世界樹の迷宮

登録日:2009/07/16(木) 00:30:09
更新日:2024/03/18 Mon 17:04:25
所要時間:約 7 分で読めます




深き樹海に総ては沈んだ…。

罪なき者は、偽りの大地に残され
罪持つ者は、樹海の底に溺れ
罪深き者は、緑の闇に姿を消した。

人の子が失ったのは大いなる力
新世界が失ったのは母なる大地

真実は失われた大地と共に
深淵の玉座でただ一人
呪われた王だけが知っている。



『世界樹の迷宮』(Sekaiju no MeiQ)はランカース開発、アトラス発売の3DダンジョンRPG。
ハードはニンテンドーDS。発売日は2007年1月18日。

+ 目次


~概要~


世界樹の迷宮シリーズの1作目。
「現代の感覚でWizardryを作る」をコンセプトに制作された。

コンセプトに偽りなく、基本的な3DダンジョンRPGのゲーム性をベースにしつつ、以下のような特徴を持つ。
  • イラストレーター・日向悠二氏による可愛らしいキャラクターデザイン
    および、それを活かしたキャラクターメイキング
  • 作曲家・古代祐三氏があえてPC-8801音源で制作した少々レトロな雰囲気のBGM
  • ニンテンドーDSのタッチパネルを活かしたマッピング機能
  • 敵モンスターの苛烈な攻撃、シビアな難易度
  • F.O.E.*1と呼ばれるシンボルエンカウントの強敵の存在

プレイヤーは冒険者として、宝箱や奥に続く道を探してダンジョン内を巡り、自分だけの地図を描きながら、ダンジョンで彼らを待ち受ける凶悪モンスターやギミックによってhageる蹂躙されるゲームに仕上がっている。
ゲームブックTRPGの影響も大きく、選択肢や各種テキストの語り口調*2からその片鱗をうかがえる。

1作目ということもあり粗削りな部分も多く、バグゲーとしても有名。
特にスキル周りのバグが多く、スキルの解説文はもはや当てにならない。

海外版タイトルは『Etrian Odyssey』。和訳すると「エトリアの冒険」だろうか。
「世界樹」のニュアンスの不自然さを考慮してこうなったと思われるが、エトリアとは本作の舞台となる街の名前のことなので、エトリアと関係ない後続のシリーズ作品で違和感が生じてしまうことに。

ノベライズ化もされている。著者は嬉野秋彦。


リメイク及びリマスター版

2013年6月27日に発売されたリメイク版。ハードはニンテンドー3DS
プレイヤーを含むパーティーメンバーが固定の「ストーリーモード」追加が大きな特徴となっているが、プレイヤーがパーティーメンバーをキャラメイクする、オリジナル及び従来のシリーズと同じ仕様の「クラシックモード」もプレイできる。
詳細は該当項目を参照。


  • 世界樹の迷宮HDリマスター版
2023年6月1日にNintendo Switch及びSteamで配信、発売されたリマスター版。
リメイクというよりリブートに近い作風だった上述の『新』と違い、こちらはほぼオリジナル準拠。

ニンテンドーDSの2画面を生かしたUIが特徴だったオリジナルと異なり、1画面のハードに移植したためにUIやマッピングの操作方法等が変更されている。
一方、『世界樹Ⅱ』以降のシリーズ作品で実装された様々な便利機能(カニ歩きやオートマッピング、難易度選択など)など、快適性にこだわった追加要素も多い。
基本的にオリジナルより遊びやすくなっているため、今から遊ぶならこちらがオススメ。アイコンの配置数限界で困ることもない。

