超獣機神ダンクーガ

登録日:2012/03/19(月) 22:46:17
更新日:2024/03/07 Thu 07:34:07
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「やってやるぜ!」

『超獣機神ダンクーガ』は葦プロダクション制作のロボットアニメ
機動戦士ガンダムから始まるリアルロボアニメブームの真っ只中に制作され、軍隊所属のスーパーロボットという設定を取り入れた初めての作品。

〈概要〉

1985年4月5日から1985年12月27日まで、TBS系列で放送された。

元々は4クール編成の予定だったものの、打ち切りにより結果3クールしか放送できなかった。
打ち切りの理由は、片岡義朗プロデューサーによればおもちゃの売上不振で、キャラクター設定が子供向けでなかったこと、おもちゃが精巧なせいで遊ぶのが難しかったためと分析している*1
一方で奥田誠治監督は、超合金ブームが起きていたアメリカに『ダンクーガ』のものを含む全ての在庫を輸出した結果、売り物がなくなったためと語っており*2、実際の理由は謎。

しかし、その一方で美形揃いのオシャレなキャラデザや声優、当時まだ10代の新人だった後の巨匠・大張正己*3が手掛けたロボの作画などが高年齢層のアニメファンから高く評価され、続きはOVAでしっかりやろうという流れになり、
  • 『失われた者たちへの鎮魂歌』(TV版の総集編+最終回の直接の続き)
  • 『ゴッドブレス・ダンクーガ』(120分台の長編作品。当初は劇場公開する予定だったが断念)
  • 『白熱の終章』(完結編。全4話)
の計3本が作られた。

明白な合体ロボットものでありながら、タイトルに冠されたダンクーガに初めて合体するのがなんと16話であるなど、ダンクーガの扱いを中心にユニークな要素は多い。

後年、第4次スーパーロボット大戦に初参戦したのを皮切りにスーパーロボット大戦シリーズにも度々登場するようになり知名度、人気が上昇。
長谷川裕一氏によるリメイク漫画『超獣機神ダンクーガBURN』や、続編『獣装機攻ダンクーガノヴァ』も制作された。
初参戦の頃、資料不足やスタッフの認識不足などのせいで超残念な性能(断空光牙剣がない、地形適応が悪い、ブースターがついているのに空を飛べないなど)だったのは忘れてさしあげろ。

また、サブタイトルに英文を併記していたのも大きな特徴。『新世紀エヴァンゲリオン』よりも早く取り入れられた試みである。


〈あらすじ〉

20世紀末、侵略者ムゲ・ゾルバドス帝国の攻撃により、地球は壊滅的な打撃を受けた
だが、ロス・イゴール長官と葉月博士が密かに人の「野性」を力の源とする4機のマシン「獣戦機」を完成、藤原忍ら4人を招集し「獣戦機隊」を編成。これに対抗する。


〈主な登場人物〉

  • 藤原忍
CV:矢尾一樹
獣戦機イーグルファイターのパイロット。
血の気が多く、上官にため口を叩いたり命令違反や単独行動を当たり前のようにやってしまう問題児。その割には意外と喧嘩が弱い
しかし単なる乱暴者ではなく、シャピロの裏切りに動揺した沙羅をフォローするなど心根は優しい。
口癖「やってやるぜ!」は次回予告にも使われ本作を象徴する台詞である。
現在では矢尾氏そのものの決め台詞となり、他作品でも中の人ネタとして披露される(ダ・サイダーゾルル兵長フランキーなどなど)。
実はこのセリフ、矢尾さんのアドリブらしい。

  • 結城沙羅
CV:山本百合子
獣戦機ランドクーガーのパイロット。
元々シャピロと恋人同士であったものの、シャピロの裏切りにより心が酷く荒んだ状態になり彼と共に地球を裏切ろうとした。
男勝りな性格で忍とは喧嘩が絶えなかったが、どこかお互い惹かれていた様子であった。今で言うツンデレである。

  • 式部雅人
CV:中原茂
獣戦機ランドライガーのパイロット。大会社の御曹司で獣戦機隊のムードメーカー。
童顔な容姿通り4人の中では最年少で、言動にもやや幼さを持つ。まだ子供のローラに恋するなど少しロリコン気味でもある。

  • 司馬亮
CV:塩沢兼人
獣戦機ビッグモスのパイロット。登場は5話からとメインキャラにしては遅め。
冷静沈着で仲間の信頼も厚いが、孤独な生い立ちゆえに時折屈折した面も見せる。
スパロボの影響で、他の3人を抑える側に回るクールな常識人と思われがちだが、
本編では薔薇を口にくわえた状態で初登場したり、「スリルがあるから」と敢えて操縦マニュアルを読まずに出撃したり、
OVAでラスボスに追い詰められたときに「待て!俺が心を読む」と言って本当に心を読んで逆転したりなどブッ飛んだ行動も多い。

  • ロス・イゴール
CV:池田勝
獣戦機隊の指揮官。かなり厳しく鉄拳制裁も度々行われるが、仲間思いであり、なんだかんだで慕われていた。
しかし、物語の途中ローラを庇って死亡してしまう。

