大張正己

登録日:2012/01/01(日) 09:55:54
更新日:2024/01/27 Sat 11:46:02
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大張正己(おおばりまさみ)は広島県出身のアニメーター、メカニックデザイナー、アニメ監督である。

若手の頃から驚異的な才能を発揮し、おもに金田伊巧らの提唱した技法をベースにそれらを独自に発展・拡大させ、80~90年代にかけて、主にロボットアニメにおいて幾多もの革新的な要素をもたらした。
以後の「ロボットアニメにありがちなこと」を確立させた立役者のひとりとして、このジャンルを語る上で欠かせない人物の一人。

自らデザインを手がけたロボットも少なくないが、画風が非常に特徴的であるため、たとえ他の人間がデザインしたロボットを描いた場合であっても自分の画風がモロに出てしまうのが特徴。
これは若手時代から現在に至るまで顕著であり、幾多の名場面・迷場面を生んだ。

主な傾向としては、(対象のロボットの)本来のデザインに比べて、
  • 顔が厳つくなる
  • 目が鋭くなる
  • 鼻筋が整った顎の長い顔つきになる
  • ムキムキになる
  • 頭身も高くなる
  • パンチ一発出すのに妙にタメる
  • 特徴的なキレッキレの決めポーズ
  • まるでワックスでも掛けたかのように、機体の表面に光沢が出る
など。この謎の現象は、本人の名前をもじって「バリる」「バリっている」と評される。
玩具化された際の紹介文などでは、「鷹や鷲といった猛禽類的な鋭いデザイン」と形容されることも多い。

バリってしまったロボットは、主に
が挙げられる。

また、トランスフォーマ-コンボイνガンダムなど、特別な機会に一枚絵の描きおろしイラストを提供したこともあるが、それらもやはりバリっている。
他にも例を挙げると、アニメ版の「餓狼伝説」もその画風が如実に現れており、ロボではなく人間がバリっているという珍しい例が見られる。

大張本人がデザインしたロボットが「バリった」と言われることは少なく、
一般には、他のデザイナーが描いたロボットをリデザインした際に「バリった」と表される。


【デザイナーとしての珍話】

氏が「機甲戦記ドラグナー」(メカデザインを担当したのは大河原邦男氏)のOPの作画を担当した際、案の定バリってしまい、大河原氏による本来の画風からは大きくかけ離れてしまった。
が、「これはこれでカッコいい」と好意的に捉える視聴者も少なくなく、このOPに出てくるドラグナーは「バリグナー」という愛称で親しまれることとなった。
が、その後、バンダイからドラグナーの玩具が発売された際、その形状は本来の大河原デザイン準拠のものであったため、大河原デザインではなく大張デザインが欲しかったユーザーから「OPと違う」という苦情が発生。
が、バリグナーは放送当時の技術力ではとても立体化できないような代物であり、番組のOP自体、その後ほどなくして別の人間が描いた新バージョンに差し替えられてしまった。

…が、長らく有名であったこの逸話も、後になって当人が否定したため、あくまで都市伝説のようなものだと考えたほうが良いと思われる。
(そもそも、一介のアニメーターが独自解釈したデザインが独り歩きして“番組の顔”として認知されてしまう、というのは普通に考えて問題が大アリである)

現在では技術が向上したこともあり、バンダイの「魂SPEC」より、大河原氏準拠、大張氏準拠のドラグナー1が両方とも晴れて商品化されている。


【OP職人】

ドラグナーや勇者シリーズなど、多くのアニメでOP作画を手掛け、高い評価を得ていることから「OP職人」と呼ばれている。
氏が描くOPは以下の特徴を持つものが多い。
  • 地球をバックにタイトル
  • 主人公とその仲間が決めポーズをしながら登場(ロボものの場合は背景に機体)
  • 敵幹部が入れ替わりながら登場する。(敵紹介パート)
  • よく分からない女の子の全裸→十字架ポーズ
  • 目にフォーカスしていって場面転換
  • 斜め上から差し込む謎の光と、それを見上げる登場人物
  • シルエットになっているロボット(話が進むと、シルエットでなくなるパターンもある)
  • 敵に向かって謎のビーム(普通に登場する技でも「謎」扱い)
  • 地球をバックにボスとタイマン
  • 最後に主人公サイドが全員集合