各種バグも修正されているが、ユーザーにとって有利になる一部の不具合はあえて残されている。

+ ゲームバランスに関わるオリジナル版との違い
  • 難易度がPICNIC、BASIC、EXPARTから選択できるようになった。
    オリジナル版の難易度はEXPARTで、他は世界樹の迷宮Xと同様の補正が入る。ダンジョン外ならいつでも変更可能。
  • 宿屋の宿泊費が一律パーティーの最大Lv×5に変更。人数による変動はなくなったが、Lv70一人をを8enで泊めることもできなくなった
  • 冒険者ギルド回りがⅡ・Ⅲと共通化し、登録上限が30人まで、休養がいつでも可能でレベル低下が5になった。
  • ソードマンのチェイス系スキルのTP消費について、ゲーム内表記と実際の消費にズレがあったが、実際の消費に合わせる形で表記を修正。
  • レンジャーのアザーズステップは元々低レベルでも失敗の報告がなかったが、本作から成功率の表記を削除。
  • レンジャー・ダークハンターのシャドウエントリが強化。
  • パラディンの挑発が強化(ただしLv5以降でないと効果を実感しにくい)。
  • パラディンの三色ガードをレベル6以上に上げても追加効果をシャットアウトできるようになった。*3
  • ダークハンターのブーストアップLv10が強化。*4
  • メディックの戦後手当が表記通り3%からスタートになり、性能が微強化(Lv9→10で12%→15%)。
  • メディックのキャンプ処置が最大Lv5になり、性能が大幅強化(Lv3でTP3消費するだけでパーティー全快、さらにLv5で消費TP1に減少。)。
  • メディックのリジェネレートとバードの癒しの子守唄が重複すると効果が減衰せず加算されるようになった。
  • アルケミストの毒マスタリーが最大Lv5になり、明確に術式取得の前提のためだけのスキルと明記。
  • ブシドーの青眼の構えLv9の攻撃上昇率が23%から13%に修正。
    元々13%にする筈だったと言われているが、リマスターにおける珍しい下方修正。ちなみにLv10では20%。
  • ブシドーの貫突が斬属性から突属性に変更された。
  • 事実上唯一品だったカースメーカーの専用体防具の品切れが無くなり、無限に買えるように。
  • 敵スキル「悪魔のクチバシ」の依存部位が腕から頭に修正。
  • クエスト「朝日と共に這い寄るモノ」の討伐対象が無限湧きするバグが修正され、金策が面倒になった。ユーザーに有利なバグだったのだが…。
  • 戦闘中に隊列変更ができるようになった。
    ただし、3DS作品仕様ではなくⅢ仕様でMOVEに手番を消費し、空き枠に移動できない。
  • 周回要素追加。二周目は最初からブシドーやカースメーカーを使って遊べるようになる。
  • 中断セーブ機能追加。ダンジョン内で何度でもロードできるので強敵戦前に中断セーブしておけばhageても再挑戦しやすく、レアドロップが出るまでリセマラできる。
    ただし、乱数固定の概念があるので注意。

+ バグっぽいが仕様として残っているもの
  • ソードマンの各種チェイスとレンジャーのアザーズステップの行動順がランダムであり、アザステ+全体術式+チェイスのコンボは相変わらず不安定。
  • アルケミストの毒術式Lv9→10で「威力↑↑」とあるが、レベルアップによるダメージは変化なし。
  • 4層ボスは同階のF.O.E.を全滅させた上で倒さないと無限沸きする。
  • DS実機由来の乱数固定の概念が存在し、同じ行動を取ると必ず同じ結果になる。


~ストーリー~


取扱説明書

緑に囲まれた肥沃な大地…。
とある地方に“エトリア"という名の小さな街があった。
何の変哲もないその小さな街はある年の発見を境に大陸で最も有名な都市となる。

“世界樹の迷宮"

エトリアの街外れで発見された巨大な大地の裂け目。
地の底まで続こうかという深淵を思わす巨大な地下樹海の迷宮…。

───そこには全てがあった。

名も知らぬ草花が不可思議な果実をつけ
見たこともない獣たちが徘徊するその森には、莫大な財宝が眠っていた。

エトリアの迷宮の噂を聞いたものは老いも若きもみな、その樹海を夢見るようになった。
富、名声、権威…。
そして何よりも、飽くなき冒険心を満足させるに足る樹海。
それは、死と隣合わせの冒険に、自らを投げ出すに値するものだった。

プレイヤーはエトリアにやって来たばかりの新米冒険者。
志を同じくする仲間を集め、自分達だけのギルドを作り、有象無象が待ち受ける世界樹の迷宮に足を踏み入れることとなる。


NEW GAME

大陸の辺境に位置する
エトリアという名の小さな街で
大地の下に広がる樹海が見つかった。

エトリアの統治機関執政院は
大陸中に樹海探索の触れを出し
数多くの冒険者を集めることにした。

しかし、幾人の冒険者が集まろうと
樹海の奥深くに潜り、富と名誉を
手にする者は現れずにいた…。

…誰にも踏破されない樹海は
いつしか世界樹の迷宮と呼ばれ
冒険者の畏敬の対象と化していった。

……。
君もまたその布令に応じ
エトリアに向かう若き冒険者である。

その目的は一つ、樹海を探索し
富と名誉をその手につかむことだ。
さあ街の門をくぐり進みたまえ!