  • ローラ・サリバン
CV:藤原理恵、笠原弘子(ゴッドブレス)
忍がアメリカで助けた少女。母親を襲撃により亡くしている。
元々は重要なキャラになる予定だったが、打ち切りの負い目に合い、マスコットキャラポジションに留まってしまった。
中の人は声優ではなく歌手であり本作のOPも歌っている。

  • シャピロ・キーツ
CV:若本紀昭
元々は忍たちの上官で沙羅の恋人だったが、異星からの侵略に対する自身の忠告をまともに聞き入れようとしなかった地球に深く失望しムゲ帝国に寝返った
最終的には帝国をも手中に収め、全宇宙を支配する神になるという野望を抱く。
指揮者としては優秀な男だが、性格は尊大かつ狷介。器量の狭さから孤立するタイプ。
ちなみにナポレオンを尊敬している模様。
乗機はデザイアだがスパロボGCまでその設定が明かされず、それ以前はシャピロ戦闘メカと呼ばれていた。

  • アラン・イゴール
CV:田中秀幸
ブラックウイングのパイロットでイゴール長官の息子だが、古いタイプの軍人である父親に反感を持っており、黒騎士隊という独自の組織を立ち上げ、ムゲ帝国に反抗する。
獣戦機隊の良き友にしてライバルという存在だったが最終的に戦死。死の間際に野生化を果たし、敵幹部・ヘルマットの旗艦に特攻し宇宙に消えた。
しかしスパロボでは未だに再現されないどころかファイナルダンクーガのサブパイロットになるので、ある意味優遇されている。というか、完全に獣戦機隊の一員扱いである。

  • 葉月考太郎
CV:石丸博也
獣戦機を開発した張本人。博士ポジションのキャラであり軍人ではないのだが、イゴールに代わって獣戦機隊の指揮を執る。ガンドールの艦長も担当。
ローラを養女として引き取った。

  • ムゲ・ゾルバドス(ムゲ帝王)
CV:仲村秀生*4
ムゲ帝国の支配者。
怪物じみた仮面にローブ姿をしているが、TVシリーズではその正体は明かされず、OVAにて真の姿を見せる事となる。
悪の黒幕にしては部下に優しく、失敗続きのデスガイヤーも更迭という形で休養をとらせていた。

  • デスガイヤー将軍
CV:屋良有作
褐色で筋肉質の身体にモヒカン、銀のマスクというコワモテな姿。
いわゆる武人肌な性格で、ムゲ帝王の最も信頼する部下でもある。
エンディングでの名前表記がディスガイヤだったりデスガイヤだったりする。
乗機はデスグロームとザンガイオー。なんだか聞いた事のある名前である。

  • ギルドローム将軍
CV:佐藤正治
ひび割れた緑の肌に頬から長い髭の伸びた不気味な老人。
精神波を得意としており、人の心を操り蝕む。
乗機はギルバウアー。

  • ヘルマット将軍
CV:二又一成
大きな翼と牙を持った吸血鬼のような怪物。
デスガイヤー、ギルドロームに比べると特に目立った特徴のないお方。

  • ルーナ・ロッサ
CV:島津冴子
ムゲ帝王の側近であり、シャピロの世話役を務める女性。
シャピロの野望に同調するそぶりを見せるが、結局は失敗続きのシャピロを見限る事となる。

〈登場機体〉

  • 獣戦機
ダンクーガを構成する後述の4機の総称。
ノーマルモードは戦闘機や戦車の体をとっているが、獣型のアグレッシブモード/ビーストモード、さらには人型ロボのヒューマロイドモードへと三段変形する。
ヒューマロイドモードへの変形は、ダンクーガへの合体共々作中初期では伏せられていた。

  • イーグルファイター
搭乗者:忍
武装:爆雷、ミサイル、機関砲、アグレッシブビーストチャージ(突撃)
ダンクーガの頭部を形成する鳥型戦闘機。覆面つきヘルメット。
ノーマル(ビークル)の時点でほぼ鳥型で変形させる余地がないためか、ノーマルとアグレッシブビーストの区別がないが、その代わりビーストモード時は青いオーラのようなものを纏う。

  • ランドクーガー
搭乗者:沙羅
武装:ミサイル、ビーム速射砲、アグレッシブビーストチャージ(噛み付き)
ダンクーガの左足を形成するクーガー型軽戦車。黒いゲタ。

  • ランドライガー
搭乗者:雅人
武装:ミサイル、ライフル、アグレッシブビーストチャージ(噛み付き)
ダンクーガの右足を形成するライオン型軽戦車。黄色いゲタ。

  • ビッグモス
搭乗者:亮
武装:ロケットランチャー、榴弾砲、4連大口径砲、対空パルスレーザー、アグレッシブビーストチャージ(鼻と牙)、鉄拳
マン“モス”型重戦車。蛾でもハンバーガーでもない。
ダンクーガの胴体部分を形成する…というか、見ての通り他の3機の担当部分が申し訳程度でしかないため、ぶっちゃけダンクーガを構成している要素はほとんどコイツ
むしろダンクーガが「フルアーマービッグモス」。
OVA版では合体するとスタイルが良くなる。



キーワード、D.A.N.C.O.U.G.A……

DANCOUGA(ダンクーガ)!!

