バーミンガム級戦艦

登録日:2012/01/21 Sat 10:16:12
更新日:2023/07/01 Sat 21:03:48
所要時間:約 5 分で読めます






「諸君! この観艦式は、スペースノイドどもに連邦の実力を見せつける絶好の機会だ。
式の終了は、すなわちデラーズ・フリートの、敗北を意味するであろう」








◆バーミンガム級戦艦

BIRMINGHAM-Class Battle Ship

【性能諸元】

所属:地球連邦軍
建造:地球連邦軍
全長:398m
全幅:171m
全高:129m
重量:88,500t
武装:連装メガ粒子主砲 ×5基
   単装メガ粒子副砲 ×8基
   大型単装メガ粒子砲 ×1基
   12連装ミサイルランチャー ×2基
   対空レーザー砲 ×12基

主な搭乗員
グリーン・ワイアット大将




【概要】


一年戦争終結後、地球連邦宇宙軍の権威の象徴として建造された戦艦。
全体として白く塗装されている

地球連邦の首脳陣は未だ大艦巨砲主義から抜け出せておらず(とされるが下記の通り異説あり)、艦には連装メガ粒子砲5基、単装メガ粒子副砲8基、大型単装メガ粒子砲1基、12連装ミサイルランチャー2基、対空レーザー砲12基と、当時としては最強の砲戦能力を誇っていた。
この砲塔の配置はマゼラン級戦艦の影響が強く、かなりの範囲に主砲を向けて一斉射撃を行える。
さすがに真上や真下には主砲を向けられないが、その代わり単装メガ粒子砲が分散配置されているので死角はない。

こうした大火力に加えて対空レーザー機銃も複雑に配備され、接近した敵機を迎撃しやすい構造となっている。

艦の制御を行う通常の艦橋以外にも司令艦橋を備えているのが特徴で、アンテナ類も増設されており艦隊の指揮管制能力は非常に高い。

あらゆる意味で大艦隊の司令旗艦として運用されるべき船であると言える。


その反面モビルスーツ(以下MS)の運用能力は皆無であり、搭載すら不可能であった。

もっとも、艦隊旗艦としての運用を前提として建造されていたバーミンガムは、必然として周囲に多種多様の随伴艦がいることになっていた。
MS運用能力が無いのは、MSの運用はそれ専用の能力を持った随伴艦に任せるようになっていたためと考えられる。

事実、グリーン・ワイアット大将はMS運用能力が皆無の本艦に搭乗しながらもMSの重要さについて語っているので、連邦の上層部も解っていて造ったのだろう。
ほぼ同時期にMS運用能力を高めたアレキサンドリア級重巡洋艦も就役していることから見ても、バーミンガム級を旗艦としてアレキサンドリア級が僚艦とする艦隊思想であったのはほぼ間違いない。
実際バーミンガム級とアレキサンドリア級を見比べると、各種砲塔の形状・配置やブリッジ近くのアンテナ類がそっくりである。
現実の地球でも、武装はないが通信能力を強化した「指揮専用の軍艦」として、ブルー・リッジ級揚陸指揮艦や戦術指揮艦ノーサンプトンというのがある。

また一年戦争はMSだけが主力だったのではなく、艦隊とMS隊の連携が重要な役割を示していた。特に連邦軍はその傾向が強かった。
例えば、ティアンム提督の第二連合艦隊はソロモン攻略戦にて、大型戦艦の指揮管制能力によりソーラーシステムを駆使し、長距離砲撃によってグワラン艦隊を撃破している。
そのほか、ワッケイン司令のレナウンがチベ級を遠距離からの艦砲射撃で仕留め、ギレンの誇ったドロスがマゼラン・サラミスの砲撃で沈む*1など、一年戦争後期においても戦艦の威力はそれなり以上の意義があったのである。
さらにMSは火力や継戦能力にどうしても欠けるため、要塞攻略・艦隊決戦には大型戦艦の砲撃能力は必須であった。
おそらく当時の連邦宇宙軍艦隊の最大の仮想敵となっていたのが、ジオン残党の立てこもる小惑星要塞アクシズと、彼らが擁する多数の艦隊であったことも、バーミンガムを基軸とする大艦隊ドクトリンを後押ししたものと思われる。

むしろバーミンガムは、大艦隊の総旗艦としての役割を追求した、一年戦争の戦訓を反映した設計といえるだろう。


宇宙世紀0083年に1番艦“バーミンガム”が就役し、ルナツー方面軍第2守備艦隊の旗艦として進宙している。
しかし進宙したその僅か数ヵ月後にバーミンガムは消滅、その後の連邦の方針転換もあってバーミンガム級が建造されることはなかった。

そもそもデラーズ紛争以降、アステロイドベルトで沈黙を続けるアクシズに備えるよりも、小規模ながら水天の涙作戦やデラーズ紛争などで大きくない実害を与えてきた地球圏のジオン残党の駆逐の方が急務となり、戦闘自体も小・中規模の艦隊による非対称戦へとシフトしていたので、2番艦以降が建造されていても金食い虫の飾り物程度にしかならなかった可能性が大だが。*2