~用語~


  • エトリア
小さな田舎町であったが、数年前に謎の遺跡、通称「世界樹の迷宮」を発見。一躍有名になる。
今では武具商店や宿屋、酒場やギルドなど冒険者達の街として発展し、大陸有数の都市となった。

迷宮の発見による急激な発展の弊害として、冒険者達の存在、ひいては世界樹の迷宮の存在に経済的、政治的に依存している。


  • 世界樹の迷宮
最近発見されたばかりの古代遺跡。
季節を無視し常に青々とした草木が繁っており、独自の生態系を持つ。
希少な資源が豊富に採れるが、内部には危険な生物も多く繁殖しており、熟練の冒険者でも命を落とす事も珍しくない。


  • ギルド
「世界樹の迷宮」に挑戦する冒険者達のグループ、またはその斡旋所。
冒険者達はギルドに所属することで、初めて仲間を集めたりクエストを受注することができる。

ギルドは「冒険者ギルド」により一括管理されており、「世界樹の迷宮」についての情報を共有している。


~登場人物~


  • 執政院の長 ヴィズル
エトリアを治める執政院の長。
エトリアの発展を嬉しく思いつつも、迷宮に依存しきった街に危機感を抱いている。


  • 執務員 オレルス
執政院の構成員。
迷宮内部の生物や資源についての情報を記録している。嘘つきメガネ。


  • ギルドマスター ガンリュウ
片目の負傷を機に引退した凄腕冒険者(レンジャー)。
主人公達の先輩としていろいろなアドバイスをしてくれ……ない。バランスの人。
「バランスよく冒険者を集めたか?いい加減なパーティじゃ後々苦労するぜ。」
ストーリーがどれだけ進んでも、たとえプレイヤーが迷宮の最深部までたどり着いていたとしても、ずっと↑の台詞しか喋らないバランス重視のバランス人間。*5


  • 酒場の女将 サクヤ
疲れて帰った冒険者に温かい言葉をかけてくれる美人女将。
クエストの管理もしており、依頼を通じて世話になることが多い。


  • 宿屋の主人 アレイ
通称・糸目。ボッタクリ価格で宿を提供する笑顔の眩しい守銭奴。一応DS版ではLv1を4人並べることで宿代を大きく浮かす裏技がある。
彼が依頼者と思われるとあるクエストは、そのあまりの報酬金の低さから当wikiで専用項目ができ、後の作品でネタにされるほどの語り草になっている。
宿代が高いことと、ストーリーが進むと台詞が適当になり同じセリフしか話さなくなること、そして上述のクエストから、ネタキャラとしての確固たる地位を確立した。
また、彼が糸目だったばかりに、後のシリーズ作品でも宿屋のキャラは糸目になるのが恒例となった。
彼と比べると、後の宿屋の糸目たちはセリフなどで人柄の良さが伝わるように配慮されている。


  • 医者 キタザキ
エトリアで医者を営む初老の老人。
主に状態異常の回復と回復薬の処方をしてくれる。
実は元冒険者であり、設定上最高レベル(140、ちなみにこちらの最高レベルは70)のキャラ。
アトラスが2005年に発売したゲーム『超執刀カドゥケウス』からの登場。


  • 商店店主 シリカ
エトリアの武具商店店主を務める少女。
褐色肌の黒髪ポニーテールでボクっ娘そして下乳…と、属性てんこ盛り。
腕利きの職人を従え、エトリア一の工房を自負するが、価格が如何せんボッタクリ。
だが下乳がエロいので許す。


  • 氷の剣士 レン
ツスクルとコンビを組む凄腕ブシドーの女性。
かなりの美形で、中性的な外形をしている。


  • 呪い師 ツスクル
レンとコンビを組むカースメーカーの少女。
二人だけのギルドだが実力は高く、エトリア随一と呼び声高い。


~基本システム~


このゲームは一般的なRPGと違い、明確な主人公や仲間キャラクターは存在しない。
プレイヤーはパーティーメンバーとなるキャラクターを自由に作成し、自分だけのパーティーでダンジョンに挑むこととなる。

パーティーは最大5人まで編成可能で、戦闘はいたって普通のターン制のコマンドバトル。
特徴としてパーティーには前列・後列の概念があり、後列に配置すると攻撃力と防御力に補正がかかる仕様がある。
後列のキャラは被ダメージが減る一方で、近接武器での攻撃の威力が下がってしまう。
基本的には耐久力の高いキャラや近接武器で火力を出すキャラを前衛に、そうでないキャラを後衛に置くのがセオリー。


キャラクターメイク

キャラクターメイクでは名前・職業・外見を決めることができる。
シリーズ処女作ということで職業間のバランスが大味すぎるのはご愛敬だが、どう頑張っても活躍が厳しい職はとりあえずないので思いのままに作成していい。
ゲーム開始時に作ったキャラにこだわらず、冒険が進んだら探索用・ボス戦用などいろいろなキャラを作成してみるのも良いだろう。