  • ダンクーガ
全高/34.3m
重量/114t
獣戦機が合体した「獣を超え、人を超え、そして神になる究極のマシン」
担当したアニメーターによって印象は若干異なるが、かなりのイケメンで合体ロボとは思えないほどスタイルが良い。
前述の通り、初合体まで引っ張りに引っ張り、登場が非常に遅かった。
しかも、後年のスパロボで有名になった代名詞ともいえる武器・断空剣や断空砲はTV未登場であり、OVAでやっと登場している(ダイガンはTVから存在した)。
それまでの必殺技はほぼ鉄拳であり、並み居る強敵をほとんど全部パンチだけで粉砕した。
というか、デザインが複雑なので作画は大変だったらしく、そのせいでこんな戦い方になった感もある。
弱点は空を飛べない事だったが、TV版終盤にブースターを装着して克服した(OVAだと内蔵式)。

  • ブラックウイング
アランの駆る戦闘機で、イーグルファイターより二回りも大きい。アラン本人が独自に設計した。
じゃあなんで葉月博士の作ったダンクーガと合体できる(予定だった)のかとか突っ込んではいけない。

  • ファイナルダンクーガ
最強・最後のダンクーガ。ブースターを分離し、代わりにブラックウイングが合体する。
……と言いつつ『ダンクーガ』本編には影も形もない形態であり、大張氏がDVD-BOXのカバー用に書き下ろしたイラストが初出。
出す予定だったのが打ち切りの影響でオミットされてしまったと言われているが、大張氏が自分の妄想の産物だとする言及も見られており謎。
スーパーロボット大戦GC』で正式に初登場し、以降ダンクーガが参戦するスパロボにはほぼ毎回登場。『第3次スーパーロボット大戦α~終焉の銀河へ~』などでのカットイン原画は大張氏が手掛けている。

  • アルティメットダンクーガ
究極のダンクーガ。獣戦機各機に増加装甲を施し、操縦者の負担を減らしている。ブラックウイングとは合体していない。
スーパーロボット大戦30』で突如初登場。登場時から既にこの形態のため、どういう経緯で強化されたか等は謎のまま。
今後ファイナルアルティメットダンクーガみたいな形態が出てくるのかは不明。一応ブースターを外せばブラックウイングは合体不可能では無いと思われるが…

その他、放送当時は名前のなかったシャピロの機体に、スパロボGC以降「デザイア」という名称が付いた。命名者は奥田誠治総監督。


〈主題歌〉

OP:「愛よファラウェイ」/「ほんとのキスをお返しに」
OPは両曲ともローラ役の藤原理恵が歌っている。
曲調・歌詞共にロボットアニメとは思えない内容で、スパロボの戦闘BGMになる際は大幅なアレンジが加えられる事で有名。
スクコマ1・2nd・GC(XO)・30に到っては完全に別物である。
比較的原作寄りのアレンジの「愛よファラウェイ」もこのしっとりしたBGMをバックに「愛の心にて悪しき空間を断つ」断空光牙剣を振るうダンクーガが異様に様になっているため、
「愛よファラウェイ」と断空光牙剣の組み合わせを好むファンもいるとか。原作では全く関わりないのにマッチし過ぎである

ED:「バーニング・ラヴ」/「シャドウィー・ドリーム」
この中ではロボットアニメっぽい唯一の曲であるためか(歌詞自体は純然たるラブソングだが)、参戦初期のスパロボではほとんど「バーニング・ラヴ」が戦闘BGMに採用されていた。そのため、こちらがOPテーマと思っていた人も多いはず。
後者はシャピロがいっぱい。

〈余談〉

特にスーパーロボット系の作品の中でも『軍隊所属』という設定で『ガンダム』シリーズなどの他作品のリアル系のロボットアニメとの相性も良く絡ませやすい事から、スパロボへの参戦経験も多い本作だが、その中の一つ『第3次スーパーロボット大戦α』では、沙羅がこんな名言を発している。
自分から神を名乗る連中にはロクなヤツがいない……これはもう法則と言ってもいいね
実際、第3次α以後に出てきた「自称神」のキャラクターにはほぼ全てこのセリフが当てはまっている(スパロボのみならず各種版権作品においても)。

ダンクーガの合体システムは『THX1138』という名だが、元ネタはジョージ・ルーカス監督の同名映画およびその主人公(あるいはそれを引用したルーカス作品)。



追記・修正、やってやるぜ!

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最終更新:2024年03月07日 07:34

*1 『デラックス アニメディア 超獣機神ダンクーガ 完結版』より

*2 『アニメの仕事は面白すぎる 絵コンテの鬼・奥田誠治と日本アニメ界のリアル』より

*3 この頃はまだ動画・原画のみの担当であり初のメカデザ担当であったが、当時から現在の作風を確立させていた。

*4 スパロボシリーズでは稲田徹が代役を務める。