【映像中でのバーミンガム】

0083』に登場。
デラーズ・フリートが決起し、強奪されたガンダム2号機による核攻撃が危ぶまれる中で開催された艦観式の観閲旗艦としてコンペイトウへ向かうシーンが初出。

途中、観閲官のグリーン・ワイアット大将がシーマ・ガラハウとの裏取引を行っている真っ最中にアルビオンが接近した為に急遽一芝居を打ってシーマ艦隊のムサイを沈めた。

裏取引の発覚は何とか免れたものの、“星の屑”の内容を知ることは出来なかった。


その後何事も無かったかのようにコンペイトウに到着して観艦式を迎えたバーミンガム。
この観艦式自体はジオン残党を引き出すための囮であり、案の定出てきたデラーズ・フリートをその自慢の指揮管制能力で追い詰める。

が、式の最中に突破不能とみられたエリアからガンダム2号機が乱入し、ちょうど艦隊の真ん中にいたこととその巨体故に目立っていたことが災いしてアトミックバズーカの標的にされ、真上からの核攻撃で艦隊もろとも跡形も無く消滅した。

あえなく轟沈してしまったが、通常の核兵器を遥かに上回る威力を持つアトミックバズーカに耐えられる軍艦など存在しないこと*3と、核を搭載した高機動MSの迎撃はバーミンガムの想定した設計とは真逆に位置する存在であることからして、これをもって本級の評価とはしがたい。




【バーミンガム級のその後】

前述の通りバーミンガム級はネームシップである1番艦が撃沈して以降は製造されていない。
しかし、連邦軍艦隊旗艦として設計された本艦のコンセプトは、モビルスーツ運用能力を付加して再設計され、グリプス戦役最大級の戦艦、ドゴス・ギア級大型戦艦へと引き継がれた。
あっけなく撃沈されるところも引き継がれた。

さらにバーミンガムとドゴス・ギアの「二種類の艦橋を持つ」「艦隊司令旗艦としての専用艦」という発想は、マゼラン譲りの砲火力と合わせていずれもラー・カイラム級機動戦艦に継承されている。


一方、パラレルワールドが舞台の『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の世界ではU.C.0080年には就役済みな上、アナハイムによって量産されている。
開発元がアナハイムになった影響かしっかりとMS搭載能力があり、舷側に上下2連で合計4つのMSデッキとカタパルトを備えていてかなりの搭載機数がある様子。




ゲームでのバーミンガム】


  • ギレンの野望シリーズ
「高性能なんだけど戦力としては微妙」というまさに原作さながらの立ち位置。砲撃力・耐久力は同時代の艦船と比べてもぶっちぎりで、連邦軍の優秀な艦長の手にかかればほとんど擬似MAと化す。
しかししょせんは艦船、MSに接近されると防空火器しか使えなくなる上、運動性も低いのでめりめり削られてしまう。
そのため壁になってくれる直援機が必須なのだが、自身で搭載能力を持っていないという哀しさ。
当然MS運用艦の随伴が必要となるのだが、「なら最初からMS搭載能力がある艦作ったほうが運用性高くね?」というもっともな結論に達してしまうことに・・・

当然コスト面でもかなりの負担がかかるため、開発によって手に入るサンプルの1隻以外に生産されることはほぼない。
下手するとサンプル艦も廃艦して資源にされちゃったりもするが、その砲撃力だけは本物なので、二線級の艦長を乗せて僻地の拠点の防衛にでも回しておくと意外に役立ってくれたりする。

ただし「アクシズの脅威(V)」では改造でドゴス・ギアに変化させられるため、出来るだけ生き延びさせたい。


ゲームシステム上、MS搭載能力皆無ということはさすがに無く、火力、キャパシティなどの全体的な性能はマゼラン改の上位互換といった感じ。

宇宙戦艦なのでペガサス級などの万能艦に比べて使い勝手では劣るものの、母艦として十分使っていけるレベルである。

近年のシリーズでは母艦にもサイズの概念が入ったのだが、マゼランとサラミスはともかく、バーミンガムまでなぜか横幅が一列しかない細い判定となっている。
そのためマゼラン、サラミス同様に小回りが利き、宇宙適性がAと高いので移動力にも優れる。
加えて、細身なために僚艦との連携攻撃もしやすく、火力の高さと合わせて使い勝手がかなりいい優良艦。
「増設ハンガー」で搭載数を増やしてやれば鮮やかな運用ができるだろう。







追記・修正お願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 機動戦士ガンダム
  • ガンダム
  • 0083
  • 大艦巨砲主義
  • 地球連邦軍
  • ガンダム艦船項目
  • バーミンガム
  • グリーン・ワイアット
  • 旗艦
  • 宇宙戦艦
  • 戦艦

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2023年07月01日 21:03

*1 ドロス爆沈シーンにて、そのドロスを正面に向かいつつ移動しているマゼラン艦隊がある。

*2 当のアクシズの地球圏侵攻時も連邦軍宇宙艦隊は先のグリプス戦役によって殆ど瓦解状態であり、とても艦隊をぶつけてのアクシズ攻略に乗り出せる状態では無かった。

*3 通常、核爆発は宇宙空間だと超高温で引火する大気がないので爆風が限定的な上にそもそも対艦兵器としてはあまり有効ではないが、残念ながらアトミックバズーカは普通の核兵器ではなかった。