なお、名前・職業・外見以外の要素はプレイヤーの想像に委ねられている。
例えば、キャラクターの性別はゲーム内に記載されていないため、明らかに男女どちらかだと分かる外見はともかく、中性的な外見の場合はどちらの性別と解釈してキャラクターメイクするかはプレイヤーの好み・判断に委ねられている。*6
また、キャラクターが台詞を発することもないため、どんな性格・口調なのかはプレイヤーが想像するしかない。

そのため、より「ロールプレイングゲーム」として本ゲームを楽しむのであれば、自分が作ったキャラクターに、自分なりの人物設定(性格やパーティー内での立場、冒険者となった背景など)を付け加えてプレイしてみるのも良いだろう。
設定如何によって、依頼者を喜ばせるのが目的でクエストに精を出すギルド、世界樹の迷宮の謎を追う孤高の探究者など、真の意味でのロールプレイが楽しめる。

キャラクターの成長

キャラクターにはレベルがあり、戦闘を重ねてレベルアップするとステータスが上昇する。
ステータスの上がり幅は職業とレベルで決まっており、ランダム成長ではない。

+ キャラクターのステータス解説
項目 説明
HP 体力。0になると戦闘不能に。
キャラクターロストはしない。
TP いわゆるMP。
スキル使用で消費する。
STR
(Strength)
腕力・強靭さ。
物理攻撃力に影響。
TEC
(Technich)
技術力・器用さ。
チェイス以外の全ての属性攻撃力に影響。
本作では状態異常の付与率にも絡む。
VIT
(Vitality)
生命力・頑丈さ。
物理防御力に影響。
AGI
(Agility)
敏捷性・素早さ。
行動速度や回避率等に影響。
LUC
(Lucky)
幸運。
確率が絡む要素全般に影響。

また、レベルアップしたキャラにはスキルポイントが与えられる。
これを消費することで、新しいスキルを習得したり、既存のスキルの性能を強化したり、一部のステータスを底上げすることができる。

キャラクターの最大レベルは70であり、獲得できるスキルポイントにも限界がある。
そのため、“その職業の全スキルをマスターしたキャラクター”を作ることはできない。
プレイヤーには『限られたスキルポイントをどう割り振り、どのような冒険者を育てるか?』という悩みが常に付きまとうこととなるが、これは同時に本作の育成の醍醐味でもある。
一般的には、あれこれと色んなスキルを覚えた器用なキャラクターより、覚えるべきスキルを吟味したキャラクターの方が強いとされる。
使用頻度の高いスキルを最大レベルまで性能強化し、余ったスキルポイントはステータス強化に振る…というのが一般的だが、そのキャラの職業や任せたい役割によって最適解は異なってくる。

ちなみに、ほとんどのスキルは、スキルレベルがLv10になるとマスター(最大強化)となる。
スキルレベルがLv5やLv10に到達すると性能が大きく変わるものも多いので、中途半端にLv2やLv3に強化するのはスキルポイントが無駄になりがち。
スキルの習得・強化においては、『とりあえず使えるLv1で止める』か、『性能面で頼れるLv5 or Lv10まで上げる』とするのが望ましい。


職業

ソードマン

バランスが取れた前衛職。
平均して高い能力をもつが、命中とTPが低いのが難点か。
剣と斧が使え、剣は範囲技、斧は単体技とタイプが分かれる。

剣のスキルは複数の敵を攻撃する『トルネード』『ハヤブサ駆け』などが揃っており、雑魚の殲滅を得意とする。
また、味方の属性攻撃がトリガーとなってソードマンが追撃するスキル『チェイスファイア』『チェイスフリーズ』『チェイスショック』によるコンボ攻撃が得意。
後の作品と異なり、本作のチェイス系スキルは剣専用かつ純属性攻撃*7で、味方の属性攻撃に1回しか反応しない。
その代わり威力が高く設定されており、全体攻撃に反応するとソードマンも敵全体に追撃する。

斧はソードマン専用装備で、通常攻撃が斬、斧スキルが壊属性になっている。
良燃費に加え武器攻撃力が非常に高い*8ため、中盤まではかなり頼もしい。
一方、ゲーム後半にもなると殴りパラディンや殴りメディと競合してしまうのが悩みどころ。


レンジャー

今作の壊れ職1。前衛、後衛共にこなせる中衛職。
弓を装備可能で、後衛から攻撃してもダメージが減衰しない特徴がある。

攻撃属性は突一辺倒なものの、優秀すぎるサポート技、意外と高くなるHP*9、全職でも屈指の素早さ、超火力のスキルと高いスペックを誇る。
壊れているのはステータスに留まらず、バグも豊富。

