミング」も台詞が設けられている。

*4 ちなみに、Vのレベルアップ報酬では「ビック・バイパー T301」が手に入るので、逆に御伽で【超時空戦闘機】を組む場合はVの育成もした方が良い。