本人いわくこれは自分の演出の必殺技なんだとか。
もちろん、例外は存在する。
薄桜鬼では必殺技を控えてる。(それでも結構使ってるけど。)
ほぼテンプレート化された流れであり、口さがない者からはマンネリ呼ばわりされることもあるが、
これ以上にカッコいいOPを提唱できる者が未だに現れないため、ファンからは既に様式美に至った一つの完成形と評価されている。


【アニメ監督】

監督を担当した作品の評価は賛否両論。
これは当然どの監督にも言えることではあるが、氏は作品毎にその評価が大きく分かれるのでよく話題になる。
代表的な作品は『銀装騎攻オーディアン』『超重神グラヴィオン』。

その他の大張作品の特徴としては、どこかで見たことあるキャラが出てたり、おっぱいが大きい女の子が居たり、ラスボスが人類に失望していたり、
主人公がやたらと「見せてやるぜ、人のみが持つ無限の可能性を!」と叫ぶ事が多い。

例:「VIRUS~ウイルスバスター・サージ~」に登場するマーカスが餓狼伝説のテリー・ボガード似


【声優デビュー?】

アニメ『スーパーロボット大戦OGジ・インスペクター』において龍王機の声優を担当した。
本当は大御所を呼びたかったけど予算不足だったそうな。
何気に声質にそれなりの渋みがあり、視聴者からは好評だったらしい。

なお、このアニメも「アルトアイゼン・リーゼ」が「アルトアイゼン・バリーゼ」と呼ばれる程バリっている。
ほかにも「ソルグラビリオン」が登場したり、それに乗ってるパイロットがどこかの超重神の少年二人みたいだったり…

実際の所はそれ以前にも自身がキャラクターデザインを手がけた格闘ゲーム『超人学園ゴウカイザー』でブライダー/立花一輝を演じ、ステージ曲まで歌唱しているのだが、
ゲーム自体が如何せんマイナーな事もあってか『ジ・インスペクター』がデビュー作と誤解される事も多い。*1


【その他特徴的な参加】

女児向けアニメ・プリキュアシリーズのスマイルプリキュア!第35話の原画に参加。
内容がロボット回とはいえ、まさかの参加である。
なお『オトナアニメ』Vol.29掲載のインタビューによれば、同作以前に劇場版プリキュアへの誘いも受けていたという(どの作品かは不明)。

アニメ版「ポプテピピック」のTVスペシャルでは、キャラデザ・ことぶきつかさと共に最強タッグを組んでOP映像に参戦。セルフパロディとでも言うべき“いつものノリ”を存分に繰り広げて視聴者を沸かせた。
なお、スタッフクレジットもネタの一つとして扱われることの多い本作において、彼の肩書きは「スーパーバリザー」。
ファンの間では昔からお馴染みの用語の「バリってる」であるが、普通に公の場で明言されるという何気に珍しい機会となった。
後に『スーパーロボット大戦X-Ω』にこのすしポプ子&ピピ美BARIモードがイベント参戦した際は大張氏自身も実名&実写画像で登場した。

実弟である大張髙己がプロレス団体の新日本プロレスの社長に就任した縁や、自身のプロレス好きもあってか、IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座を統合したIWGP世界ヘビー級王座が新設された際、ベルトのデザインを担当している。


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最終更新:2024年01月27日 11:46

*1 OVA版『ゴウカイザー』では石川英郎氏が代役、兼役で演じているので、「アニメ声優」としてのデビュー作は『ジ・インスペクター』で間違ってはいない。