レンジャーの代名詞とも呼べるスキル『アザーズステップ』は、指定した味方をそのターンの最初に行動させることができる。
このスキルにより、味方と連携することでアルケミストの全体術式をバトル開幕から敵に叩き込んだり、敵が行動するより前にメディックの全体回復を発動させて体勢を建て直したりできる*10ため、雑魚戦からボス戦まで状況を選ばず活躍する優秀なサポートスキルとなっている。

火力面も一級品で、武器マスタリーの補正が何故か他職より高いことに始まり、名前に反して極めると3連続攻撃する『ダブルショット』、そしてターンをまたいで放つ大技『サジタリウスの矢』など、前衛職も真っ青の高火力スキルを持つ。


パラディン

世界樹シリーズの看板職にして、今作の壊れ職2。
鉄壁の防御を持つパーティーの盾。ダメージ軽減、属性攻撃無効化など、強敵相手に便利な技を多数もつ守りのエキスパート。
特にゲーム終盤の一部のボスは攻撃が激しすぎるため、これを軽減・無効化できるパラディンが居るのと居ないのとで難易度が大きく変わる。

STRも何故かブシドーと並びトップで、火力パッシブがないことを差し引いても『シールドスマイト』はソードマンもびっくりの火力を出せる。
シレっと『キュア』『キュアⅡ』も覚えるが、最序盤のちょっとした回復に役立つ程度。

尚、世界樹の盾職は普通は盾を装備しないと碌にスキルを使えなくなるが、本作のパラディンのスキルで盾装備が必要なのは何故か三色ガードとシールドスマイトの4つしかない。
盾なしでダメージを軽減したり、素手で三竜のブレスをパリイしたりするのは非常にシュール。

リマスター版では効果が貧弱だった『挑発』が別次元に強化され、敵の攻撃を『挑発』で自身に引きつけ『パリング』で弾くプレイングが安定して可能になり、さらなる強化が施されている。
本作の後列補正はダメージではなく防御力にかかるため、硬いパラディンは他職以上に後列補正の影響が大きい。挑発タンクをやるなら後列に置くのも一興。

ダークハンター

高いAGIとTEC*11が光るサポート型の前衛職。
前衛としては耐久にやや難ありだが、各種状態異常や「封じ」を一通り使えるため、その価値は高い。
複合属性の属性部分のダメージはSTRではなくTECでダメージを算出するためバードの序曲との相性もいい。

鞭または剣を装備可能。
通常攻撃はどちらも斬属性だが、剣スキルによる攻撃は(トラッピングを除き)突属性となっている。

鞭はダークハンター専用の近接武器*12で、敵の頭/腕/脚のいずれかを縛り行動を阻害する“封じ”を扱うことができる。
たとえば頭を封じればブレス攻撃が出せない、脚を封じれば突進攻撃が出せない等、特定の部位を封じることで敵の強力なスキルを発動できない状態にすることができるため、パーティーの被害を減らすことができる。
三ヶ所を全て縛った敵に対して威力が上がる技『エクスタシー』は極めて強力だが、ダークハンター単独では達成が難しいため、カースメーカーなど他職と連携するのが望ましい。

剣の場合、攻撃しながら毒や睡眠などの状態異常を付与するスキルを豊富に持つ。
同じく剣装備のソードマンや鞭装備のダークハンターが他職との連携が重要となるややテクニカルな職業であるのに対して、剣装備のダクハンは比較的シンプルな性能をしているのが特徴。
火力こそ少し物足りないものの、役割が個人でほぼ完結しているため初心者でも扱いやすく、どんなパーティーでも起用しやすい。
攻撃しつつ自身の体力を回復する『ドレインバイト』はダークハンターの耐久性能の低さを補う優秀なスキルで、一人でF.O.E.を倒さなければならない特定のクエストなどでも活躍する。


メディック

今作の壊れ職業その3。装備可能武器は杖。
回復のスペシャリストで、全体回復や状態異常回復を唯一行える。
本作にはメディック以外にまともな回復職がいないため、どんなパーティーでもほぼ必ず採用される。

本作最大級の壊れスキル『医術防御』は物理・属性問わずあらゆるダメージを大きく軽減する効果を持ち、パラディンやバードの役割を一部奪ってしまっている。
強力すぎて縛るボウケンシャーも多数。

耐久面に難があり、ゲーム内でも後衛を推奨されているが、HPブーストの恩恵が大きいため鍛えれば一応前衛も可。
さらにATCブーストの倍率がぶっ飛んでおり、これにスキルポイントを振れば物理攻撃力も高くなる。
唯一の殴りスキルである『ヘヴィストライク』まで極めれば、純戦士職に匹敵する物理アタッカーになることも可能(通称:殴りメディ)。

回復職のイメージに反して攻撃や補助でも活躍できるポテンシャルを秘めているため、本作屈指の強職業と言える。
産廃性能だったスキル『キャンプ処置』もリマスター版では大幅な上方修正が施され、益々壊れ職としての存在感を発揮した。代わりに『戦後手当』の立場が危うくなったが


アルケミスト

いわゆる“魔法使い”系の職業。元素を操り、様々な属性攻撃を行う後衛型。武器は杖。
公式では魔法使いではなく、あくまで“錬金術師”。*13
なお、本作では毒も扱える。

全職中唯一HPブーストを持たないこともあり物理による攻撃・耐久面は貧弱の一言に尽きるが、炎・氷・雷の属性攻撃によって多くの敵に対し弱点を突くことができる。
雑魚敵の中には物理攻撃に高い耐性を持つものもしばしば出現するが、アルケミストがパーティーに居れば対処は容易。
特に六層攻略においては物理完全無効の敵が3種もおり、ついでにB27Fの探索において極めて重要なスキルを持つためメインに入れる予定がなくとも育成しておきたい。

単体火力に優れているわけではない上、TPが切れると置物になるためボス戦は少々苦手だが、属性攻撃や範囲火力を求められる場面は多く、主に雑魚戦でコンスタントに活躍できる。
行動速度の遅さはレンジャーと、TP管理の難しさはバードと組むことで対策可能。


バード

壊れ職業その4。
攻撃スキルを持たず戦闘能力が低い代わりに、味方の強化に特化した支援職。
何が壊れかって、歌による強化が基本永続&ほとんどの強化スキルが味方全体対象なのがまず壊れである。
とりあえず味方全体永続攻撃力UPの『猛き戦いの舞曲』のレベルは脳死で上げておこう。

味方全体永続防御UPのスキル『聖なる守護の舞曲』も有能そうに見えるが、これは必ずしも覚える必要はない。
これは、ダメージ算出における防御力の影響が小さい本作において「防御力」にバフをかける効果があまり有効ではないため。
また、パラディンやメディックが(ターン制限ありとはいえ)「耐性」にバフをかけるかなり強力なバフスキルを覚えるため、パーティに彼らがいるなら、なおのこと出番がない。
とはいえ、「敵が使うデバフスキルに対し、味方がバフをかけることで打ち消すことが可能」という仕様もあるので、敵の防御デバフ打消し用にバードの防御バフスキルをLv1で取得しておくと安心。

味方のステータス強化スキルの他に、取得経験値UPのパッシブスキルや味方一人の通常攻撃に属性をする付与スキルも覚える。
パーティにアルケミストがいない場合、属性攻撃できる手段は限られてくるので、バードがいると安心できる。
また、味方全体のHP・TPを毎ターン回復させるスキル『癒しの子守唄』『安らぎの子守唄』が強力で、極めればパーティーの継戦能力が大きく延びる。
癒し/安らぎの子守唄を味方に付与し、攻撃が弱めの雑魚を1体残して、全員ひたすら防御しているだけでパーティーはたちまち全快してしまう。

「味方一人にかけられるバフは3つまで」という仕様がバードを起用する上での最大の難点で、他職のバフも併用する場合、バードは早々にやることがなくなりがち。
アイテムによる回復などのサポートを任せることも検討しよう。

ステータスは平均的で、前衛・後衛共に可。初期装備は剣だが何気に杖と弓も使える。
アタッカーが仕留め損ねた瀕死の敵の処理程度なら任せられるだろう。


ブシドー

ゲーム中盤から作成可能な職業。
剣と刀が使える前衛職…だが、スキルは全て刀専用なので刀一択。
ちなみに刀はブシドー専用装備。
後作のブシドーはAGIが高いが、本作のブシドーのAGIはソードマンと同レベルで並。

ブシドーのスキルは、そのほとんどが「構え」を発動の前提条件としている。
『上段の構え』『青眼の構え』『居合の構え』の3種からひとつ選んで構えることで、自身のステータスを強化しつつ、各構えに応じたスキルを繰り出せるようになる。

「構え」に1ターン必要かつ「構え」で貴重なバフの枠を1つ使ってしまうという欠点はあるものの、瞬間火力はトップ。
特に『上段の構え』から繰り出す『ツバメがえし』はゲーム内屈指の高火力スキルとなっている。
一方、火力を出すだけならレンジャーでも十分だったり、TPが低すぎてガス欠が速かったり前衛屈指の紙装甲が災いして死にやすかったりと扱いが難しく、全体的に不遇。
単体攻撃しか持たないのもネックか。

壊以外の全属性を扱えるのはブシドーならではの長所であり、更に『居合』系のスキルは即死攻撃があるため、六層深層の敵と戦う際は重宝する。


カースメーカー

呪言により敵を弱体化させるデバフのエキスパート。武器は杖。
ブシドー同様、ゲームを進めると解放される特殊な職業。

敵全体に盲目や睡眠などの状態異常を付与したり、ステータスを下げたり、敵を操ったりとトリッキーな戦いが特徴。
特に敵全体を眠らせる『昏睡の呪言』は汎用性が高く強力。雑魚戦はこれだけで活躍できる。
鞭使いのダークハンターが『エクスタシー』による大ダメージを狙う場合は、カースメーカーが持つ各種「封じ」系のスキルや、状態異常・封じの付与時間を延長する『重苦の呪言』などでサポートできるため相性抜群。

作成解放時期の遅さに加え出足が遅いという欠点はあるが、デバフで味方に貢献する分、競争の激しいバフ枠を確保しやすく、意外と様々なパーティーに馴染む。
また、現在HPが低いほど火力が上がるスキル『ペイントレード』が極めて強力。


~世界樹の迷宮~


第一階層:翠緑ノ樹海

青々と植物が繁る迷宮の入口。
まだ浅い階層の為、光も十分に入り、「森」の清々しい美しさを感じられる。
小動物が多く生息しているが、中には毒をもつ蝶などの危険な生き物もいる。



第二階層:原始ノ大密林

同じ森ではあるものの、一層とは大きく異なりジャングルのように木々が密集している薄暗い階層。
強力な大型の獣や、神経毒を飛ばす花など厄介な生き物が多い。

毒・睡眠・盲目・麻痺などの状態異常を駆使する敵が一気に増え、ダメージ床などのギミックも登場する*14ため、第一階層より難易度は格段に上がる。
強い雑魚敵として有名な『危険な花びら』が登場するのもこのエリア。
その適当な名前からついつい油断してしまいがちだが、本当に危険な敵で、冒険者の死体の山を築いた。



第三階層:千年ノ蒼樹海

発光する植物に囲まれた神秘的な階層。
12Fまでのアリエリアと13F以降の水エリアに大きく分かれており、それぞれにエリアボスが鎮座している
12Fボスは15Fボスよりも厄介と言われるほどの難所の一つに数えられるにもかかわらず、倒した時点で日数経過による復活があるため15Fボスの早期討伐を強いられる。

雑魚敵は特殊な攻撃はあまり持たないが、戦闘が長引くと水中から突然現れたF.O.E.に襲われることもあるので注意。
敵の強さよりも、ギミックが厄介か。



第四階層:枯レ森

異常に乾燥している森。景色に気を奪われ、流砂に足をとられることも珍しくない。
枯レ森ではヒトに似た生き物が度々目撃されているらしいが…?

F.O.E.の存在意義がこの階層以降「避けるべき強敵」から「張り倒すべき障害」へと変化。
乾燥しているからか、概ね火の属性が有効。
採掘のレア素材50個から作れるアクセサリがとても強いが、要求素材が素材なだけに気づかず図鑑コンプしたボウケンシャーは数知れず。
ボスが無限沸きする?どんなミッションを受けているかもう一度確認してみたまえ。



第五階層以降は物語の重大なネタバレを含むため格納する。
閲覧は自己責任で。君は実際にゲームをプレイしてその真実を確かめてもいいし、ネタバレ覚悟で閲覧してもいい。

+ 第五階層以降(ネタバレ注意!)
第五階層:遺都シンジュク

世界樹の迷宮の深奥とされる階層。
見たこともない特殊な作りになっており、採取できる素材も未知の技術によって作られたものばかりである。
世界樹の迷宮とは一体何であったのか? その答えはこの階層で明らかになる。

磁軸のすぐ側に採掘ポイントがあり、ここに辿り着けば金策が相当楽になる。
かの有名な雑魚敵『アーマービースト』が登場するのはこの階層。
その“さほどでもない攻撃力”で多くの冒険者を屠った。


第六階層:真朱ノ窟

「深奥」の更に先にある謎の階層。
まるで生き物の体内のような不気味なエリア。

マップ構造にスタッフの悪意が滲み出ており、あまりにも多いワープ床に隠し通路、落とし穴、ダメージ床等々、攻略情報なしでの踏破難度は最高峰。
出現する敵もメタルシザースを筆頭に強力なものばかりで、キャラクターを最大レベルまで強化していても苦戦するほど。
特に雷属性の攻撃手段を持っていないと地獄を見る。

最深部で待つ最強の敵*15に、君たちは勝利することが出来るのだろうか。

扱いとしては、あくまで“クリア後のおまけステージ”。
Ⅱ以降の第六層はストーリーと明確に関連があるが、このダンジョンはストーリーと何も関係がない。


~余談~


  • この作品のクエスト名は大抵何らかのパロディである。
    • 元ネタは小説の名前だったり、TRPGの名前であったり、曲の名前であったり…調べてみるのも面白いかもしれない。

  • 後発の作品と比べて、本作はエンカウント率が異様に高い。
    • 戦闘から逃げることなく律儀に敵を倒していると、特にレベル上げしているわけでもないのに適正レベルを越えてしまうことも。
    • レベルが少し高いくらいで難易度がガクッと下がるようなぬるいゲームでもないが、本作はレベル補正が強力に作用するため適正レベルを超えると攻略が楽になるのは事実である。
    • レンジャーのスキル『警戒歩行』があると、エンカウント率とプレイヤーのストレスを抑制できる。

  • 本作のタイトルの略称は、「世界樹」「SQ」「セカキュー」などいろいろある。
    • 公式では「SQ」が用いられることが多い。
      • この略称は、本作のタイトルのローマ字表記がSekaiju no MeiQであることに由来する。
    • 「セカキュー」の略称は、2004年に大ヒットした映画『世界の中心で、愛をさけぶ』の略称「セカチュー」が元ネタ。*16
      こちらの表記も公式で使われることがある。
    • ファンの間では単に「世界樹」と呼ばれることも多い。
      • ただし、ドラゴンクエストシリーズを始め、他のRPGでもしばしば「世界樹」というモチーフが登場することがあるため、文脈によるが「世界樹」表記だと紛らわしくなることもある。

  • 『世界樹の迷宮』シリーズのプレイヤーは、「冒険者」を文字った「ボウケンシャー」と呼ばれる。
    • これは『世界樹の迷宮Ⅲ』における、とあるNPCの名台詞「イザユケ!ボウケンシャー!」に由来する。轟轟戦隊ではない、いいね?




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最終更新:2024年03月18日 17:04

*1 Field on Enemyの略とされるが、諸説ある

*2 「さあ、◯◯したまえ!」や「君は◯◯してもいいし、しなくてもいい。」など

*3 パラディンの属性ダメージ軽減スキルは、Lv4以下ならダメージ軽減、Lv5でダメージ無効、Lv6以上でダメージ吸収となっていたが、Lv6以上にすると属性攻撃によるダメージを受けていない(むしろHP回復している)にも関わらず属性攻撃の追加効果(氷ブレスの即死効果など)の判定だけは行われてしまっていたため、オリジナル版においてこれらのガードスキルはダメージも追加効果もシャットアウトできるLv5止めが推奨されていた。

*4 オリジナルではLv9→10に上げても効果が変わらなかった。

*5 ごく一部のクエストでバランス以外の台詞が聞けることもある。

*6 ただし、本作は内部的にはキャラメイク時の各イラストに性別の設定も付随しているようで、それが関係するクエストがひとつだけ存在する。

*7 新世界樹でのチェイスは物理+属性の複合攻撃になっている。

*8 本作の最強斧の攻撃力は恒例の最強武器である天羽々斬と同じ

*9 HPブースト10のレンジャーのHPはHPブースト10のパラディンのHPをも上回る。

*10 このゲームでは強力な攻撃・回復スキルは行動速度にかなり強烈なマイナス補正がかかることが多く、通常であればターンの最後の方に発動する。アザーズステップはレンジャーの行動ターンを犠牲にする代わりに、行動が遅めの強力なスキルを持つ味方を先制して動かせる点に強みがある。

*11 本作の状態異常付与に関係するステータスはLUCではなくTECになっている

*12 特に新米冒険者は鞭を弓と同じく後衛から攻撃可能な武器と勘違いしがち。

*13 本作には“魔法”という概念は登場しない。

*14 後作と違い、ダメージ床を軽減・無効化する手段がない。おまけに、DS版(オリジナル)ではマッピング時に床の色を青以外で塗ることができなかったので、ダメージ床と普通の床をマップ上で区別したい場合、一工夫必要だった。

*15 Steam版の撃破実績名は「迷宮の災厄」

*16 ただし、「世界の中心で、愛をさけぶ」というタイトル自体にも、元ネタとしてハーラン・エリスンが1968年に発表した短編小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』が存在する。